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細尾峠(旧国道120号)
栃木県日光市
2006・7・2 来訪
   

国道122号線・日足トンネルの旧道に当たる細尾峠。
かつては足尾銅山で採掘された銅を積んだ荷馬車が行きかっていたと言う。
1978年に日足トンネルが開通し、峠道が旧道となって30年近い月日が経っているが今だ通行可能。
一応車両通止めの看板はあるがゲートも無く、実際の所『自己責任』という事で通行を黙認されている。

まずは足尾側からご覧頂きたい。

旧道との分岐点。
画像正面の薄暗い木々の中へと突っ込むのが旧道である。
直前に青看板が旧道への分岐を表記してくれてるので、わかりやすい。
かつてのゲート跡。
ご覧の通り通行止め看板はあっても遮るゲートは無く「おいでませ」状態。
恐らくこの看板の意味する所は
「言う事は言ったで。通っても良いけど事故っても俺は知らんぜ。」
ってな感じではないだろうか?
旧道の峠の中で自分が一番多く訪れているのが細尾峠であったりする。
毎度の事ながら落石がゴロゴロしている。
14インチTVぐらいの巨石が落ちてる事もある。
また倒木が倒れている事も珍しくない。
しかし、決定的に通行不能な状況に出会った事はない。
どうやら、地元の人々により必要最小限の整備がされているらしいのだ。

歴史の深い峠であり、それだけ人々の思いもあるという事か。
序盤は神子内川に沿って緩やかに傾斜を登っていく旧道だが、川から分岐する沢を渡った直後、急勾配・急角度の九十九折れが現れる。
細尾峠名物の鬼九十九折れのスタートである。
旧道が九十九折れに入ると川向いを通っていた現道の方は全長2,765mの日足トンネルへと潜っていく。
この画像の白い建物はトンネル坑口の排気施設。
旧道で日光側へ抜けるのに30分程かかるのに対し、トンネルを使えば5分もかからない。
時間の差は歴然。
それでも時間のある時は、味気ないトンネルの側壁を眺めるより過酷な道程だが走りがいのある旧道を選んでしまうのである。
足尾の山々。
ここいら一帯には緑豊かな自然が広がっているが、この右手の山を越えた先にはに荒涼とした『死の山』が連なっている。
銅山の町として栄えた足尾だが、同時に公害の地しても知られる。
精錬所から発生した毒ガスにより周辺部の山々の木々は全滅。
銅山が閉鎖され、精錬所が停止した今でも失われた緑は戻らず、巨大な禿山が人の業を背負い続けている。
さて、旧道へと話をもどすが、とにかくひたすら九十九折れを繰り返す。
かつては大型バス・トラックもここを通ったのだろうが、相当キツイ道程だった事をうかがわせる。
朽ち果てた『14%』の標識。
これ、つい最近まで直立してたのにねぇ・・・。
とうとう力尽きてしまったか。

それにしても旧国道が14%の勾配てのはきついな。
しかし、今回改めて見ると意外と道幅が広い。
中央線はないものの2車線規格、狭い所でも1,5車線はある。
普通車同士なら離合に全く問題はない。
唯でさえキツイ道なのだから、せめて道幅だけでも広げておこうとしたのだろう。
でも、いくら道幅を広くしても九十九折れの極悪ヘアピンは変えようがなく、やはり応急処置ぐらいにしかならなかったのではないか。
道の上に道があり、それまた上にも道がある。(画像にカーソルを)
初冬の細尾峠へ向かうと、山に白いガードレールの帯が巻かれているのが見れるそうな。

細尾峠の近所には現役の極悪九十九折れ・いろは坂がある。
あそこは観光シーズンともなれば大渋滞が発生してしまう。
一応上下線を第一・第二いろは坂と別線にしてあるが、それでも古い規格の峠道である下りの第一いろは坂では、観光バスや運転に慣れていない車によって道が詰まってしまうのだ。

恐らく晩年の細尾峠でも同じような現象が起きていたのだろう。
九十九折れを上りきると峠へ向かうストレートが現れる。
その横には色が禿げつつも今だ立ち続けるおにぎりが。
とっくに国道指定は外されているのだが、それでも撤去される事なく此処に存在し続けている
果たして意図的に残されているのかどうかわからないが、
この荒れた道がかつては幹線道路であった事を語る証人として生き続けて欲しい物だ。
峠である。
両脇には苔むした古い石垣。
一種この峠独特の空気があって何か好きだ。
峠からは薬師岳や地蔵岳への登山口があり、細尾峠が今だ人々に必要とされる理由の一つである。

さてここから日光側へと下っていくのだが・・・。
丁度、直線に入った時、一瞬峠の向こうに白い煙のような物が見えた気が・・・?

心霊現象?

その2へ続く

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