このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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大弛峠(川上牧丘林道)
(スーパーカブ編)
長野県川上村〜山梨県甲州市
(旧山梨市)
2006・6・19 来訪

国内最高所車道峠である大弛峠。
山梨側はしっかりした舗装路である事に対し、長野側は荒れ気味のダート。
ある意味、川上牧丘林道の真の姿である悪路にスーパーカブが足を踏み入れる。

峠を越え山梨から長野へ踏み込んだ途端、路面はダートへ。
一年前、ここへほうほうの体でたどり着いた思い出がある。
ガレた路面に、高所の為にフケが最悪になり時速5km出すのが精一杯。
しかもちょっと油断するとエンジン停止。
時折通り過ぎるオフバイクの兄ちゃん達が悪戦苦闘する自分を冷ややかな目で見ていた。
眼下に見下ろす山々も標高2000m近い高山なのだが、
比較するものが無いのでその高さを実感する事が出来ない。
国道最高所峠である渋峠付近では麓の草津の温泉街が望めたり、
やはり2000m級峠を持つ井川雨畑林道ではかなり遠くの山脈まで見通せたりしてその高さを実感できる。
国内最高所車道峠ではあるが、
個人的には他の高所峠と比べると景観の点に関しては少々物足りない気がする。
「いつでも逝ってやるぜ!」と言わんばかりの物凄くワイルドな法面。
しかも、一つ一つの岩の大きさが2mぐらいあり一発食らえばそれはステキな事になるでしょう。
全く崩れないでいてくれるか、または直撃して痛みもなく逝けるかのどちらかにしてほしいです
てか、前回ここを通った時はまったく写真を撮る余裕なんてなかった。
何度も言うように、まったく進まないわ、エンジン止まるわで本気でここへ来た事を後悔していた。
その点、今回は多少マシな気がする。
とはいえ、写真を撮るために停止するたびにエンジンもまた停止するってのは今回も変わらない。
こちらの法面はちゃんと整備されているが、その上の斜面はやはり『殺る気』満々。
いいねぇ、高山の木々に囲まれたガタボロ林道。
常に車体はガッツンガッツン言って、何時パンクするか冷や汗モノでした。
そういやここ最近、ひさびさに会う人から「太った?」と口々に言われたりしてます。
実はちょっと気にしてたりしてました。
で、その全身にまとわり着く弛みきった脂肪がこのガタボロ道によりブルブルと振るわされます。
以前、通信販売のシェイプアップ器具で長めの棒を上下に揺らして全身の脂肪を燃焼させる、てのがあったじゃないですか。
もう林道走行中はその道具を使っているのと同じ状態。
まさに林道エクササイズ。
最近、脂肪の気になるオフローダーの方は是非、ガレ林道を多く走られる事をオススメする。
ガレた路面が続くがたまに、このような砂地の路面が現れる。
このような場所はとても路面が引き締まって走りやすいがすぐにまた荒れ路面に戻る。
標高を下げてくると森林地帯に突入する。
均等に整列した木々が美しい。
ふと、横を見るとちょっとした平地に数本の根っこごと倒れた倒木が転がっている場所があった。
そこには泉が湧き出し、どこか幻想的。
ポーっとその風景を眺めていると、間近に何か生き物の気配を感じた。
すると自分のすぐ近くに一匹の鹿がいる事に気付いた。
泉の水を飲みに来たのだろうか?
鹿は身動きもせず自分を見つめている。
しばらくお互い見つめあっていたが、自分がその鹿の写真を撮ろうとすると
「ぴひょーん!」
と、一鳴きして森の中に飛び込んでいった。
森の奥からこちらを窺う鹿。
この後も数匹の鹿と出くわすがどれも2匹以上で行動していた。
単体で行動していたのはコイツだけ。
身体能力に自信がある鹿だったのだろうか?
もしかしてシシ神様ですか?
だとしたら僕は生命力を与えられたのだろうか?それとも奪われた?
さて、頂上付近ではだいぶ荒れていた路面も下に降りてくると徐々におとなしくなって来る。
それと同時に標高を下げ、気圧が地表付近と変わらなくなってきたのでエンジンの調子も戻ってきた。
スピードを上げ、「ィッヤッホー!」モードでダートを駆けていく。
後輪を滑らせ、エンジンにガッツンガッツン岩に当たるのも気にせず走り抜ける。
その後、走行中にエンジンから異音がしたりするのは、たぶん気のせいだ。
金峰山川にかかる橋を渡る。
この川は日本一長い川『千曲川』の源流部の一つ。
千曲川は長野県をうねる様に縦断し、新潟県に入り『信濃川』と名を変え日本海へ出る。
金峰山川を渡ると路面は舗装路へ。
ダートが終わって少々寂しいが白樺の森を進む道というのも中々良い。
その白樺の森を抜けると、久々に人の温もりのする世界へ戻ってくる。
山村の日没。
頭一つ、そこだけ目立って突き出した山頭の上に太陽が降り立つ。
しばらく、身動きもせずその光景を眺めていた。
長かった最標高車道峠の道程も、この県道68号線とのT字路で終わる。
今回は反対側から来たという事もあるが、スクーターで苦痛を味わった時と違い物凄く楽しめた気がする。
この後の予定のルートは、県道を東に進み中津川林道で三国峠を越え埼玉県へ・・・、ん?何か忘れてねえか?

現在18:30ほど。

・・・ヤベ!中津川林道17時にゲートが閉まるんだった!
しかも、ここが通れないと関東へ100km以上遠回りしなきゃならん!

その日の夜、長野県の山中を迷走する一台のスーパーカブの姿があったという・・・w

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