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群馬県渋川市(旧赤城村)棚下 旧鳥山隧道群
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そんな気はないのに・・。
会社の人々とひするま(日出島)キャンプ場に泊まった翌朝のこと。河原を散歩していると対岸に奇妙な景色を見つけた。利根川の削った岩壁の中程に、窓がある。良く見るとその中には照明やカーブミラー、ガードレールまで。

クルマ組と分かれた後、一人対岸へ訪れた。
2007年9月16日・10月13日訪問

 水面からほぼ垂直に立ち上がる岩壁。その上に口を開ける窓。最初、祠か何かと思ったが、良く見るとガードレールが見える。写真では分からないけれど、照明が点灯しており、まさに現役。せっかくなので、橋まで数キロ迂回して現地へ。中から見るとこんな感じ。(下)


【県道255号線】

 鳥山隧道と不動隧道、2本のトンネルの中間で県道は沢を跨いでおり、窓の正体はロックシェッドだった。車だったらまず素通りしてしまうだろう。なんせトンネルの幅が狭い上に屈曲しており、脇見をするような余裕は無い。交通量も道幅の割には多い。

 北側へ抜けると不動の滝へ訪れるための駐車場があった。その脇に山へ入っていく道があるものの、入口には鳥居があり車両が入ってはいけない雰囲気。この時は駐車場でUターンをして帰路についた。
 


 帰宅してからもトンネルが気になり、調べてみると2つのトンネルとも昭和20年代の竣工である事が分かった。更に、Uターンした鳥居の先には、もう一つの鳥山隧道があると言う。こちらは明治時代、現在の県道ができる以前のルートだったようだ。
素堀の明治隧道+通行可能。前回は後一歩の所で見逃してしまった。早速、友人を誘い、互いの予定が合う1ヶ月後に現地を再訪した。

概要






不動の滝駐車場  8時前に不動の滝駐車場に到着。友人が準備をしている間、駐車場内を散歩していると、奥にフェンスがあった。「入ったらマズイものでも?」と、のぞき込むとトンネルが見える。早起きし過ぎのハイテンションでフェンスを乗り越え、トンネルへ近付く。奥は真っ暗・・・と思ったら一瞬白いものが見えて嫌な気分に。目を凝らすと奥の明かりにも見えるが・・。看板に「棚下用水横坑」とあるが、坑口にも門があり入れそうもないので駐車場へ戻る。さっきのフェンスは、良く見たら脇から抜けられた。

 駐車場奥のトンネルは帰りに調べる事として、不動の滝へ向けて坂道を登る。


 急坂の舗装路を登り切ると、棚下不動のある平場に到着。正面には不動の滝へと続く階段があるが、旧道は右手へ曲がる。ここまでは車も入れる作り。しかし、「鳥山隧道」の看板に従って進むと、一気に登山道の様相となる。それでも新しい木橋が掛かっており、先程の看板も含め観光用という位置づけのようだ。

旧鳥山隧道  不動尊から3分。尾根を回り込むと、拍子抜けするほど唐突にトンネルが現れた。情報通りに通行可能。坑内には(と呼ぶのは大げさだが)ブルーシートやガスコンロがあり、住人のいた形跡がある。内部を見上げると、すぐ脇を流れる利根川の河床だったのだろうか、砂利と土で構成されていて怖い。でも130年以上耐えたのだから、今更崩れないでおくれ。出口は崩落土が堆積しており、その分坑口が拡大している。
 私が設計技師だったら、ここにトンネルなど不要と判断してしまう。そんな小尾根に何故かこのトンネルは存在している。出口の先は大きめの枯れ沢となっており、道跡は見当たらない。ここまでは事前に知っていた。さて、橋か巻き道か。



下は茂みの中で沢の深さを表現しようとした写真。さっぱり深さが分かりませんが、深さ5m・幅10mくらいです。対岸に向けて太い木が倒れていますが、これを橋の代わりにしようとは思えない程度、谷底との高低差はあります。

トンネル出口の枯れ沢  ここに橋を架けるとしたらかなり大規模になり、トンネルの仕様と比較しても不自然。左手の道跡らしきものを辿るとすぐに深い藪となってしまった。この辺りは竹が多く、蔦・蔓の類とは違う辛さがある。竹ほうきで撫でられるような前進を諦め、沢の少し上流から谷へ下った。
 対岸の斜面をよじ登っていると、右下(トンネル出口の対岸)に平場が見えた。「登りすぎたか」と思った時、上にも平場を発見。???そのまま登って尾根へ着くと林道クラスの道があった。登って来た斜面を見下ろせば、九十九折れのような踏み跡がここまで続いている。 林道らしき道は尾根の先端で行き止まりとなっており、やむなく尾根を越える踏み跡へ進路を取った。

 尾根を越えると大きな斜面となり、上は岩壁、下は県道のロックシェッド付近まで続いている様子。踏み跡を信じて進むと岩壁へ寄り添う形となる。壁に触れた時、コンクリートかと思い嬉しくなったが、良く見れば砂と砂利で構成されている。見上げると、微妙なバランスで成り立っているオーバーハング気味の砂壁が目に入った。「落石はマズイ。」 滑落も怖いけれど、落石は一発アウトの可能性が高い。踏み跡も怪しくなったので、一旦引き返した。



 尾根の手前に戻ると、友人は一段下に立っていた。「上のルートは危険で道とは思えない」旨を告げ、下段の踏み跡へと進んでみる。こちらは土の斜面を横断しており、幾らか安全だが人や荷車の通った道とは思えない。やがて、竹が大量に倒れて滑り台のような斜面となり、道らしくないと判断して尾根手前に戻った。
 迷うような地形ではないので、この辺りが道だったはずだ。可能性を一つずつ当たる事として、再び林道風の道を上方へ辿る。しかし、最初の枯れ沢の上流部でこの道は唐突に消えていた。砂防ダムも無く、目的は不明。

 戻る途中に友人が「もう一つトンネルがあったような気がする」と言い出した。
何故そんな重大発見を黙っていた!聞くと、最初のトンネルにそっくりで同じものだと思ったと言う。
「でも、ガスコンロやブルーシートは無かったから別のものだと思う」

 ここで今までの行程を2人で整理してみた。1つ目の尾根は旧鳥山隧道で抜けた。枯れ沢を渡った。もう1つ尾根を越えて岩壁に行った。この2つ目の尾根にトンネルがあるらしい。
 林道風の道を少し下ると、確かにトンネルがあった。二号隧道(名称不明)発見。枯れ沢から這い上がる時、右手に見えていた平場がその坑口だった。対岸を見ると、正面に旧鳥山隧道(1号)が口を開けている。残念ながら二つの穴を直線で結ぶ橋の痕跡は無かった。
きっと30分で探索終了。と予想していただけに、2号発見で是が非でも完全踏破をしたくなってきた。.

2号隧道 防護ネット上



 2号隧道は落ち葉の堆積量が多い以外、確かに1号そっくり。内壁も同様に脆そう。出口は先程の岩壁手前。その高度のまま続くのは・・・竹の滑り台への道だった。やはり通らねばならないのか。ここで一休み。

 出口から20mほどは何故か道幅が広い。県道の落石防護ネットの上部支点がここに取られており、どうやらその工事で人の手が入ったようだ。

 「行ってみよう」 友人の一言で竹の滑り台へと挑戦開始。意外にも見た目ほど密集しておらず、どうと言う事は無かった。見ただけで判断していたら何も得られないとの教訓になった。

 大きな斜面を渡り切り、道(踏み跡)はやや下る。この辺りは、道にある竹が斜めに切られている。転ぶと刺さるような罠のような切り株。

斜面を越えて一息 振り返って撮影

 3つ目の尾根が近付き、見逃さないように斜面を注視しながら進む。この道は尾根=トンネルのはずだ。程なくして先行した友人が「飯ごうあった!」と叫ぶのが聞こえた。はて?落とし物か。黙っていたらまた叫ぶ、「3号あった」。尾根を回り込み友人に追いつくと、最も寂れた雰囲気の3号隧道がそこにあった。

 坑口付近に草が茂り、こりゃだめか、とのぞき込むと通行可能な様子。出口にも草のシルエットが見えた。落ち葉の堆積量は最も多く、壁に沿って通り抜ける。斜面の下には県道が近付き、車が見える。この先は踏み跡が明瞭となり、人が入っているようだ。道の脇には保安林を示す錆びた標識があり、道は下り続ける。やがて会社らしき敷地の手前で県道へ合流した。

ルート概要


おまけ1
 県道の不動隧道北側坑口脇には別の道跡があり、その一部には石垣風の構造物も。

不動隧道脇

おまけ2
 駐車場脇の棚下用水横坑。奥はコンクリートで塞がれ、パイプが出ている。
明かりに見えたのは、壁を伝う水に外の光が反射したものだった。

  

おまけ3
 不動の滝と用途不明の穴。不動の滝は裏に回れるのですが、頭上が崩れそうで気になります。穴は、滝修行または昔の水路関連か。
 途中に水路工事の慰霊碑がありましたが、犠牲者名は女性(2名)でした。土地の人自ら、水を引くために工事をしたのでしょうか。川が蛇行している土地では、流路をショートカットするような水路が良く掘られますが、旧鳥山隧道も含め、この辺りでは穴掘りに慣れた人が多かったのでは?とそんな気がしました。

  
  

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