このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

(12.11.21)
2010年4月。

児湯郡川南町で発生した口蹄疫はその震源地を中心に南北に広がり、北は 日向市から、南は都城市まで猛威を拡大。その期間中、殺処分された牛や豚などの偶蹄目の家畜は約29万頭に及んだ。

すでに終息から2年近くが経過し、和牛の一大生産県である宮崎県は着実に再興への舵を取りつつある。口蹄疫の再発、高齢化、TPP・・・。将来への不安から経営再開を断念した農家もあったが、地域には少しずつ活気が戻りつつあるのだ。

その様な中、5年に一度開催される“和牛の祭典”こと、
全国和牛能力共進会の開催が近づきつつあった。前回の 鳥取県大会 では9つの区分中、7区分で優等賞の首席を独占し、種畜、肉畜の両部門での内閣総理大臣賞獲得・・・というまさに「無双」っぷりを発揮した宮崎県であったが、2012年10月25日〜29日の日程で開催される長崎県大会への出品は危ぶまれていた・・・といっても良かったかも知れない。

というのも、口蹄疫の際に被害を受けたのはその発生地域だけではない。発生地域、その周辺部での殺処分という直接的な影響、加えて、発生期間中の人工授精の自粛という間接的な影響だ。前者は優秀な母牛群の他、国の特例によって九州山地の山深くに避難することのできた5頭を除く50頭の種雄牛が殺処分となってしまったことである。これだけでも計り知れない損失であったが、加えて、感染拡大抑止のために取った人工授精の自粛。実施された3ヶ月間。普通であれば、受胎から数えて285日後には子牛が生まれる。この事で、出品区分によっては、他県よりも1ヶ月程度若い日齢での出品を余儀なくされてしまった。日齢が若い分だけ、牛体の充実が劣って見えることもあるだろう。大きなハンデを背負ってしまったのである。

その様な状況ではあったが、宮崎の農家は諦めなかった。連覇に向けて歩を進めてきた。今回、私は仕事の関係で予選を見ることができなかった。だが、代表牛選定が非常に厳しい戦いであったと聞いている。最後の最後まで牛を見極めた結果、種畜、肉畜の28頭の代表牛が長崎県佐世保市へと旅立っていった。

今回、出品牛を取り巻く人々に宮崎日日新聞はスポットを当て、この和牛全共の様子を報じていた。現地で私が見た中で強く思ったのは、宮崎県の出品者やそれを応援する行政、JA、畜産関係の団体が一丸となった“団結力の強さ”であった。

本年9月の定例県議会においても、自民党県議の代表質問に対し、河野俊嗣県知事が意気込みについて答弁している。県会議員はもちろん、県選出の国会議員も現地に応援に駆けつけていた。口蹄疫の時に痛感したのだが、県経済は何かしらの形で農業につながっている。だからというわけではないが、県民も久々の明るい話題を待ち望んだ。

口蹄疫でいただいた恩は、産地の復活をアピールすることでお返ししよう。

全共が近づくにつれ、あちこちで聞かれるようになった言葉だが、まさに今回の全共を象徴していた。
第10回 全国和牛能力共進会 (長崎県大会)
さて、前回の鳥取県大会での教訓を受け、私は6月くらいからホテルの確保をしていたのだった。

その時点で既にいくつかのホテルは旅行会社の「抑え」が入っていたり・・・と予約できなかったのだが、全共の会場の真ん前にそびえるように立つ ホテルオークラJRハウステンボス をおさえていた。
九州に住んでおきながら、ハウステンボスには行ったことがなかったし、今年の夏はあまり家族サービスもしていない。・・・というわけで、家族で行くことにしたのであるが、結果的には良かったと思う。

私は10月27日〜28日の日程で現地を見てきたのだが、27日は朝5時に出発。九州道から長崎道、長崎道から西九州道・・・と順調に佐世保市を目指した。途中のサービスエリアで休憩をしながらの行程でしたが、宮原などで宮崎県組(JAの生産部会の応援団)を見かけました。その後、昼すぎに到着。天気が悪かったこともあるでしょうが、あまり混雑することもなく現地に入ることができました。
ホテルにチェックイン後、会場へ。初日は私が会場をウロウロ・・・している間、家族はハウステンボスで・・・といった具合に致しましたです。

一応、長靴に作業着を持参していたので、それらに着替えて会場を見て回る。今回、ハウステンボスのある佐世保と雲仙の2カ所に大きな会場が設けられていた。
雲仙の会場はどのような様子であったかは存じ上げないが、審査会場が設けられた佐世保会場では、長崎県内の物産の他にも、トラクターなどの農機や各種畜産資材が展示、販売されており、さすが、畜産の祭典・・・といった風情。視察途中の農家のおとーさんがテントの前に足を止めて・・・といった風景が見られておりましたよ。
これは、子牛用の防寒着。

これからの季節。昼夜の気温差を日較差というのですが、これが10℃を超えるようになると体の抵抗が弱い子牛に風邪の発症が見られるようになる。体感温度の変動を少しでも和らげてやる事が重要なのですが、いろいろな製品が出るようになりましたね。
その他にも、全国的な傾向なのですが、シカやイノシシ、サルから農作物を守るための“鳥獣害防止グッズ”の周囲に人が集まっていたように思える。
その他、会場内には全国各地の銘柄牛をPRするためのテントが張られておりまして、時間によっては試食のために美味しい牛肉が振る舞われる。

余所の県の放送では、共進会の状況よりもこの試食風景をニュースで大きく扱っていたが、景気の後退によって食卓から遠ざかっている和牛牛肉。それを食べる機会を逃してなるものか・・・と長い行列があちこちでできていました。
今回、試食に振る舞われたのは口蹄疫で苦しんだ地域にある児湯郡都農町産の宮崎牛。

この様なイベントでの試食はエンドユーザーの心をガッシリ掴むための重要な機会。より良い品質のものを提供しようと気合いが入っている様子だった。肉質等級はもちろんA-5。脂肪の“サシ”の具合を測るBMSナンバーも10とのことで、何とか試食券を入手いたしましての試食であったが、ロースのサイコロステーキの歯ごたえは柔らかく、脂肪の風味も良。年齢的にいっぱいは食べられなくなってきておりますが、食べていて幸せを感じる風味でございました。

その後、他の県の牛肉も食べましたが、提供の仕方の差はあれど、やはり宮崎牛の良いヤツはサイコーだな・・・と思った次第。
画像は 宮崎牛 の試食風景。

聞いたところ、1日に2〜3回といった間隔で、200人に試食券を配布するとのこと。既に試食券は配布済みで、牛肉配布をスタートをまだかまだか・・・と待ちわびる状況でございました。
次へ行く

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください