中津川から「濃飛乗合自動車」の小さなボンネットバスに乗り、馬籠へ。小宮先生は「フィリピンだとこのバスに70人は乗る」という。日本でよかった。実際座席は10人分くらいしかない。中津川はかなり町が広がっているが、しばらく行くと山道になる。日光のいろは坂のように曲がりくねった道をどんどん登っていくと、約30分で馬籠に到着。料金は540円。高い。 朝早かったこともあって(まだ8時半)、ほとんどの店がしまっていたが、途中「槌馬屋」という店があいていたので入った。ところで、馬籠はご存知のとおり、島崎藤村の小説「夜明け前」の舞台である。他の人たちが釜飯を食らう間、二階に「島崎藤村資料館」があるというので行ってみた。本当は入館料200円のところを店の人がタダにしてくれた。(←ありがとうございました)。
ここには「夜明け前」ワールドが広がっている。本当に多くの文献や藤村ゆかりの品々のみならず、藤村関係以外でも明治・大正期に使われていた絵葉書、電話機などが展示されていて、国語科である小宮先生は目を輝かせて見入っていた。
馬籠はひたすら石畳の坂道で、自転車ではつらそうなところである。ただ景色はなかなか良く、小宮先生などは「今度は全校で歩きに来よう」とのたまう始末。そんな話を聞きながら上っていくと、次第に町並みがなくなりだし、山道に入り始める。
途中に立て札があった。東海道中膝栗毛で知られる十返舎一九の、「渋皮のむけし女は見えねども栗のこはめしここの名物」という句がかかれている。すなわち「ここには(栗の渋皮のむけたような)美女はいないが、栗の強飯はここの名物だ」という意味。それにしてもこんな失礼な句が有名になったというのも、いささか変な感じである。
ここから健脚の先生は、お隣の妻籠宿まで峠を歩いていった。生徒は疲れたのでバスを利用(←怠慢)。
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▲濃飛乗合自動車の「新型車両」
▲ひたすら坂道の馬籠宿
▲十返舎一九の失礼な?一句
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