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- 長野・ヘルパーニッキ -
(2004年8月13日〜20日)

【其の五】 おわかれ

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そんな感じで慌ただしく8日間が過ぎ、帰る日がやってきた。
もうこの時期には、2日前から来ている1コ下の男の子しか残っていない。
例のミカさんは2日前、彼と入れ違いに帰ってしまっている。
お盆も過ぎてお客さんもだいぶ少なくなってしまった。
なんとなく物寂しい感じの最終日。


帰りにみんなで車に乗って山の麓のバス停まで送ってくれた。
雄大な山並み。そして泣きたくなりそうなほど澄み切った青い空。
なんだか自分にはもったいなさ過ぎるようなよくできたお別れシーンである。
普段寡黙な感じのオーナーさんが車中でしばし話をしてくれた。
自分の過去。
YHのオーナーになるまでに映画カメラマンや板前、ドイツのホテル従業員など、実に様々な過去を経験してきたらしい。
当然ながらYHのヘルパーも経験済み。
そのとき出会った有志で今のYHを立ち上げたそうである。
ちなみに奥さんはそのとき泊まっていたお客さんだったとのこと。
なんとも素敵な出会いである。
普段僕が日記で多用している(?)「(女の子との)出会い」とは違う意味で。
一緒に夢を追いかけられる仲間との出会い。
そんな人間的に貴重な出会いができたオーナーさんが実にうらやましい。
「自分に自信を持て!何事もプラス志向だ。」
そんな彼の言葉が今も心に残っている。


「なにか別れ際にリクエストとかある?」
と、武田さんに聞かれた。
「じゃあ・・・カリオストロの城で(笑)」


本当にやってくれた。
すなわち、クラリスとルパンのお別れシーン。
ヒロインのクラリスと、車に乗ったルパンが手を振って別れる場面である。
去っていく車のサンルーフから、新しく来たヘルパーの坂井くんが手を振っているのが見えた。武田さんは映画で言う五ェ門の位置だ。

「さよなら〜!また会いましょう!」

僕も手を振った。
「さいなら〜!また会おう!」

・・・

すごくありがたかった。
正直そこまでやってくれるとは期待していなかっただけに。
残念ながら銭形警部と、僕の心を盗んでいったミカさんは登場しなかったが。
それでもすごく心に染みるお別れになった。
ここに来て良かったと、心から思った。




YHというのは一期一会の場所だと思う。
今回の旅でも実にいろいろな人と出会った。
ユニークで、旅を心から楽しんでいるお客さんたち。
実に熱く激励してくれたオーナーさん。
几帳面で明るくて良き先輩のような感じだった武田さん。
出掛けに立てた「皿を1枚も割らない!」という目標を3日で破った僕にもやさしくしてくれたオーナーの奥さん。
僕に「また会いましょう!」と言ってくれた坂井くん。
僕が「また会いましょう!」と言えなかったミカさん。


はっきり言って、一期一会で終わらせたくない出会いばかりだった。
特にミカさんに関しては・・・。今でもよく、イフ、の行く先を考えてしまう。
でも一度きりの出会いだからこそ、
それが深みのある思い出になっていくのかもしれない。
思い出に残る人々って、なんか素敵な感じがしませんか?


そこがユースホステルの旅の醍醐味なんだ。と、勝手にそう思っている。


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