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ネスプレッソ ラティシマ     D290 はこちら

ラティシマ給湯ノズル付き 2008年のある日。 
東海地方のある乳業メーカーから苦情をもらって、謝罪と印刷技術の説明に行った帰り、JCC2001名古屋市の高島屋で見かけたのが発売されたばかりのラ ティシマ。 
なかなかメカメカしい形で面白い。

カプチーノやカフェマキアートが、 D290 と較べて格段に簡単に作れる!
お掃除の権化 XYL としてはD290コンセプトマシンのカプチーノノズルは、都度完全分解し なくてはいられない構造ですが、ラティシマはクリーニングボタンが付いていて楽チン!

ただ、このラティシマ、機械の値段が張るのが玉に瑕。 7万とか8万とかありえない! と思っていたら高島屋の店員曰く「コーヒー用とミルク泡用のポンプ と熱交換器を2つずつ組んであるので、どうしてもお値段が張るんです」だそうな。

ちなみに最初は黒を買ったのですが、やはりアルミの方が良くって、黒はXYLの実家に払い下げしてしまいました。 「こんなくそ馬鹿でかい」と文句の嵐で はありましたが、美味しく使っているみたいです。

まぁ、290と較べてのラティシマの不満と言えば、使用済みカプセルが満タンになっても290のようにアラームが鳴らない点くらいですかね。

逆に長所は冷蔵庫にミルクタンクを保管しておけることです。 販売店では1日と説明していましたが、PGJは夜帰宅時に牛乳を入れてアイスマキアートを作 り、その後冷蔵庫に保管し、朝、カプチーノにして飲んでタンクを空にしています。

まぁ食品衛生学に遠い一般の皆様もそうしたほうが無難でないかい?
ラティシマミルク状態 


このマシンの気に入ったところ

1. ワンタッチで、カプチーノができる。

朝、出掛けに電子レンジでチンした牛乳にネスプレッソを注ぎ込んで飲んでいたのが、冷蔵庫からミルクタンクを出してきてセットし、あとはワンタッチ。
便利。

2. カプチーノ泡ノズルの清掃もワンタッチ。

290でカプチーノを作ったあと、何が面倒と言って、カプチーノ泡生成器本体と、それににつながる細いシリコンチューブの清掃。
生化学屋としては ピ ペット洗浄機 で洗浄したいくらいです。
気にしない人は気にしないんだろうがねぇ。

一部ブログで掃除の手間は290と変わらないと書いてありますが、そう言う人はよっぽどコキタナイ状況で290をお使いなんでしょうなぁ。 
日本人は基本的にきれい好きなふりをしながら、科学的な面では食品衛生とは遠い世界で暮らしていますから、どうでもいいんでしょうが。。。
(日本人の衛生への理解は、手水鉢で指先を濡らすだけの頃と、現代で、そんなに差は無いと思う。)

3. そもそも日に何回も洗浄しなくてすむ。

    290のカプチーノフォーム(泡)生成器はマシン本体にくっついているし、特に牛乳吸い上げパイプはそのまま2時間も放置すれば、中で牛乳が固着するの で、どうしても使用後に毎回かなり面倒な湯通し洗浄が必要です。 
    ラティシマは、その牛乳の吸い上げパイプ部分を含めて泡生成器タンクに付属している上に、ワンタッチクリーニングボタンが付いている為、毎使用後のノズル 洗浄が簡単。 
    ノズル洗浄後ミルクタンクごと冷蔵庫にしまえてしまうので、タンク全体洗浄は1日1回で十分OK。 これは楽!




このマシンの気になるところ

1. 水タンクが凸凹すぎて掃除がしにくい。

一目瞭然。  右写真の左がラティシマ、右がD290。  腐れ水でコーヒー飲んでも平気な人はどうぞ延々継ぎ足してください。 自己責任です。
ちなみに、継ぎ足しは下のようにしますが、MAXレベルを超えて給水するとマシンの背面側から洪水になります。 ご用心。

スライドタンクを引き出したところ 給水口


2. 水タンクが薄いので水をこぼさぬように運ぶのが大変。

上の写真のように、水タンクを半分引き出して水差しで給水することもできますが、毎回水タンクを洗っている我が家は、水を入れたタンクを抜き足差し足で運 んでいますhi

3. 290よりカプチーノ泡の調整がしにくい。

ワンタッチ機能と、衛生性の向上と引き換えに泡の調整が難しくなりました。 
290はダイアル式泡調整の幅が広い(ある意味超アナログ)ので、よくも悪しくも、その度に微調整できましたがねぇ。
思いどおりの泡を出すには、科学と学習とテクニックが必要。 さすがフェラーリを作っている国の製品だねぇ。 


という訳で、「乳の科学ラティシマ編」

TVや新聞では「本日の運勢」などというモノを流しておりまして、それを気にする人も居るそうな。 
世界最古の職業は「売春」である言った人がいますが、占いはその次くらいだろうかね。
PGKも毎朝のカプチーノの泡の出方でカプチーノ占いをしています。 PGJは、飲んだ瞬間に吉凶は忘れているわけですが、それくらい安定しないことがあ る。

という訳で数ヶ月実験した結果の考察は以下のようになりました。

1. 乳脂肪の多寡が泡の差に出る。
乳脂肪グラフ
右は明治乳業様の紙パックに印刷してある乳成分の季節変動。  牛乳の乳脂肪やタンパク量の差は季節変動でここまで出る。 
牛乳の乳脂肪分(これをクリームと言う)をホイップするだけでケーキのトッピングに使うような物凄い盛り上がりの「ホイップクリーム」が出来上がります。  
という事は、乳脂肪分が高いほうがラティシマでも泡がつくり易いのではないか?

翻って言えば、牛乳なんてものは厚労省
乳等省令 で 「成分を調整してはならん」となっているので(調整したら「加工乳」で「牛乳」で無くなる)、牛乳メーカー、産地、農家、季節、牛の品種、牛の血統で品質 はバラバラですから、そんなバラバラの原料で、同じ機械設定で、同じ品質の製品(この場合カプチーノの泡)ができる訳もない。
                       
まぁ何事も適切な量と言うものがあるわけで、むやみと高脂肪牛乳を使うとカップから泡が雪崩現象をおこすんじゃないかと。。。  お好みですがねぇ。 



2. 牛乳の初温

マニュアルには4℃の牛乳を使えと書いてありますが、これはEUの食品衛生法の縛りではなかろうか? さすがスイスの会社だ。
先進国では乳肉の
保存温度は4℃以下 と決まっておるからでしょう。 ちなみに日本の法律では牛 乳の保存温度は10℃以下。


PGJの経験則ではともかく泡立てようとすれば6〜8℃がちょうど良かったが、季節性の乳成分(乳タンパク、総脂質など)の変動ファクターと同時に科学的 に評価したわけではないので、なんとも言えん。
ケーキのホイップクリームを作るときも冷やしながら作るし、ソーセージの練り肉の脂肪と赤身肉の乳化最適温度は8℃であるから、動物性脂肪で良い泡を出そ うと思ったらこんな温度なんだろう。


ただ言えるのは、カプチーノ作ったら、とっとと冷蔵庫にミルクタンクをしまいましょうね。 
屋根型容器の紙パック牛乳は完全殺菌ではないし、開封した瞬間から、あなたの家の環境に汚染されているわけですから。 

「牛乳は腐ってもヨーグルトになるから大丈夫」と信じているあなた。 腐敗と発酵の差のわからない人は食中毒で死ぬよ。



さらに「物理の時間ラティシマ編」

ラティシマのミルクタンクはキャブレターである。 たぶん。

つらつら、あのミルクタンクの構造を見てみると、蒸気がミルクタンク内ののチューブ上端を突っ走ることで
ベルヌーイの力 が発生し、ミルクが吸い上げられ、蒸気と混和しカプチーノの泡 が形成されるように見えます。
つまり、内燃機関の
キャブレター と同じ仕組みなんですなぁ。

ラティシマはイタリア製、 さすが自動車産業の国のアイディアだね。 まぁ、燃料の質によって(この場合は牛乳)に最適セッティングを出さなくてはいけな いところは、まさにキャブレターです。 

つまり右図の緑のチューブがキャブレターのメインジェットに相当するんではないかと思うんですよ。

さらに、この記事を書く気になった今日、すごいことを発見した。
ガソリンエンジンのキャブレターのメインジェットの取り付け不良で、ガスが薄くなる経験をしたことがある人は昔はよく居たものです。 
こういう時代 の二輪車は気化器が今のように電子燃料噴射ではなく、皆キャブレター方式でガソリンを霧化していたのでPGJもジェットの交換など良 くやったもんです。
サイズの合わないメインジェットとか径のでかすぎるジェットでは、逆にガスを吸わなくなってパワーダウンなんてしょっちゅうでしたよね。


隙間のできた状態
激少ミルク泡
それと同じで、ミルクタンクのシリコンチューブが、本当にきちんと根元まで入っていないと(左赤矢印)、
そこに隙間が発生するらしく、隙間から空気を吸って牛乳へ掛かるベルヌーイの力(負圧)が減って牛乳が上へあがりにくくなります。

おそらくパイプ下端吸入口とタンクのそこも狭くなって、流体負荷も亢進するでしょう。
そうなると、右のような丸でミルクの泡の少ないカプチーノになる。

ちなみに左図は再現で、本当はチューブとチューブの受けの隙間はもっと小さかったですよ。

ついでに言えばベルヌーイの負圧で牛乳が引き上げられているわけだから、牛乳タンクは満タンに近いほうが、引き上げる力が弱くてすみますので、泡の吐出量 は多いと思います。




正しい状態 条件をそろえるために同じパックの牛乳でパイプをきっちりはめて作ってみ たら、、、、

「あら超大吉」
シリコンパイプに皺を作らないように差し込むのがコツ

キャブレターと同じで液面が低いと吸い上げ負荷が増えるので、連続してカプチーノを作ると泡の量が減るから、そこは調整の腕の見せ所だね。

と言っても小さいレバーがタンクについているだけだけど。
こんな大量の泡は不要だから1杯目を絞り、2杯目から泡が多く出るようにすりゃいいんじゃないの?



大吉カプチーノ


蒸気配管キャブレターだから チョー クレバー が付いている。 自動じゃなくてマニュアルチョークね。
(日本の40歳以下の人はチョークなんて触ったことが無いだろうね。)

それが左の紫の矢印。
牛乳が飛び散るくらいに出るようになったらガソリンエンジンで云うところの混合気が薄い状態。
レバーを押し込んでから、戻して最適ポイントを探すとよろしい。


ちなみにこのミルクキャブレター。 扱うものがガソリンでなく牛乳なんで、蒸気供給管(たぶん/右写真ピンク矢印)に牛乳が残る。 
これを取り除くためにタンクにはクリーニングボタン(左水色写真)が付いていて、スチームブローがワンタッチでできる。 



マニュアルにも書いてあるが、牛乳を使ったら、必ずクリーニングボタンを押して掃除しろとのこと。
この操作でミルク泡用ノズルも綺麗になると云う仕組み。  
こういうところは、さすがEUの食品加工機器の衛生設計だなぁ とつくづく思う。 
国産キッチン家電のアホ設計 とは大違いだ。

というか、これ押さないとメインジェットに乳タンパクが固着して、しまいにカプチーノにならなくなんじゃないの? ガソリンエンジンで云うところのジェッ トの詰まり。 昔はガソリンタンクの内側がすぐ錆びたから、よく詰まったもんさ。 いまどきの人は「燃料フィルターをキャブレター前に装着する」なんて知 らんだろうねぇ。


では実験

乳脂肪4.5%!のジャージー種の牛乳 (ちなみに560円と云うありえな い値段)
こいつは産乳量が、日本で通常流通しているホルスタインフリージアン種(白黒斑オランダ牛ともいう)と較べるとかなり少ない乳牛です。 大飯ぐらいで生産 性が低いというわけで乳価も高い。


家畜品種論では、いったい何種類の家畜の名前を覚えたことか。。。 
乳牛、肉牛、綿羊、山羊、豚、ミツバチ(これも家畜なのである)に、それぞれ品種がうじゃうじゃと。。。
牛だけでもアバディンアンガスだ、エアシャーだ、ケリーだ、ジャージーだ、とまぁ  これだけある

PGJは暗記問題は今でも嫌いである。

ちなみに低温殺菌牛乳の値段が高いのは、単に生産効率が悪いから製造コストが高いだけで、特別高級だからと云うわけではないのである。 殺菌温度は早く高 温でするほうがよろしい。
乳業大手各社様の「おいしい牛乳」は、そのようにして作られているんだねぇ。

低温殺菌牛乳も宗教みたいなもんだ。
 このミルクの初温を8℃まで上げて、で、カプチーノボタンスタート。

ミルクの温度を測っているのが放射赤外線温度計。
素 人さんが使っている5,000円もしないようなデジタル温度計 は熱平衡まで早くても3分は掛かるので、
この手の実験には使い物になりません。

ちなみに、温度計測のプロが使用しているのは こ のようなもの 。 数万円するのねhi

  


 で、出来上がったミルクフォームの表面温度は、
44℃でした。

乳の科学から言っても、このくらいが適温。
温度が熱すぎると乳タンパクが固化し、個々の泡の柔軟性が破壊されてミルクフォームになりません。


結論; 
北海道産などのホルスタインの牛乳で乳脂肪が高い(3.8%くらい)ものを使い、ミルクの温度は8℃が最適の組み合わせと思われます。
ジャージー種の牛乳は有意な差を示すほど泡の量が増えないですね。 カプチーノに使うには高いだけ無駄な気がします。 

牛乳単体で飲むには美味しいかもね。

なお、 3ヵ 月に1回のディスケーリングは綺麗な泡には不可欠ですな





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驚きコンパクト新型ラティシマはこちら  (日本未発売) 欲しいなぁ 


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