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落書き帳
12年3月8日
カブトエビ
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生きた化石「カブトガニ」
これは、学校で学習したはずですから、みなさんご存じだと思います。
では、「カブトエビ」は、ご存じでしょうか?
私はこう呼んでいたのですが、正式名称であるかは不明です。
見た目は、「カブトガニ」を、そのまま小さくしたようなエビ?です。
大きさは、1CMぐらいだったと思います。
私は熱心な、「カブトエビ」マニアだった。
と、いっても、補助輪付きの自転車に乗っていた、幼稚園の時・・
透明な、ビンに入れて、飼っていた。
母親は「きもちわるいから。捨てなさい。」と、嫌っていたが・・・
捕獲場所は、近所の水田である。田んぼの水を、虫取り網で掬うと、
沢山取れる。もちろん、稲をたおさないように気は使っていた(と思う)。
農家の、おじさんが近くにいても、怒られなかった。「カブトエビ」だと、
私に名前を、教えてくれたのが、このおじさんだった。
飼い方は、ただ、田んぼの水を入れるだけで、エサを与える必要もない。
死んで、少なくなったら、また、田んぼに行って、捕まえればいいのだ。
めんどくさがりには、最適なペットだ。お金は、一銭も掛からない。
難点は、水田のシーズンしか、飼えないということだ。
泳ぎ方が、とにかく、可愛いかった(でも、今、見たら、気持ち悪いかも)。
死骸を天日に置いておくと、ほんのり、赤くなる。私は、エビだと確信した。
「たべられるのでは?」と、何度も、口にしたくなったが、勇気はなかった。
では、私が、何故、ここまで熱中して、飼っていたのか・・?
それは、田んぼにいた、おじさんが、真顔で、私にウソをついたからだ。
「秘密やで。これは、大きくなると、天然記念物のカブトガニになる」
「カブトガニは、こんなに、大きいんやで!」
おじさんは、両手を広げた。その時は、カブトガニの存在は知らなかった。
しかし、天然記念物という、単語に、なぜか、ときめいてしまったのである。
私は、信じて、飼っていた。幼児とはいえ、多少、疑っていたのは事実だ。
父も「ウソに、決まってるだろう・・」と、呆れていた。
でも、フワフワと、泳ぎまわる姿を見ていると、もしかしたら・・・
と、思えてくるのだった。
当然、1匹も、カブトガニになることはなく、シーズンが終わり、全滅。
小学校に登校し始めて、資料室か何かに入った時。
わたしは、大きな、実物のカブトガニの標本を、目の当たりにする。
「カブトガニだあ!」っと、叫んだ。標本だったが、嬉しかった。
姿は、一時期、飼っていた、カブトエビに似ていた。
おじさんの言っていたように、大きくなった、カブトエビだった。
ウソはいけない。ウソは泥棒の始まりだ。
最近、ニュースで取り上げられるウソにくらべたら、
おじさんのウソは「夢のある、いいウソだな」と、今になって思う。
カブトエビのいた田んぼは、現在、住宅が、建っている。
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