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コロ記

コロ

<平成12年10月27日>
 10月の初旬、今後の「コロ記」の事を少し考えていました。もしもコロに最後の時が訪れたら、その事を「コロ」の題名で書き、それで「コロ記」を最後にしようと。しかし実際にその時が訪れた時、皆様からいただいたメールやいろいろな出来事から、もう少しだけ「コロ記」を続けようと思いました。
 ただ実際に、こうして「コロ」の題名を書いたところで、まだその日の出来事を書くことはできませんでした。

 そこで、ここには当分の間
「今日のコロ」10月27日の文章を「コロ」として
「今日のコロ」10月28日の文章を「旅立ち」として
そのまま転載させていただきます。


午前1時
毎日の薬を与えました。今日は上手に飲みました。

午前3時30分
顔を動かしておしっこが出た事を教えました。

午前7時20分
おしっこの確認をして、出ている事を発見。ペットシーツの交換です。
コロは昨日より、元気がないようで、顔を上げません。

午前9時
生卵・牛乳・蜂蜜の流動食を飲み込まないコロ、牛乳だけに変えても飲みません。
コロに話し掛けながら、呼吸の様子を見ていました。

午前11時
おしっこの確認により、出ているのでペットシーツの交換です。

正午
昨夜午後8時の流動食(猫缶・牛乳)以降、薬以外は何も口にしていないので、水をスポイトで与えると少しだけ飲みました。少しうれしくなりました。

午後1時10分
おしっこの確認で、出ている事を見つけ、ペットシーツの交換。

午後2時
おしっこの確認で出ている事を発見。感覚の短さに少し驚きながら、ペットシーツの交換。
前日までの流動食で口の周囲が汚れ、口が開けづらくなっていたので、抱きながら濡れタオルで口の汚れを取りました。そのまま30分ほど抱いていましたが、(この時にも少しおしっこ)呼吸が安定していないので、布団に寝かせ落ち着くのを見守り、状態が良くなってきたので床ずれを防止する為に、反対向きに寝かせました。

午後3時
呼吸の様子が安定しない為、顔を上げられる右向きに変えます。

午後4時
コロに「まんまは?」と話し掛けますが、顔は上げません。呼吸は落ち着いています。
その後、午後6時頃までは呼吸が安定したり乱れたりを繰り返します。

午後5時
よだれが出ている事を教える為に、顔を動かすコロ。口の周りを拭きました。
その後、何度か顔を動かしていました。
わたしも何度か、コロと見つめあい、話したりしていました。

午後6時50分
母がコロに顔を近づけると、母にしか聞こえないようなとても小さな声で1度「ん」と鳴きました。
そのまま、夕食の支度に立ったので、わたしがコロに近づき、手を握ります。
少し冷たいので「あっためるね」とコロの顔を見つめます。
コロもわたしを見つめています。
呼吸を確認すると、少し荒くなっています。
すると、「にゃ」と鳴くように口を数回動かします。
3度目くらいで「にゃ」って鳴きたいのかな?と気づくわたし。
5回ほど声のない「にゃ」を繰り返したコロはそのまま口を閉じました。
熟睡している時と同じ様に、数回ピクピクと手足を動かします。
この時、コロの呼吸の間隔が、長くなっていました。
大きな呼吸を何度かした時、
どうしたのかな?まさか?と思ったとたん
コロの胸は、その動きを止めていました。
何度も何度もコロに話しかけました。
「コロ」
「コロちゃん」
「ケーちゃん」
「けーち」
コロは動きません
「どうしたのかな?」
「おいしいのいっぱい食べようよ」
「コロちゃん元気元気」
顔の腫れで眼を閉じられないコロとわたしは
見つめあっています。
それでも、コロは動きません。
時計の針は午後6時55分を指しています。
獣医さんへ連絡。温めてあげての指示。
母とわたしはコロをゆすりながら、
「コロちゃん」「どうしたのコロちゃん」「まだまだお話ししようよ」「たくさん遊ぼうよ」
しかし、コロは動きませんでした。
テレビからは「ポチタマ」が流れていて、元気なワンちゃんや猫ちゃんが走りまわっています。
時計を見ると午後7時半になっていました。
「これ以上はかわいそうだね」わたしは口にします。
「ありがとう」「がんばったね」「楽しかったよ」「楽になったかな」「コロちゃん」
獣医さんにも、「ありがとうございました」の連絡をします。最後は言葉になりませんでした。
布団の上で寝ていたコロを抱き
少しおしっこが出ていたペットシーツを交換して
日中過ごしていた座布団にコロを移しました。
いつものバスタオルを敷いて、そしていつものバスタオルを掛けて。
涙がとまる事はありませんでした。
それまではコロ用だったテッシュペーパーも
今では母とわたしが使っています。
ホームページとお世話になっている掲示板の数箇所に書き込んだ後
コロの手を握りました。
暖かいコロ。死んでいるなんて思えません。
現実を見つめている自分と、そうでない自分がそこにはいました。
それからもいろいろなお話しをしました。
そして、顔に白い布をかぶせました。
小さなお盆に、お線香、
自分で食べられている時までお気に入りだった猫缶を皿にあけて、
水も用意して、
牛乳もコロ専用のカップに入れて、
コロの為に買ってあったプリンとチーズも出して
お線香をつけました。
すでに時計の針は10時を過ぎていました。
ゆっくり、いつもよりゆっくり、コロの顔をみながらお経を唱えました。
わたしが最後に出来る事は、こんなことしかありません。

今はコロがさびしくないように、心配させないように、
コロを囲んで泣いたり笑ったりしています。
忘れてしまわないように、今日の出来事を書き記しました。
もう少しだけ詳しく、「コロ記」に後日、書かせていただきます。

今まで、そして今日、たくさんの励まし、応援、メール、電話などありがとうございました。
コロはいなくなってしまいましたが、
これからも、この愚かな飼い主をよろしくお願いいたします。
そして、みなさんの心のどこかに
「コロ」のこと、「コロ」がいた事を記していただければ、
コロもうれしいと思います。
眠っているコロとも、約束しました。
「忘れないから忘れないでね」

ほんとうに、ほんとうに、今までありがとうございました。
今日は眠らずに、コロとの最後の夜を過ごしていたいと思います。



旅立ち

<平成12年10月28日>
 こんなに辛いものだとは、思ってもいませんでした。コロがいないだけで、こんなにつらいとは。
10歳のときから気がつけば31歳になるまで、20年と7ヶ月と7日、ずっと一緒だったコロ。悲しい時、辛い時、うれしい時、楽しい時、全部コロと一緒でした。でも、一番辛い今、その辛さを話せるコロがいない・・・。
 数多くの写真とビデオ。しかしビデオを見る勇気もありません。今は薄っぺらのコロがいるだけです。

 わたしだけじゃない。みんな別れは経験してるんだ。いろいろな言い訳を考えますが、ふと考えてしまいます。コロとの生活の事を・・・。誰もいないのに、「コロ、兄ちゃんごはん食べるね」「コロ、今ごろ何してるかな?」と話し掛けています。たぶん、しばらく続く事でしょう。急に「リセットボタン」は押せません。

午前0時過ぎ
だんだんと冷たくなっていくコロ。しかし固くなったのは頭と体だけでした。手や足、首などは動きます。掲示板などへの記入、メールの送信をしているうちに、時間はどんどんと過ぎていきました。と言うよりも、メールなどを書いていないと、涙がどんどんと出てしまうのです。メールは気を紛らわせる為の手段となっていました。コロの隣でコロと話したり、いろいろな事をしていると、空は明るくなってきました。ちょうど鳥が「ピーッ」と鳴きます。「ケーちゃん、鳥さんが飛んでるよ」と話しました。

午前6時
既に日の出をした東京。わたしはいつものようにコロの両手を、自分の右手で包み、コロを温めるように横になりました。12時間前、同じように過ごした6時55分を迎えるまでの、およそ1時間。コロと見つめあい、話しながら過ごしました。

午前7時
棺に入れる物を考えます。いつも敷いていた花柄のバスタオル、いつも掛けていた花柄とくまさんのバスタオル、ささみとなまり節を湯がいて準備、カニカマも用意します。喜んで遊んでいたねずみさんには、コロについていってもらうことにしました。

午前9時
動物霊園に連絡。今日、立会いでの火葬の予約をします。家からの出棺は正午、火葬は午後1時、埼玉県の谷塚斎場と決まります。コロを一人にしないよう、母とわたしは交互に出掛け、今日必要な物を購入してきます。

午前11時45分
霊園の方が来ました。棺にバスタオルを敷き、コロを寝かせ、寒くないようにバスタオルを2枚掛けます。コロの腕には数珠をかけ、口元にはささみとなまり節、かにかまを置き、手の側にねずみさん。花で囲んで出棺です。
霊園の方にわがままを言い、コロはいつも病院へ行くのと同じ様に、わたしの運転のわたしの車のいつもの席に載せました。

午後1時
斎場で最後のお別れ。「コロありがとう」いろいろと話しました。そして棺のふたをしめ、人間の火葬と同じ様に、コロの棺は釜の中へ。扉が閉められ、釜の前の祭壇で、コロの写真を見ながらお焼香をしました。

午後1時40分
コロの火葬は終了しました。コロは骨だけの姿になっています。職員さんのお話しでは、年齢の割に骨がしっかりしているそうです。確かに立派な太い骨。薬を飲んでいたにも関わらず、奇麗な骨でした。母とわたしはお互いの箸で骨を1本づつ拾い、骨壷へ入れました。その後、職員さんの説明の元、喉仏と頭の骨を入れ、ふたが閉められました。小さくなったコロが眠る骨壷は、思ったよりも重かったのです。再び、コロと一緒に、車で帰りました。

午後3時
小さくなったコロは、自宅に到着しました。さっきまでとは違う姿で。お線香にお水、猫缶やプリンやチーズに牛乳。ご近所の方からいただいたお花などに囲まれて、コロは今までより高い所で、落ち着いて眠っています。わたしは「般若心経」を唱え、コロに手を合わせました。

コロが今まで眠っていた所には、今は何もありません。何も気にする事なく、歩きます。ただ、気がつくとそこを、見ている事があります。コロが引きつけているのかもしれません。そして骨壷に、いろいろと話し掛けています。



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