このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

三井芦別鉄道
芦別隧道


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前回 と同じく、舞台は芦別である。
芦別には、消えた鉱山鉄道が二路線ある。
前回紹介した三菱鉱業芦別鉱業所専用鉄道、そして今回紹介する三井芦別鉄道である。

当路線は芦別駅から分岐、芦別川に沿って頼城集落まで伸びていた。
1940年に三井鉱山専用鉄道として芦別から三井芦別が開通。
その後鉱山の開発に伴い、1945年、路線は頼城まで延長された。
鉱山鉄道としての開通した当路線であるが、1949年から72年までは旅客営業もしていた。
鉱山閉山に伴い、路線自体が廃止されたのは1989年、平成に入ってのことである。


廃止されて間もない当路線にも廃隧道が眠っている。
それが根室本線と離れ始めた所にある芦別隧道である。
地図上では★で示した場所だ。
近くの国道38号や453号は何度も車で通過したことがあるのだが、隧道の存在には今まで全く気づかなかった。
一体どんな隧道が眠っているのだろうか。








国道38号線と453号線の交差点。
そこから453号線に入ってすぐの所に、山側へ伸びる道がある。
芦別市の墓地へと続く道なのであるが、道の途中に車を停め、探索スタート!!

実は…この道へと曲がった瞬間隧道を発見してしまったのであるが…。



なんせ道の脇に口を開けているのだから!!

あー、これなら国道453号からも見えそうな感じだ。
今まで見たことがなかったことが不思議なくらい目立つ。

芦別隧道との衝撃の出会いの瞬間であった。

軌道は道路を跨ぎ、背後の築堤へと続いている。






やはり藪を漕ぐ。

目の前に見えているとは言え、芦別隧道までの道のりは遠い( ペンケ隧道空知川側坑口 程ではないが…)。
熊笹がビッシリ生える斜面を這い上がっていく。
棘のある植物が厄介だ。





密度の濃い藪漕ぎの末、辿りついた芦別隧道(頼城側坑口)。
石垣の真ん中に開いた昭和生まれの隧道である。
石垣に目が行くのは、隧道自体が地味な造りだからであろうか。

バリケードらしき物はあるが、ご覧のように人は勿論ヒグマさえも通れそうな代物なので、進入は容易だ。
人目につきやすいのが問題だが。






まるで素人が造ったようなバリケード。
元々はビニールシートが被せてあったようだ。

この隧道は尾根の先端を掠めるように穿っている。
尾根の高さも126mしかなく(隧道の海抜は110m辺り)、ほとんど土被りのない隧道である。





そういう場所を穿っているため、隧道延長も大変短い。
緩やかにカーブしているのにかかわらず、向こう側の光が見えるという短さだ。

足元にはバラストらしき石。
また路盤の中央を、排水溝の蓋がカーブを描いている。

非常に風通しが良く、隧道内にもかかわらず、非常に居心地が良い。
夏は非常に涼しそうである。





背後を見ると、肋骨のようなバリケード。
空の青さ。
隧道を食わんと迫り来る緑。
そんな外界を楕円に縁取る黒い闇。
その闇の中に漏れ入る光。
そして同行者 zwiebel (笑)

なかなか良い写真になったと思う(自画自賛)。








退避坑を発見。
私が入ってみたら、頭が付くくらいであった。
足元の土盛りがなかったと考えると、高さは2mくらいであろうか。





出口近くまで来て、振りかえって撮影。
隧道内にいる時は気づかなかったが、壁面が非常に湿った隧道である。

また、三つ前の写真を見れば分かるとおり、天井が煤で汚れている。
かつては蒸気機関車が往来したのだ。

ちなみに開通してから18年経った1958年、当路線には気動車が導入されている。
気動車が出す煙でも天井は汚れるのかな。








頼城側坑口と同じようなことを狙って撮った写真。

うん、まぁ慣れない事はそんなにすべきではない。
なんだか良く分からない写真になってしまった。

芦別側坑口から先はひたすら藪であった。
根室本線と平行して、芦別駅周辺まで路盤が続いていたはずだ。
残念ながら確認してはいないが…。





頼城側と比べて暗い印象を受ける、芦別側坑口。
北に面しており、日が当たらないからであろうか。
藪の侵食の代わりに大量の落ち葉が堆積し、石垣は苔で覆われていた。

国道38号線が近く、自動車の走行音が聞こえてくるが、国道から坑 口は見えそうもない。
そのためか、こちら側にはバリケードは施されていない。

両側の印象が随分異なる坑口である。





隧道内を引き返し、頼城側坑口から道路へと戻る我々。


あぁ、また藪漕ぎだよ。

今日の我々は藪をよく泳いでいる。
海水浴と違ってちっとも楽しくない。

藪と格闘するzwiebelが見つかるでしょうか?



そして我々は車に乗り込み、次なる獲物を求め走り出したのである。
南へと…。
次なる獲物との格闘のお話は別のレポートで…。


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