このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

国道5号線旧隧道群 笠岩地区


塩谷隧道について調査しており、更新が遅れたことを深くお詫びします。
その調査で何も分からなかったことも、深く深くお詫びいたします。


地図を開く(別ウィンドウ)


 
④ 旧塩谷隧道に突入


仲良く並んで口を開けている二つの隧道。
右は昭和35年生まれの現塩谷隧道。
道内現役トンネルの中ではかなり古い部類に入り、坑口も小さい。
その現隧道よりさらに小さいのが旧塩谷隧道。
竣工年は残念ながら定かではないが、この小ささから見るとかなり古いものであることが分かる。
大型車は通行不可能だったのではないだろうか。


本当に小さな坑口である。
現在は何らかの資材置き場になっており、現道からのアプローチの容易さにも関わらず封鎖されていない。
隧道好きにとっては非常に喜ばしいことである。

さて、正面に立ってみると、数十メートル先に明かり部分があり、もう一つ隧道が口を開けていることに気付く。
目指すは旧道と現塩谷隧道の接合部分である。
一体どんな景色が広がっているのだろうか。
期待に胸を膨らませて入洞した。


様々な資材が並ぶ隧道内。
風情は失われるが、これら資材のお陰で封鎖されずに残っているのだから感謝せねば。
隧道内を観察しながら、一歩一歩ゆっくり進んでいく。

ところでこの隧道、元々は煉瓦造りだったのだろう。
吹き付けコンクリートには煉瓦模様が浮かび上がっている。
まだ煉瓦の赤さが残っている頃にくぐってみたかった。


僅かな明かり部分は、無残にも崩壊していた。
土砂は、この素晴らしい道路遺構を飲み込むが如く、隧道内にも流れ込んでいる。
以前、 善白鉄道の隧道 で見た崩壊と違い、随分土っぽい。

ここでちるどれんがある仮説を口にした。
ここは二つの隧道の間が崩壊したのではなく、大規模な崩壊が元々一本の隧道を二本に分けたのではないかと。
その仮説を裏付けるのが次の写真である。


隧道の壁面の切れ目である。
元々ここが切れ目であったとは考えにくい切れ方である。
もし大量の土砂が煉瓦の壁もろとも隧道を日本海へと押し流したとしたら、この切れ方自然なのだが。
皆様の意見も聞かせて欲しい。



 
⑤ 崩壊の明かり部


明かり部分は傾斜した土砂地帯で、斜面はそのまま日本海へと落ち込んでいる。
足を滑らせたら真っ逆さまだが、草が多くその危険性は薄い。
傾斜面をゆっくりと慎重に越えていく。


山側の断崖を見上げる。
このいかにも砂っぽい崖は凝灰質砂岩によるものである。
地学を習っていた私にはお馴染みになった地層である。


視線を日本海の方へ向けると、奇岩がニョッキリと生えている。
ここ一帯の由来ともなった笠岩である。
確かに笠のような形をしている。
それにしても、この岩をこんなに間近で見られるのはここだけなのではないか。
このビューポイントを生み出したのが土砂崩れとは皮肉なものである。


振り返り、今くぐってきた隧道を撮影。
それにしても薄い壁である。
現在では考えられない程、恐ろしいまでうっすい壁だ。
その上にあんなにゴッツイ岩が乗っかっていると考えると恐ろしい・・・・・・。


そして正面には第二の隧道。
造りは先ほどの隧道と同じで、やはりもともと一本であった可能性が濃厚だ。
さて突入だ。



 
⑥ 隧道の先


崩壊地点を挟んでいるからか、こちらには資材は全くない。
天井からは僅かに水が滴り落ちており、コンクリートの鍾乳石のようなものが出来ている。
特に崩落の危機は感じないが、寿命が来ているのだろうか。
いかんせんあの壁の薄さだからなあ・・・・・・。


!?
何だ、この出っ張りは・・・・・・。
出口まであと少しという所である。
まあ、答えはすぐに分かったのだが。
この出っ張り、現塩谷隧道の壁である。
つまり、この辺りが接合部分ということになる。
壁の向こうを往来する車の音が聴こえてくる。
多くの車が行き交い、騒音絶えぬ現塩谷隧道・・・・・・。
一枚コンクリートの壁を挟んで、我々は静かな闇の中にいる。
なんか不思議だ。


出口付近では旧隧道の山側4分の1くらいが現塩谷隧道に塞がれている。
このやや窮屈な坑口を出ても、この先は木造の柵で塞がれている。
我々は闇から抜け出し、防波堤、木の柵、現隧道に囲まれた藪に立った。


正真正銘ここが接合部である。
この坑口も著しく崩壊している。
斜面崩壊によるものか、現隧道の工事によるものかは定かではない。
それにしても三方を囲まれた閉塞的な空間である。
この場所に来るためには旧隧道と崩壊地点を越えてこなければならないわけである。
いや、ここでバーベキューでもやりたいね。



オマケ

崩壊地点をおっかなびっくり越える、BBRなちるどれん。


次回、もう一つの旧隧道と趣ある廃橋!!
最終回へ

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください