このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
もう離れてしまった札幌市。 それなりに栄えた都会の割に、自然が多くて好きな街だった。 自然を語るとき、私はついつい話題が滝に偏ってしまいがちなのだが、札幌市内にも有名な滝がいくつかある。 例を挙げると、「日本の滝100選」にも選定されているアシリベツの滝を始めとする、滝野すずらん公園内の滝。 滝というよりも、むしろ心霊スポットとして有名な平和の滝。 そして、今回紹介する星置の滝。 大学卒業を約半年後に控えた2007年の10月。 まだこの目で星置の滝を拝んでないことに気づき、急遽自転車に跨り、出発した。 場所は札幌市手稲区。 小樽市との境界が近い、札幌市の西端である。 こうしてレポートとして発表するからには、沢登りやら藪漕ぎやらの困難な道のりが待ち構えているのだろう。 そう思う方もいるかもしれない。 残念ながら、滝へはよく整備された遊歩道が続いており、冒険の「ぼ」の字も見当たらない。 では、何故この滝への訪問が、こうしてレポート化されたのか? 星置の滝の新たな見方を発見したからさ。 それでは、ぬるーい気持ちでお楽しみください。 |
星置に着く頃、私の息は上がっていた。 いくら星置周辺に坂が多いとは言え、1年前に6日間の自転車旅行をした者とは同一人物とは思えないほど情けない。 写真のバス停は、逆光になってしまっているが、その名も「星置の滝」。 こんな住宅街の真っ只中に滝があるとは…。 バス停からさらに少し登っていくと、「星置の滝」を示された看板が現れる(写真にうつっているのがそれだ)。 その脇には、星置川の谷の方へ下ってゆく階段。 自転車を草むらの中に停め、階段を下りて行く。 市民がよく訪れる滝だけあり、やはりよく整備されている。 途中で犬の散歩中の人ともすれ違った。 谷底に着いて、まず出迎えてくれるのは木製の橋。 し…私橋だと…!? 対岸に建物が見えるが、これは教会の廃屋らしい。 ちょっと気になったが、渡るのはやめておいた。 私橋を渡らず、上流へ進むと、すぐに星置の滝が現れる。 2段からなる美しい滝。 落差は20mらしい。 ただ…何か物足りない。 そうだ、滝は近くから見ないと意味がないじゃないか。 滝に接近するためには、水の中を進まなければならない。 しかし、今日は普通のスニーカーなのでそれは厳しい。 私は考えた。 …というわけで、私は星置の滝の上流にある、某病院の駐車場にやってきた。 安全性を考えると、あまりおススメできるルートではないので、地図などは掲載しないが、現地に行けばすぐに分かるはずである。 まぁ 社台 やら モイチャン と比べれば、遙かに危険な要素は少ないのであるが。 お、あったあった、星置川。 土手の斜面に自転車を置き、素早く川原に降りる。 悪いことをしているわけではないと思うのだが、閑静な住宅街にある病院の前でのこの奇行は、非常に後ろめたいものだ。 下流の方を望む。 大きめの石が転がっており、また植物が繁茂していて歩きやすくななさそうであるが、なんとか川沿いを進めそうだ。 河原を歩き始めると、すぐに終わりは見えてくる。 だんだんと崖が迫り、河原は狭まってくる。 集束される水流。 そしてその奥には…。 滝だ!!!! 私の歩みは自然と速まった…と言いたい所だが、足元が苔むした一枚岩で、滑りやすかったため、ゆっくり進んだ。 落ち口。 札幌市民の憩いの滝、星置の滝の、まさに落ち口の写真。 ゆったりとした水の流れが、落ち口の手前で急に速度を上げ、岩の隙間に吸い込まれてゆく。 見よ!!星置の滝の1段目だ!! 下の展望台からだと、木々の隙間からチラリと見えただけの1段目であるが、上からだと飛沫まで感じることができる。 もっと乗り出したかったが、足元が危険なので、自重しておく。 決して大きな滝ではないが、狭い岩の間を激しく砕け散りながら流れている水を見ると、絶対に落ちたくはないな、と思う。 落ち口の右岸の岩の上から見た、2つの滝壺。 1段目を流れ落ちた水は、一旦写真下部の滝壺の水となる。 そして、お次は2段目。 写真中央辺りに、2段目の落ち口が見えているが、そこからダイブ。 最下層まで落下する。 上から眺めて初めて気づく、上部の滝壺の広さ。 降りることができるならば、ここで泳いでみたいものだ。 見慣れた滝の意外な一面を見ることができる、落ち口訪問。 新しい滝の楽しみ方を知り、嬉しくなった秋の午後である。 |
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