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積丹半島北部。 積丹町内にある国道229号線の旧道探索を終えた私とzwiebel( HP )。 雨降る積丹半島西海岸を南下していた。 今日は雨で濡れてうえにヘトヘトで、ボロ雑巾のような状態であったため、一刻も早く帰宅して、暖かな布団に入って寝てしまいたかった。 すっかり失われた冒険心。 再燃したのは、積丹町を脱出する直前であった。 助手席でボーっと内陸側の崖を眺めていた私の目はあるものを捉えていた。 「なんか凄い滝が見えたんだけど・・・。」 我々は車を停め、滝から流れてきていると思われる沢に沿った砂利道に踏み入り、急坂を駆け上がった。 そして見たのだ。 大物の予感・・・!!!! |
結局その日は滝を遠望するだけの留め、真っすぐに札幌に帰った。 既に疲れ果てていたこと。 滝に通ずる道が無さそうなこと。 依然として天気は最悪であったこと。 以上がその理由だ。 帰宅して地図で調べると、この滝を有する川は尾根内川という名であるらしい。 積丹半島の山中に水源を持ち、急な断崖を流れ落ち、あっという間に日本海に注ぐ短い河川だ。 そして、肝心の滝はと言うと…情報が全然無い……。 情報らしい情報と言うと、「 きたのたき 」様にて記載されていた一枚の遠望写真のみである。 地形図によると国道からの距離は約300m。 目と鼻の先なのであるが、標高差が120m…。 困難な道のりが予想される。 まぁ行ってみて無理そうならやめとこう。 「ネットにも近くで見た写真がない、豪瀑があるよ」という文面のメールを送り、沢狂いの友人、源造を誘った。 そして三日後、私は再び積丹へと向かった。 |
2007年11月15日。 天候 小雪。 最悪のコンディションである。 仕度を整えながらも、我々の表情は寒さと緊張でガチガチであった。 眼前に聳える要塞のような断崖。 別によじ登るわけではないのであるが、しりごみするような威圧感だ。 不安と期待が入り混じった思いを胸に、草生した道を登ってゆく。 3日ぶりに見る、謎の滝の姿。 今回が初対面となる源造も「こりゃすげえな。」と息をもらす。 道はこの辺りで途切れているので、ここからは沢登りしなくてはならない。 まずは沢へのアプローチ、藪こぎだ。 ※当日の写真がぶれていたため、3日前の写真を使用しております。 尾根内川は河口から僅か100m足らずの場所に、砂防ダムが連続している。 そんな超急流河川であり、魚は全く遡上することができないであろう。 遡上の困難さは人間にとっても同様であり、砂防ダムをまくために、我々も藪の中を右往左往した。 今回の遡行を困難さしめている要素はもう一つある。 寒さである。 この気温では、特別な装備を持ち合わせていない我々は入水することができない。 よって、今回の遡行は川の中をジャブジャブ行く普段のような自由なものではなく、限られた乾いた足場を選びながら進むという、非常に窮屈なものになる。 当然難易度は飛躍的にアップだ。 積丹半島という場所柄、落石も多い。 川の両側から大小様々な岩が押し寄せており、川を進めない我々は不安定なその上を渡ってゆく。 夏季よりはだいぶマシなのであるが、植物の枝も我々の遡行を阻む。 ぬおおおお。 このような場所は、ガッチリ顔面をガードし、幕之内一歩ばりのデンプシーロールで枝を避けながら突き進むしかない(マニアックなネタでごめんなさい)。 既に何度か渡渉を繰り返しており、目標の滝にはだいぶ近づいているようである。 うおぉぉぉぉ!!!!着いた!!!! デ…デカイ!!!! 二段になっているとは思わなかったな…。 普段ならば滝に向かって駆け出すところだが、如何せんここは足もとが不安定すぎる。 手足で懸命に体を支えながら、ゆっくりと岩を乗り越え、近づいてゆく。 まずはこの一段目を巻くのに、骨が折れた。 モイチャン越え の苦労に比べると大したことがないが、右岸は完全に切り立っており取りつくことができず、頼みの左岸もヌメヌメとよく滑る岩であった。 結局、一段目を乗り越えるころには、私の軍手はびしょ濡れになっており、手が千切れるように痛くなっていた。 なんとか下段の落ち口に立つことができた。 来た道を振り返ってみる。 国道を出発してから30分。 いつもと比べると、短時間であるが、300m進むのにそれだけかかっているわけである。 時速600mというカメもビックリの超スローペースだ。 落差は30m程であろうか。 周囲の断崖がオーバーハングしたり、複雑に入り組んでいたりして、落差以上に威圧感を感じる滝だ。 夏ならば飛沫を思いっきり浴びたいところだが、初冬ということもあり、今回は自重した。 正面から見上げてみる。 遠望した様子と、若干形が違って見える。 きっと下からでは見ることのできない、未知の部分がさらに上に続いているのだろう。 ここからでも、カーテンの皺のように入り組んだ岩を縫うように落ちてくる水流がほんの少しだけ確認することができた。 これより上は上級ロッククライマーのみに許された世界であろう。 我々の力ではこの滝を巻くことすら不可能だ。 尾根内川の滝の探索は、さらなる未知の領域を残し、終了した。 源造は上流部に行こうと、最後まで登り口を探していたが、結局みつからなかった。 激しく悔しがっていたが、彼は現在も北海道在住であるので、きっとスキルを身に付けリベンジしてくれるだろう。 今回の探索で靴と軍手を濡らしてしまった私。 ひぃひぃ言いながら降りてきたのは言うまでもない。 替えの靴としてサンダルを持ってきてよかった。 しかし、その後に行ったニセコの温泉で結局ひぃひぃ言ったのは言うまでもない。 |
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