このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

黒麹仕込み
松の露
20度
松の露酒造(名) 宮崎県日南市

(2008.01.10)
先の焼酎ブームが生産県に及ぼした影響を思った際、やはり各蔵元の商品展開の広がりが一つあげられるのではなかろうか・・・。原料の選択については、これまでも拙い文章
の中で触れてきたわけであるが、麹についても同様。

私が大学進学のために宮崎へやってきた頃。あまり宮崎の焼酎には黒麹仕込みのものは無かったように思える。偉大な“ 黒キリ ”もまだ世に出てはいなかったし、私が当時知っていた黒麹仕込みの銘柄と言えば、(父も飲んでいた)鹿児島県は伊佐地方の銘柄であった。

それが2000年頃からくすぶりだしたブームによって麹の多様性が一気に広がりを見せる。特に黒麹仕込みの焼酎が持つ飲みやすさ、焼酎の『本流』という言葉は広く飲み手に
受け入れられ、もはや焼酎を語る上で無くてはならないキーワードとなった。

焼酎生産県である宮崎県においては黒麹の銘柄数はまだまだ限られているが、それでもここ数年で大中の蔵元を中心に商品展開がなされるようになった。とは言っても、やはり都会向けの銘柄。値段設定もちょっと高めであるから、銘柄によっては敷居の高さというものを感じなくもない。そうではあっても、日常の酒として飲んでいる白麹仕込みの代表銘柄との飲み比べが出来る・・・という酒の楽しみ方を出来るようになった意義は深い。ちょっと気分を変えたい晩酌の共に、宴席での話のネタに・・・。

あまり郷土食に広がりのない宮崎県ではあるが、仕込みに用いる麹の差がもたらした変化というのは大きいのでは無かろうか・・・と思うのであった。

そのような銘柄の一つが日南市にある 松の露酒造 のこの焼酎である。蔵の顔である“ 松の露 ”は宮崎焼酎らしさを持った優しい飲み口が特徴。この黒麹仕込みの物は20度という度数も多大に影響していると思われるが、その白麹仕込みの物と比較した時にしんみりとしたイメージだ。その一方で黒麹仕込みらしく味わいにキレが感じられ、より飲みやすく仕上がっている。

早速飲んでみようか・・・。

生で飲めばほっと優しい甘さを感じる。お湯割りにすれば余計に柔らかくそして大人しく思えた。ならば・・・と燗を付けてやったのだが、そうするとその香ばしさ、甘さが立ってきて結構いい顔を見せ、思わず飲み過ぎてしまったのだった。
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