このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

宮路
小玉醸造(名) 宮崎県日南市

(2010.03.11)
普段より「焼酎、焼酎・・・。」と騒いでいるせいか、知人よりいただいたのが 杜氏潤平 があまりにも有名な小玉醸造さんの焼酎であった。

それがである。

この銘柄の存在は存じ上げていたのだが、まさか自分の手元にやってくるとは思わなかったのだ。包みを開けましてひったまげましたよ。“宮路”という銘柄は福岡の酒店のPBであることはあまりにも有名。原料についてはこのサイトの黎明期に紹介したことのある“ 東兆 ”と同じく、鹿児島県の北部、八代海と天草灘を隔てるように位置する出水郡長島町の宮路氏が生産されたクリアズマという品種の甘藷を使用している。

このクリアズマという品種については、あまり情報が無いのであるが、この瓶の裏ラベルには『白い食用芋』とあり、この甘藷を使用した焼酎のレビューで紹介されている様に『コガネセンガンの突然変異』なのかもしれない。情報が少ないということは、この芋がまさに稀少な品種である事を指しており、この銘柄の人気を裏付けていると思う。

この焼酎を世に出した酒店のサイトによれば、甘藷“クリアズマ”を栽培する宮路氏には頼もしい後継者がいるようである。特殊な品種を使用した焼酎を醸す蔵元にとって、宮路氏の様な篤農家とのつながりというのは非常に大きな意味を持っている。というのも、実際に農村部を見たときに、全国的な問題となっているのが高齢化、過疎化、そして農業の担い手の不足である。これらは一つ一つが別に動くのではなく、連動して動くのは想像に難くないと思われるが、耕し手がいなくなれば酒造りのような農に直結した産業というのは継続できなくなる。穀類原料のように海外に依存する・・・という手もあるのだろうが、酒は土地に立脚していなければならない。いちユーザーとして考えてしまうのですね。

何を言いたいのかと言えば、原料についてせっかく契約栽培を受けてくれる農業者がいても、上記のような農村部の事情という物である時を境に関係が途絶えてしまう・・・ということもある。現に宮崎でもそういう風な話を聞いたことがあるのだ。ファンとしてもそういう事情で好きな酒が飲めなくなってしまうというのはやりきれないし、それが稀少な原料を用いて造ったものであればなおさら・・・ではないかと思う。上で大きいと言った意味は農家と蔵元の関係が続いていく見込みがあると言うこと。

宮路氏の様に後継者が経営を引き継ぐ・・・という事でなくても、最近は都市部の人が農村へ入り、そこで地域の農地の耕作を引き継ぐ・・・という事例も多いようである。皆がいろんな知恵を出し合って、農業、それに続く産業という物が持続していけば・・・と思うのであるが。

う〜ん・・・。長くなりましたね。

裏ラベルに『ロックまたは水割りで』とオススメの飲み方が書いてありましたので、それに従って飲んでおります。貯蔵物の甘藷焼酎ですので、穏やかな風味の焼酎です。それでいて(生で飲んでも怒られませんよね?)、生で飲んだ時には果実系の華やかな香りと甘みが印象的です。ロックや水割りで飲んでみると、不思議とそういった味わいがじんわりと優しい顔に変わるので不思議ですね。あまり量が飲めない私はしみじみ・・・味わいたいですから、こちらの飲み方を取ります。
弐年貯蔵酒 栗東
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