このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

宮
の
露
小玉醸造(名) 宮崎県日南市

(2013.10.29)
宮崎市内の中心部にはかつて、焼酎と清酒、醤油を醸す蔵元があった。

いつか、JRの宮崎駅前にある駅弁当の店舗にもその 痕跡 が残っていることを紹介したことがある。この鏡。焼酎の銘柄は別のものだが、清酒の銘柄“初御代”は宮崎神宮の献上酒として知られている。串間市内の古い家屋に、“初御代”の看板が掲げられているのを見たことがあり、宮崎市を中心に広く流通していたにも思える。ただ、少し前まではコンビニなどでも見かけることもありましたが、最近、姿が見えないのですよね。製造を引き継いだ雲海酒造さん。貴社のホームページを拝見しましたが、清酒も造っているはずなのに、製品紹介は焼酎とリキュールばかりですね。酒銘はおそらく、最初の御代=天皇の治世という意味でしょう。記紀の舞台となった宮崎らしい名前だと思いますが、まだ造っておられますか?

さて、大きく話がずれましたが、その宮崎市内にあった酒蔵の話。名前を金丸本店といいました。雲海酒造との合併という形で廃業したのですが、その後、九州の小京都と称される日南市飫肥で歴史ある焼酎蔵の経営を引き継ぎ、小玉醸造として再発進したことは皆様ご存じのとおり。

小玉醸造さんの焼酎といえば、串間市大束地区が産地として知られる宮崎紅(高系14号)という食用の紅芋を用いた代表銘柄“ 杜氏潤平 ”の印象が強い。潤平さんが造りを学ばれたのが清酒蔵ということもあり、繊細な味わいの焼酎ですが、その一方で、品種改良がなったばかりの新しい甘藷の品種を積極的に焼酎原料として使用するなど、潤平さんや蔵を支えるスタッフの“若さ”を感じさせるような季節銘柄を出していたりもする。

今年発売した焼酎が“
宮の露”。上に紹介した鏡に見つけることが出来る“幸露”と並ぶ旧金丸本店の代表銘柄の復刻にあたります。この様な酒銘に込められているのは、造り手としての「空白を取り戻したい。」という思いであって、それは潤平さんだけでなく、金丸一夫社長も抱かれている感情だと思います。かつての“宮の露”のラベルは、宮崎神宮の近くにあったという蔵の立地もあり、水色の地に鳳(おおとり)が描かれた凛とした図案。それに宮崎市出身の画家瑛九を思わせるような赤や黄色の水玉模様が散りばめられていました。復活した“宮の露”は酒銘のみのシンプルなラベルとなっていますが、ブランドのイメージカラーともいえる水色はちゃんと引き継がれているようです。

話が長くてすみません。復活初年ということもあって興奮してます。当然、ちょっと開封がもったいなかったのは言うまでもありません。ですが、飲まなきゃ始まりませんしね。

これまで全くなかったという訳ではないのですが、小玉醸造さんの焼酎としては意外とも感じてしまうコガネセンガンを使用しています。“杜氏潤平”はロックや水割りで・・・といった飲み方に適している様に私は感じているのですが、この“宮の露”はお湯割りでこそ真価を感じさせる焼酎です。芯に感じる甘藷のほくほく・・・とした甘さ。

これからの季節、大活躍しそうな1本なのですが、もう瓶は空になってしまいました。

・・・また買いに行かないといけんがな。まだ、酒店には残っちょっとけ?
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