このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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(資)海老原酒造 宮崎県小林市
(2004.10.24)
海老原酒造は20年前に廃業。十日町の酒造の跡(つまりは酒屋)に直接伺った際、夕方の遅い時間にも関わらず海老原氏本人が対応してくださった。
焼酎“桜”。当然ながら甘藷製の焼酎で、その販売エリアは地元十日町地区から霧島山麓が中心。夷守地区にある神社でも一年の節目節目で奉納されていたという。また、小林市の中心部や生駒高原へと上がる県道沿いの酒屋でも取り扱いがあったことから、小林市に根付いていた地区銘柄の一つであったと推測される。その味については既に記憶の風化が始まっており、首を傾げる方もいるくらいだ。ある酒屋では「油が浮いたりということはなかったけど、それなりに癖のある焼酎ではあったね。」と表現されていた。
廃業後久しいため、かの焼酎“桜”が残っているとは思えなかった。海老原氏に尋ねてみてもやはり手元には残ってはいないそうだ。その後、小林市北端の酒屋でかろうじて残っていた瓶を奇跡的に購入することができた。ラベルは完全に色あせてはいるが、わずかに残った色合いからパステルカラーの明るい装いであったことが伺える。
この研修の間、終業後には小林、高原、えびのの酒屋を手当たり次第回っていた。どちらかというと地元志向が強い地域であり、いくつかの蔵が頑張って焼酎を作っている西諸県郡であるが、それでも過去、いくつかの製造元が廃業されている。
西諸県郡のうち、小林市には2つの焼酎蔵がある。ひとつは本坊酒造。“
黒こうじ 大淀
”の販売を行っている。そしてもう一つが生駒高原酒造である。この生駒高原酒造は小林市の西隣のえびの市にある明石酒造が小林に古くからあった蔵元を引き継いだ蔵である。これからの季節、コスモスが咲き乱れる観光地から名前を取ったレギュラーの“
生駒高原
”、同じく小林市の初夏の夜に舞う蛍からの“ほたる”、宮崎弁から銘柄を取った経済酒“やっちょんな”など芋焼酎を中心とした製品展開を行っている。小林ではどちらかといえばマイナーな焼酎及び蔵元というイメージを持っていたのだが、意外と売っているところには売っている。地元の焼酎としての認知度は案外高いのではないだろうか。
この生駒高原酒造の前身である蔵元というのが海老原酒造だ。“桜”という銘柄を作られていた蔵元で、小林市の夷守台にある観光牧場“コスモス牧場”へと上がっていく途中の十日町という集落にあった。 海老原氏は現在もご健在で、ご近所を相手に酒販業を営まれている。
蔵があった頃には焼酎製造を行いながら小林市議を4期、西諸県郡選出の県議を2期つとめた地元の名士だ。
海老原氏を尋ねた際に廃業の理由を聞いたのだが、「後継者がおらんやったと!!」と一言。レジを打ちながら「焼酎が、今みたいなブームになるなんて当時は考えられんやったね。」と話される。
今日蔵が健在であったなら、このブームの中でどの様な評価を受けただろうか。
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