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さて、今回は無菌箱の作り方です。 播種をしたり、移植をしたり、無菌的に行う色々な作業をするために、 この箱が必要になってきます。 『無菌箱』と聞くと、すごい箱のように思えますが、、、普通の箱です! 工夫次第で、色々な素材で作る事が可能です。 ただし、条件として外気が侵入しないように、気密性を上げた箱です。 簡単に言うと、ビニールなどで隙間を作らないように組んだ箱です。 クリーンベンチのように特殊フィルターを装備したり、 殺菌灯をつけたり出来れば、かなり良い物が出来ると思います、、 今回作った試作品は、実際に作業を行い試しにやってみたところ うまく出来たので大丈夫だと思います。 あとは、あなたのテクニック次第か!?もちろんそのへんの事も説明します。 クリーンベンチという言葉が出てきましたが、無菌箱とはどう違うのか!? 説明したいと思います。 基本的に、無菌箱はクリーンベンチを日本語に訳したものです。 ですから意味は同じになります。 しかし、一般的にクリーンベンチとは、きちんとしたフィルターやファン、 などが装備された製品に対して言う場合が多いです。 それらと区別するために、あえてここでは無菌箱と言っています。 一般にクリーンベンチはメーカーなどから販売されている製品です。 有名なメーカーでは日立製などでしょうかね。 値段は20〜100万以上まであります。 クリーンベンチと言っても、色々な種類や目的に応じたものがあります。 バイオ用や電子機器などに使う用、腐食対策をしているもの クリーンユニット内に入れるオープンタイプ、前後に扉が開閉する2人用 値段も安いものから高いものまで様々。 私も、日立製のCCV形のハイエンドモデルを愛機に使っていました。 このような高性能ベンチはどのような仕様のモノかと言いますと。 まず、特殊フィルターによってカビなどの雑菌がほぼ99%以上除去された 無菌の風がファンによってベンチの天井から下へ吹き出す。 その風が、手元の扉付近で、吸い込まれ再びフィルターを通り 循環しています。 これによって、大きく扉を開けた時でも、エアーシャッターの 役割を果たし外気がベンチ内へ侵入するのを防ぐ。 塩素ガスなどが外へ漏れ出すのを最小限に出来る。 また、外気が汚い場所でもある程度は無菌状態が 保てるというのも良いですね。 中で循環しているので、ベンチ内のクリーン度も非常に高められる。 高性能型では、循環タイプが多いですが、 普通に使う分はここまでのは、必要ないですね。 ランの業者さんでも、こんなベンチ使っているところは少ないと思います。 普通はフィルターを通った風は、そのまま扉から強制的に出ていきます。 フィルターには寿命がありますので、外気の汚い場所で使っていると 寿命が短くなってしまいます。 他の特徴は、、大きいタイプがあるという事でしょうか、、 幅2m、奥行70cmほどのもありますし。 扉もガラス製で無段階調整の開閉式。 ガスも通せ、バーナーは足のペダルで自由に着火可能。 作業するには十分すぎる蛍光灯の照明。 ベンチ内をよりクリーンにするために、紫外線滅菌灯装備。 クリーン度が一目でわかるクリーンメーター装備。 薬品を使用した時の腐食を考え、ステンレスが至る所に使われています。 水も流せるようになってますしね。ほんと贅沢な代物ですよ。 これはクリーンベンチと関係ない話ですが、、 クリーンベンチに似た物があります。 ドラフトチャンバーや安全キャビネットと言われるものです。 危険な薬品や有毒ガスを発生する薬品を用いる時に使うベンチです。 またバイオハザード対策用に外部へ一切空気を漏らさないように 設計されたものもあります。ベンチ内に水道、ガス、電気の他に ベンチ内の空気を強制的に排出する換気扇などが装備されています。 馴染みのない人は、一目見ただけではわかりにくいので注意です? (どういう時に注意すればいいんだか、、、、) クリーンベンチと無菌箱の違いは、だいたいわかってもらったと思います。 さて、なぜ違いを説明したのかわりますか? |
●○● 今度は日曜大工? ●○● ■ まず!準備するものです。
■ 準 備 運 動 |
♪ 作ってみよう ♪ |
1.作る前に あたりまえですが、サイズは大きすぎず小さすぎず、 無駄の多いスペースは無くした方がいいですね。 ちなみにコレは3人用です。 ただあまり小さすぎても作業効率が悪くなるので ほどほどに、、、 横は1mあればいいし、奥行きは60cmで十分 高さは50cmぐらい? 常識の範囲でテーブルに置ける大きさですね。 でも小さめの方が何かと良いですよ。 | |
3.ビニールを貼る 当然ビニールで貼るわけですが、材料は農業用の塩化ビニールを使用。 また隙間が出来ると駄目なので、出来るだけ1枚物を被せるようにします。 数枚だと繋ぎ目に隙間ができるため。 | |
4.手を入れる場所を作ります 画像のように『ピラピラ』状態にしたり、 腕が入る丸い穴を開けて、 普段はフタが閉まるような工夫をしたり、 出来るだけ外の空気が入り込まないように します。 完全に外と隔離する作りなら、非常に良い。 例えば、保育器のような感じのイメージで、 長いゴム手袋を箱に繋げるなど。 | |
5.隙間を見つけて埋める 今回は木材を使用してるので 必ず隙間が出来ます。 そこで画像のように、ウレタンなどで 隙間をなくします。 引き戸なんかに貼るシール式のパッキングが 売っているので、それを使えば十分です。 木と木の繋ぎ目、箱の下部、上部などに。 画像は箱の一番底の部分ですね。 (わかりにくくてすいません。 撮影時は箱を寝かせています。) |
6.遮熱板をつける 中でアルコールランプなどを使用するので 画像のようにナミ板を付けると良いでしょう。 上部には熱が溜まりやすいので危険です。 スチール棚でもビニールが熱で溶ける場合も あるので注意して下さい。 作る前に『高さ』もよく考えて作って下さいね。 炎が直接触れていなくても、密閉された中では どんどん熱くなっていきますよ。 | |
左の画像のような、こんな感じで 取り付けると良いですね。 ビニールと板は浮かせて隙間を作って下さい。 (出来ればでいいですが、、) 7.完成です あと作業に必要なものはピンセット台 アルコールランプなどですね。 その時々でメスやピンセットなどを作ります。 | |
8.もっと良い物を作るには 紫外線殺菌灯(UV)を是非つけたいですね。 こいつを作業する前に一晩付けておけばかなり効果が得られるはずです。 ただし、殺菌出来るほど強力な紫外線なので、、危険です。 作業しながら付けていたら失明する危険性もありますよ。 ですから、補助的な意味で使った方が良いと思います。 ただし、知識を持って正しい使い方をすれば、必ず役に立ちます。 家に小さな子供さんがいる方は、注意です。紫の面白い光が出ますからね。 ちなみに、UVとは、ウルトラバイオレットの略です。 アンダーバイオレットと言う人も聞いた事があります。 |
▼▲ むきんになってるか、じっけ〜ん!▲▼ 次は無菌状態の確認と、無菌状態の確保です。 これには薬品を使用しますので、事前に用意して頂く必要があります。 用意する薬品は、アルコール2種類、塩素系消毒剤。 詳しく言うと、70%エチルアルコール・99%の燃焼用アルコール・ 次亜塩素酸ナトリウム(ない場合は、キッチン用の漂白剤) (もちろんアルコールランプも必要ですよ) 燃焼用のものはエタノール、メタノール、エキネン、混合アルコールでもOK! ただし70%のものは火が弱いから不可。 簡単な実験だと考えて下さい。意外とワクワクしますよ。 殺菌灯を装備している方は、目安ですが作業する前に一晩殺菌灯を 点灯させたままにしておいて下さい。より確実な作業が出来ます。 ただし、殺菌灯を直視する事はもちろん、視界に入る場所は危険です。 周囲にも影響がありますので、光が届く場所にはペットや植物などにも 悪影響を及ぼします。 あと、無菌箱にビニールやアクリル板を使っている時でも、 紫外線の影響で劣化してきます。ご注意を。 ■作業する前に注意する事 知らないうちに有毒なガスを吸っている場合があるので (アルコールや塩素でもなめてはいけない) 気分が悪くなったら直ちに中止する。 熱中するあまり、知らず知らずのうちに塩素ガスの中で 1日中過ごしてしまう場合もあります。(っというかありましたし、、、) 狭い閉め切った部屋で作業する場合、中で火などを使用するので、 眠くなってきたらひと休みすること。原因は酸欠です。 部屋を締め切り外気が入らないようにします。 同じ部屋の中に他の人がいたり、うろうろしてる場合も良くありません。 また、作業前に掃除機で床のホコリを掃除しておくのも有効です。 さらに言えば、自分の服も薄手で洗いたてのがベター。 とにかくホコリを立てない、原因を取り除くようにしましょう。 特に髪の毛の長い人は、湿らせたタオルを頭に巻いて作業しましょう。 髪の毛には、ホコリや雑菌がまとわりついています。 私がやっていた時は、寒くてもTシャツ1枚、白衣着用、綿の手ぬぐいを 頭に巻き、保護用ゴーグル装備でやってました。 ■実 験 開 始 石鹸で自分の手を丁寧に洗います。(けっこう効果あり) 肘の辺りぐらいは箱の中に入るので、腕や肘の辺りも丁寧に。 自分の手や腕に軽く70%エチルアルコールをハンドスプレー で吹きかけ、塗ります。 皮膚が弱い人は、少量にしておきましょう。 アレルギーの人は仕方ないので控えるようにした方が良いでしょう。 そして70%エチルアルコールをハンドスプレーで、 今度は箱内の空気中へ十分に吹き付けます。 空気中に浮遊するホコリを落とすためです。 この時、服の袖を腕まくりして、服が箱の中に入らないように注意!! (これ絶対) あと、完全密閉タイプの箱はアルコールが気化したものが 残っている可能性が高いので、少しだけ下の方に小さな隙間 を作って逃がすのも良いかもしれません。 「密閉してるのに、隙間開けてえぇんかいな」って意見も聞こえそうですが アルコールをスプレーする目的は、殺菌ではないので、少しなら大丈夫です。 それより、腕を火傷して危険なめに遭うよりいいでしょ? 安全第一で考えて下さいね。 取り扱いを誤ると、ベンチごと爆風で吹っ飛びます(笑) 作業中はずっと腕まくりが基本。 そして箱を70%濃度のエチルアルコールで清潔なティッシュなどを使い 丁寧に拭きます。(特に内側が大切。) (この時、工業用アルコール・メチルアルコールは絶対使用不可!) 怪我した時の傷の消毒用エチルアルコールが薬局などに売っています。 工業用やメチルアルコールは毒性があるので肌などに触れないように。 どこかで書いたかもしれませんが、 メチルアルコールとエチルアルコールの違いの覚え方は、 目が散る(メチル)方が毒だと私は覚えました。 私はもっと邪道な覚え方もしましたが、ここには書かないようにします(笑) しばらく間をおいて、次に次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸カルシウム) を希釈した水溶液で、さっきと同じ要領でふきふきして下さい。(今度は軽くで) 薬品がない場合は、漂白剤や塩素系消毒剤、塩化ベンザルコニウム (病院で使用する手を洗う石鹸水)などを入手して下さい。 また市販されている漂白剤やキッチンブリーチ剤は 有効塩素濃度が4〜6%ですので意外と強力です。 無菌播種に用いる時の種の消毒は有効塩素濃度1%で十分ですから それを考えると家庭用と言っても十分殺菌効果はあると言えますね。 ですから、無理して次亜塩素酸ナトリウムを買う必要はありません。 話を戻して、塩素で拭いてしばらく間をおいた後に アルコールランプを無菌箱に入れ、中で火をつけてみましょう。 この時、完全にアルコールが乾いてからにして下さい。 また蒸発したアルコールが抜けてからにして下さい。 もし、知らずに火を入れてしまったら、大爆発してしまいます。 箱の中からアルコールの強い臭いがしたら、もうちょっと待って! アルコールランプの燃料は、99%のメチルアルコールか 99%エチルアルコール、燃焼用アルコールなどを使います。 70%濃度では火がつかない又は弱いと思う。 薬局には70%と99%のエタノール両方あると思います。 500mlで数百円。70%がなければ99%を薄めて下さい。 計算方法は培地の作り方で説明してるはずです。 正確に70%にしなくて良いので、99%を100%と考え 目分量で薄めても大丈夫です。 次に作った培地をそっと中へ入れましょう。 (ゆっくり空気を動かさないように) そしてアルコールランプの炎の付近でキャップを開けてみます。 ビンは下に付けず空中で、左手でビンを持ち、右手でキャップも持ち、 アルコールランプの炎のすぐ上で開け、行いますしょう。 数秒間開けた後、再びキャップして実験終了!! 無菌状態なのは、炎の上のわずかな空間しかありませんので 常に炎の近くで作業をするように心掛けましょう。 数日〜数週間してコンタミ(カビなどの汚染)がなければ、 箱の中はとりあえず無菌(正確にはビンの中が無菌) だった事が証明されます! これで、無菌状態の確認ができたわけです。 この作業を行う時、せっかくだし自分なりに研究してみましょう。 カビの発生比較実験を行うのです。 外気を吸い込んだ、絶対カビの生えるビン。 (比較なのでワザとカビの出るビンを作ります) アルコールランプの炎をつけないで開けたビン。 上を向けて開けたビン、斜めに傾けた状態で開けたビン。 10分間開けたビン、5秒間だけ開けたビン、、などなど。 自分で試験区を作ってそれぞれの違いを学び 参考にしていく事が大切です。 たとえば、外気を吸ったビンは何日後にカビが発生するのか? などを知っていれば、何時ビン内がコンタミしたのかが判りますよね。 (培地を作った時点ですでに、作業中に、、生育中に、、などなど) わざとカビが生えるビンは、一見無駄に思えますが、 比較実験ですので、比較しないと意味がないでしょ? この場合、わざとカビが生えてくるビンが一番重要なポイントなのですよ? それが研究であり、実験であり、結果であるのです。 |
★ 薬品の取り扱いと種類 ★
■アルコールと火の使い方 |
□ 作業する時のコツなど □ 近年クリーンベンチのような優秀なマシン?があるにもかかわらず 雑菌がビンの中に入るのは何故でしょう? そんな疑問を抱いた事はないですか? クリーンベンチから吹き出す風は無菌の風。 じゃ、なんでカビが出るんでしょう、、、 その原因を自分なりに書いてみたいと思います。 原因その1 ほとんどの原因は手です! 手は消毒したつもりても、どうしても雑菌が付いています。 雑菌だらけの手で作業しているのと同じわけですからぁ、、 まぁ当たり前ですわな だからフタを開けたビンやシャーレの上を手が素通りするなんて 言語道断! 中身を手で触れるなんて自殺行為!絶対駄目です。 無気流の簡易箱では、手に付いたカビの胞子などが落ちてきます。 対処法ですが長めのゴム手袋などを使って作業すると良いでしょう。 かなり効果はあると思います。ただし作業しにくくなってデメリットも多い。 それに手袋でも雑菌に触れていれば素手も同じこと。 原因その2 ビンが上を向いていた、、。 箱の中でも完全無菌状態を保つのは不可能です。 大切なのはビンの中に雑菌を入れないこと! ようするに、ビンを傾けてカビが入らないようにすればいい。 フワフワ空中を舞っている雑菌がゆっくり重力で下へ落ちてきます。 そんな時に、ビンの口が上を向いていれば結果はおわかりでしょう、、、 今回の実験ではワザとやってみてテストするのも大切ですよ。 (本当に上向きじゃだめなのか!?斜めならぜんぜんOKなんだろうか?) 原因その3 どこかに触った べつに痴漢したわけじゃないですよ、、、されたわけでもない(汗) 基本的に床や周囲の壁は雑菌だらけだと考えて下さい。 作業はほとんど空中で行います。 苗などが「ポト」っと床に落ちてしまったら、諦めて下さい。 コツその1 何回も書いてますが、空中には雑菌が浮遊している! 雑菌にも重さがあるので、ゆっくり下へ落ちてきます。 だからそれを待って作業すればいいんじゃないかなぁ〜って 思ってたりなんかして、、よく言う、ほとぼりが冷めた頃ってやつです。 でもすぐに作業して空中の雑菌をモロにくらうよりマシかと、、 まぁ炎の上昇気流があるから、正直自信ないコツです。 ただし、作業前に滅菌した水やアルコールを空気中にスプレーし、 浮遊している雑菌を落としてしまえば、かなり効果は出ます。 コツその2 慣れると塩素をコントロールできるようになる。 不安定な塩素には効かせ方があるので、これを極めれば無菌箱は不要!? 実際にベンチを使わない播種も私は研究しました。 しかし、やはり塩素は微妙で不安定という事もあって 経験に頼る事がほとんどです。挑戦したい方はこっそりメールでも、、(笑) みんなも塩素の達人になって、塩素マスターの道を極めよう!(笑) 次回は、塩素コントロールを利用し播種をしています。 具体的な濃度なんかも説明していますので目安に。 |
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