本州四国連絡橋尾道・今治ルートにほぼ並行して走る航路。平成１１年春の全線開通で、この航路は廃止となってしまった。
　今治港駐車場では、トラックが数多く見かけられた。これらのトラックは、橋が全通したら橋を通ることになるのだろうか。確かに橋のほうが早いし、待ち時間もないだろうが、本当にそれでいいのだろうか。それはさておき。
　夜もまだ明け切らない午前５時、一番便で今治港を出航。三原までは約１００分。そのほとんどの時間を、芸予諸島に沿って進む。まずは大島。三連吊り橋となる来島海峡大橋をくぐる。まだ開通していないが、本体工事はほぼ終わっている。「こいつがこの航路を廃止に追い込むのか……」と、デッキから橋を見上げていた。
　大島を右手にみながらしばらく進む。やがて大三島が左手に見えてくる。これらの島は、一度訪れたことがあり、同じ島を今度は海から眺めるというのも、なかなかおもしろいものだ。しかし、あまりに島の数が多すぎて、どこまでが一つの島なのか、わからなくなってしまいそうだ。
　行く手にアーチ橋が見えてくる。大三島橋だ。右手遙か奥には、伯方・大島大橋が見える。船は大三島橋をくぐる。来島海峡に比べるとかなり狭い。スピードは遅いが、それでもなかなかの迫力があるものだ。大海原を悠然と走る船もいいものだが、こういった島の間を縫うように走る船もおもしろい。それはさておき。
　多々羅大橋をくぐる。この橋もまだ開通していないが、見た目には出来上がっているかのように見える。この橋もどうも複雑な気分で見上げることになる。しかしこのころになると、Active Overnightの疲れから眠気が襲ってき始めた。あまりガマンしても良くないと思い、席に座って眠ることにした……。
　目が覚めると、行く手には本州が横たわっていた。時間的にはあまり眠っていないようだったが、ぐっすりと眠れたせいか気分はすこぶる良い。この調子なら運転にも差し支えはなさそうだ。
　三原港に到着。やはりトラックが何台も乗り込んでいく。これから四国へツーリングにでも行くのだろうか、バイクの団体も乗り込んで行った。利用者は案外多い様子に見える。この航路が廃止されるのは、非常に惜しい。船からの風景といい、所要時間といい、申し分ない航路なのだが……。