このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


宿毛観光汽船
(宿毛〜佐伯)

 高知県の西の端、宿毛市と大分県南部の佐伯市を結ぶフェリー。一日7便と数はそう多くないが、24時間運航を続けている。
 高知市方面から続く国道56号線を走り、中村市を経て宿毛市に入る。最近鉄道が開通したとかで、市街地には真新しい駅舎らしき建物も見えた。清流・四万十川を抱く里として、観光客の誘致にも益々力が入ることだろう。それはさておき。
 市街地を抜けてさらに西を目指す。フェリーの発着する片島港は、市街地からかなり西に位置している。ターミナルビルが一つと、フェリーのシンボルとも言える可動橋のゲートがなければ気づかずに通り過ぎてしまうかも知れない。そんなさりげない港から、このフェリーは出航している。
 私が着いたときは、まさに出航直前だったので、見落とすことはなかった。作業員に指示されて急いで切符売り場へ。切符を買うと、その場で作業員が半券をもぎ取り、私はヘルメットを被る間もなく船へと走らされた。車両甲板にバイクを停めるか停めないかのうちにウインチが回り、渡し板が上がっていく。滑り込みセーフとはこのことを言うのでは、とふと思ってしまった。それはさておき。
 客室に上がってびっくり。2等船室のほとんどを団体客が占めている。一般客に与えられたのはわずか1区画。そこにはすでに多くの先客がおり、最後に入ってきた私が体を休める場所はもう残されていなかった。仕方がないといえばそれまでだが、同じ2等運賃を払っているというのにこの違いはどうも解せない。
 階段の片隅に場所を確保して落ち着く。中村から降り始めた雨で濡れた靴や靴下を乾かす。ついでに合羽も干す。老人会のツアーらしき団体は、裸足で階段に座っている私を避けるように上り下りしていく。やはり異様な格好に写るようだ。しかし他に手がないのだから仕方がない。しばらくはビールを飲みながら靴が乾くのを待つ。
 しばらくすると生乾きになる。ここから後は履いて乾かす。幸いにも外は日が射している様子だ。すっかり夏の日差しの照りつける甲板を歩き回る。湿っていたズボンの裾も見る間に乾いてくる。やはり太陽の力は偉大だ。それはさておき。
 出航してからかなりの時間が経っているはずだが、回りにはまだ陸地が見える。宿毛は高知県の西の端ではあるが、その西には愛媛県が隣接しており、四国としてはまだかなり西の方まで陸地があるようだ。さらにその先には小島も点在しているところもある。陸地はそれからまだしばらくの間、途切れることはなかった。
 干してある合羽の様子を見たり、体を温めたりと、頻繁に船室とデッキを行き来する。かなり時間が経ったように思っていたのだが、時計を見ると佐伯到着までにはまだ時間がある。階段に座っての旅というのが少し影響しているようだ。やはり2等船室で寝転がっている方が楽だし、時間も速く流れているように思える。それはさておき。
 右手にようやく大きな島影が見えてきた。九州だ。これまでの旅では、なぜか全て別府から九州上陸を果たしている。今回初めて、別府以外の港から九州への第一歩を記そうとしている。九州・四国連絡フェリーの多くが別府発着であることを考えても、どうも私の旅は同じ所へ何度も足を運んでしまうようだ。これがいいのか悪いのか、私には分からない。それはさておき。
 すぐ右に大入島が見える。佐伯港からフェリーで10分とかからずに渡れるらしい。パッと見た感じでは、なかなか居心地のいい島のようだ。島と本土を結ぶ小さなフェリーが見える。次はあれに乗っていこう!




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