このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


〜思いでの航路シリーズ Ⅰ〜
マリンエキスプレス
(川崎〜木更津)
(平成9年12月18日航路廃止)
木更津港に入港するフェリーオーロラ

 総延長5kmの橋と10kmのトンネルで東京湾を横断する東京湾アクアライン。その途中に浮かぶ海上サービスエリア「海ほたる」は、東京の新しい名所となりつつある。しかしその陰で、32年の歴史を終えてひっそりと消えていったフェリー、マリンエキスプレス。これは私が千葉県佐原市に住んでいた平成9年2月に乗った時の手記を元にしました。ふぇりい倶楽部設立前なので、頼りない所も多々ありますが、どうかご容赦下さい。
 私の記憶に間違いがなければ、この航路は「海の国道409号線」であったはずである。東京湾を横断し、混雑する都内を通らずに房総方面に向かう足として、また通勤・通学の足としても、多くの人に親しまれてきた。
 もうあと1年も経たないうちに廃止される、と知った2月のある天気の良い休日。私はバイクに跨って、木更津を目指していた。もちろん、この航路に乗るためである。
 切符を購入してから出航まではかなりの時間があったので、巨大な歩道橋、中の島大橋に登る。
フェリーから見た中の島大橋
見晴らしはよかったが、遠くは霞がかっていたために、富士山までは見えず、少々残念な思いをした。
 そうこうしているうちにフェリーが入港してきたので、バイクの元へと戻り、フェリーに乗り込む。土曜の昼ということもあってか、客室はかなりの空席が目立った。
 木更津港を出航すると間もなく、中の島大橋をくぐる。高さ25m、長さ236mのこの橋の上からは、天気が良ければ遠く富士山まで見えるという。
トンネルの換気施設「風の塔」(建設中)
 船の左手には、東京湾アクアラインの橋と、巨大な人工島が見える。これが開通すれば、確かに便利にはなるだろうけど、原付や自転車は通れないし、通行料金は高くなるだろうし(普通車4,000円)……。フェリーが廃止されてしまった今となっては何も言えないが、道路開通=航路廃止という短絡的な結論を出す前に、もう少し考えることは出来なかったのだろうか。
 海上を走ること約1時間、川崎港が近づいてきた。港の対岸は羽田空港。大きなジェット機や、小さなプロペラ機がひっきりなしに離着陸を繰り返している。時間帯によっては、頭上を飛行機が飛んでいく。その迫力はさすが!とうならされてしまう。愛車と共に旅をする以上は、飛行機を利用するチャンスはほとんどないといってもいいだろうが、同じ乗り物としてみると、飛行機にもまた、船とは違った形での魅力があるように思えた。
首都圏の夢、東京湾アクアライン
夢が現実となるその陰で
船にかけた夢がそっと終わりを告げる
Thank you very much
and
Good bye
マリンエキスプレス


MEMORIAL data

運航開始昭和40年4月1日
運航区間川崎港〜木更津港(24km)
所要時間1時間10分
運賃大人……1,030円
バイク(750cc未満)……930円
乗用車(4m未満)……5,560円
乗用車(5m未満)……6,900円

平成9年12月18日 東京湾アクアライン開通により航路廃止

※このデータは、平成9年3月現在(消費税3%時代)のものです。



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