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怒涛の九州2003年夏その2


朝起きて窓のカーテンを開けると、曇っているがところどころ青空も
見えている。テレビの天気予報で熊本県に大雨洪水注意報が
出ているという。ちょっと無理をしてフェリーを使い最後の夏の
「つばめ」を熊本県まで撮りに行こうかと思っていたが、この注意
報により完全にあきらめる。土石流に巻き込まれては元も子もない。
島原半島へ出かけ、島原鉄道を中心にまわることにした。島原鉄道
は今はもうほとんど見ることができなくなったキハ20が現役で活躍
している鉄道。キハは朝・夕の時間帯にしか運転されないことは知
っていたが、田園風景あり、山あり、海ありのこの路線には大変興
味があった。朝食を食べるとちょっとホテルの裏の「オランダ坂」へ
出かける。せっかくすぐ近くにあるのだから見ておかないと損かと
思い。坂を登るといきなり蛇がトカゲを追いかけて横切った。もの
すごい速さだ。蛇はあんなに速く動くことができるのかと初めて知っ
た。トカゲはものの見事に蛇の餌食となった。

部屋に戻り荷物を取るとすぐに出発。長崎バイパス、長崎自動車道
と走り、諫早市内を抜け国道57号線、207号線を経て島原半島に
入る。国道に沿って島原鉄道が走る。このあたりは田園風景が続く。
しばらく行くと海沿いに出る。古部という駅に立ち寄ってみる。駅は
無人で海のすぐちかくにある。というか、駅が防波堤のような感じも
したが。駅名標の写真を撮っていると、「あ、写真を撮っている人が
いる!」とお母さんに連れられた男の子。聞けば鉄道が好きで諫早
まで島原鉄道に乗って出かけるという。特に用事があるわけでは
なく、列車に乗るのが目的だそうだ。将来は立派な鉄道ファンになる
ことだろう。程なく列車がやってきた。親子が出発するのを見送り
下りの列車を待つ。うす曇の天気で、目の前には穏やかな島原湾
が広がる。この旅で初めてのんびりした時間か。下り列車を見送ると
再び島原方面へ車を走らせる。

今のところすっきり晴れてはいないが陽がさしている。いつまた雨が
降り出すかわからない不安感の中、なんとなく島原市内で海の方向
に狭い道を入ってみる。すると南島原駅に出た。島原鉄道はこの駅
を境目に「北目」「南目」と大きく分かれているようで、うわさのキハが
ヤードにとまっていた。写真を撮らせてほしい旨を駅員さんに告げる
と入場券の購入と運転所にも声をかけてほしいとのこと。通常は業務
用の構内の踏切を渡り運転所に顔を出す。運転手さんや車掌さんが
休憩中であった。かなり写真を撮りにくる人が多いようでそれ用の
ノートに記名し、ヤードへ行き写真を撮らせていただく。キハ20をわざ
わざ国鉄色に塗り替えたものやオリジナル塗装のもの。現代とは違う
世界がそこにはあった。これらの車両が海沿いや田園地帯を走る
姿を見たいと思った。




島原市内を抜け、今日の撮影の目的地、水無川へ向かう。普賢岳
噴火の際、火砕流で被害を受けたところ。現在は巨大なトラス橋で
一気に抜ける。このトラス橋を普賢岳をバックにと思っていたのだが
山にかかる雲はとれそうにない。そして、もうひとつ予期せぬことが。
トラス橋をすべて構図に入れたいと思っていたのだが、すぐ横にもう
ひとつ多きな橋を建設中であった。どう考えてもこの橋が障害物
になってしまう。過去の島原鉄道の写真にはこの橋は決して写って
いなかった。つい最近作られたもののようである。仕方なくこの橋を
入れないようにアップ撮りにする。山も見えていないし・・・。水無川に
は本当に水が無い。
この後、島原市内に戻り、島原湧水群めぐりをする。湧水のまわりに
島原城や武家屋敷などの今や観光施設となったものがあるが、水
のある町並みにしっくりと溶け込んでいる。湧水群は市内のあちら
こちらに点在し、すべてをまわるのは結構大変だった。街中なので
当然道も狭いところがあり、車などは置くどころか止まることすら
できない。なんとか駐車スペースを見つけ、ほとんどランニング状態
走ってまわる。
すべてまわったころには午後1時を過ぎていた。そういえば、昼食を
食べていない。近くの店でアンパンを購入し、かじりながら車をさらに
島原鉄道に沿って走らせる。
次は海をバックに撮りたいと思っていたが、近くに車がとめられるよい
ところがなかなか見つからない。「ではどこか高台から俯瞰で。」と
思い、気の向くまま右折し高台に上がろうとしたが、なんと島原鉄道
も同じ高さを進んでいる・・・。それでもナビを見るとこの先に駅がある
ことがわかりそのまま進んでいくと、有馬吉川という駅に到着した。
海は近くにあるが海沿いではなく、田園地帯の駅という感じであった。
気がかわりこの田園地帯を行く列車を撮ることに決める。しばらくし
て列車が通過。昼の時間帯はすべて単行のようである。


さらに車を進め、気づくとまもなく島原鉄道の終点加津佐に着いてし
まうことがわかった。途中白浜海水浴場前という駅に立ち寄り、ちょう
ど通過する列車を写真に収めたあと、海岸に出てみる。一組の家族
がいただけであった。時刻表を見ると上りの列車もまもなく通過する
時間だったので、国道脇に車をとめ、走りゆく列車を撮影した。本当は
夕暮れ時までいたかったのだが、遅くなると駐車場がいっぱいになる
とホテルの人に言われていたのも手伝って、この列車を見送るとその
まま島原半島を1周する形で諫早方面に戻る。途中、1周したところ
で諫早東高校前という田園の中の駅が目に入る。こういったローカル
線には高校生やお年寄りの姿がよく似合う。車を使わないそういった
人たちは自然と鉄道にも似合ってくるのだろう。
この駅では男子高校生がなぜかベンチに座り顔をうずめていた。
何かあったのだろうか・・・。部活で疲れただけか、それとも何か悩み
でも・・・。いらぬ心配か。元気を出せ、若者よ。


諫早方向に戻りながら、「まだ早すぎるな」と考えながら、長崎本線
の旧線へ行ってみることにする。ちょっと帰り道に足を伸ばすだけ
だ。長崎本線は特急を中心にトンネルなどで高速化をはかった新線
と昔からの海沿いを進む旧線に分かれる。旧線は非電化でローカル
線の雰囲気が漂う。ただし、列車の本数は極端に少なく、うまく列車
が通るかどうかわからなかった。撮影のポイントに到着。時刻表を
確認するとこの区間は小さな駅まではっきり時刻が書いていない。
大きな時刻表では荷物になるので携帯時刻表を持ってきてしまって
いた。こんなものでは役に立たない。この列車が来るのか・・・?はっ
きりわからないまま、5時40まではここにいてみようと決めた。
5時40分になる。「やはり来ないか。」車を長崎に戻るべく国道を
走らせる。旧線の線路に沿うところまで降りると、なんと!!列車が
通過・・・。ため息が思わず出てしまったのは言うまでもない。沈んだ
気持ちのまま、昨日と同じ渋滞を抜け長崎市内へ戻る。唯一の救いは
今日は無料駐車場に入れられたことだった。あと1台というところで
あったが。夜は昨日の新地中華街へ出かけ、今日は店をかえて、
チャンポンを食べる。その後夜景を撮りに出かけたが、さすがに疲れ
が出てきて遠くまでは行く気がしなかった。ホテルの前に停泊する
今は海上ホテルとなった「大雪丸」を撮る。あれに乗り北海道へ行っ
たんだなぁ。自分以外はすべてカップル。ちょっと場違いなところで
夜景を撮り続けた。

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