このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

まごころツアー8

平成10年8月6日(木)〜10日(月)

 

まごころ旅行記8

案内人 : 顧問 大塚雅之

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大井川鉄道、新金谷車両区にて 左端は同鉄道部の久保田正弘さん

旅行行程(概略)※この旅行記は4ページで構成されています
序章 企画立案、内に秘める「引率者」の苦労
1日目 博多→小倉→下関→広島→岡山→姫路→米原→名古屋→(車中泊)
2日目・3日目 →東京(東京鉄道めぐり・自由行動)→熱海→島田(泊)
島田→金谷→新金谷→千頭→川根両国→井川→千頭→金谷→浜松→豊橋→名古屋→伏見
4日目・5日目 名古屋→米原→京都→梅小路機関区→京都→大阪(自由行動)→(車中泊)
→博多→一部は「まごころツアー8’」へ
「時刻表」風の行程表は こちら にあります。興味のある方はどうぞ。
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序 章:そもそもの企画の始まり…大所帯の不安


 今回の「まごころツアー8」(平成10年8月6日(木)〜8月10日(月)実施)の最大の目玉は何と言っても、大井川鉄道だった。日本で数少ない、保存を目的にした鉄道で、私個人としては鉄道車両の中で最も好きなSLが5両(旅行時点)も動態保存されているのでかねてから訪れたかった。その上、全国各地から旧国鉄、西武、名鉄、京阪、近鉄、南海などの歴史的な電車が集められており、急勾配を登る全国でも珍しいアプト式鉄道まであるとなれば、鉄道にそれほど興味のない人でも興奮しそうな鉄道会社なのである。ところが、今回の「まごころツアー8」には、どうやらプラモデル部門の生徒が多く参加しそうであった。理由は後述するが、そのため、大井川鉄道だけではなく、東京大阪名古屋と日本三大都市にも寄ることにした。そもそも、「まごころツアー」の目的は鉄道事情を視察するだけではなく、
団体行動をとることで、他人への思いやりや責任と自覚を持って行動できるようになること
普段訪れることのない土地の文化や習慣、風土などさまざまなものを吸収し、視野を広めること
「スピード時代」と言われて久しい今日において、あえて普通列車を乗り継いで旅行することにより、普段の旅行では発見できないものを見つけ出すこと
などにある。(各まごころツアーしおり、「実施目的」参照)
 特に③においては、生徒たちが普段勉強に追われた環境の中で過ごしているのが、私にはどうしてもかわいそうに見える。そういう彼らが、普通列車を乗り継いで遠くまで行くと、旅行中ほとんどの時間を車内で過ごすことになる。車中、時間だけはいくらでもあるという状況下で、彼らは始めは友達と話したり、ゲームをしたり、眠ったりするが、そのうちそれでも時間があるということに気づく。
 そうすると、彼らは黙り出す。一人で考えこむのである。お金さえ出せば、すぐに着く所へ何時間もかけて鈍行で行く。いったい、今自分は何でこんなことをしているのだろう。お金とは何か、時間とは何か、そして人生とは一体何かということを考え出すのだ。そこで、今自分に必要なものは何か、なぜ勉強をするのか、勉強したらどうなるのか、しなかったらどうなるのかなどと考えることができるようになる。実際、私自身もそんなことを考えたし、生徒たちもやはりそのように考えたりして、「実に有意義な時間を過ごした。」「こういう経験はなかなかできない。」などと言ってくれる。
 さらに、旅行というものの魅力の一つに②のようなことがあると思う。せまい日本の中でも自分たちの暮らしている所とは大いに異なるものが存在し、かつ一生懸命に生きている人がたくさんいることがわかると、改めて自分の置かれている環境や自己を見つめ直すことができる。そういうことを体験してほしいから、「まごころツアー」を実施している。
 生徒たちはこれらの主旨をよく理解してくれており、ほとんどの生徒が一度は「まごころツアー」に参加する。今の2年生(4期生)が1年生のときに15名ほど入会してきたので、彼らが「まごころツアー」に参加したときに彼らを引率していくのは大変だと思った。そこで、まずは練習を兼ねて、筑豊地区を経由して福岡県を一周するという 「まごころツアー6」 を実施、当時一年生だった彼ら15名にその雰囲気を味わってもらったのである。
 それが気にいったのか、この「まごころツアー8」には20名が参加することになってしまったのである。ある程度予想していたこととはいえ、鉄道部門の参加者が私とOBの北方だけで、残りの18名、すなわち生徒は全員プラモデル部門からの参加となった。鉄道に興味がないわけではないが、大井川鉄道の見学だけでは満足しないかもしれない。そこで、東京大阪で一日自由行動をとり、ついでに名古屋にもちょっとだけ寄るというプランにしたのである。そして地図や時刻表で調べながら鉄道で動き回る自由行動の予定表をたてて、実際に行動することで三大都市圏の鉄道網を知ってもらおうと考え、プランを作った結果、というタイトルになってしまったのである。そういうわけで「まごころツアー」史上、最多の20名が参加した旅は計画され、始まったのである。


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