このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

     
枝光線の花電車603はゆっくりと戸畑を後にした。電車を囲んでいた見物人たちは小さくなっていく電車に手を振り続けた。電車が出てしばらく経ってもセレモニーの余韻に浸っている人が多いためか、人垣はすぐには解けなかった。
戸畑を後にする603さよなら電車が出た直後の戸畑電停
セレモニーも終わり、撤収作業開始次第に人がいなくなる構内
やがて、セレモニーの撤収作業が始めり、集まった人たちもそれぞれの家路に向かい出した。マイクなどの撤収が終わり、落ち着いてきた構内。筆者が戸畑電停を後にするまで、照明はずっと付いたままだった。明るく照らされた誰もいない電停構内は、全てが終わったことを暗示しているようにも思えた。
役目を終えた戸畑電停閑散とした戸畑電停
筆者はその後、二度と電車の来ることがない枝光線の軌道を中央町まで歩いた。道路の真ん中に敷かれた線路はまだ現役のレールでピカピカ。安全地帯や軌道の撤去工事もすぐには行なわれず、沿線はいつもの静かな夜を迎えていた。廃止のセレモニーを見て感傷に浸っていたのだが、さっきまで使っていた線路や安全地帯を見ながら歩いていると、廃止されたという実感が薄れてくる。

あの日以来、筆者は電停のあった戸畑渡場や廃止を偲んで歩いた枝光方面には一度も足を踏み入れていない。だから、筆者の記憶もその時点で止まったままである。
     

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください