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韓国遊学日記   韓国のバスに乗ろう

韓国のバスに乗ろう高速バス編


忠州ターミナルで発車を待つ高速バス


京釜高速道路のバス専用レーン

 韓国のバスでももっとも乗りやすく、日本人観光客にも馴染み深いのが、高速バス(コーソクポス/고속버스ではないでしょうか。安くて、早い。韓国の地方を観光するのに、もっとも便利な足をガイドします。
 ところで私が乗ったことがある高速バスは、東ソウル〜忠州と、ソウル高速ターミナル〜忠州の2区間だけなんだと、これを書きながら気付きました(^^;; まあ、他の路線でもそんなに変らないでしょう、ということで、このままガイドを続けさせていただきます。


ソウル高速ターミナル


東ソウルターミナル

 

●まずはバスターミナルへ
 それでは、高速バスに乗りにいきましょう。例としてあげるのは、もちろんソウル〜忠州間です^^;; 忠州は忠清北道第二の都市。市内には史跡が多く、郊外に出れば温泉地も待っていますよ。

 さて、日本の場合、高速バスの乗り場といえば、バスセンターの他、駅前やデパート前といった所が大部分でしょうが、韓国の高速バスは独立したバスターミナル(単にターミナル
/터미널ともいう)へ発着します。

 ソウルのバスターミナルは、地下鉄3号線に直結した「ソウル高速ターミナル」(通称「江南
(강남/カンナム)ターミナル」)や、2号線江辺駅前の「東ソウル동서울/トンソウル)ターミナル」が主。基本的に江南には京釜・湖南高速道路経由のバス(釜山、大田、光州行きなど)、東ソウルには中部高速道路経由(江陵行きなど)のバスが発着しますが、忠州の場合、両方に発着しています。
 目的地のバスがどちらに発着しているかは、ガイドブックなどを参考にして下さい。

 忠州の場合、東ソウルの方が本数は多く、所要時間も短いので、地下鉄2号線に乗り込みましょう。
 江辺
강변/カンピョン)駅は、地上区間の高架駅。巨大電子商店街高層ビル「テクノマート」とは反対側にある、背の低いビルが、東ソウルターミナルです。

●切符は筆談で
 
東ソウルターミナルは、雰囲気が暗いです。薄暗い照明にじめっとした空気で、物乞いの人も多く、地下鉄1・2号線の車内や駅に似た雰囲気ともいえましょうか。ソウル高速ターミナルの湖南線ターミナルが、空港のような空間を誇るのとは対照的です。でも、そこが個人的には好きなんだなあ…
 切符売り場は1・2階に別れています。方面別に切符売り場がずらりと並んでいるので、目的地を探しましょう。あらかじめ、目的地の地名のハングルをメモしておくと、探しやすいです。分からない時は、入り口近くに案内所がありますので、そこで聞いてみましょう。

 忠州はそんなに大きな街ではないのに、専用窓口が1つ設けられています(なんでだろ〜?)。必要な枚数を指で示してお金をだせば、空席のあるもっとも近い時間の便の切符を出してくれるでしょう。高速バスは距離制運賃で、130km乗って5700ウォン。安い!! 。

 ちなみに同方面の切符売り場がまとまっている場合も多いので、その際は行き先を指定する必要があります。また、後述する優等バスを希望する場合も、その旨伝えなければいけません。

 そんな時には、ハングルの筆談が有効です。ほとんどの地名は漢字で書けますが、切符売り場の職員は若い人も多く、漢字を解してくれない可能性があるからです。また地名をカタカナ読みした所で、慣れない日本人が正確に伝えるのは困難でもあります(清州全州も、日本人が聞けばどっちも「チョンジュ」だもんね)。ガイドブックには地名をハングルで併記している場合が多いので、正確に書き写しておきましょう。
 「忠州、優等、2人、17時」なら、
[충주,우등,2,17]こんな感じに書けばよろしいと思います。


優等高速バス


一般高速バス

●「優等」と「一般」
 韓国の高速バスのうち主要路線では、「優等
/ウドゥン)」と「一般일반/イルバン)」の2クラスのバスが運行されています。
 「優等」は3列シートでリクライニングも深く、ゆったりした旅が楽しめます。日本の夜行高速バスや、長距離の昼行バスに使われている車両を想像していただけるといいと思います。
 一方、「一般」は4列シートで、日本の短距離高速バスや、貸切バスに近いものです。一般でもまずまず快適ですが、長距離乗車の時や、体格の大きい方には、優等をおすすめします。

 気になるお値段は、優等が一般の1.5倍程度とされていますが、忠州行きの場合は優等でも8000ウォンと1.4倍程度なので、よく利用していました。また、一般の運賃で優等規格のバスを走らせている区間もあります。

●予約はいらないの?
 
日本の高速バスの場合、予約して乗ることもありますが、韓国の場合、あまり一般的な習慣ではないようです。 高速バス予約サイト での予約も可能ですが、利用している人はいるのかしら?
 もちろん、休日夕方のソウル発などは混雑しており、1時間先の切符を渡されることもしばしばですが、「こんでいるのだから仕方ない」とばかり、みんな黙って待っています。そんなの嫌だ!! という人は、ターミナルの窓口で前売りしているので、事前に購入しておいてもよいでしょう。時刻を、しっかり伝えることをお忘れなく。

●バスに乗り込む
 さあ、いよいよバスに乗り込みます(車内にトイレはないので、済ませておきましょうね)。
 バス乗り場も方面別に分かれており、そこに止っているバスの中から、窓に掲げられた行き先のプレート(もちろんハングル)を頼りに目的地を探します。左下に置かれているデジタル時計が、発車時刻を示しているので、切符に指定された発車時刻と照らし合わせて乗り込みましょう。

 運転席に運転士さんがいれば、切符を見せて半券をもぎってもらいます。いなければそのまま乗って、指定された座席に着きます。なお忠州線の場合、以前は定員制だったこともあって、指定の席を守っていない人も少なくありません。間違いなく空いているようだったら、適当な席に着いても差し支えないでしょう。
 運転士さんがいなかった場合、発車時間近くになると乗り込んできて、「車内改札」に回ります。そのまま前から拝見すればいいのに、わざわざ一旦最後尾まで行って、後ろからまわられるのはちょっと不愉快。客と顔を合わせたくないのか、さもなくば客とも思ってないのか!?

 発車までの時間、スポーツ新聞売りが車内を回ることもしばしば。結構大きな声でびっくりしますが、独特の語り口は名物といえるかも。

●発車します
 時刻になると、おもむろにバスは発車します。また時間を待たずとも、満席になれば発車していきます。忠州まで、1時間半の旅のスタートです。忠州までノンストップなので、窮屈だったら空いている席に移っちゃてかまいません。
 はっきりいって道路事情が悪い韓国ですので、シートベルトの締め忘れはないように。ベルトを締めないなんて、自殺行為だとまで言っておきましょう(日本でもそうですが)。間もなくテープで案内放送が流れてきますが、聞いても聞かなくてもいいような内容です。それが終わると、夜間のバスの場合、予備灯を残して車内は消灯されてしまいます。寝ろってことでしょうね。

 バスは江辺駅前を通り、漢江沿いの道路を走ってオリンピック大橋を渡ります。このあたり夜景がきれいで、特に消灯された車内からはよく見えます。渋滞の車列すら美しい。江南発のバスは、マンション群を突き抜けて高速道路に向かいます。
 ちなみに京釜高速道路経由が基本の江南発でも、漢江沿いを走り中部高速道路に入ることもあります。その他にも、同じ路線でも経由する道路が変わることは多く、渋滞を避けるため、運転士の判断でフレキシブルな運行が図られているようです。路線別免許となっている日本では、こうはいきませんね。


漢江沿いの風景


京釜高速道ソウルトルゲート


2本平行する中部高速道


休憩所

●韓国の高速道路
 あきれるほどでかい料金所をくぐると、高速道路に入ります。車線もこれまた多く、そこに自動車があふれる様は圧巻です。中部高速道は、2×2=4車線の高速道路が2本絡み合うように平行していて、日本では見られない景色を楽しめます。また京釜高速道の場合、週末や名節にはバス専用レーンが設定されていて、渋滞の車列を横目に快走します。
 韓国の高速道路について触れると、まず目を見張るのは路線の充実ぶり。さらに新たな区間の建設も続いており、日本での高速道路建設議論が空虚に思えるほどです。目標は、「全国どの主要都市からも15分でインターチェンジ」だとか。
 通行料も、日本との物価の差を考えても安め(軽自動車はさらに半額)です。そのためか、広い車線にもかかわらず週末を中心に、渋滞は恒常化しています。安く充実している高速道路にはメリットも多いでしょうが、税金での負担は相当なものと察せられ、日本の高速道路行政を考える際には研究の価値がありそうですね(やってんでーしょけど)。

 サービスエリア(休憩所
휴게소/ヒュゲソ)と表現する)は日本とそっくりな雰囲気で、高速バスでも2時間を越える長距離路線では休憩タイムが設けられます。覗いてみるのも楽しいですが、似たようなバスがずらっと並ぶことになる上に、停車中にバスが移動していることもあるので自分のバスの色やナンバーはしっかり確認しておきましょう。

●車内での過ごし方
 夜間のバスでは消灯されてしまいますが、各座席の読書灯をつければ読書などすることもできます。日本のようなオーディオやビデオのサービスはありませんので、音楽を楽しみたい向きは自前のプレーヤーを持ち込みましょう。
 逆に、運転士が車内にがんがんラジオを流している場合もあります。完全に運転士のおじさんの好みで流しているものなので、たいていはトロット中心の標準FM(AMと同じ内容のFM放送)です。寝たい時には邪魔なこともありますが、「うるさいから消して」とは言えない雰囲気があります。

 車内は、暖房は弱め、冷房は強めに効いていることが多いです。特に夏場には、一枚羽織る物をもっていた方がいいかもしれません。

 飛ばすか飛ばさないかは、運転士の性格によります。おっとりめの人はかなりゆっくり走り、終点では後続のバスが追いついていた、なんてこともありました。

●到着
 バスは中部道から嶺東道、さらに中部内陸道へ進みます。中部内陸道は2003年に開通したばかりで、真新しい3車線の道路が伸びますが、通行量はかなり少ないです。
 忠州インターチェンジで降りて、忠州の市街地へと向かうのですが、おや? 小さな普通のバス停で停車して、若者たちが降りていきます。実はソウル→忠州への高速バスに限って、運転士に申告すればここ忠州大学校前で便宜下車することができるのです。他の地域でも、こんな慣習はあるのかな?

 やがて遠くに、ビルの立ち並ぶ忠州市街地が見えてきますが、バスは旧市街地に入らず、新市街地のバスターミナルへ発着します。ロッテマートを併設した、立派なターミナルが見えてきました。
 1時間30分の短い旅を終えたバスは、ターミナル外れの降車専用ホームへと滑り込みます。停車する時は、結構勢いよく止まるので、停車するまで立たないのが賢明でしょう。下車する時には運転士さんに一言、「ご苦労様」と声をかけていく人が多いのは、気持ちがいいことです。

●街に着いたら
 さあ、忠州に到着しました。市内バスやタクシーの乗り場は、たいていバスターミナルの前に位置しています。
 忠州の場合、市内方面は、ターミナル前の乗り場から発着しますが、一部方面へは少し離れたバス停から発着しますので注意。タクシーも基本料金で着く距離です。

 その他の方面の高速バス・市外バスに乗り換える時は、あらためて窓口で切符を購入してから乗車します。
 忠州の場合、バスターミナルがひとつにまとまっているので乗り換えはラクですが、都市によっては方面別にターミナルが別れていて、その間を市内バスやタクシーで移動しなければなりません。乗り継ぎルートは複数ある場合も多いので、なるべく同一ターミナルでの乗り継ぎができる都市で乗り換えると、早くてラクですよ。

 とりあえず宿を探してから観光に行きたいとういう人は、バスターミナル付近が旅館街になっている街が多いので、付近で探すとよいでしょう。食堂や銭湯も多く、なにかと便利です。
 ただ忠州のように近年移転したターミナルでは、旅館街が未形成という場合が多く見受けられます。そんな時は旧市街地、それも旧ターミナルの付近を捜すと、変らず旅館を続けている所が結構見つかります。

▽韓国の市外バスに乗ろう!

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