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韓国遊学日記
韓国のバスに乗ろう
韓国のバスに乗ろう市外バス編
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●市外バスとは
高速バスと比べて、乗るのがちょっと難しいのが「市外バス(시외버스/シウェボス)」といわれる、一般道経由のバスです。
「市外バス」とは文字通り、市域を越えて結ぶ都市間バスの総称です。高速道路を経由する便もありますが、高速バスとの違いは途中、沿線の都市に寄り道しながら走っていくこと。韓国の、普通の生活を垣間見られるバスともいえます。
私は、忠州〜仁川・清州・堤川・原州・店村間や、儒城温泉〜清州、光州〜木浦間などの市外バスに乗ってみました。どの地域でも、同じ乗り方でした。
●市外バスにもいろいろ
同じ市外バスでも、運行区間は多岐に渡ります。二都市間をほぼノンストップで結ぶバスもあれば、丹念に寄り道しながら5〜6時間かけて結ぶバスもあり。地方都市間の移動には、なくてはならない足です。
また停車するバス停によって、「直通(직통/チットン)」「直行(직행/チッケン)」「緩行(완행/ワネン)」に種別が分けられます。
「直通」は日本語の意味と少し違って、「経由地なし」の急行バスのことを差します。但し、起終点の街の中では、いくつかのバス停に停車する場合もあります。「直行」「緩行」は、沿線の小さな街にも寄り道しながら走るバスです。
主要路線では直通と直行(緩行)の双方が運行されており、運賃は共通で、所要時間は倍近く違うこともあります。先を急いでいて便があれば、迷わず直通を選びましょう。
ただ、名もない街の古いバスターミナルに寄りながら走っていく、直行(緩行)バスの味わいも捨てがたいものがあります。韓国には鈍行列車が少ないこともあって、その役割を担うのがこれらのバスなのです。車や直通バスはバイパス道路で突っ切ってしまう街も、わざわざ旧道を経由して市街地に入っていきます。
時間に余裕がある場合は、あえてこんな鈍行バスを選んでみるのもいいかもしれません。
●乗り場は「ターミナル」が基本
主要都市の中心ターミナルでは、市外バスも高速バスと同じく、バスターミナルに発着します。バスターミナルによっては、高速バスと市外バスの切符売り場と乗り場が分かれていますので、案内をよく見て探しましょう。一部の大きなターミナルでは、自動券売機による販売もあります。
切符売り場の上に、運賃や時刻がずらっと並んでいますが、ハングル文字の行き先を探すのは至難の業かもしれません。さっさと切符売り場に並んで、ハングルで書いた目的地のメモ紙でも見せた方が、てっとり早いかも。
たいてい切符を買うときに、売り場のおねーさんが「○時○分出発、○番乗り場です」と教えてくれますが、韓国語が分からない限り聞き取れないでしょう。バスの切符を見ても発車時刻は書いてありません。市外バスは座席定員制で運行されているので、発車時刻なんて書きようがないのです。
よって早く目的地に行きたいのなら、はやめに目的のバス乗り場を見つけて、並んでおくに限ります。すでに満席の場合は、立席は認められず、次の便に乗車することになります。
ちなみに最終バスの場合、定員になり次第、切符の発売自体が終わるようなので要注意。
ところで僕は見たことはありませんが、もし満席状態で途中停留所に停車した場合、どうなるのでしょうね?最終バス、乗車拒否、サヨナラ…ではあんまりな気もしますが。
バスには、主要な停車地をすべて、小さなプラ板に掲げてあります(もちろんハングル)ので、それを頼りに乗るバスを探します。ただ、目的地の地名を書いたバスがあったからといって、さっさと乗るのは禁物。その場所を経由してきたバスかもしれないからです。
バス乗り場は方面別なので、まず自分の目的地の乗り場を探してから、そこに来るバスを待ちましょう。
「どこからどのバスが出るのか分からん!どれが直通バスなのかも分からん!」
という場合は、たいていのターミナルの乗り場にいる案内おじさんに聞いてみましょう。今まで何人かに尋ねたことがありますが、みなさんとても親切に教えてくれました。訊かずとも、きょろきょろしてたら教えてくれたおじさんもいました。
●市外バスに乗りこむ
乗り方は、高速バスと変りません。運転士さんに切符を渡して乗ります。
本来は乗るときに半券をもぎってもらい、降りるときに残りの券を渡すきまりのようですが、そうされたことは一度もありません。乗るときに、切符全部をとられます。
なーんだ、隣のターミナルまでの切符を渡せば、どこまででも乗れるじゃん、と思ってしまいますが、外国人の行動は目立つので、そんな不正(冒険?)はやめましょう。
バスは、高速バスにほぼ準じた狭い座席です。利用客が少なめの路線では、座席の間隔をかなり広めにとっているバスもあって、これは快適。
長距離路線では、途中休憩の時間が設けられます。なかなか行けない、一般道の休憩所(日本の昔のドライブインみたいなもの)の雰囲気を味わういい機会ですが、高速バスと同様、自分のバスを見失わないように気をつけましょう。
一度でしたか、休憩時間中にバスがおもむろに給油を始めたことがありました。もちろん乗客をのせたまま、しかも韓国の一般的な慣習にのっとって、エンジンはかけっぱなです。肝を冷やしました。
●「停留所」「乗車場」から乗る場合
基本的にはターミナル発着の市外バスですが、途中、道路上の停留場(정류장/チョンニュジャン)や乗車場(승차장/スンチャジャン)にも停車します。旅行でそんな所から乗ることもまずないでしょうが、参考までに。
「停留場」「乗車場」は小さな街や、大きな都市のサブターミナルとして設けられています。市内バスと同じように道路上にバスが発着するのですが、切符は事前購入が原則。
バス停のまわりをよく探すと、ハングルで「停留所」や「乗車所」、あるいは「切符売り場(표사는곳/ピョサヌンゴッ)」と書かれた建物があります。その中に切符売り場とささやかな待合室が設けられているので、切符はそこで購入するのです。目当てのバスが発着するバス停とは、反対車線にある場合もありますから、よく探してみましょう。
まれに日本と同じように、運転士に運賃を払って乗るバス停もあります(大学が休みの日の、大学前バス停がそうでした)。この場合は前払い。おつりの必要がないよう、小銭を準備しておきましょう。
●市外バスを降りる
市外バス一番の難関は、実はここです。終点まで乗るのなら問題ありませんが、途中で降りるときは案内放送など一切ないため、いつ降りるのか、自分で判断しなくてはならないのです。
ターミナルならば、バスがターミナルに入るときに建物に書いている名前を見る(もちろんハングル)というテもありますが、停留所の場合はほとんどお手上げ。韓国人はどうしているのかというと、いつも利用する路線だからわざわざ放送されなくても分かっているようです。
一見の旅行者が確実に降りるには、切符を運転士さんに渡すとき、「ここに着いたら教えてください(여기에도착하면알려주세요/ヨギエトーチャッカミョン、アルリョジュセヨ)」と言って、前の方に座っておくしかない気がします。前の席が空いてなければ、隣の席の人に同じように頼んでみましょう。話すきっかけにもなりますよ。
●市外バスは安くない
最後に、ひとつだけ…いや、日本のバスよりは安いんですけどね。市外バスに、高速バスのような割安感を求めていたら、裏切られることになります。
たとえば忠州から66km先の清州までは、市外バスで5700ウォン。これは、倍以上離れたソウルまでの高速バス運賃と同額です。また並行する鉄道と比べても若干割高で、鉄道の場合、学生なら学割も効くので、さらに差は広がります。
忠州〜清州の場合は、ターミナルの位置(清州駅は市内から遠い)や本数(バス20分毎、鉄道1日10本)などから圧倒的にバスが便利なのですが、時間に余裕があれば、長距離を市外バスで移動しようとする前に、鉄道とよく比較検討する価値はあります。
また高速バスの安さを利用して、こんな節約法もあります。韓国でも著名な温泉地である水安保温泉。ガイドブックには、東ソウルターミナルから市外バス利用2時間半・9200ウォンと書かれていますが、忠州ターミナルで高速バスと市外バスを乗り継げば7300ウォンで済む上に、本数も多く出ています。さらに乗り継ぎがうまくいけば、2時間少々で到着できます。
韓国の人は乗換えを日本人以上に嫌うので、こんな乗り方をする人は少ないでしょうが、貧乏旅行の方は試みてもいいのでは?
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