このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
果たして日本航空は危機から復活したのだろうか?
−日本航空の経営問題について考える(5)−
TAKA 2008年07月28日
「鶴丸」から「太陽」へ マークは変わったが・・・ 果たして日本航空は変わったのか? @鶴丸マーク最終日の羽田空港 |
☆ ま え が き
「日本航空」のシンボルマークと言えば、今は真っ赤な「太陽」ですが、私が子供の事は「鶴丸」マークでした。私自身鶴丸マークの飛行機に乗った記憶は有りませんが、日本航空=鶴丸と言うイメージは持って居ます。
しかし「鶴丸」と言うと、決して良いイメージは持って居ません。昔は海外赴任が多いビジネスマンは「
1985年のテヘランからの邦人救出
」時にナショナルフラッグキャリアの日本航空が飛ばなかった事から「鶴丸を見ると虫唾が走る」という人も居ると聞いた事も有りますし、私が鶴丸を見て先ず思いだすのは1982年の「日本航空羽田空港沖墜落事故」ですし、1985年の「日航ジャンボ機墜落事故」です。この様な人は結構多いのでは無いでしょうか?
この様に「日本航空の暗いイメージの象徴」とも言える鶴丸マークが、
08年5月31日を持って引退
しJAL・JAS統合時に制定された「太陽」マークに統一される事になりました。「鶴丸」マークに関しては皆様色々なイメージを持たれて居るかとは思いますが、私自身の個人的感想としては「日本航空の過去の栄光と負の遺産の象徴が無くなった」という前向きのイメージで、最終日の鶴丸マーク機を羽田に撮影に行きました。
けれどもマークを変えただけで、会社は変わるのでしょうか?。
実際日本航空は過去にTAKAの交通論の部屋で「
日本航空の経営問題について考える
」として取り上げた様に、日本航空はここ数年かなり厳しい経営状態に置かれ、一時は経営的にかなり厳しい状況になって居ました。
しかしその中で、日本航空の再建は今までの日航としては亜流の財務畑出身の西松遙社長を中心とした再建の努力により、紆余曲折は有った物の「
2006-2010年度中期経営計画
」及び「
2007-2010年度再生中期プラン
」に基いて、経営の最悪機を脱し「有る程度の再生の成果を出してきた」とも言われて居ます。
その様な状況で、本当に日本航空は危機を脱して経営再建が達成されたのか?今回は今までの「日本航空の経営問題を考える」シリーズの中間総括として、今の日本航空の状況について考えて見たいと思います。
参考文献・参考テレビ:日経スペシャルガイアの夜明け「
巨大航空会社の苦闘〜JALは復活するか?〜
」。週刊東洋経済2008年7月26日特大号「
エアポート&エアライン
」。日経ビジネス2008年7月21日号「JAL、海外航空と連携強化へ」。
☆ 果たして本当に日本航空は再建したのか? -過去最高の営業益ながら無配継続の07年度決算-
日本航空の07年度決算は、日本航空の「地獄からの再生」を象徴する内容になりました。(参考:
日本航空07年度決算参考資料
)
日本航空07年度決算では、当初計画数値・11月7日決算内容修正の数値両方の大部分をクリアして、営業利益900億円・経常利益698億円・当期利益169億円という極めて好調な成績を収めて居ます。此れだけ良い数字が出た要因は「収入増」と「原価削減」という要素が大きいです。
収入増に関しては、特に国際線が好調ですが、国際線に関しては「ワンワールド加盟効果(約50億円)」や「プレミアム戦略」が効果を挙げ増収をもたらしたのに加えて、今や正規運賃に「プラス10〜15%」という大幅なレベルで取られる「燃油サーチャージ」が増収として大きな要素になっています。その結果07年度当初と比べると+334億円(航空事業で06年度実績対比で+251億円)と言う好成績を収めて居ます。
その収入増以上に収益改善に効果が有ったのは「原価低減」です。元々中期経営計画・再生中期計画で「リストラ」等の原価低減策は織り込まれて居ましたが、その織り込み数値を上回るリストラの成果が07年度の決算数値を後押しした事は間違い有りません。その象徴が「連結人員数の削減目標も1年前倒しで達成」「連結人件費削減目標を20億円上乗せでクリア」という人件費関連のリストラに加えて、「販売手数料変更・削減による原価低減126億円」や燃料費が高騰して居る中で「燃料使用量対前年比94%に押える」「燃油費を06年実績に比べて81億円減らす」という成果が、大きく積み上がった結果として当初計画より216億円の原価低減と言う成果を挙げて、営業益で最高益達成の原動力になったと言えます。
加えて06年に7億株・1477億円の大型増資を行ったのプラスして、08年にも6億1400万株・1515億円の増資(今回の増資は制約付きのA種株式)を行い、毎年といえる頻度で複数回にわたり巨大といえる資本増強を行って居ます。この2回の増資の目的は「飛行機機材の更新」であり、実際平成20年〜22年で65機の機材(主要機材はB737-800⇒26機・B777⇒9機・B787⇒15機)を導入する原資として使って居ます。
実際この機材更新は、日本航空の運行コストを下げて競争力を上げるという点で効果は有ります。特に新型機は燃費の向上が著しいので燃料費が天井知らずで上がって居る現在では、高燃費の飛行機への更新は中長期的な経営的には大きなウエイトを占める問題となります。
その様な状況の中で、2回約3000億円の増資を行った事で機材更新について道筋を付ける(しかしB787のデリバリー遅延問題が有るが・・・)と同時に、2回目の増資の内一部(約500億円)を使い、ITシステムや接客サービス施設にも投資を行い、将来に対して有る程度の基盤を築く投資を行って居ます。
しかしJALの基盤の弱さは、「この投資を2回の増資で賄った」点です。ANAも06年3月に2億3050万株・1095億円の公募増資を行い、この増資を有効に活用しB787導入等のフリート更新を行って居ます。しかしANAの場合はJALに加えて強固な財務基盤を生かして「大部分を増資以外の(自己資本を含めた)資金調達」でフリート更新等の設備投資を行って居ます。それに対してJALは2回の増資により約3000億円を調達し設備投資の原資にして居ますが、一回目の調達でも
増資をめぐりゴタゴタ
を引き起こし、二回目の増資では「
関係会社・金融機関への奉加帳的な増資
」に抵抗的な意見が出るなど、紆余曲折の上で資金を調達しています。
要は航空会社として自己資金で航空機機材更新を行う事が出来ないと言う事は、それだけ自己資本留保が少なく、財務基盤が弱い事を示して居ます。その様な事も有り、過去最高の営業益を出した08年度決算を受けても無配を継続して、配当分を少しでもJAL内部に溜め込んで自己資本の増強を図る事を狙って居ると推察します。
その様な状況から見ると、JALの経営上は数字だけを見れば「有る程度の再建の道筋は付いてきた」と言う事がいえますが、無配継続・07年度決算を上方修正した後でも2回目の増資を行った(逆に業績の良い今の時期の方が有利な増資が出来るが)と言う事から見ても、「経営上の評価が低くて起債・融資が出来ない」状況が存在している事は間違いなく、其処から推察すれば財務的に見ると「JALの経営再建は未だ道半ばで有る」と言えます。
☆ 「囲い込み」と「大競争」の航空業界でJALは生き残れるのか?
しかし07年度決算で再生への道筋をつけ、06年・07年の2回約3000億円の増資で、機材更新とプレミアム戦略への投資の原資を確保し、次世代への成長戦略の第一歩を踏み出したといえるJALですが、このままの流れに乗って再生を果たす事が出来るのでしょうか?
そのJALの先行きに関しては、残念ながら「明るい」とは言えない状況です。それは現状において経営上の問題について有る程度解決の道筋を付けては居ても、JALを取り巻く航空業界の流れはより早く進み、その結果としてJALは経営再建を目指すと同時に、航空業界の荒波を乗り越えないと将来的にJALは生き残る事が出来ない状況になっています。
さてJALは有る程度先が見えてきた経営再建の後に、どの様に航空業界を生き残っていこうとして居るのでしょうか?
先ずは「囲い込み」に対応する動きですが、現在世界の航空業界では航空会社がアライアンスに加盟する事で、組織化が図られて居ます。現在世界の航空業界には「スターアライアンス・ワンワールド・スカイチーム」の3つのアライアンスが存在し、このアライアンスを核に世界の航空会社が動いて居るともいえます。
日本の航空会社は「JAL⇒ワンワールド」「ANA⇒スターアライアンス」に加盟して居ます。
その様なアライアンスに基いた提携関係において、アライアンス外企業との提携に厳しい制限が有るスターアライアンスのメンバーとして、アライアンス関係を中心に据え、スターアライアンスメンバーとの連携強化を国際線戦略の根幹に据えて居るANAに対して、JALはワンワールドに所属して居る物の昔はアライアンスに関しては「全方位外交」を指向しており、元々アライアンスに消極的で世界の大手航空会社でアライアンス加盟は遅かった歴史があり、国際間のアライアンス戦略に関しても「腰が座って居ない」と言えます。
実際JALはワンワールドに所属しながら、JALの西松社長は6月にはエールフランス会長・7月には大韓航空社長と言う様にスカイチームの有力メンバー会社のトップと会い提携強化を話し合ったと聞きます。確かにエールフランスはKLMとの統合で今や世界最大級の航空会社ですし、大韓航空は隣国韓国のナショナルフラッグキャリアで、ANAがアシアナ航空と資本提携している仲を考えると、どちらもJALとしては「仲良くしたい」相手で有る事は分かります。しかしこの様な「全方位戦略」が果たして上手く行くのでしょうか?
スカイチームは「有償旅客キロ、乗客数で最多シェアを有するアライアンス」で有りながら、企業間の統合と淘汰・他アライアンスの引抜きが進み、少数企業集団となろうとして居ます。実際スカイチームではエールフランス⇔KLM・デルタ⇔ノースウエストの経営統合が有る上に、コンチネンタル航空がユナイデット航空と提携の上スターアライアンス鞍替えが予定されており、加えて
エールフランス=KLMとアリタリア航空の統合交渉が決裂
しアリタリア航空の経営危機が深刻化する等、スカイチームは弱い立場になりつつ有ります。
そのスカイチームに対して、JALは「手を突っ込んだ」形になりますが、JALは果たしてその様な「アライアンス間を越えた提携」関係で、アライアンス間の囲い込みが進みつつ有る今の時代を生き残り、将来にわたり成長戦略を描く事は出来るのでしょうか?少なくとも「スターアライアンス」という軸を持つANAに比べると、JALのアライアンス提携戦略には大きなブレと甘さを感じます。
この様な状況でJALは生き残る事は出来るのか?最悪の場合BAを中心としたワンワールド・エールフランスを中心としたスカイチームの両アライアンスに「二股を掛けて両方に捨てられる」という可能性も否定は出来ないのではないでしょうか?しかも世界の航空業界では、エールフランス=KLMやデルタ=ノースウエストだけでなく、シンガポール航空が中国東方航空への出資を検討するなど、世界的な統合・再編の流れは加速しつつ有ります。その中で財務基盤が弱いJALが勝ち組になる事は残念ながら難しいと言えます。そう言う意味では、JALは生き残る為には既存のワンワールドを中心としたアライアンス戦略を強化すると同時に、何とか統合・再編の流れの中で負け組にならず生き残る方策を真剣に考えないと、将来の航空業界の提携・統合・再編戦略に置いて、苦しい立場になるのでは?と感じます。
しかも対外的に「囲い込み時代の提携戦略」に問題を抱えて居るJALですが、それ以上に問題なのは「自由化時代の大競争」を如何に行き残るか?と言う問題です。
日本の航空業界は此れから自由化の時代に突入します。先ずは2010年に羽田D滑走路完成で離発着能力が4割増えます。又同時に成田B滑走路北側延伸で2万回離発着能力が増加します。その空港能力拡張に合わせて羽田の国際化も進む事となります。その「首都東京の玄関口の能力拡張」に合わせて、日本の空の自由化も一層進む事は間違い有りません。しかも7月の国土交通省人事で自由化志向が強いと言われる前田隆平大臣官房審議官が航空局長に就任した事で、「2010年に向けて自由化が加速する」という噂も流れて居ます。
2010年の羽田発着枠増加を視野に入れての自由化となると、当然JALはANAと新興航空会社各社との間で「4割増えた発着枠」とそれによる自由化による競争を行わなければならなくなります。そこで国内線需要を巡る競争に勝てるのか?と言うのがJALを巡る激しい競争の一つとなります。
加えて問題なのが、今回のJALの収益改善の縦役者である国際線が晒されて居る競争です。JALの国際線の拠点空港は成田の新東京国際空港ですが、今日本の地方では「JALの地方国際線の壊滅」により、国際線利用客がソウル仁川・上海浦東に逸走する「成田パッシング」現象が発生しています。実際成田〜日本各地の空港を結ぶ路線が8路線に対して、ソウル仁川は日本の25都市との路線・上海浦東は日本の17都市との路線を持って居ます。この路線網に依り今や日本では東京・名古屋・大阪の三大都市圏以外では「成田から国際線を使うより仁川・浦東経由で海外へ向かった方が便利」と言う状況を造り出し、「成田パッシング」を演出して居ます。
「成田パッシング」とは言葉を変えれば「JALパッシング」です。今やJALは「日本からの国際航空輸送を担う」存在ではなく、「東京・名古屋・大阪の3都市からの国際航空輸送を担う」存在に成り下がろうとしています。これはJALの国際線の需要のかなりの部分を海外航空会社に奪われる事を意味します。確かに地方発着路線は採算的に厳しいかもしれません。その厳しい採算性に対して「ハブ&スポーク」戦略により効率的な運行と集客の両立を図るのが航空業界としては一般的ですが、成田・中部・関空がハブ空港と成り得ないが故に、JALは日本国内からの国際輸送のかなりの部分を韓国・中国系の航空会社に奪われつつあります。しかも此れは政府が考える「
アジアオープンスカイ構想
」が実現した時には、関空・中部も実質的に海外航空会社に開放されるので、東京以外の全ての都市から海外に移動するのにソウル仁川・上海浦東と言う日本の近くの海外ハブ空港へのシャトル便が搭乗する事になり、一層の成田・JALパッシングが進む可能性があります。
そうなった時にJALは一体如何するのでしょうか?一つの考えとして「その為に仁川にハブを持つスカイチームの大韓航空との関係を強化する」という方策を取って居るとも考えられますが、根本問題として「母国の旅客が海外に逸走する」という問題の対策にはなりません。又JALは「海外発着の外国人の利用を増やして外国人の需要を取りこむ」事を考えて居ると言いますが、その為の施策を打つにしても、「海外発着で東京に向かう客」は取り込めても東京以外の都市に行く海外からの渡航客は取りこぼす事になります。その対策を持って居るのか?となると、残念ながら今のJALには有りそうにありません。
この様に見れば、07年度決算で「経営再建の道筋が付いた」という事と「06年・07年の増資で機材更新の投資の原資を確保して「将来への道筋を付けた」と言っても、その基盤は非常に脆弱と言わざるえません。特に「アジアオープンスカイ構想」が実現した時に、日本のJAL・ANAの2航空会社の国際線事業はピンチに陥る事は残念ながら否定できません。
その影響は先ず最初に国際線比率が強く、財務的に基盤が弱く、アライアンス間をウロウロして明確な支持・支援を受けられない可能性が存在する、JALがその影響を受ける可能性は大きいのでは?と考えます。その時にJALは耐えられるのでしょうか?私は今のままでは難しいのでは?と思います。
まして「アライアンス」「自由化」「オープンスカイ」と言う今の世界の航空業界の流れに対して、上記で見たようにJALは現在の経営再建に追われて、中長期的な世界的な航空業界の流れによる脅威に対して余りに対策を取って居ないのでは?と感じます。今のままでは中長期的にJALが「世界有数の航空会社」という地位を維持するのは非常に難しいと思いますし、極論すれば最悪の場合、ANAが「スターアライアンスの日本を中心としたアジア地域ローカル航空会社」として生き残れる可能性が有るのに対し、JALは「ワンワールドに捨てられ、個別提携会社には逃げられ、東京以外の国際線旅客は韓国・中国の航空会社に奪われる」事になり、結果として生き残るのも困難な惨状に転落する可能性も十二分に有ると思います。そう言う事からも「JALは生き残れるのか?」という命題に対しては「中長期的には難しい」と言わざる得ないと感じるのは私だけでしょうか?
☆ あ と が き
この様に、一時は「破綻するか?」とまで心配されたほどの経営悪化に陥った日本航空ですが、これからも数多くの厳しい山が迫る事は確実ですが、取りあえず現在の段階では何とか「水面上に顔を出した」状況にまで辿り付いた事は間違い無いといえます。
しかし現在の世界を含めた航空業界の情勢は、国内・国際共に激しいLCCや他航空会社との競争に加えて、急速に進む燃料費高騰によるコストアップに加えて、国際線の需要も世界経済その物が今や「世界恐慌の一歩前」と言う状況からビジネス需要が低迷するであろうと言う様に、天候で言えば「どしゃ降り」一歩前の極めて厳しい状況で有ると言えます。
その中で、今も日本を代表する航空会社で有る事は間違い無い日本航空が「数年先は別にして10年先も存続して行く事が出来るか?」というと、航空業界全体の状況次第とも言えますが、未だに非常に厳しい状況である事は間違いありません。
けれども、日本の航空業界全体を見れば幾ら「JALが無くてもANAが有る」と言えども、国内線はANAが約半分のシェアを占めて居るのでJALにどの様な波乱が有れども、短期的に混乱しても中長期的には日本国中に拠点を持って居るANAがJALを代替えする事は決して不可能では有りません。しかし国際線の分野ではANAはスターアライアンスの有力メンバーで国際線も其れなりの路線網を持って居ると言えども、やはり路線網的には現状では「日本の航空会社の国際線の主役はJAL」と言わざる得ません。その様な状況を考えれば「JALが自主的に経営再建を果たして世界有数の航空会社として再飛躍する」事は、JALだけ出なく日本の航空業界全体に取っても重要な事で有ると思います。
逆に言えば必ずしも「JALの衰退はANAへの全面的なプラス」とは一概に言えません。有る意味「JALの存在が今の強いと言えるANAを作り出して居る」ともいえます。そう言う意味でも日本の航空業界の健全な発展の為にも、「健全なJALに健全なANA」と言う二頭体制は必要で有るといえます。
加えてその様な「日本の航空会社間の競争」という問題だけでなく、政府の考える「アジアオープンスカイ構想」が実現した時に、成田パッシングにより東京以外の日本各地からの海外需要が、ソウル仁川・上海浦東等の海外ハブ空港と其処を拠点にする海外航空会社に逸走し、JAL・ANAから海外への渡航客が逸走した時に、果たして日本人客の多くを失った日本の航空業界は如何なるのでしょうか?
正直言って日本航空の危機だけでなく、日本の航空業界全体の危機になり、世界的に見て「直行便が殆ど運行されない日本・東京」となった時に、海外との交流が著しく制約を受ける事となると同時にその要所を韓国・中国に握られる事となり、日本経済全体的に見ても、大きな危機となります。
その様に世界的潮流とマクロ的な流れを見る限り、今は未だ「嵐の前の静けさ」という状況にしか過ぎません。JALだけでなく日本の航空業界に取って此れからの世界は「苦難の道のり」になる可能性は十二分に有ると思います。その苦難の先頭に立たされるのはナショナルフラッグキャリアで国際線が主体のJALで有る事は容易に想像出来ます。その様な苦難の将来が待って居るこそ今のJALに頑張ってもらわないと、日本の航空業界の先が開けない事になります。そう言う点でもJALの努力は非常に重要と言う事になります。
JALに関して言えば、もっとミクロ的な点で「何とか頑張って欲しい」感情を私が抱いて居る事情があります。それは私は「JALのマイルを必死になって貯めて居る」と言う理由が有るからです。今や複数のJAL系のカードを持ち、持って居るカードは全てJALマイル交換可能とまで徹底した「陸マイラー」で何とか25,000マイル(マイル転換可能なポイントも加えれば約35,000マイル)にまで貯まるまで来ています。
此れだけマイルを貯めると言う事は、見方を替えれば「私はそれだけJALに金を落としている」という事になります。その結果として私はJALに「マイル」と言う限定的擬似通貨とも言える物を大量に預けて居る事になります。つまりはJALが倒産すれば私の資産で有る「マイル」は紙屑になります。私としてもそうなって欲しくは有りません。そう言う点からもJALには頑張ってもらわなければなりません。
今でもJALは日本の大手企業の一つであり、(マイラーの私もそうですが)多くの人が色々な形でJALと係わってしまって居ます。その様な会社が経営的に傾く事は、色々な意味で大きな負担を企業だけ出なく社会全体に掛ける事にもなりますし、国際的企業の衰退は日本の国益を減退させる事にもなりかねません。
その様な自分の企業の「公益性の強さ」と「多くの人に係わって居る」事を、JALは深く認識して再生と企業体質の強化に邁進して、真に公共と利用者の為に貢献出来る航空会社となって欲しい物です。多くの人達は「強くて便利でサービスが良いJAL」を望んで居る事は間違い有りません。JALにはその期待に是非とも応えて欲しい物で有るといえます。
※「
TAKAの交通論の部屋
」 に戻る。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |