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新規開業の神戸・北九州の2空港を訪問して
(3月25日神戸空港・3月26日北九州空港)
TAKA 2006年04月23日
今回一連の神戸訪問に伴い3月25日と26日にスカイマーク羽田〜神戸線・スターフライヤー羽田〜北九州線を利用しました。
これらの新規航空会社の新規航空路線は神戸空港・新北九州空港と言う、人口が100万〜200万人クラスの都市でありながら「今まで空港が無く新規開業の空港・羽田線が少なかった空港の移転新築」と言う空港と言うインフラ面では恵まれていなかった地域に新しく出来た空港と密接に絡んでの新規開業路線であると言えます。
そういう意味では今回の「新規航空会社誕生・新規路線就航」と「新規空港開港」は微妙かつ絶妙に相互にかみ合っている事で、日本の航空業界に影響を与えていると言えます。
この度は新規開業路線2路線・新規開業空港2箇所を極めて駆け足ですが見ることが出来たので、新規就航の2路線に関しては
搭乗記
を他で書いたので、此処ではその時に利用した新規開業空港2箇所についてレポートしてみたいと思います。
☆ 神戸空港訪問記(3月25日朝訪問)
『参考のHP』
「
神戸空港ターミナルビルHP
」「
神戸空港概要
(神戸市みなと総局)」
神戸空港は神戸市中心地三宮の沖合いに有るポートアイランドの先に大阪湾を埋め立てて出来た空港です。((5)写真参照)その為一般的には「都心から遠く不便な所に有る」イメージの強い空港とは程遠く、距離的な「神戸市街⇔神戸空港」の関係は、都心から近い空港として名高い「福岡市街⇔福岡空港」の関係と似たような関係にあると言えます。
その神戸市街地と神戸空港は、ポートアイランドと空港島を結ぶ「神戸スカイブリッジ」を通りポートアイランド経由で結ばれていて市街地まで一般道が伸びている他、新たに新交通システム「ポートライナー」がポートアイランド内循環から神戸空港まで延長され、三宮駅⇔神戸空港間を最短18分(快速)でアクセスしており三宮乗換新快速使用で大阪駅から約45分で神戸空港へアクセスできるようになり、神戸市街からのアクセスだけでなく新快速使用で大阪〜姫路間で約1時間程度で神戸空港にアクセスできる便利な公共交通アクセス網が出来ています。
(左:(1)神戸空港全景(対岸のポートアイランドより撮影) 右:(2)神戸スカイブリッジと六甲山系)
空港は上記の様に車でもアクセスしやすい環境にあり、高速バスも三宮発着便が神戸空港に延伸されたりと自動車系のアクセスも揃っている感じで、大都市の空港としては規模が小さいですが飛行機の就航本数から考えればそれなりの広さの駐車場も整備されていて、空港見学者か空港利用者かは不明ですがかなり利用されています。
又空港へのメインアクセスである「ポートライナー」は7〜8分の間隔(ポートアイランド内循環と半々で運転)で運転されており、一部は速達性を狙い新交通システムは初の快速運転もされています。
ポートライナーの神戸空港駅は殆ど「神戸空港直結」で、ホームを降りてコンコース・改札を抜け扉を1枚通り過ぎればもう其処は神戸空港出発ロビーです。飛行機に乗る場合は色々な手続きがあるから別ですが、到着便の場合ボーディングブリッジを過ぎてから新交通システムのホームまで手荷物だけであれば5分もあれば移動できます。
正月に利用した中部国際空港もそうでしたが、近年の空港ターミナルはアクセス機関から空港内へのアクセスが便利な様に色々計算されています。中部国際空港の規模になればなかなか「国内線なら飛行機を降りて5分で列車ホーム」とは行かないでしょうが、神戸空港の場合その大きくない規模が此処では逆にプラスになり、便利なアクセスとターミナルビルのアプローチ+短時間でのアプローチが可能になり、非常に便利になっています。上手く接続が合えば飛行機を降りて1時間で大阪駅に居る事も可能です。
そうなると「(色々な点での)神戸空港のアクセスの良さ」が起爆剤になり、阪神地域では神戸と伊丹の利用者獲得の競争関係が生まれてくるのかも知れません。
(左:(3)神戸空港駐車場 右:(4)ポートライナー神戸空港駅)
神戸空港のターミナルビルは「大都会の空港」と言う割にはこじんまりしています。規模的にはそんなに大きく有りません。大都市の空港と言うよりかは「地方空港に毛が生えたレベル」と言う規模です。神戸空港は発着回数が54回(平成22年以降で60回)と制約を受けて居るので、この程度のターミナルビルで十分捌けるのでしょう。同時に
色々な批判
を受けながら造った空港なので支出を最低限に抑える事で、採算性を高めて税金投入を減らして批判をかわそうとしたのではないかと感じます。
只その「小さく纏まったターミナルビル」が現在の時点では利便性を高めています。
ターミナルビル
は1階→到着ロビー・2階→出発ロビー(入口から見て左が団体・ANA,右がJAL・スカイマーク),売店,ポートライナー乗換口・3階→レストラン街・4階→展望台・レストランとなっています。又2階出発ロビーのチェックインカウンターは国際線空港のようなアイランド型式になっており、広くない空間ですが分かりやすくなっています。
このターミナルビルのポイントの一つは4階展望台から見れる神戸市内の風景です。4階展望台から滑走路の逆のポートアイランド・神戸市街地・六甲山の景色もかなり綺麗に見えます。私は昼間の風景しか見れませんでしたが、有名な神戸の夜景を海側から見たらかなり綺麗でしょうから新たなデートスポットになる事確実です。其れならばもう少しレストラン・展望スペースを拡充して商売っ気を出しても良かった気がします。
(左:(5)神戸空港出発ロビー 右:(6)神戸空港出発ロビー(全景))
今回開港約1ヵ月後の神戸空港を利用しましたが、航空便自体の利用客もかなり居ましたが、それ以上に空港見学客が多く「一般から神戸空港が注目されている」事に驚きました。この様に阪神大震災でダメージが大きかった神戸の活性化のためにも、神戸の沖合いに完成した空港への期待感はかなりの物が有ると推察できます。
実際神戸空港自体の立地は悪く有りません。大都市神戸の中心地三宮から18分のアクセスに加えて、大阪からでも大阪駅→神戸空港と大阪駅→伊丹空港のアクセスを駅前探検クラブで比較(4/24 10:00大阪駅発)してみると、10:00大阪駅発→10:46神戸空港着で所要時間46分に対し10:00梅田駅発→10:21大阪空港着で所要時間21分となっています。(参考 10:00難波発→10:38関西空港着 有料特急で所要時間38分)総合的に利便性を見ると大阪市街からは「伊丹→関空→神戸」の順番ですが、関西圏全域では「京都→関西空港(特急で)77分:京都→神戸空港(新快速+ポートライナー)76分」等の事から考えると「伊丹→神戸→関西」と言う順番になります。
そのことから考えると、利便性的には伊丹空港が利用できるのがベストですが、陸上空港の宿命ともいえる騒音問題を抱え訴訟になった事まで考えると今のように「伊丹の発着に制約を加える」体制は致し方ないと言えます。そうなると総合的に京阪神からの利便性が高い神戸空港の重要性が増します。
但し問題は過去に「
−果たして関西三空港は並立できるのであろうか?−
」で述べたような「当初神戸が空港受入を拒否して、泉州沖に関西国際空港が出来た」「その後神戸市が宗旨を翻し空港建設を計画し、震災復興を旗印に作ったのが今の神戸空港」と言う神戸市の主張の矛盾です。関西国際空港が神戸沖に出来ていれば何も問題が無く神戸市は臨空都市として発展していた事でしょうが、現在の状況では最初に「公害問題が盛んな時代」に関空を受け入れた先週地域への配慮の為にも伊丹・神戸に制約を加えてでも関空を守り立てなければなりません。
そうなると神戸は「空港を作ったが・・・」と言う状況になりかねません。「天に唾する」と言う諺が有りますが、神戸の場合「
1972年の関空受入反対決議
」が自分達の首を絞める形になり、神戸空港への制約を正当化させ空港の能力を十分発揮させなくしています。これが有るからこそ「(空域調整を大義名分にした)就航便数の制限」や「(関空への国際空港1本化の為に)神戸空港への国際便運行禁止」等の制約を課せられても文句が言えないのです。「天に唾をした」代償は余りにも大きかったと言えるのではないでしょうか?
この「天に唾をした代償」「神戸空港が抱えている根本矛盾」が神戸空港活用の最大の癌であると言えます。折角の神戸空港の立地・環境・施設が神戸市自身の定見の無さ・方針のブレが原因となり、今後とも生かされずに「中途半端な神戸空港」にしてしまう可能性が高いと言えます。今までずっと抱いていた神戸空港に関する危惧を今回の訪問で改めて感じさせられました。
☆ 北九州空港訪問記(3月26日夜訪問)
『参考のHP』
「
新北九州空港ターミナルビルHP
」「
新北九州空港概要
(新北九州空港建設促進期成会)」
新北九州空港は「1600m滑走路・14時間運用」であり、一部は海に面している物の実体は陸上空港で拡大余地が無い
(旧)北九州空港
の代替え空港として周防灘を埋め立てて造った新たに空港です。
この新北九州空港完成で、各種の工業が盛んで経済的にも現在発展が進んでいる人口約100万人の大都市である北九州市に、対東京・対海外への新たな玄関口が出来た事になります。
今まで北九州市⇔東京等の需要は、旧北九州空港の利便性の低さがマイナス要因で、新幹線or利便性の高い福岡空港に流れていたと言うのが実情でした。しかし新たに出来た新北九州空港はその流れを変える可能性がある「有望な空港」であると言えます。
(左:北九州空港全景 右:北九州空港ロビー(1階→到着ロビー・2階→出発ロビー))
新北九州空港は北九州の周防灘苅田沖に埋め立てで造られた空港で、新北九州空港連絡橋で北九州市と結ばれています。又北九州市の中心地小倉とは西鉄のリムジンバスが約45分(空港行17便・小倉行き18便)で結んでいます。加えてサブルートでJR九州朽綱駅からシャトルバスが結んで空港アクセスを確保しています。
私も今回の空港アクセスには小倉〜空港間のリムジンバスを利用しましたが、JAL・スターフライヤー両方を受ける便である筈なのに座席の半分位しか乗客が居ませんでした。未だ新北九州空港の知名度やその利便性が世間(特に北九州空港利用可能性層)広がっていない事もあるのでしょうが、もう少し利用して欲しい物です。
空港の建物自体は
駐車場
こそ「1500台は軽く置けるか?」と言うレベルの配置数で十分な量であると言えますが、
ターミナルビル
自体は神戸空港と同じぐらいの大きさで、「必要最低限+α」と言う施設です。ビル内は「1階→到着ロビー・2階→出発ロビー+売店・3階→売店+展望台+足湯」と言う構成です。ビル内の構成自体は驚くほどの物では有りませんが、今回写真を取る為に展望台に入りましたが、その時に展望台入口でガードマンが「入場料100円」と書いた段ボール箱を持ち入場料を集めていました。何時もは無料なのかも知れません。そこで入場者が多い時期は「金を取って於こう」と言う考えが起きたのかも知れません。でもその執念は褒めるべきです
2階の出発ロビーはチェックインカウンター等は神戸のアイランド型式ではなく普通のカウンター型式です。只2階ロビーの空港売店には九州特有明太子等を大量に置いてあるのと同時に、空港直近の自動車会社日産九州工場が自動車組立ロボットと自動車のカットモデルが置き自動車産業をアピールしています。これらが「北九州空港」の特徴をアピールしています。
又3階のレストラン街には「筑豊ラーメン(博多ラーメンの亜流?だが東京でも結構有名)」や「焼酎バー」等の九州の名産品を取り扱ったレストラン等もあり、ここでも北九州の個性をアピールしています。実際に搭乗前に筑豊ラーメン「山小屋」で夕食を取りましたが、なかなか美味しく「九州に来てトンコツラーメンを食った」と言う最低限のレベルは空港のレストランでクリアできたのは
これらの空港の施設等を見ると、地域のカラーが前面に出ていない神戸空港と比べて、「九州の空港」と言うカラーを前面に出していると言えます。北九州自体は神戸より観光資源が少なく「産業都市」と言うイメージが強いですが、空港だけを見ると神戸空港の方がビジネスライクで北九州空港の方が地域の特性をアピールしていると感じました。
(左:北九州空港出発ロビー 右:北九州空港飲食店街)
今回スターフライヤーに乗るために訪問した北九州空港ですが、見る限り「規模は地方空港」ですが、なかなか先行きは頼もしい空港かな?とは感じました。本来この地域では巨大空港である福岡空港が控えている為、佐賀空港の様に福岡に需要を吸い取られなかなか空港が成立する需要を確保し辛いと言えます。(旧)北九州空港も福岡に需要を吸い取られ低迷していた空港であると言えます。
しかし
福岡空港
は福岡・博多市街地から至近で非常に利便性の高い空港ですが、陸上空港故に利用時間は15時間で拡張性に乏しい等の制約を抱えています。その様な制約の有る空港に補完空港があって可笑しい話しでは有りません。ましてこの地域は有る程度の地域⇔東京間の需要があれば空港は成立します。其処から考えると九州で福岡に次ぐ規模を持ちながら福岡に隣接する北九州に福岡空港のとしての北九州空港が有る事はベストの関係にあります。
又北九州単体で見ても人口100万人の都市であり、しかも空港の有る苅田地域は日産・トヨタの工場が進出するなど自動車産業の集積が進んでいる地域で、九州の中でも経済の発展が進んでいる地域であると言えます。この様な成長性の高い地域で有るにも関わらず、(旧)北九州空港は東京便が1日5往復(
MD-87
)だけで、搭乗率は良かった物の輸送力が低く明らかに能力不足でした。
其れを解消する為に空港を拡張して大型機の就航を可能にし(JALは一部の便をMD-87⇒A300に大型化している)、加えて新規航空会社(スターフライヤー)を誘致就航させる事で、一番確保し辛い羽田発着枠を確保し対東京便12往復増と言う高頻度運行を可能にした事で新北九州空港の価値は格段に向上したと言えます。
似たような新規開業の神戸空港も(創業からは時期が経っているが)新規航空会社スカイマーク誘致で対羽田7往復確保していますが、北九州の場合は新規航空会社での枠確保に加えて自動車産業が裏付ける中国線需要をにらんでの国際線就航を行っているなどの積極策を打っているので、国際線就航が認められない神戸空港に比べると地域に与える影響はより大きいと言えます。
今や北九州地域はアジアへの玄関口となり各種産業の進出が多く、経済発展の著しい地域であると言えます。その中で劣っていたインフラが空港インフラで有ったと言えます。その北九州地域もメインだが拡張困難な福岡空港に加えてサブだが発展性の高い北九州空港が加わり、上手く役割分担をすればこの地域の航空輸送・空港運営が格段に向上すると言えます。(具体的には産業集積が進んでいるので、貨物需要が増すだろうから福岡の貨物専用便を全て北九州に移すと同時に、(北九州に就航する)
新規航空会社のギャラクシーエアラインズ
の様な貨物専業航空会社の新北九州空港誘致を進めるのは有効な棲み分け策と考える)
その様な点から考えて新北九州空港の前途は福岡空港との棲み分けさえ上手く考えれば「前途洋々」と言う事が出来るのでは無いかと私は楽観しています。又その楽観だけの経済的裏付は強いのでないでしょうか?
未だ開業してから1〜2ヶ月しかたっていない両空港ですが、当座は調子よく滑り出した感じがします。只同時に新規開業2空港で将来の明暗は分かれつつあるのかも知れないと感じます。
神戸空港は「
開業1ヶ月で羽田便84%・新千歳便79%・平均73%と搭乗率が好調の部分が有るが、一部路線(仙台・新潟・熊本・鹿児島)で搭乗率が40%台
」と言う様に既に「明暗と限界」が出てきてしまっています。これは明らかに「関西3空港体制による供給過剰」の影響です。神戸の立地で羽田便の需要こそ高くても、それ以外の路線は各空港から路線が出ている事が影響して供給過剰になっていると推察します。その様な点から見ると、関西圏と言う都市圏に空港が3つあり、その内2つが大空港でありその大空港が競争相手と言う神戸空港は、最初から厳しい状況がチラチラと見えつつあると言えます。
其れに対し新北九州空港は開業景気もあるのでしょうが、
スターフライヤーの3月の搭乗率は8割
と好調に推移しています。これが今後どのように推移するかが分かりませんが、新北九州空港は上手く北九州⇔東京需要を吸収し順調に滑り出していると言えます。
新規に開業して1〜2ヶ月の両空港ですが、どちらも大都市近郊のと言う良い立地の空港ですが、近くに大空港と言うライバルを抱えている運営の環境的には厳しい空港です。只折角出来た空港ですから今後とも有効に活用される方策を考えなければなりません。其れには先ず「近くの大空港」との棲み分けの方策を考え出して、棲み分けを現実に作る事が重要であると考えます。そうしないと両空港とも空港間競争に飲み込まれてしまうかもしれません。その危険性も(特に神戸空港は)高いと言えます。
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