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果たして「東京SMOOTH」は実現したのか? 〜 PART2 〜

-首都高速中央環状新宿線 全面開通の状況を見て-


TAKA  2010年 04月 04日



やっと3号線渋谷方面・東名方面と繋がった「首都高中央環状新宿線」 これで「東京SMOOTH」はどうなる?


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 ☆ ま  え  が  き   〜遂に東名接続まで整備が進んだ首都高速の中央環状線整備〜

 私も車で良く移動しますが、東京は「車での移動」を考えると残念ながら便利な都市とは言えません。
 実際車の通行量に比べて道路のキャパシティが越える箇所が多数有る為渋滞が頻発し、それに伴う時間的ロスは大きな物が有ります。しかも東京は「環状道路」のキャパシティが厳しい上に、東京を目的とする自動車・東京域内を移動する自動車に加えて東京を通過する自動車も東京に流れ込む為に自動車交通が錯綜して混雑・渋滞が激化します。
 その傾向は、東京の域内移動・東京を着発地とする移動・東京を通過する移動が集中する「首都高速道路」や「一般道の環状道路」に強く、しかも西側が絡む首都高速の移動は「都心環状線を経由する」状況に有る為に、東京の西側を走る首都高速3号線・4号線・5号線は都心環状線を中心に激しい渋滞が恒常的に発生しており、同時に一般道路で有る東京の環状道路である環状六号線・環状七号線・環状八号線にそれらの交通も流れ込んできて居ます。
 その為東京西部・多摩・神奈川北部を仕事のエリアとして居る私は、車で移動するとかなりの頻度でこの渋滞に巻き込まれて苦労をしています。

 その様な厳しい渋滞の状況を強めて居るのが「東京の環状道路の不備」です。東京では「3環状(首都高速中央環状線・東京外かく環状道路・首都圏中央連絡自動車道)」の整備が進められて居ますが、その3環状ですが完全に整備が完了して居る道路は1本も無く「東京には環状高速道路は首都高速都心環状線しか無い」という厳しい状況でした。
 その中で、2007年に「 圏央道:あきる野IC〜八王子JCT間開業 」と「 首都高中央環状新宿線:熊野町JCT〜西新宿JCT間開業 」で、東京に出入する放射高速道路間を結ぶ環状高速道路の整備の内今まで遅れていた西側の部分にも整備が進んで来ました。
 その様に「亀の歩み」で有りつつも整備が進んできた東京の3環状高速道路ですが、3環状の一番内側で一番最初から整備が進んでいた(1987年東側区間全面開業・2002年王子線開業・2007年新宿線北側開業)首都高速中央環状線が遂に3号線大橋JCTまで開業し、首都高速の放射路線を介して東名・中央・東北・常磐・東関東の各高速道路が首都高中央環状線で結ばれ、(首都高中央環状線は未だ品川線が有るので曲がりなりだが・・・)「3環状の一つの輪」が完成したと言う事が出来る状況になりました。

 今回の開業は、私に取っても「身近で便利な存在」である「首都高速中央環状新宿線」が3号線まで伸びて東名高速と繋がったと言う「大イベント」です。開業が3月28日と言う「年度末」で急がし時期の日曜日でしたので開業後ナカナカ走る事が出来ませんでしたが、開業から約一週間経過した4月3日の土曜日に車で家の帰る途中に時間を取り中央環状新宿線の新規開業区間を試走をする事が出来ました。
 さて、この度3号線まで繋がった「首都高中央環状新宿線」は「混雑緩和と車での所要時間短縮」という私の願いをかなえてくれる路線だったのでしょうか?

 「参考サイト」 ・ 首都高速道路㈱HP  ・ 首都高C2InformationCenterHP  ・国土交通省関東地方整備局 3環状HP  ・ 首都高速中央環状線 (wikipedia)


 ☆ 首都高速中央環状新宿線 西新宿JCT→大橋JCT(三軒茶屋出口まで) 内回り走行記 (4月3日 16時半過ぎ)

 私が首都高速中央環状線の新規開業区間を試走したのが4月3日土曜日の午後4時半頃からでした。時期的に年度末の忙しさが一段楽した週末で有り道路交通的には「交通量が少ない日」(実際午前中走っていた練馬〜多摩の一般道は空いていた)で有った事は間違い無いといえます。
 しかしながら既開業の首都高中央環状新宿線北半分は、2007年の開業後何十回(特に西新宿JCT⇔中野長者橋・西新宿JCT間)も利用して居ますが、近年は外廻りの熊野町JCT・内廻りの中野長者橋出口や西新宿JCTでチョット混み出しましたがそんなに混雑で悩まされる事は無く、多摩地域に仕事が多く中央高速を多く利用する私は随分重宝に使って居ました。
 果たしてその中央環状線の状況が、今回の南区間の開業でどのように変わるのか?私個人的には多いに注目と言えます。

 
左:東北道方面と東名方面の2車線になった西新宿JCT 右:厳しい敷地条件からの直角カーブ(R=60)は健在
 
左:西新宿JCT⇒東名方面も急勾配で山手トンネルへ降りて行く 右:本線への合流箇所から既に渋滞が始まる・・・。

 中央環状線と4号線とのジャンクションで有る 西新宿JCT は4号線との接続部と北半分が既に開業して居ましたが、今回同じ構造で3号線方面と結ぶ南半分が完成し全面完成となりました。しかし甲州街道と山手通りの初台交差点上に作られ、狭い交差点上に作られたJCTなのでR=40の厳しいカーブが有り加えて高架上の一番高い所から地下の山手トンネルまで高低差は約50m有る為、非常に運転しづらいJCTで30km/hの速度制限が掛かるほどです。
 西新宿JCTは前は北行きの1車線でしたが、今回は東北道方面・東名方面の2車線が設置されルート毎に色分けもされて視覚的に分かり易くなって居ます。しかし相変わらずカーブと坂が厳しく走りづらく、(仕事では)軽自動車を使って居る私に取っては非常に走り辛い道となって居ます。
 山手トンネルに入ると本線と合流になりますが、大橋JCTを先頭とした渋滞が既に此処まで繋がって居ます。此処から大橋JCTまで混雑が続いて居るとなると3〜4kmの渋滞で、抜けるのに20分程度掛かる事が想像出来ます。しかも渋滞に入ると今度は車が殆どう後か無くなりました。この渋滞はかなり深刻です。

 
左:渋滞に嫌気がさしてか?富ヶ谷出口で降りる車も多い 右:大橋JCTの手前で1車線に車線が減少してしまう

 西新宿JCTの南側には「初台南出入口・富ヶ谷出入口」が並んで居ます。西新宿JCTから中央環状線に入るとを暫くすると富ヶ谷の出口です。中央環状線の出入口は「西池袋⇒池袋・中野長者橋⇒新宿・富ヶ谷⇒渋谷」と言う位置関係になっており、渋谷に行くには「富ヶ谷の出口を出るor3号線まで走り渋谷出口を使う」という選択肢になります。その為富ヶ谷で流出する車も多数有りますが、その内それなりの割合の車は中央環状線内の混雑が激しい事も有り痺れを切らして富ヶ谷から山手通りに出てしまう車で有ったと言えます。実際結構強引な車線変更で出口に向かった車も居たので、その車は「痺れを切らした組」だと思います。
 この様な激しい渋滞の現況は「大橋JCTの手前で一車線になる」事が原因です。元々中央環状新宿線は大橋JCTが終点ですがその先は品川線と繋がり大井まで抜ける工事が進んでおり其方が本線筋になります。その為大橋JCTへのルートは1車線しか設けられて居らず必然的に最終形で無い現在は本線が途中で1車線に絞られる形となります。
 この合流を一つの先頭としてかなり激しい渋滞が発生しています。今までも中央環状線内回りは西新宿JCTで1車線に絞られて居ましたが、今回は西新宿JCTに比べて多い車がこの1車線区間に流れ込んできます。このため激しい渋滞が発生して居ると考えて間違い無いでしょう。

 
左:本線トンネルから大橋JCTへの接続口 右:大橋JCT内の「ループトンネル」内では東名・都心環状線への車線が色分けで分かり易い?
 
左:大橋JCTの東名・都心方面への分岐点 右:分岐点を過ぎて外に出ると3号線下りは目前

 1車線に減った後、暫く進むとトンネルが明るくなり本線トンネルから大橋JCTに入ります。 大橋JCT は4層ループ構造のJCTで、中央環状新宿線と3号線の約70mの高低差をループ構造の2周分も使いながら接続していて、その大部分はコンクリートの壁に覆われて居ます。
 大橋JCTの内部はトンネル内の車路に比べて明るく照明が設けられています。又ループ内では2車線が「東名方面・都心環状線方面」に分けられてカラー舗装等を使い明示されていて走りやすい環境が作られて居ます。しかしループで勾配も緩和されては居る物の私の軽自動車のような車には坂道は少々厳しく、しかも渋滞で「止まったり走ったり」の状況ではパワーの無い車はATでも坂道発進で少し下る様な事が有り、特に上り坂では「渋滞して居ると走りづらい」と言うのは感じました。
 大橋JCTの最上階で東名方面と都心環状線方面が分かれると、東名方面は道なりに左カーブで都心環状線方面は急に逆に右カーブになり3号線と合流します。この合流の辺りでも急に逆カーブになる場所が有ったり急に逆勾配になる所が有ったり道路の変化が大きい場所が有り少々走り辛い感じがしました。まあ私の車がアンダーパワーと言う事も有るのでしょうが、大橋JCTの内廻りに関しては全般的に上り坂+カーブで走り辛いと言うのは感じました。


 ☆ 首都高速中央環状新宿線 大橋JCT→西池袋出口 (外回り)走行記 (4月3日 17時半前)

 さて内廻りを試走した後は外廻りの試走です。この日は本当なら中央高速⇒首都高4号線⇒中央環状線西池袋出口と向かう予定だったので、中央環状新宿線の南区間を寄り道して居る分大橋JCTから一番近い三軒茶屋出口で出て近くをUターンして今度は三軒茶屋の入口から3号線上りに入ります。
 3号線に入れば、上りは当然の如く「都心環状線谷町JCTを先頭とした渋滞」が此処まで伸びておりそれに巻き込まれますが、この辺りは大橋JCTまで数百mの距離ですが三軒茶屋の入口車線・池尻の出口車線・大橋JCTの分流車線が比較的近接して有る為、三軒茶屋入口から入ると比較的スムーズに大橋JCTまで進む事が出来ます。
 大橋JCTの分流の段階で3号線上りで「都心方面に進む:中央環状線に進む」比率は見た目で「7〜8:1」位の比率です。本当はもっと中央環状線を使う人の比率が多いかな?と思いましたが以外に少なく混んで居る都心環状線方面を目指す人が多いと見ました。此れは後述の問題が「中央環状線を使う事への抵抗感」として存在して居るかな?と思います。

 
左:3号線下りでは池尻出口の直ぐ先が大橋JCT 右:中央環状新宿線への分流地点
 
左:直ぐに勾配・カーブ・トンネルが現れる大橋JCT 右:大橋JCT内のカーブは緩さが2種類有る?(この写真は緩い方)
 
左:大橋JCT内のカーブは緩さが2種類有る?(この写真は厳しい方) 右:外回りも大橋JCTを出る所で1車線に減る

 3号線上りから上り坂・カーブを抜けて大橋JCTの中へ入って行きます。大橋JCTの中に入ると直ぐに都心方面からのルートと合流して2車線になり、右カーブが続きながら下り坂を地下の山手トンネルに向けて一路降りて行きます。
 内回りと違い外回りは渋滞も無く下り坂なのでスムーズに降りて行きます。しかし下りも勾配は厳しいので速度超過にならない様に気を付けて走る必要が有ります。ATのギアをダウンしてエンジンブレーキを掛けるほどでは無い物の常にフットブレーキは踏んでいる必要性は有りました。
 又大橋JCTはループ状では有る物の完全な「円形」ではなく「楕円形」の形の為、カーブは均一なカーブが続いて居る訳では無く緩急が付いて居ます。実際に運転して見ると同じ様な景色が続きカーブの緩急の差を視覚的に感じるのは路面のゼブラ位なので、少々ハンドル操作に戸惑う場面も有りました。その内「下り勾配の速度超過とカーブの緩急でのハンドル操作ミス」で事故が発生しないか?チョット心配にはなりました。

 大橋JCTは外廻りも中央環状線本線に合流する手前で1車線に減少します。この日は外廻りは交通量が少なかったので此処での車線減少は渋滞を引き起こしませんでしたが、もし此処で渋滞が起きて大橋JCT内に渋滞が伸びていたら・・・、此処は中央環状線で唯一の「下り勾配のカーブの出口で1車線に絞る場所」なのでループのカーブで見通しは効かないですし下り勾配でスピードは出易いですから「玉突き事故」が発生し無いか?心配です。
 しかしながら、本線トンネルに入ると山手トンネルは走り易い環境です。地上の山手通りをほぼ忠実にトレースして居るのでカーブは結構有りますが、極端に見通しが悪い訳では無く「制限速度+α」の速度で走る限りは特に問題が有りません。それは既に山手トンネルの北半分の区間で約2年チョット問題が無かった事で証明されて居ると言えます。
 幾ら都市高速のトンネルで急曲線が何箇所か有れども、長大トンネルで有っても自動車の交通には問題が無く10kmクラスの都市高速の長大トンネルを造り運用する事に問題が無い事は山手トンネルの実績で証明出来たと言え、将来の外環の練馬〜杉並〜世田谷地区の「長大トンネル建設」でも問題が無いと言うのは大きな事で有ると思います。

 
左:山手トンネル内の走行空間(1車線区間) 右:山手トンネル内の走行空間(2車線区間)
 
左:初台南出口分流付近トンネル状況 右:西新宿JCT分流付近トンネル状況
 
左:外廻りは西新宿JCTの辺りから渋滞が始まる 右:4号線からの流入が来ると渋滞は本格化してしまう・・・

 本線に入り暫くスムーズに進むと、富ヶ谷入口・初台南出口が有り此れを過ぎると西新宿JCTに向かう分流路が続きます。しかし3号線から流入して来た交通量が少ない事も有り本線を走る車がチラホラで特に富ヶ谷入口から入ってくる車や初台南出口で出る車は未だ少ない状況です。この辺りは未だ「どんなルートだかの認知度が高く無い」事が影響して居るのかも知れません。実際北側でも「中野長者橋・西池袋」の出口の利用度は開業して1〜2年位から高まってきて今では「中野長者橋出口で出口信号に起因する渋滞」が発生するまでになって居ます。そういう意味では未だ「最初」なので通る車は限定されて居るのでしょう。
 しかし、丁度西新宿JCT直下位から渋滞に引っ掛かり、西新宿JCTの流入路の辺りからは4号線から入って来る車が加わり殆どノロノロでしか動かない状況になってしまいます。この日も普通は5分位で走れる西新宿JCT〜西池袋間が30分近く掛かる状態になってしまって居ました。
 この渋滞の原因は「熊野町JCTの構造と1車線に車線が減少する事」及び「西新宿JCT〜大橋JCT間開業による交通量増大」に有るとは思います。今までも時々1km〜2km程度の渋滞が発生する区間でしたが、今回の開業でこの熊野町JCTを先頭とする渋滞はほぼ恒常化してしまいました。
 これは中央環状線を西新宿JCT〜西池袋間で良く使う私としては非常に悩ましくかつ深刻な問題です。此れだけ混むと下手したら4号線から要町・千川地区に向かう場合、昔の「4号線永福〜環七〜裏道」ルートの方が早い可能性が有ります。そういう点では今回の開業を私は「手放しでは喜べない」状況になってしまって居ると言えます。


 ☆ (結論に変えて)首都高速中央環状新宿線全面開業で、どの様な「SMOOTHな高速道路」になるのか?

 今回の全面開業で、東京の「3環状」の中で最初に「東京に入る各高速道路間を結ぶ路線」となり、東京の道路の混雑緩和に大きな期待の集まる首都高速中央環状新宿線ですが、果たしてその開業効果はどれ位有ったのでしょうか?結論に変えて考えて見たいと思います。
 先ず今回の開業区間と対比する形といえる2007年12月に「暫定開業」した首都高速中央環状新宿線熊野町JCT〜西新宿JCT間に関しては、その開業後の効果について「 山手トンネル開通後の整備効果について 」と言う資料が出て居ます。
 この資料を読むと、「4号上りをはじめ40km/h以上で走行できる時間帯が増加・平日ピーク時間帯の渋滞長が平均で26%減少・高井戸→三郷の平均所要時間が14分短縮・山手トンネル周辺の一般街路渋滞が33%減少」と言う効果が上げられて居ますが、首都高4号線・甲州街道・環七・環八を良く使うのでこの様な効果が存在して居るのは感じて居ますし、実際私も「 「東京SMOOTH」は実現するのか? 」の最後で開業直後から現れた効果について触れて居ます。
 現在はその効果も少々薄れだして、特に4号線上りや一般道では混雑が戻ってきたかな?と一利用者としては感じます。しかしそれでも「首都高中央環状線熊野町JCT〜西新宿JCT間の開業効果は大きかった」と今でも言う事が出来ます。

 では今回の「首都高速中央環状新宿線西新宿JCT〜大橋JCT間開業の効果」はどれ位の物なのでしょうか?
 と言っても、この原稿を書いて居る段階で未だ開業してから約1週間しか経過して居ない状況で、少なくとも「統計的に効果を把握出来る期間」では無いですし、当然ながら私も現在に置いては効果を分析する為の数値的な資料を何も持ち合わせては居ません。
 なので、見た感じの現在の状況を基にして考えるしか無いと言えます。では「首都高速中央環状新宿線西新宿JCT〜大橋JCT間開業の効果」はどれ位なのでしょうか?その事を考える手掛かりになるかな?と私が考えるのが下の3枚の写真です。

3月28日 首都高中央環状新宿線開業後の混雑状況(4号線初台手前の渋滞情報掲示板)
  
左:3月30日 13:00頃   中:3月31日 13:00過ぎ   右:4月3日 16時半頃

 これは、首都高4号線初台手前に有る「渋滞情報掲示板」の状況です。3月28日の開業後この場所を上記の3回の時間通った時に撮影をしました。
 此処には前から渋滞情報掲示板が有りましたが、私が何回も此処を通って居ますが「常磐道への所要時間が都環<中環になった事」は見た事が有りませんし、「中央環状線西新宿JCT⇒熊野町JCT間が赤くなった事」も殆ど見た事が有りません。
 しかし3月28日の開業後は3つしかサンプルが有りませんが、西新宿JCTを起点に見ると中央環状線の混雑が明らかに激化して西新宿JCTから中央環状線を利用する場合、外廻り・内廻り両方ともかなり激しい渋滞を覚悟しなければならなくなりました。又3号線上りに関してもかなり激しい渋滞が発生して居るのが分かります。正直言って西新宿JCTを基準に見ると混雑をして居ないのは4号線上りだけと言う事になります。
 実際4月3日夕方には中央環状線は「内廻り⇒大橋JCT・外廻り⇒熊野町JCT」を先頭に西新宿JCTまで渋滞して居ましたし、3号線も上りは大橋JCT〜谷町JCT間が渋滞して居ました。この日の一般道の状況(殆ど渋滞に当らなかった)や年度初めの土曜日(比較的動きが少ない)と言う事を考えても、この渋滞は「激しい渋滞」と言う事が出来ます。
 まあ未だ開業1週間ですから一概に言う事は出来ないでしょう。しかし開業後の安定しない状況を差し引いて考えても、今後の傾向は多少は見えるのかな?と思います。その結論はこの状況を見れば私個人の見解としては、何か「首都高速中央環状新宿線西新宿JCT〜大橋JCT間の開業前寄り開業後の方が状況が悪くなったのでは?」と言う感じです。少なくとも2007年の開業後の「山手トンネル開通後の整備効果」のプラスの部分は食い潰してしまったのでは?と感じます。

 さて、その様な「厳しい状況」は何故生まれてしまったのでしょうか?。その要因は私の推測ですが「開業後の中央環状線の交通量増加が開業前に整備効果を出していた『絶妙かつ微妙なバランス』を崩してしまった」と言う事が有ったのでは?と思います。
 此れに関して明確な数値資料は有りません(実際の所速報でも出るまで1ヶ月〜数か月掛かるでしょうから・・・)。しかしその事を考える「傍証」は幾つか有ると思います。
 一つは「此の頃見た目で明らかに熊野町JCT〜西新宿JCTの通行量が増えてきた」事で有り、もう一つは「全面開業前でも此の頃外廻りは熊野町JCT・内廻りは西新宿JCTを中心とした渋滞が増えてきた」と言う事です。その結果開業当初ほど中央環状線はスムーズに流れなくなり周辺道路(特に環状七号線)に車の流れが戻ってきたような感じがします。
 この「壊れかけていたバランス」が、中央環状新宿線が全通した事で東北道・常磐道⇔東名高速が結ばれた結果として「中央環状線への流入量の増加」により、バランスが崩れてしまい流れがスムーズに行かなくなり、しかも大橋で中央環状線からの流れを受け止める3号線の渋滞も激化したと言えるのでは?と思います。

混雑が頻発する要因となった2つのボトルネック
 
左:内回りは大橋JCT手前で1車線に減るのが大きなネック 右:外回りは熊野町JCTの車線減少と前々から危惧されていた熊野町JCTの構造問題がネックに(写真は07年撮影)

 その原因は何処に有るのか?それは(有る意味)明確です。上記の走行記の中でも触れて居ますが、中央環状線の外廻り・内廻り各一箇所ずつ有る「ボトルネック」の存在です。其れが上の写真の「内廻り⇒大橋JCT手前・外廻り⇒熊野町JCT手前」にある「1車線への車線減少区間」と「内廻り⇒減速を余儀なくされる大橋JCTの上り坂&カーブ・外廻り⇒大幅な車線変更を余儀なくされる熊野町JCT〜板橋JCT間」という「道路構造上の問題」が絡み合い渋滞発生のボトルネックになって居ると感じます。
 熊野町のボトルネックに関しては2007年の開業時点から問題が危惧されていた場所ですし、前々から時々通行量増加時には渋滞が時々発生していた場所です。又前は内廻りで同じく1車線に減少していた西新宿JCTがボトルネックになり此方も通行量増加時に時々渋滞して居ました。
 この様に前々から「ボトルネック」は有った物の、今まで中央環状新宿線は「4号線経由で永福・高井戸・中央高速方面に向かう車orその方面から来る車」しか利用し無かった為、ボトルネックが有っても何とか捌けて居たのでしょうが、今回の延伸で大橋で3号線と繋がり大橋で都心方面・東名方面の両方に行ける様になった事で通行量が増加して、今までは隠れていたボトルネックが顕在化してしまい、「環状高速路開業に寄る混雑緩和」が隠れてしまい「ボトルネックを抱える環状路その物の容量オーバー」が現れてしまったのだと思います。

 この様に考えれば、有る意味前に述べたような「2007年の開業後の「山手トンネル開通後の整備効果」のプラスの部分は食い潰してしまったのでは?」「首都高速中央環状新宿線西新宿JCT〜大橋JCT間の開業前寄り開業後の方が状況が悪くなったのでは?」と言う状況から考えると、今回の命題の『どの様な「SMOOTHな高速道路」になるのか?・果たして「東京SMOOTH」は実現したのか?』と言う事に関して、 2007年の前回 は「Yes」と言う答えを出しましたが、2010年の今回は「No」という答えを出さざる得ません。
 実際今から2007年を振り返れば2007年の成果も「薄氷の上に載った成果」であり、今回は多分「想定より負荷が掛かりすぎて成果が上手くで無い」と言う事が有るのだと思います。
 確かに今回首都高中央環状線を介して「第二の環状ルートで東名・中央・東北・常磐・東関東が繋がった」のですが、今の中央環状線には「副都心を結ぶ環状ルート・首都高の中での第二の環状ルート」と言う本来の目的に加えて、先程の「首都高を介して各高速を結ぶ第二ルート」と言う役割を担わされて当初計画以上の負荷を掛けさせられて居る事に、首都高中央環状線が渋滞頻発路線になった「根本の原因」が有ると思います。
 本来なら「東名・中央・東北・常磐・東関東各高速道路を結ぶ」という役割は「東京外かく環状道路」が担うべき役割ですし、「東京をスルーして地方を結ぶ通過高速交通」に関しては「首都圏中央連絡自動車道」が担うべき役割です。その為に「3環状」というプロジェクトが存在して居るのです。しかしながら「東京外かく環状道路」は一体何時全面完成するのか?目処が経たない状況ですし、首都圏中央連絡自動車道に関しては西久保JCT〜木更津東JCT間の主要区間に関して「(早くて) 2012年度開業予定 」と言う状況です。少なくとも大外で通過交通を受け流してくれる「首都圏中央連絡自動車道」が2012年度に主要区間が開業するまでは、首都高中央環状新宿線の苦戦は続く事になると思います。

 そういう意味では、今回の開業は首都高速道路会社の「努力」で有る事は間違い有りませんが、首都高速道路会社の掲げた「東京SMOOTH」と言う目標は残念ながら「達成未だ遠く」という状況である事は間違い無いと言えます。
 しかしながら、首都高速会社の目標で有る「東京SMOOTH」は東京都民並びに近在居住の住民の望みでも有ります。しかしこの達成は首都高速道路会社の努力だけでは「如何にもならない」事なのは間違い有りません。首都高速道路会社だけで無く国土交通省・各高速道路会社・東京都や関東各県の自治体と関連住民の努力・協力により、速やかに「3環状の完全完成」を目指さなければ達成出来る物では有りませんし、同時に「インフラの建設」だけで無く「自動車交通その物の量のコントロール」が必要なのかもしれません。
 その様に色々と課題が有る事を考えても、残念ながら「東京SMOOTH」の実現は遠い道乗りなのかも知れません。今回その難しさを改めて感じさせられました。




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