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ローカル線再生のスター 和歌山電鐵の「スーパー駅長たま卿」が電車に!?

− 和 歌 山 電 鐵 に 登 場 し た 「 た ま 電 車 」 に 試 乗 し て −


TAKA  2009年05月04日


名実共に和歌山電鐵の顔「スーパー駅長たま卿」


 ☆ ま え が き

 最初に私事を持ちだして申し訳有りませんが、私自身は決して「猫好き」では無い物の我が家では母親が猫好きの為7匹の猫を飼って居ます。まあ7匹飼って居るのはかなり多い部類に入るとは思いますが、実際母親の友人や親類でも数匹の猫を飼って居る人が何人も居ますし、先日訪問した個人邸の施主の所でも6匹猫を飼っていて猫の話題で盛り上がりました。
 そう見ると明らかな通り結構猫好きの人々は人口的には多いのが良く分かります。実際日本では、(全ての) ペット産業の市場規模は約1兆円 規模にまで拡大し、 ペットとして猫が約1,000万匹飼育されて居る との資料も有り、今や人間の生活の中でペットの存在はかなりのウエイトを占めて居る人々が多くなって居る事を示して居ます。
 この事から「猫好き」の市場規模を考えると、鉄道マニアの 市場規模 は人口が約14万人で金額で約260億円と言う規模に過ぎず、「猫好き」と「鉄道マニア」を比べたら、猫好きの方が人口・経済規模共に「桁一つ多い」事は容易に想像出来ます。

 何故交通論を書くのに、最初に「猫好き」と「ペット市場の経済規模」と言う話に触れたかと言えば、今回の内容が和歌山電鐵の「スーパー駅長たま卿&たま電車」だからです。
 和歌山電鐵とスーパー駅長たま卿に関しては私も興味深く見て来ており、一番最初に訪問したのが2007年のGWでしたので、そこから現在まで約2年の間に合計5回訪問して居ますが、やはり和歌山電鐵は「スーパー駅長たま卿」を始め色々な「人々の注目を集めるツール」が悉く当り、開業以来定期外利用客が増えており赤字も「8,000万円の赤字補填の範囲内」に収まるなど、苦しい状況に追い込まれて居る地方ローカル線の中で「特筆すべき成果」を挙げて居ます。
 特に人気の中心である「スーパー駅長たま卿」は、関西ローカルだけで無く全国区の放送に取り上げられる事で、今や「全国区の知名度」が有る事は間違い無く鉄道に興味の無い普通の人でも多くの人が知って居ますし、「スーパー駅長たま卿」を見に(両備グループ以外の) 観光ツアーが組まれる 程になって居り、多数の観光客が訪れる「和歌山の観光名所」と言える状況になっています。

 今回その「スーパー駅長たま卿」が「電車になった」と聞き、早速和歌山を再訪する事にしました。その事が明らかになったのは昨年で、昨年の10月18日には「たま電車デザイン発表祭」が開かれ、その後車両の製作が進み遂に今年の3月21日に登場の運びとなりました。
 約2年前の07年5月に始めて訪問して以来、08年4月26・27日(貴志川線祭り)と10月18日(たま電車デザイン発表祭)と過去に都合4回訪問しており今回は5回目の訪問になりましたが、今まで節目節目に訪問して居るので、「たま電車登場」となれば何としてでも現地を訪問しなければなりません。
 そういう訳で、本当は3月21日の「たま電車」デビュー&第4回貴志川線祭り」に行きたかったのですが仕事の都合で行けず、日を改めて4月の3〜5日の関西訪問時の「メインデッシュ」としてたま電車の見学に、交通総合フォーラムでご一緒させて頂いて居る和寒様・とも様・KAZ様と一緒に訪問して、(私に取って)期待の「たま電車」を見て来ました。

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 「参考サイト」 ●(和歌山電鐵関係) ・ 和歌山電鐵HP  ・ 両備グループHP  ・ 貴志川線の未来を“つくる”会HP  ・ わかやまの交通まちづくりを進める会  ・ 和歌山電鐵貴志川線 (wikipedia) ・ わかやま小町blog
         ●(TAKAの交通論関係) ・ 「たま駅長」と「いちご電車」がローカル鉄道を救うのか!?  ・ ローカル線再生の理想的方向性とは?
         ●(その他関係) ・ たま駅長、電車になる (以久科鉄道志学館) ・「たま電車」発表会へ−スーパー駅長「たま」がついに電車化!  123 (上池台、いぶき野経由、南栗橋ゆき)
               駅長マント姿で出席 「たま電車」デビュー式典  ・ 「たま電」効果で乗客3割増 和歌山電鉄  (産経新聞iza) ・iza内での「たま電車」での 検索結果

 「参考文献」 ● 日経ベンチャー09年2月号 「FACE ザ・経営者 両備グループ代表 小嶋光信 −日本一有名な駅長「たま」を生んだ地方公共交通の救世主−」

 ※本記事は「 TAKAの交通論の部屋 」「 交通総合フォーラム 」のシェアコンテンツとさせて頂きます。

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 ☆ 正しく「スーパー駅長たま卿」が電車になった「たま電車」見学記 (4月4日現地訪問)

 今回の「たま電車」見学に関しては、二段階に分かれる事になります。今回は偶々08年10月18日の「たま電車デザイン発表祭」を見た上で、改めて出来た実物を今回4月4日に見る事が出来ました。なので「二段階」に分かれる事になります。
 先ずは昨年10月18日の「たま電車デザイン発表祭」については、私は交通総合フォーラムでお馴染みの和寒様・KAZ様と一緒に現地を訪問し、「たま電車」のデザインを見て来ました。「たま電車デザイン発表祭」に関しては、和寒様が「 たま駅長、電車になる 」で取り上げられて居るので、良い写真が多数あるので「たま電車デザイン発表祭」の詳細は其方に任せるとして私は「たま電車を見た時の感想」をメインにしたいと思います。

 私は。この電車のデザインを見た時には「いや〜たまがイッパイだな!!」と言うのが第一印象でした。和歌山電鐵は開業以来既存の車両の改造で「いちご電車⇒おもちゃ電車」とユニークな車両を造って来ました。これらの車両が今でも一般人受けしていて、観光客などが来ると今でも「記念写真」を取って居る程です。
 今回の「たま電車」もその路線を引き継いだ形で、同じく水戸岡鋭治両備グループデザイン顧問がデザインした車両ですが、たま電車デザイン発表祭で見た車両の模型を見たら、水戸岡氏がデザインした「たまスーパー駅長のイメージキャラクター」が車両にイッパイ貼って有ります。このキャラクター自体が「非常に可愛い」ので好きですが、このキャラクターが車体イッパイに貼って有る車両の実物は果たしてどんな車両になるのか?、デザイン発表祭の時には非常に期待を持って翌年3月の登場を待つ事にしました。

  
左:10月18日のデザイン発表祭りの時の模型が・・・  右:模型通り「たまがイッパイ」の電車になって登場

 さて4月4日に実際に見た「たま電車」と言えば・・・、10月18日の「たま電車デザイン発表祭」で見たデザインと殆ど変わらない電車となって居ました。
 この車両は大元で言えば 南海の22000系 であり、それが貴志川線の路線移譲に合わせて南海から和歌山電鐵に譲渡された物です。今でも和歌山電鐵貴志川線の他に南海のローカル線区間で運用されて居る車両で、山線用だったので2ドアで有る以外は「チョット田舎ムードの古めの車両」という「何処にでも有りそうな車両」です。
 和歌山電鐵では、この22000系シリーズの2270系(貴志川線に移籍時に車体更新を実施)を運用していて、その車両を今まで水戸岡氏のデザインで「いちご電車」「おもちゃ電車」と改修されて居ますが、今回の「たま電車」も基本的には同じ水戸岡氏のデザインでリニューアルされて居ます。

  
左・右:外装には色々なポーズの「スーパー駅長たま卿」が沢山居る!?

 今回「たま電車」の改造については、基本的に車体等に関しては手を入れずに、外装を白で塗装してその上に「101匹の猫の駅長たまのマスコットキャラクターが貼られて」おり、車両全体が「たま駅長イッパイ」の状況になっています。又出入口部と中央窓下などに「たま電車」「TAMADEN」のロゴが入って居ます。又車両前面には前面中央には「たまのイラスト入り真鍮プレート」が配され、プレートの左右に猫のヒゲをモチーフにした線が書かれて居ます。

 又内装は、壁にたま駅長の(小さい)マスコットが無数にプリントされて居ると同時に、椅子はモケットが三毛猫の柄で背もたれには猫の形になっていて、車内に「スーパー駅長たま卿」用の駅長室や動物の本を置く「たま文庫」等が置かれていて、外装だけで無く内装も「スーパー駅長たま卿」一色になっています。
 昨年の「たま電車デザイン発表祭」の時には、デザインを担当した水戸岡氏が「猫嫌いの人は乗れないかもしれない電車」と言ったと記憶してますが、正しくその様な個性的な電車だと思いますしデザイン的に色々な隠し玉(床にたま駅長の足跡が有る等)が有り、乗って非常に面白い電車に出来上がったと思います。
 しかしながら、「個性が強い」側面も有りながら日常利用も問題なくこなせる様にデザインされて居ます。「個性によるアピールと日常利用の両立」という辺りは、流石にJR九州の特急車両や岡山電気軌道のMOMO等多くの鉄道車両をデザインして来た水戸岡氏だけ有り「デザイン面で上手く処理しているな」とは感じました。

 
左:たま電車の車内  右:ネコ等の本を置いた「図書コーナー」も完備
 
左:さすが「スーパー駅長たま卿」様の駅長室も完備  右:普通の電車の椅子とは思えない「ネコ椅子」

 流石に此れだけ個性的な車両だけあり、「スーパー駅長たま卿」の人気と相まって、貴志川線に多くの人を集めて居る事は間違い有りません。実際4月4日の見に行った当日も、行きに乗った「いちご電車」・帰りに乗った「たま電車」も多くの乗客が乗っていて立ち客が出る状況でした。この日は「おもちゃ電車」が検査入りしていたので、「いちご電車」「たま電車」の他に普通の車両も運用されて居ましたが、普通の列車の車内は「座席に空きが見える程度の乗車率」でしたので、明らかに「いちご電車」「たま電車」の乗車率が高かった事は間違い有りません。この事は「いちご電車」「たま電車」狙いで乗って来て居る人も多い事を示して居ます。これは「定期外乗客を集める」点で大きなプラスだと思います。
 又「たま電車」製作に関して、和歌山電鐵は「たま電車サポーター」を募集していてサポーターからの寄付が1千万円を越える寄付が集まったと聞きます(第二次募集の期限は5月10日で未だ募集中)。いちご電車の時にもサポーターを集めて1千万円近い寄付を集めて居ますが、それに続いて此れだけ寄付が集まると言うのは凄いと言えます。実際「たま電車」の改造費は約三千万円との事ですから、改造費の3分の1以上を寄付で集めた「スーパー駅長たま卿」の人気と、和歌山電鐵を支えて行こうとする人々の気持ちは大きいと改めて感じました。

 正直言って「たま電車」効果は、直接的には「定期外利用客を一定数増やす」効果しか無いと思います。そういう意味では「たま電車」の効果は限定的で有ると言えますし、それは(もっと大きい効果が有るにしても)「スーパー駅長たま卿」の人気も基本的には同じと言えると思います。
 しかしそれで「効果は無いのか?意味は無いのか?」と言えば、それはNOになります。「定期外利用客」を増やす直接的な効果の他に「知名度を上げる」という間接的な効果も有ります。実際の所「スーパー駅長たま卿」のマスコミ露出は非常に多く、3月21日の「たま電車」登場時には複数の新聞等で取り上げられており、同時期に関西で有った鉄道の一大イベントであった「阪神なんば線開業」よりかも(特に東京では)「大きくマスコミに取り上げられて居たのでは?」と言う状況で、今や和歌山電鐵は「日本一有名なローカル線」となったと思います。
 それには、冒頭で述べた様に「スーパー駅長たま卿」に関心を持つ「猫好き」の方が鉄道マニアよりはるかに多いと言う事も有りますし、マニアックな「鉄道」の話より「ネコのお話」の方が一般受けするしマスコミ受けもすると言う事も有ります。その様な事が有るにしても、「スーパー駅長たま卿&たま電車」の存在は「ローカル線問題について世論を味方に付ける」と言う意味でも大きな効果が有ると思います。
 この様に考えても見ると、本当に電車にまでなってしまった「スーパー駅長たま卿」の存在は本当に大きな物が有ると思います。でもこの人気には「スーパー駅長たま卿」の可愛らしさ以外にも要因が有ると思います。これからはその点についても考えて見たいと思います。


 ☆ 此れだけの「たまブーム」を生み出した要因は何処に有るのか?

 さて、此れだけ盛り上がり今や和歌山電鐵に「銚子電鉄の濡れ煎餅」並みの全国区の知名度を生み出した要因は何処に有るのでしょうか?
 和歌山電鐵については、前述のように私も何回も訪問して居ますし、弊サイトでも過去に「交通論の部屋」で2回取り上げて居ます。その中で「和歌山電鐵の再生が何故上手く行ったか?」という事を考えて居ますが、私は「たまブーム」の成功の要因は正しく「和歌山電鐵成功の要因」と、ほぼ同一の要因で有ると考えます。
 果たしてその要因は何でしょうか?。私はその要因は「経営者の経営センス」に有るのでは?と考えます。

 和歌山電鐵の親会社である両備グループの代表で有り和歌山電鐵の社長である小嶋光信両備グループ代表・和歌山電鐵社長は、今や全国区の貴志駅スーパー駅長「たま卿」を駅長にして取り上げ全国区の人気に仕立て上げた仕掛け人の一人で、「ローカル線再生」に関して テレビ出演 などで有名になった方です。
 和歌山電鐵・スーパー駅長「たま卿」については、弊サイトでも「 「たま駅長」と「いちご電車」がローカル鉄道を救うのか!? 」「 ローカル線再生の理想的方向性とは? 」で何回も取り上げて「絶賛」しているので、「またか!!」という事になりますが、やはり今まで悪戦苦闘していたローカル線を色々な要因が有るにしても此処まで見事に再生させた手腕はやはり経営者・リーダーとして素晴らしい物で有るといえます。
 昨年10月に京阪中ノ島線開業に合わせて、交通総合フォーラムで御世話になっている和寒様・KAZ様と一緒に10月21日に行われた「 たま電車デザイン発表会 」に行って来ました(和寒様の「 たま駅長、電車になる。 」も合わせてご覧下さい)。私も今まで和歌山電鐵に関しては都合4回訪問しましたが、3回目の訪問の目的の一つは発表会で「小嶋社長がどんな話をするのか?どんな方なのか?」を少しでも感じて見る事が出来るか?と言う点にありました。
 この「たま電車デザイン発表会」では、その私の目的に関しては「 小嶋社長の挨拶 」とその後会場に残って普通の来客者と話して居る姿や聞いた話などで、小嶋社長の考え方や姿勢の一端を見る事が出来たと感じて居ます。
 実際挨拶の内容を見れば、挨拶は「型には待った退屈な挨拶」と言う形でなく和歌山電鐵の実状を話しながら人の心を掴む様な内容と必要なアピールが上手く織り込まれて居る「人の関心を引く」挨拶で上手い挨拶だったと思います。又セレモニー終了後に会場に残られて色々な人と話をしたり、来場者に気さくに話していたり求められて色紙に書いて居る姿などは「交通事業者の社長」ではナカナカ見れない姿だと思います。又聞いた話では小嶋社長は「和歌山電鐵開業前に自ら貴志川線各駅近くの家を訪ねて話を聞いてその内容で確信を持った上で貴志川線を引き受けた」との事で有り、幾ら新規事業に乗りだすからだと言えども社長自ら現状に足を運び其処で色々感じて判断をすると言う事は、「現場を知る」という意味で非常に重要で意味の有る事だと思います。

 又小嶋社長は自らが代表を務める 両備グループHP 内の「 代表メッセージ 」で色々な所で行われた代表の挨拶や小嶋代表の意見などを掲載しています。正直言って交通事業者のHPで(挨拶等で発表された物で有れども)経営者が此れだけ定期的に自らの考え方などを自らが言った言葉で発表している会社は無いでしょう。
 実際この「代表メッセージ」に関しては、私は時々覗いて新しいのが載って居ると読んで居ますが、その中で「交通」に関しての話でも「 韓国バス事情「準公営化の取組み」 」「 規制緩和の功罪が分かる、中鉄バスと岡山電気軌道との共同運行秘話と提言 」等外へ向かっての提言や「なるほどな!!」と思わせる事を外に向かってアピールしています。
 この「代表メッセージ」を読んで私が感じた事ですが、本当に此れだけ世間に対して「交通事業の有り方」を提言して居る交通事業の経営者は他に居るでしょうか?。私は他にはそう居ないと思って居ます。しかも自分達の営んで居る事業の社会性を訴えて居るのです。そしてその訴えを事業の形として可能性を示して居ます。その象徴がテレビにも取り上げられた 和歌山電鐵引受け中国バスの再建 です。実際交通事業者で此れだけ情報を発信しそれを成果を出してきた経営者は他に居るでしょうか?少なくとも私は知りません。

  
左:手作り感満点のたま電車デザイン発表会場 中:和歌山電鐵再生の立役者 小嶋光信両備グループ代表 右:たま電車のデザイナー水戸岡鋭治両備グループデザイン顧問

 加えて小嶋社長に関しては、日経ベンチャー09年2月号に「ザ・経営者」と言うインタビュー特集が組まれて居ました。私もそのインタビュー特集を読みましたが、今までも報じられて居る内容・過去の日経ビジネスのインタビューとの被りも有りましたが、今回のインタビューで小嶋社長が述べていた考えに非常に感銘を受けました。
 その考え方は「経世済民」と言う考え方です。これは中国の古典に出てきて「経済」という言葉の語源になった言葉で、「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」という意味です。
 インタビューによれば、小嶋社長はこの言葉を子供の時に知り、その後約10年前に係わった江戸時代の地元岡山の武士(岡山藩郡代)津田永忠の事を知り、その結果として「経世済民」と言う意味を行って居る経営に当てはめ、経営に必要な物を『経営とはその会社に係わる社員や顧客を苦しみから救い幸せにする事。会社が利益を出さなければならないのは、その唯一無二の使命を永続的に果たす為である』(上記インタビューより引用)と定義付けて居ます。
 此れを地方公共交通事業者に当てはめれば、地方公共交通の経営とは、「交通を通じて社員・利用者・地域住民に移動手段を移動手段が無い苦しみから救い移動手段を提供する事。会社が利益を出す体質にするのは、その移動手段確保を永続化するため」という事になります。その為に岡山での交通事業でも中鉄バスとの経堂運行を提供したり、和歌山電鐵・中国バス等の「破綻したり廃止寸前の公共交通機関の中で可能性が有る事業者を救う」と言う事を行ってきたのだと思います。
 又その小嶋社長の率いる両備グループの「地方公共交通事業者再生」の動きは、この様な小嶋社長の考え方が反映されていると思います。今回のインタビューの言葉に加えて、前に小嶋社長は日経スペシャル「ガイアの夜明け」で「公益性と収益性を両立する道は必ずある」という言葉を言われて居ましたが、これらの言葉が示すのは「公共交通事業者として安定した公共交通事業を営み交通手段を提供する事が最重要の使命。それが社員・利用者・地域に幸せをもたらしその原資が利益で有る」と言う事です。
 この言葉、小嶋社長が挙げた実績と合わせて見れば、非常に重みがあります。又この言葉の意味は「公共交通事業者」という限定的な範囲だけ出なく、社会・経済・経営全般にいえる話です。過去数年の日本が行ってきた「競争至上・収益至上・経済効率至上」の社会構築を(私を含め)社会の大部分が支持して来ました。しかしそれが万能では無い事は今の状況が示して居ます。有る意味別の歩む道が有り「方針転換」を色々な所でもがいて居るのは、今社会で起きて居る事を見れば明らかですが、その中で「表面的で軽い動き」が目立つ中で「言葉と行動」が一致して成果を示している小嶋社長は、交通事業者だけで無く(話は大きくなりますが)日本の経営者・社会全般に「一つの方向性」を示す物では?と今回改めて感じました。

 又小嶋社長は、自分で確固たる信念を持ち自ら調べて確証を持って新しい事業を始めています。聞いた話に依れば、貴志川線を引き受けて和歌山電鐵を開業する時に自ら各駅周辺を歩いて住民の人達に話を聞いて、その上で「和歌山電鐵を活性化する方策は有る」と判断して和歌山電鐵を引きうけたと言う事です。
 小嶋社長は「 公益性と収益性を両立する道は必ずある 」と言って居ますが、この言葉には自らの経験と見通しに裏付けられた言葉で有り、それに基いて和歌山電鐵も引き受けられて此処まで成功してきたのだと思います。確かに和歌山電鐵は「スーパー駅長たま卿」という集客の奇跡は起きて、それが今の好調の要因となりますが、私は「地道な努力が有ったからこそ「神」は和歌山電鐵に「スーパー駅長たま卿」をもたらした」と考えます。
 そう言う点から言えば、交通事業者に必要なのは「奇策を講じる社長」では有りません。現場を知りつつ地道に本業を営んで行く事を基本に、その上で本業である交通事業での「努力」と「工夫」と「情報発信」を行い確実に交通事業を良い方向に誘導して行く信念を持つ経営者で有ると言えます。そう言う意味では両備グループの小嶋代表は正しく今の交通事業者の中で「理想の経営者」と言えると思いますし、この様な経営者が居たからこそ和歌山電鐵と「スーパー駅長たま卿」の成功はもたらされたのだと私は思います。


 ☆ 此れからの課題は「目に見える経済効果」を地元と分かち合う事が重要か?

 さて見ての通り「地方ローカル線での仕掛け」としては非常な成功を収めて居る、和歌山電鐵と「スーパー駅長たま卿&たま電車」ですが、有る意味今までの和歌山電鐵の各種の仕掛けの中で最大の成功を収めて居るかもしれません。
 実際の所3月21日の「たま電車デビュー&第四回貴志川線祭り」には昨年秋の「たま電車デザイン発表祭」の時の倍以上の約7,000人の人が集まったと聞きますし、3月21日の「たま電車」デビュー後は集客が非常に好調で「 春休み期間中の2週間、わかやま電鉄の乗降客が前年比130%を超える高い伸びとみられることがわかやま電鉄運営委員会で報告されました 」との事で、(他にも色々要因が有るにしても)「スーパー駅長たま卿&たま電車」が起爆剤となり、大幅な乗客増を実現した事は間違い無いといえます。
 ましてや、「昨年の春休み期間が対前年比115%ほど」であったとの事ですから、それに今年の「前年比約130%」という数字が加わり、当初から見ると「開業年度の実に1.5倍に達している」という素晴らしい数字が出て居ます。加えて今の和歌山電鐵の現状は「昨年上半期はガソリン高騰等の影響で定期利用が大幅な伸びを示したことから、一昨年度より増収になるものと見込まれています」と言う状況で、今の和歌山電鐵の状況は非常に好調で有る事は間違い有りません。
 実際、和歌山電鐵の収支は「一年目は 1.7億円、二年目で 5,000万円、三年目は2,000〜3,000万円程度」の赤字で、昨年度(2008年度)は収支トントン程度まで改善する可能性も有るとの話ですし、インフラ関係についても「修繕費は年間 1,000万円を超えると設備投資扱いになるので抑えざるをえない」事が有るにしても、今回訪問時に日前宮駅のポイントが更新されて居るなど着実に設備更新も行われており、現在補助が決まって居る「和歌山電鐵運営開始後10年間の補助期間」を越した先も安定的に運営が出来る基盤は着実に造られて居ると言えます。

    
左:たま電車を見に来た団体客?@伊太祁曽 中:片道いちご電車に乗り「スーパー駅長たま卿」を見てバスで帰る団体客@貴志 右:パーク&ライドを案内して居るが・・・

 しかしながら、和歌山電鐵の課題は、この「スーパー駅長たま卿効果」を如何にして地域全体に広げて行く事に有ると言えます。
 確かに、「スーパー駅長たま卿」効果で、和歌山電鐵は「収支均衡が見えてきた」まで改善されてきた事は間違い無いですし、公共交通機関の責務として考えると「安定的に輸送サービスを提供出来る基盤が出来た」段階で、和歌山電鐵創業当初の再生の目的は有る程度果たせたとも言えます。
 けれども、自治体からだけで無く地域住民の方々から多大な支援と大きな期待を受けて誕生した和歌山電鐵の成立経緯を考えると、「スーパー駅長たま卿人気で和歌山電鐵だけが安泰」というのは、未だ道半ばと言えます。その「スーパー駅長たま卿人気」を和歌山電鐵だけで無く、地域全体に如何にして広げて行くか?が、和歌山電鐵に一定の効果をもたらした後の此れからは必要になるのかな?と思います。

 実際問題、前述の春休み期間中の乗客が対前年同期比130%と言う数字が示すように、現地を訪問した時に見た「スーパー駅長たま卿&たま電車」の人気と集客力は、かなり知名度が有る観光地並み?と思えるかなりのレベルで有ると言えます。
 4月3日の訪問時には和歌山〜貴志間の往復と貴志駅滞在を含めて約3時間強現地に居ましたが、伊太祁曽ですれ違った「たま電車」に一組・和歌山⇒貴志間で乗った「いちご電車」に一組ツアー客が乗って居ました。特に後者のツアー団体は和歌山駅⇒貴志駅間の「いちご電車」の中と貴志駅で一緒に居ましたが、この団体は和歌山電鐵に和歌山〜貴志間で乗車して貴志駅でスーパー駅長たま卿を見学した後貴志駅近くで待たせて居たバスに乗り次の目的地に行ってしまいました。
 此処で問題は、このツアー客はいちご電車に和歌山⇒貴志間で乗り和歌山電鐵にお金を落とし、貴志駅でスーパー駅長たま卿を見て小山商店でたまグッズを買い和歌山電鐵と小山商店にお金を落とした物の、それ以外の所には「波及効果無く」去ってしまっています。実際我々も「和歌山電鐵の1日乗車券」を持ち和歌山市内で食事をしたので、和歌山電鐵に落としたお金も少し多く和歌山にもお金を落として居ますが、「地元への経済的貢献度」という点ではツアー客と似たり寄ったりの状況ですし、貴志駅で見て居ると「狭い駅前広場に車で乗りつけてスーパー駅長たま卿だけを見て帰る」という、何もお金を落とさない観光客も居るのが現状です。

  
左・中・右:たま電車デザイン発表祭では地元から色々な「たまグッズ」が出て居たが・・・。此れを広める事も地域への波及効果を高める為に必要?

 この状況を見ると、(特に)地元は「大きなチャンスを逃して居る」事は間違い有りません。実際和歌山電鐵も「スーパー駅長たま卿&たま電車」人気で直接的な増客・増収を果たして居ますが、それだけで無く和歌山電鐵が発売している「 各種グッズ 」も「(銚子電鉄の濡れ煎餅に及ばない物の)数千万円の売上」が有る程の効果を和歌山電鐵にもたらして居ます。
 しかし昨年「たま電車デザイン発表祭」を見に行った時には、和歌山電鐵の公式グッズ以外に地元のNPOが作った「たまスーパー弁当」や「たまドレーヌ」などスーパー駅長たま卿を使った各種商品が出ており、これらは3月21日の「たま電車デビュー&第四回貴志川線祭り」の時にも販売されていたようです。しかし地元では「日常的に販売されて居るスーパー駅長たま卿関連グッズ」は無い状況です。又地元では「スーパー駅長たま卿&たま電車」を見に来た観光客相手の「地元に金を落とさせる商売」が無いのも気になりました。
 加えて、現在「スーパー駅長たま卿&たま電車」は関西圏を中心に全国区の有名な観光地となって居ますが、その観光客を「地元に引きこむ為の仕掛け」も乏しい感じがしました。実際観光客は貴志駅の廻りから出ないで和歌山方面に戻ってしまいますし、本当に「バスで和歌山まで来て直ぐに和歌山電鐵に乗り貴志でスーパー駅長たま卿を見てバスに乗り移動」という観光コースが大部分の状況です。此れでは和歌山電鐵と小山商店にはメリットが有っても地域全体に経済効果は波及しない状況になります。
 実際、昨年10月には スーパー駅長たま卿の経済効果は11億円 (内直接効果は運賃収入約1,500万円増・写真集や関連商品約2,700万円)との報道がされ、その中で「隣接の和歌山市の観光客増加に貢献」とも書かれて居ますが、実際の所和歌山電鉄的には11億円は大げさでもかなりの経済効果が有った事は間違い有り間線が、今の沿線の状況を見れば「本当に沿線まで波及効果が広まったか?」と言われれば現状は厳しい状況に有ると思います。
 その事からも、今や「スーパー駅長たま卿&たま電車」の効果を地元に取りこむと共に、観光名所や美味い食べ物など沿線地域の魅力を「スーパー駅長たま卿&たま電車」を見に来た人達にアピールして、リピーターとして「再び和歌山電鐵沿線に観光に来よう」という気持ちを持たせる「タネ」を植え込む事が、和歌山電鐵と沿線にとって「スーパー駅長たま卿の真のご利益」を受ける為に必要なのでは?と思います。
 それには先ず「簡単に出来る事」から幾つかやって見てそれが成果を上げる事が大切なのかも知れません。例えば「和歌山や貴志の駅でたま弁当やたまドレーヌを常設で売りに出す」とか、毎週土曜日だけ貴志の駅前を「通行止め」にして駅前広場で地場産品の「市場」を開くとか、何か和歌山電鐵と地元がリンクした形でイベントを仕掛けて、スーパー駅長たま卿にプラスαの付加価値を付けて、その付加価値で「地元にもお金が落ちる」と共に「リピーターに結びつける魅力」を生み出す事が必要なのでは?と考えます。

 けれども和歌山電鐵と地域住民団体が凄いのは、この問題に関しても(今は成果が出て居なくても)決して無為無策で何も努力をして居ない訳では無いと言う事です。
 先ず和歌山電鐵に関しては、その「危機感」を間違い無く持って居ます。実際和歌山電鐵の小嶋社長は、 たま電車デビュー時のメッセージ で「次はいよいよ沿線での楽しみの開発です。昨年末和歌山県のご努力で、懸案の西日本を代表する三社参りが復活しました。」「まず和歌山電鉄を知っていただく、そして乗って楽しんでいただく、次は沿線に住んで誇りに思っていただくことで、乗客増加に努力します。」と、和歌山電鐵だけで無く沿線一体の開発が必要な事を明確に自覚して居ますし、実際いちご電車にかけて今までも貴志のイチゴ狩りを売り出したり、和歌山県と組んで今年1月から5月にかけて「西国三社巡りツアー」を行うなど、和歌山電鐵を足掛かりにした沿線観光資源開発に努力をしているのは間違い有りません。
 又地元の市民団体である「 貴志川線の未来を"つくる"会 」も決して「無為無策」という訳では無く、今まで定番の「いちご狩り」だけで無くこのGWには、貴志川線の未来を"つくる"会と「和歌山市民タケノコ掘り体験」と和歌山電鐵「JRふれあいハイキング」との合同イベントで「たけのこ狩り」を企画して250名の人を集めるなど、地味では有りますが沿線の魅力をアピールするイベントを積極的に仕掛けて居ます。
 後はこれらのイベントが上手く行ってくれる事と、成果を上げてくれる事を祈るのみです。和歌山電鐵も「大きく人を呼べなくとも、小さいイベントをいっぱいやって(50回/年でほぼ毎週)、ちょこちょこ続けていきたい。」と小さなイベントでの集客を考え方の中心に据えて居ます。これが和歌山電鐵の集客には結びついて居ますが、その効果を如何に地域へ乗数として効果をもたらすか、関係者で有る沿線自治体・和歌山県や大阪からの交通機関で有るJR西日本・南海電鉄等のの積極的な協力を求めながら(特に沿線自治体がもう少し熱意を上げて欲しい・・・)総合的な「和歌山電鐵を活用した効果の有る観光資源の開発・集客イベントの実施・地元産品の売上拡大」を目指して成果を挙げて欲しいと思います。

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 ☆ あとがきに代えて −スーパー駅長たま卿の望みは何だろう?−

 さて、今回「スーパー駅長たま卿&たま電車」について、見学の上色々と述べて見ましたが、有る意味「スーパー駅長たま卿」の人気は留まる事を知りません。実際3月に登場した和歌山電鐵の「たま電車」は、4月30日には同じ両備グループの岡山電気軌道にも「 たま電車 」が登場する事になり、その岡山の「たま電車」も運行開始時に岡山のマスコミが何社も訪れた事から示すように、今や「スーパー駅長たま卿」の人気は和歌山限定では無くなってきて居ます。
 その様に今や全国区で注目を集めるようになり、(鉄道趣味系の雑誌は軽視して居るが)一般の人達の人気の度合いを見れば「鉄道業界最大級のスーパースター」と言っても過言では無い状況になった「スーパー駅長たま卿」ですが、果たして「スーパー駅長たま卿」の努める和歌山電鐵としては。今の状況が本当にベストな状況なのでしょうか?

 私は残念ながらベストで有るとは思いません。何故なら確かに両備グループと和歌山電鐵と「貴志川線の未来を"つくる"会」を中心とする地元市民の努力と「スーパー駅長たま卿」の人気のお蔭で、和歌山電鐵は「欠損補助予定額年額8,200万円」の赤字より遥かに改善されて「単独で収支均衡の可能性が見える」状況まで来て居ます。
 しかしながら、現状においてはこれらの努力と成果により、当座の数年間、要は「開業後10年間の欠損補助が確定して居る期間」の運営に関しては「収支的にも施設的にも、鉄道事業者として安定的に運営を行う事が出来る」基盤を築けたと思います。
 けれども問題はその先です。両備グループ自体は「将来的にも持続的に運営可能な体制を作りたい」と言う意思を持って居る事は間違い無いと思いますが、実際問題補助金の問題(欠損補助は定額給付で無く発生した欠損の穴埋めの為、欠損を減らすと補助額が減り投資等に補助を活用出来ない)等も有り、インフラの改善に十分な投資が出来ていない状況です。
 只「十分な投資が出来て居ない」と言っても、和歌山電鐵自身は「自己で行える範囲の投資」は確実に行って居ると思います。実際行く度に少しずつ軌道は良くなって居ますし、ポイント等も更新されたりしています。しかし不足して居るのは、その先の「都市の機能として、公共交通の機能として、永続的に機能出来るだけのインフラ」が整って居るか?と言う問題です。此れに関しては、私も最初に和歌山電鐵を訪問した 2年前にも感じて居ました が、残念ながら現在においても「不足している」と言わざる得ません。

スーパー駅長たま卿の気持ちは「たま電車」だけでなく「和歌山電鐵をよろしく」か?

 そういう意味では、此の頃和歌山電鐵に関連して地元の和歌山市が「 貴志川線と南海加太線の1本化構想 」を打ち上げ、和歌山電鐵貴志川線の昇圧に伴う変電所改修に国交省が21年度創設予定の「ハード整備支援補助制度」を使うと同時に、JR和歌山線和歌山〜和歌山市間に直通し南海電鉄和歌山市駅に乗入れ、和歌山市内で南海が運営する支線の加太線に乗入る構想を打ち出し、和歌山市長が紀ノ川市長・和歌山電鐵社長・県の担当者と国土交通省に要望に行くなど、貴志川線の「次の時代を睨んだ」構想は動き出しています。
 しかしながら、この構想が本当に和歌山電鐵の将来に寄与するのか?という点では疑問符が付きます。和歌山電鐵の昇圧は変電設備の更新という点で設備更新・合理化に寄与しますが、此れは和歌山電鐵引受け時に和歌山県が支出する事が決まって居た補助です。又南海和歌山市駅乗入も乗入る紀和・和歌山市の両駅も和歌山の中心市街地から離れており、和歌山の中心市街地へのアクセス改善に寄与しない施策で、和歌山電鐵にメリットが有るか?懐疑的な施策です。(この施策は「ローカル線引受け」で南海・JR西日本にメリットの有る施策?)

 其処から考えると本当に和歌山電鐵に施策は「貴志川線と南海加太線の1本化構想」ではなく、和歌山市・紀ノ川市の都市構成の中で和歌山電鐵をどの様に位置づけて行くか?を都市計画などで明確に位置づけた上で、和歌山電鐵自体をインフラ改善・都市計画に合った駅の再配置・MM施策の実施による自動車交通の誘導・TOD(公共交通指向型都市開発)の実施などで、和歌山都市圏の都市軸の一つと明確に位置付け総合的に開発をして、その結果として和歌山電鐵を活性化させて行くと同時に和歌山都市圏を活性化させて行く「総合的な計画」で有ると思います。その様な「総合的な計画」が有ってこそ、和歌山都市圏において公共交通機関としての和歌山電鐵の存在意義は出てくるのだと思います。
 但しこの様な構想は、必要では有りますが簡単に出来る物では有りません。それこそ「国家百年の大計」では無いですが、十年単位の長いスパンで構想を考え・住民の理解を得て・計画をして・実現を図るものです。又県・市等の自治体の協力も必要ですが同時に、公共交通事業者でも和歌山電鐵だけで無くフィーダー交通機関としてバス事業者の和歌山バスの協力も必要でしょう。又TODを行うのであれば「開発ノウハウ」を持つデベロッパーやゼネコン等の協力を求めなければならない側面も出てくると思います。本当に和歌山電鐵を和歌山都市圏の都市機能を担う公共交通機関として位置付けて変えて行くには、その様な「総合的な取り組み」が必要になるかも知れません。しかしその事は本当の意味で和歌山電鐵が生残り社会的に機能して行く為には必要な事で有ると思います。
 有る意味「スーパー駅長たま卿」が望んで居るのは、其処まで徹底的な施策を行い「和歌山電鐵が地域の為になり機能する事」なのかも知れません。今は順調に見える和歌山電鐵から見れば「其処まで大きな構想を抱かなくても・・・」という事も言えるかもしれませんが、逆にローカル線の再生事例として此処まで上手く行って象徴としての「スーパー駅長たま卿」が居る事で全国区の知名度を得て居る和歌山電鐵だからこそ、将来の地方都市とローカル線の有り方を示す「模範的事例」を造るまで頑張って欲しいと私は考えます。



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