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トップページ不定期刊・きょうのトピックス不定期刊・きょうのトピックス2017年(平成29年)分中国放送ラジオ久井エフエム中継局開局

中国放送ラジオ久井エフエム中継局開局(2017年〔平成29年〕10月1日公開)

 本日、すなわち10月1日は中国地方初の民間放送局である中国放送(RCC、広島市中区基町)が開局65周年を迎えた日である。そしてこの記念すべき10月1日に中国放送ラジオとしては三つ目のエフエム中継局となる久井(くい)エフエム中継局が開局することになった。そこで今回の「不定期刊・きょうのトピックス」では中国放送ラジオ久井エフエム中継局が開局することになった背景やエフエム補完放送の影響、近く中国地方では全県で開始する運びになったエフエム補完放送の現状と展望を綴っていきたいと思う。

中国放送ラジオ久井エフエム中継局はどこにある?

 中国放送ラジオ久井エフエム中継局があるのは三原市と世羅郡世羅町の境に聳(そび)える宇根山(標高:698.5m)の山頂のすぐ北側である。

中国放送ラジオ久井エフエム中継局

 私は今「中国放送ラジオ久井エフエム中継局があるのは三原市と世羅郡世羅町の境に聳える宇根山の山頂のすぐ北側である」と書いたのだが、宇根山山頂付近では三原市・世羅郡世羅町境はほぼ東西に延びている。よって、中国放送ラジオ久井エフエム中継局は三原市・世羅郡世羅町境の北側にあることになり、所在地は世羅郡世羅町小世良(おぜら)となる。「だったら中国放送ラジオ世羅エフエム中継局と書けば良いだろう」とツッコミを入れる方もいるかもしれないのだが、中国放送は「久井中継局」(公式サイトによる)または「FMRCC 三原久井放送所」(中国放送ラジオ久井エフエム中継局に取り付けられている銘板による)と三原市久井地区にあることを強調していること(注1)から本サイトでは「中国放送ラジオ久井エフエム中継局」と表記することにした。その点をご理解頂きたい。

中国放送ラジオ久井エフエム中継局の銘板

中国放送はなぜ宇根山にエフエム中継局を設置したのか

  こちら でも記しているように中国放送は広島エフエム中継局(広島市南区黄金山町)・福山エフエム中継局(福山市千田町千田)の次にエフエム中継局整備を考えているところとして三原市と三次市を挙げていた。三原市・三次市とも中国放送ラジオの中波中継局が設置されているところなのだが、三原中波中継局(三原市明神三丁目)は沼田(ぬた)川のそばに、三次中波中継局(三次市南畑敷町)は馬洗川のそばにそれぞれ設置されており、水害に見舞われる恐れをはらんでいた。だから三原市にエフエム中継局を設置するという話を聞いた時は三原市街地の南方に聳え、テレビ放送(全局)とエフエム放送(NHKのみ)の三原中継局がある竜王山(標高:444.9m)に中継局を設置するものと考えていた。しかし、実際に中継局が設置されたのは三原市中心部からはその山容を見ることのできない、言い換えればそこに中継局を設置しても三原市中心部での受信が困難になる可能性の高い宇根山の山頂であった(注2)。受信可能区域に三原市が入っている以上それもありというところなのだろうが、ならば中国放送は水害の危険性がある三原中波中継局の補完をどのように考えているのだろうか(注3)。その点が気になる。
 それはさておき、なぜ中国放送は宇根山にエフエム中継局を設置したのか。手短に記せば三原市北部地区(久井町・大和町・八幡町)や世羅郡世羅町での受信環境改善がその主たる理由である。広島県中部の交通の要衝である世羅郡世羅町には中心部の北方に聳える新山(にいやま。標高:634.9m)の山頂付近にNHK広島放送局(広島市中区大手町二丁目。ラジオ第一とエフエムの2波)と広島エフエム放送(HFM、広島市南区皆実町一丁目)の中継局があるのだが、なぜか中国放送は中波中継局の設置を見送り続けたのである。このため周囲を山に囲まれている三原市北部地区や世羅郡世羅町は中国放送ラジオが受信できない地域が少なくなかったのである。

新山(世羅郡世羅町東神崎から撮影)

 その状況が変わってきたのは2010年代に入ってからである。状況を変えることになった出来事と言えば総務省が民間中波放送局のエフエム補完放送を推進するようになったことと世羅郡世羅町を通る尾道自動車道が2015年(平成27年)春に全線開通したことであろう。その他広島東洋カープが1990年代末期から続いていた長期間の低迷を脱し、2016年(平成28年)には25年ぶりのリーグ優勝を果たしたことや広島県を放送区域とするラジオ局の放送をパソコンやスマートフォンで楽しめるようになったこと(注4)なども要因として考えられる。
 中国放送としても備南地域と備北地域の中間にあり、交通の要衝であり、商業集積もある世羅郡世羅町にラジオの中継局を設置することについては考えていなかったわけではないのだろうが、費用対効果が見込めないことや経営環境が厳しくなったこと、もし中波放送の中継局として開局させる場合の立ち位置(周波数を備南地区で使用している1530kHzにするか備北地域で使用している1458kHzにするかという問題)を決めるのが難しかったこと(注5)、中波放送局として開局させた場合の受信可能区域が狭くなる恐れがあったこと、国道や主要地方道は通っているが高速道路は通っていないことなどから二の足を踏んでいたのだろう。しかし、エフエム補完放送が可能になり、なおかつ補助金が下りるのならもう躊躇(ちゅうちょ)することはない。そういうことから広島地区・福山地区に続くエフエム中継局設置場所として世羅地区を選んだのであろう。
 ところで、私は中国放送が宇根山山頂に久井エフエム中継局を設置したのは三原市北部地区及び世羅郡における受信環境を改善することだけでなく福山エフエム中継局を補完することもあったのではないかと考えている。久井エフエム中継局と福山エフエム中継局の周波数は同じ94.6MHzである(ちなみに広島エフエム中継局の周波数も同じ94.6MHz。つまり中国放送ラジオは同じ周波数でこれまでエフエム中継局を開局させてきたわけである)し、高いところにあるために福山エフエム中継局からの電波が届かないようなところ(沼隈半島南西部など)にも電波が届く可能性が高いからである。まあ周波数が同じなので久井エフエム中継局と福山エフエム中継局のどちらを受信しているかは判断のしようがないのだが、真相は果たしてどうなのだろうか。

中国放送ラジオのエフエム補完放送開始がもたらした影響

 私は こちら でエフエム山口(FMY、山口市緑町)が開局30周年を迎えた2015年(平成27年)12月1日に大幅な番組改編を実施したのは開局30周年の節目に当たったこともあるが対抗局の山口放送ラジオ(KRY、周南市徳山)がエフエム補完放送を始めたことが大きかったのではないかと記した。中波放送がエフエム放送という同じ土俵に乗ることに対してエフエム山口が危機感を抱いている様子が垣間見えるのだが、ならば広島県の場合はどうだったのか。実は同じようなことが起きていたのである。
 中国放送ラジオの対抗局は広島エフエム放送になるわけであるが、今春大幅な番組改編を実施したのである。主たる改編の状況は次の通りである。

(月曜日〜木曜日)

・朝の自社制作のワイド番組「MORNING ALIVE」(2005〜2017年〔平成17〜29年〕放送)を終了させ、後番組として「GOOD JOG」と「GOOD JOG+」を設定した。一つだった自社制作のワイド番組を二つに分けたことや番組が切り替わる時刻は正時ではなく午前8時50分にしたこと、「GOOD JOG」は広島エフエム放送の神原(かんばら)隆秀アナウンサーが担当するのに対して「GOOD JOG+」は中国地方にある県域エフエム放送局のアナウンサーだった女性(注6)を起用したことが注目されるところである。
・午後の自社制作のワイド番組「DAYS!」(2014〜2017年〔平成26〜29年〕放送)を終了させ、後番組として「DAYS!?〜35thEDITION〜」を設定した。この番組は広島エフエム放送のアナウンサーが担当しているのだが、今年12月5日に開局35周年を迎えることを意識しているのか広島エフエム放送が開局した1980年代から活躍し続けている男性アナウンサー(月曜日・火曜日…山本三季雄アナウンサー、水曜日・木曜日…屋形英貴アナウンサー)と2010年代に入社した近藤志保アナウンサー(4日間とも担当)がコンビを組む格好になっている。
・夕方の若年者の向け自社制作ワイド番組「5COLORS(ファイヴカラーズ)」(2013〜2017年〔平成25〜29年〕放送)の終了をもって月曜日〜水曜日の夕方の自社制作ワイド番組枠が廃止された(注7)
・夜の中高生向け自社制作番組「大窪シゲキの9(く)ジラジ」の放送開始時間が午後9時から午後8時に繰り上がり、2時間番組となった。

(金曜日)

・朝の自社制作のワイド番組「MORNING ALIVE friday!」(2015〜2017年〔平成27〜29年〕放送)を終了させ、後番組として「GOOD JOG FRIDAY」を設定した。
・午後の自社制作ワイド番組「皆実町マルシェ」の出演者が俊山真美(元エフエム山口アナウンサー)からキムラミチタと廣瀬桃子(広島東洋カープの外野手として活躍し、昨年現役を引退した廣瀬純〔現在は中国放送で解説者を務めている〕の妻)に交代した。更に放送終了時間が午後3時55分から午後5時に繰り下がり、3時間30分番組となった。
・夕方の若年者向け自社制作ワイド番組「庄司悟のカウントダウン魂」は放送開始時間が午後4時30分から午後5時に繰り下がり、3時間番組となった。

 この他にも放送日時が変更になった番組や終了した番組、新たに始まった番組もあるのだが、自社制作のワイド番組で改編対象にならなかったのは金曜日の昼に放送されている「柏村(かしむら)武昭のだんRUNラジオ」くらいということに驚かされる。ではなぜ広島エフエム放送はこれほど大幅に自社制作のワイド番組を再編したのか。確かに今年12月5日に迎える開局35周年を意識したのだろうが私は対抗局の中国放送ラジオがエフエム補完放送を始めたことも意識していたのではないかと考えている。
 広島エフエム放送は日本にある都道府県域民間エフエム放送局では最も多くの中継局を擁しているところ(13箇所)であるが、このうち中国放送ラジオ広島・福山両エフエム中継局の受信可能区域が重なる広島エフエム放送の中継局は9箇所もある(中国放送ラジオ広島エフエム中継局…6箇所〔広島・五日市・可部・呉・西条・佐東〕、中国放送ラジオ福山エフエム中継局…3箇所〔尾道・福山・府中〕)。正確なデータは分からないのだが、ざっと見積もっても中国放送ラジオのエフエム放送と広島エフエム放送の双方が受信できる地域の人口は広島県の総人口の60%以上になっているのではないかと思われる。このことから広島エフエム放送と同じ土俵に乗ってきた中国放送ラジオが広島エフエム放送にとって脅威になっていることがうかがえる。更に広島エフエム放送には本社以外広島県内に拠点(支社)を置いていないという弱点もあり(注8)、拠点のない地域における聴取者離れを食い止めるためにも大幅なテコ入れを断行したほうが良いという結論に達したのであろう。
 広島エフエム放送にしてもエフエム山口にしても危機感を抱き、大幅な自社制作番組の刷新を行うのは理解できない話ではないのだが、一方で対抗局となる民間中波放送局がエフエム補完放送に積極的になっても一切動じないでいるところもあることはどう考えているのだろうか。広島県・山口県の瀬戸内海沿岸部で十分受信できるエフエム愛媛(松山市竹原町一丁目)がそれであるが、対抗局の南海放送ラジオ(RNB、松山市本町一丁目)が四国地方にある民間中波放送局では唯一エフエム補完放送に積極的な態度をとっていても自社制作番組を大幅に改編することも深夜・早朝の放送休止を解消し、終夜放送に移行することもしていない(注9)。更に開局した年から35年間ずっと続いている番組もあるほどである。この姿勢をとやかく言う方もいることであろうが、私はエフエム愛媛のこの姿勢は同じ状況にある都道府県域民間エフエム放送局はもう少し顧みても良いのではないかと考えている。

中国地方におけるエフエム補完放送の現状

 平成時代に入ってから混信対策を目的として一部の中波放送局で行われていたエフエム補完放送は2014年(平成26年)に総務省が推進を打ち出したことを契機に各地に広まり、日本放送協会(NHK)の放送局では54局中17局で、民間中波放送局では47局中41局でそれぞれ運用を始めているか運用開始に向けた準備を進めている(日本放送協会〔NHK〕の周波数は こちら を、民間中波放送局の周波数は こちら をそれぞれご覧頂きたい)。
 中国地方の場合は日本放送協会(NHK)の放送局は松江放送局(松江市灘町)が、民間放送局は中国放送ラジオと山口放送ラジオ、山陰放送ラジオ(BSS、米子市西福原一丁目)がそれぞれエフエム補完放送を実施している。現在の運用状況は下表の通りである。

放送局名中継局名/周波数備考
NHK松江放送局赤名(87.5MHz)
隠岐(79.4MHz)
来島(89.2MHz)
頓原(88.0MHz)
いずれもラジオ第一の中継局である。
山陰放送ラジオ鳥取(92.2MHz)
中国放送ラジオ広島(94.6MHz)
久井(94.6MHz)
福山(94.6MHz)
山口放送ラジオ周南(92.3MHz)
阿東(92.3MHz)
岩国(92.3MHz)
下関(92.3MHz)
豊浦(86.4MHz)
長門(86.4MHz)
萩(86.4MHz)
美祢(86.4MHz)
柳井(92.3MHz)
豊浦エフエム中継局(86.4MHz)は現在開局に向けて試験電波を発射しているところである(恐らく今月中に開局するものと思われる)。

 かなり温度差の激しい運用状況であるが、数少ないエフエム補完放送空白地帯(注10)の岡山県でも近く(恐らく来春(注11))エフエム補完放送が始まることになった。というのも今年5月10日に総務省中国総合通信局(広島市中区東白島町)は山陽放送(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)に対してエフエム補完中継局整備のための補助金を交付することを発表したからである。恐らく岡山市中心部の南方に聳える金甲山(標高:403.1m)に岡山平野や瀬戸内海沿岸地域を受信可能区域とする岡山エフエム中継局が設置されるものと思われる。

中国地方におけるエフエム補完放送の今後の展開を考える

 私は昨年、 こちら で中国地方における中波放送局のエフエム補完放送の今後の展望を記したのだが、それからの1年間の動きを踏まえて改めて9局の今後の展開を記すことにしたい。なお、今回はエフエム補完放送を実施しているところはその中継局の所在地と周波数も記すものとする。

NHK編

(NHK鳥取放送局)

 NHK鳥取放送局(鳥取市寺町)の中波放送の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
ラジオ第一ラジオ第二
鳥取鳥取市安長1368kHz1125kHz千代川の西方の平地に設置されている。
倉吉倉吉市北野1026kHz1359kHz小鴨川の西方の平地に設置されている。
智頭八頭郡智頭町智頭1323kHz
日野日野郡日野町下黒坂1584kHz
米子米子市上後藤五丁目963kHz1521kHz
若桜八頭郡若桜町浅井1026kHz

  こちら では「中継局は県内の主たるところに配置されており、現状ではエフエム補完中継局を設置する可能性は低いと思われる」と記しているのだが、それから1年経った現在もエフエム補完中継局設置に向けた動きは起きていない。

(NHK松江放送局)

 NHK松江放送局の中波放送の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
ラジオ第一ラジオ第二
松江出雲市小山町1296kHz1593kHz
石見邑智郡邑南町矢上846kHz1512kHz
川本邑智郡川本町川本1368kHz1602kHz
江津江津市江津町1323kHz日本海の近くに設置されている。
津和野鹿足郡津和野町鷲原999kHz1359kHz
浜田浜田市殿町1026kHz1359kHz
匹見益田市匹見町匹見1584kHz
益田益田市中吉田町1341kHz1539kHz益田川のすぐ近くの平地に設置されている。
六日市鹿足郡吉賀町沢田1323kHz
赤名飯石郡飯南町下赤名87.5MHz
隠岐隠岐郡隠岐の島町上西79.4MHz
来島飯石郡飯南町野萱89.2MHz
頓原飯石郡飯南町佐見88.0MHz

 2014年(平成26年)12月22日にラジオ第一隠岐エフエム中継局が、2015年(平成27年)12月1日にラジオ第一頓原エフエム中継局が、2015年(平成27年)12月17日にラジオ第一赤名・来島両エフエム中継局がそれぞれ開局している。
  こちら では今後設置するとすれば仁多郡奥出雲町が可能性が高いと記したが、次にエフエム中継局が設置されることになったのは仁多郡奥出雲町ではなく鹿足郡津和野町日原地区となった。今年4月11日に開催された日本放送協会第1,281回経営委員会で2018年度(平成30年度)中にラジオ第一日原エフエム中継局を設置することが示されたのである。ただ、仁多郡奥出雲町などラジオ第一の中波放送が受信しにくい地域はまだいくつもあるので今後の展開は注目していく必要があろう。

(NHK岡山放送局)

 NHK岡山放送局(岡山市北区駅元町)の中波放送局の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
ラジオ第一ラジオ第二
岡山岡山市南区藤田603kHz1386kHz笹ヶ瀬川の西方の平地(干拓地)に設置されている。
久世真庭市久世1323kHz
津山津山市伏見町927kHz1152kHz吉井川の北方の平地に設置されている。
新見新見市金谷1341kHz1125kHz
北房真庭市上水田1584kHz

  こちら でも指摘した通り受信しづらいところはある可能性が高いが、現在のところエフエム補完中継局設置に向けた動きは起きていない。

(NHK広島放送局)

 NHK広島放送局の中波放送局の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
ラジオ第一ラジオ第二
広島広島市安佐北区西原四丁目1071kHz702kHz太田川の西方の平地に設置されている。
呉市阿賀町1026kHz1521kHz
庄原庄原市東本町二丁目1161kHz1359kHz
世羅世羅郡世羅町本郷1224kHz
東城庄原市東城町川西792kHz1602kHz
福山尾道市向島町999kHz1602kHz瀬戸内海(尾道水道)のすぐそばに設置されている。
福山木之庄福山市久松台三丁目1161kHz1467kHz
府中府中市土生町1026kHz中国放送ラジオ府中中波中継局との共用中継局。
三次三次市十日市町1584kHz1035kHz

  こちら でも指摘した通り受信しづらいところはある可能性が高いが、現在のところエフエム補完中継局設置に向けた動きは起きていない。

(NHK山口放送局)

 NHK山口放送局(山口市中園町)の中波放送局の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
ラジオ第一ラジオ第二
山口防府市西浦675kHz1377kHz佐波川河口と瀬戸内海の近くの平地に設置されている。
岩国岩国市旭町三丁目585kHz今津川のすぐ近くの平地に設置されている。
下関下関市向洋町一丁目1026kHz1359kHz
須佐萩市須佐1368kHz
萩市椿東963kHz1125kHz

  こちら でも指摘した通り受信しづらいところはある可能性が高いが、現在のところエフエム補完中継局設置に向けた動きは起きていない。

(総括)

 全国にある日本放送協会(NHK)の放送局の数は54であるが、前にも記した通り現在のところエフエム補完放送を実施しているか実施に向けた準備を進めているのは17局だけである。日本放送協会(NHK)も民間中波放送局と同じく海外の放送局との混信や高層建築物の増加による都市部での受信困難、地形的な理由による受信困難、災害による放送不能といった課題を抱えているのだが、エフエム補完中継局を設置する場所は山間部か離島に限られているし対象となる放送はラジオ第一がほとんどである(注12)。NHKとしては三つあるラジオ放送のうちいずれか一つが使えれば良いのではないかとかもし受信できない環境にあるのならNHKネットラジオらじる★らじるを用いて番組を聴いて頂きたいとか受信環境改善を大義名分に中波放送のエフエム補完放送を推進すればエフエム放送が微妙な立場に置かれるので積極的になるわけにはいかないといった考えがあるのだろうが、いずれ何らかの動きを見せるのは確実だと私は考えている。果たしてどのように動いていくのか、今後も注目していきたいところである。

民間放送編

(山陰放送ラジオ)

 山陰放送ラジオの中波放送局の中継局は下表の通りである。

県名中継局名所在地周波数備考
鳥取県米子米子市彦名町900kHz中海に近い場所に設置されている。
鳥取鳥取市里仁1431kHz
倉吉倉吉市和田東町1557kHz
鳥取東伯郡湯梨浜町白石92.2MHz
島根県出雲出雲市高松町1431kHz神戸川の北方の平地に設置されている。
大田大田市大田町大田1485kHz
浜田浜田市瀬戸ヶ島町1557kHz浜田沖の馬島の海岸べりに設置されている。
益田益田市中島町1431kHz高津川の東方の平地に設置されている。

 今年3月1日に鳥取市や倉吉市、東伯郡を受信可能区域とする鳥取エフエム中継局が開局したことで山陰放送ラジオのエフエム補完放送が始まったのだが、山陰放送としては次にエフエム中継局を整備するところとして松江市を挙げている。現在のところ進展は見られないのだが、恐らく松江市中心部の北方に聳える山に山陰地方中央部を受信可能区域とする松江エフエム中継局が設置されるものと思われる。
  こちら では鳥取市・松江市に続くところとしては浜田市や隠岐郡を挙げているし、他にも設置しても良いと思うところはいくつもあるのだが、気になるのは先にエフエム補完放送を始めた中国放送や山口放送と違って山陰放送は公式サイトでエフエム補完放送をあまり積極的に宣伝していないことである。山陰放送は過去に江津市への中波中継局設置を断念したことがあること(そのことは こちら でも触れている)や月曜日早朝だけでなく日曜日早朝にも放送休止時間を入れていること、日曜日深夜の放送終了時間は中国地方の都道府県域民間ラジオ放送局では最も早い午前0時であることといった事実から考えれば経営基盤が弱く、積極的になれない状況があるのだろう。しかし、山陰放送ラジオの中波中継局は災害に遭いやすいところに置かれていることが多いし、これまで山陰地方は集中豪雨や地震で何度も甚大な被害を受けてきた地域でもある。更に放送区域が日本海沿岸に面していることから国内外の放送局との混信も日常茶飯事化している。これでエフエム補完放送を推進しないでいることはまず考えられない。
 つまり、山陰放送は今後エフエム補完放送を推進するのであれば何かを切り捨てないと立ち行かなくなる恐れが高いということである。それが何かを書くことは聴取者の感情を考えてここでは差し控えるが、災害対策・混信対策を優先させるのか、それとも聴取者の満足を優先させるのか。山陰放送ラジオがどのような選択をとるのかが今後注目されるところである。

(山陽放送ラジオ)

 山陽放送ラジオの中波放送局の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
岡山岡山市北区撫川1494kHz
笠岡笠岡市神島外浦1494kHz
高梁高梁市松原町松岡1494kHz
津山津山市林田1494kHz
新見新見市新見1494kHz
備前和気郡和気町田土1494kHz
真庭真庭市杉山1494kHz平成の大合併以前に属していた自治体の名称から落合中波中継局と呼称する場合もある。
岡山岡山市南区郡?91.4MHz2018年(平成30年)春頃開局予定。

 これまでエフエム補完放送に向けた動きは全くなく、昨年5月10日に総務省中国総合通信局が山陰放送に対してエフエム補完中継局整備のための補助金を交付することを発表した時点で中国地方にある民間中波放送局としては最後にエフエム補完放送を始めることが確定してしまった。山陽放送ラジオは中国地方第二の都市であり、政令指定都市でもある岡山市や中国地方第三の都市である倉敷市を放送区域に含んでおり、都市化による受信困難でエフエム補完放送を推進する大義名分はあったのだが、いろいろあってなかなか一歩を踏み出せずにいたのだろう。
 しかし、今年5月10日に総務省中国総合通信局が山陽放送(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)に対してエフエム補完中継局整備のための補助金を交付することを発表したことによりようやくエフエム補完放送開始に向けて動き出した。現在のところ山陽放送公式サイトではこの件は全く触れられていないのだが、恐らく来春には岡山市中心部の南方に聳える金甲山に岡山平野や瀬戸内海沿岸地域を受信可能区域とする岡山エフエム中継局が設置されるものと思われる。ちなみに こちら で記した通り山陽放送ラジオのradiko参加は政令指定都市を有する道府県を放送区域に含めている民間中波放送局と中波ステレオ放送を実施したことのある民間中波放送局の双方で最後になったが、山陽放送ラジオのエフエム補完放送開始は中波ステレオ放送を実施したことのある民間中波放送局では最後になるが政令指定都市を有する道府県を放送区域に含めている民間中波放送局では最後にはならない(注13)
 来春開局する可能性が高い岡山エフエム中継局は岡山県の瀬戸内海沿岸部や岡山平野を受信可能区域とするものと思われるが、岡山エフエム中継局の次にエフエム中継局が整備される可能性があるのは岡山市北区北部(建部〔たけべ〕・御津付近)や井原市、真庭市北部などが考えられる。また、既に中波中継局のあるところでも設置される可能性はあるが、山陽放送ラジオの中波中継局は山の上に置かれていることが多く、中波中継局とエフエム中継局を併存させるか、エフエム中継局だけにするかで難しい選択を迫られることになろう。
 ところで、radiko参加は遅れ、エフエム補完放送開始は遅れ、自社制作のラジオのワイド番組は短命のものが多い…などとどうかというような話の多い山陽放送であるが、実は2021年(平成33年)にも岡山市北区天神町の岡山市立岡山後楽館中学校・高等学校跡地(注14)に新築移転することになりそうである。エフエム補完放送の周波数割り当ては2020年(平成32年)3月31日までに放送を開始しないと破棄されるため山陽放送ラジオのエフエム補完放送は現在の岡山城跡(岡山市北区丸の内二丁目)のそばにある本社で始まることになるが、どのような新本社になるのか、視聴者・聴取者にどうかと思わせている現状をどのように改善していくのか、そして山陽放送本社移転後の岡山城跡の整備はどうなるのかが今後注目されることになりそうである。

(中国放送ラジオ)

 中国放送ラジオの中波放送局の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
広島江田島市沖美町美能1350kHz瀬戸内海(広島湾)のすぐそばに設置されている。
庄原庄原市西本町二丁目1458kHz
東城庄原市東城町川西1458kHz成羽(なりわ)川のすぐそばに設置されている。
福山福山市北美台1530kHzすぐそばには福山支社(福山放送局)がある。
府中府中市土生町1530kHzNHKラジオ第一府中中波中継局との共用中継局。
三原三原市明神三丁目1530kHz沼田川のすぐそばに設置されている。
三次三次市南畑敷町1458kHz馬洗(ばせん)川の南方の平地に設置されている。
広島広島市南区黄金山町94.6MHz
久井世羅郡世羅町小世良94.6MHz
福山福山市千田町千田94.6MHz

 現在中国放送ラジオのエフエム補完放送は広島県の二大都市である広島市と福山市を中心とした地域で実施されている。また、これまで開局させてきたエフエム中継局の周波数は94.6MHzで統一されていることも特筆されよう(実はこのようにしているのは中国放送だけ)。
 ただ、中国放送ラジオのエフエム補完放送は山口放送ラジオの後塵を拝しているし、以前は公式サイトで「三原市・三次市での整備を検討している」と記していたが最近その文言が消えるなど展望が見えにくくなっている。上表の通り中国放送ラジオの中波中継局の中には川のそばにあるものがいくつかあるし、まだ記憶に新しい広島市北部での集中豪雨災害(2014年〔平成26年〕8月20日)などこれまでに甚大な被害をもたらした災害は何度も起きていることを考えれば広島・久井・福山の3箇所で整備は終わりということはないと思うのだが…。
 広島県は地形が複雑であり、そのことは中国放送ラジオの対抗局となる広島エフエム放送が日本にある都道府県域民間エフエム放送局では最も多くの中継局を設置していることでも明らかであるが、もし中国放送がエフエム補完放送を今後も推進するとすれば下表に挙げる地域が有力候補になるのではないかと思われる。

地域名設置しても良いと考える理由
江田島市
呉市
・広島本局や広島エフエム中継局の電波が届きにくいところがあること。
・呉市は広島市・福山市に次ぐ人口を有する都市であり、都市化による受信困難が生じていること。
・広島本局の受信可能区域であるが、広島本局は瀬戸内海(広島湾)のすぐそばにあること。
尾道市中心部
三原市中心部
・久井・福山両エフエム中継局からの電波が届きにくいところがあること。
・三原中波中継局が沼田川のそばにあること。
庄原市東城地区・東城中波中継局が成羽川のすぐそばにあること。
竹原市
東広島市南部
豊田郡
・広島本局・三原中波中継局からの電波が届きにくいところがあること。
東広島市中心部・広島本局や広島エフエム中継局の電波が届きにくいことがあること。
・東広島市は広島市・福山市・呉市に次ぐ人口を有する都市であり、都市化による受信困難が生じていること。
三次市・三次中波中継局は馬洗川のすぐそばにあること。
山県郡・広島本局や広島エフエム中継局の電波が届きにくいことがあること。
・交通量自体は少ないが中国自動車道や浜田自動車道が通っていること。
・複数の国道路線や主要地方道路線が交わる、いわゆる交通の要衝となっているところがあること。

 中国放送ラジオはここ数年自社制作のワイド番組の大きな変動はなく、いずれの番組も安定した人気を誇っているし、何より昨年・今年と2年連続してリーグ優勝を成し遂げた広島東洋カープの公式戦中継は開局後間もない頃からの人気番組の一つとなっている。しかし、中波中継局の設置は1982年(昭和57年)以降なく、radikoに頼らないとこれらの番組が聴けない地域を多く残す結果になった。中国放送としてもこの問題は重要な課題と位置付けていることであろうが、果たして今後どのようにエフエム補完放送を展開させていくのか。今後も注目していきたいところである。

(山口放送ラジオ)

 山口放送ラジオの中波放送局の中継局は下表の通りである。

中継局名所在地周波数備考
周南周南市大津島765kHz瀬戸内海(周防灘)のすぐそばに設置されている。
山口山口市黒川765kHz
岩国岩国市尾津町一丁目918kHz
下関下関市上田中町一丁目918kHz
須佐田万川萩市須佐765kHz
萩市椿東1458kHz松本川のすぐそばに設置されている。
周南防府市牟礼92.3MHz
阿東山口市阿東地福下92.3MHz
岩国岩国市御庄92.3MHz
下関下関市藤ヶ谷92.3MHz
豊浦下関市豊浦町厚母郷86.4MHz未開局だが試験放送実施中(恐らく今月中に開局するものと思われる)。
長門長門市日置上86.4MHz
萩市椿東86.4MHz
美祢美祢市伊佐町伊佐86.4MHz
柳井光市塩田92.3MHz

 山口放送ラジオはエフエム補完放送開始前は中国地方の民間中波放送局で最も中継局が少ない放送局だったのだが、たった2年半で9局もエフエム中継局を設置し、中国地方の民間ラジオ放送局としては広島エフエム放送を抜いて最多の中継局を擁する放送局になった(注15)。エフエム中継局の数だけで見れば岡山エフエム放送(岡山市北区中山下一丁目)と同じである。中国地方にある民間中波放送局で最もエフエム補完放送に積極的な放送局ということになるわけであるが、その背景としては次のようなことが挙げられる。
・地形的な事情などから山口放送ラジオが受信できない地域は少なくなかったが、中波放送の特性(高い鉄塔を建てる、電波が広範囲に届くなど)を考えれば割に合わないので見送っていたこと。
・山口県は三方(西・南・北)を海に囲まれており、国内外の放送局との混信が生じていたこと。
 つまり、エフエム補完放送は山口放送にとってはうってつけの制度だったと考えることができる。エフエム放送も遠距離受信できないわけではないが電波が届く範囲は狭いし、中波放送よりもきれいに受信でき、きれいな音声で番組を楽しめる。それに乗らない手はないということで2年半足らずで9局も中継局を設置するに至ったのであろう。山口放送がどのような方針を持っているかどうかは分からないが、もし今後もエフエム補完放送を推進するのであれば山口市中心部や岩国市北部(錦・本郷・美川・美和)、宇部市中心部、周南市北部(鹿野)、萩市北部(須佐・田万川・むつみ)・阿武郡が候補地となろう。ただ、こんなに多くのエフエム補完中継局を設置して本業の中波放送はどうするのかという疑問はあるのだが…。

(総括)

 中国地方の民間中波放送局の現状を見て感じたことはエフエム補完放送に対する温度差が著しいことである。どの放送局も導入するに足る理由はあるのだが、いろいろ事情があってこのようになっているのだろう。長らく動きがなかった山陽放送ラジオも導入に動き始めたことで周波数割り当て破棄は中国地方の民間中波放送局では起きないことがほぼ確実になったが、果たして今後どのような展開があるのか。今後も注目していきたいところである。

エフエム補完放送の進展は何をもたらすのか〜結びに代えて〜

 中波放送のエフエム補完放送は こちら でも記した通り、次に挙げる理由により始められた。
・海外の中波放送との混信がひどい地域が少なくないこと。
・中継局の中には川や海のそばにあるものがあり、災害時に放送できなくなる恐れがあること。
・都市部では高層建築物が増え、受信しにくくなったこと。
・地形的な理由で受信しにくいが費用対効果などの問題で中継局設置を見送っているところが少なくないこと。
 これまで日本放送協会(NHK)の放送局では54局中17局で、民間中波放送局では47局中41局が運用中であるか運用に向けて準備を進めているのだが、 こちら でも記した通り、次に挙げるような難点も生じてきている。
・新聞のテレビ・ラジオ欄に周波数が掲載されていない。
・周波数が書かれた看板がない。
・総務省が補助金を出すことにしているにもかかわらず未だに開局への動きが起きていない放送局がいくつもある。
・いくら受信困難地域でも費用対効果などの問題で中継局設置を見送るところが出る恐れがある。
・エフエム放送局は電波が届く範囲が狭いことから中継局を多数設置せざるを得なくなる。
・エフエム放送の遠距離受信が可能なところが少なくない。
・ワイドFMと称される部分、言い換えれば90.1〜95.0MHzで流れる放送に対応していないラジオ受信機がまだ多数売られている。
・中波ステレオ放送やエフエム文字多重放送のようにすぐに見向きもされなくなり、廃れる恐れがある。
・放送局の経営に影響を及ぼす恐れがある。
・中波放送をやめようと思うところが出る恐れがある。
・中波中継局を廃止するところが出る恐れがある。
・受信環境が変わり、かえって受信しにくくなるところが出る恐れがある。
・対抗局となる民間エフエム放送局の経営に影響を及ぼす恐れがある。
・未だに都道府県域民間エフエム放送局のない茨城県・奈良県・和歌山県における都道府県域民間エフエム放送局の開局の可能性が消滅する(注16)
・NHKがラジオ第一・ラジオ第二についてエフエム放送化を推進した場合、NHK-FMとの兼ね合いが問題になる。
・未だに「中波放送は高齢者が聴くもの、エフエム放送は若年者が聴くもの、短波放送は株式や競馬に興味がある人が聴くもの」というような先入観を持っている人がいる。
 エフエム補完放送はあくまでも中波放送を補完するものであり、主従が逆転しては話にならないわけであるが、このまま進むと中波放送局からエフエム放送局に鞍替えするところや他の放送局—それは何も中波放送局に限らないが—と統合するところなどが出るのでは…と思いたくなる。エフエム放送は電波が届く範囲が狭いことや同じ周波数だけを用いてエフエム補完放送局を開局させているところはほとんどないこと、エフエム放送への鞍替えは放送区域を自動車で通過する人々にとっては不都合になることなどを考えれば中波放送は極力維持すると同時にその存在感を高め、エフエム放送との住み分けを図ることが今後の課題になってくるものと思われる。施策としては中波放送の全ての中継局の周波数を統一することや何らかの独自路線をとること、この放送局と言えばこれ!! というようなものを持つことなどが考えられるが、果たしてどうであろうか。

 なお、ここで予告しておくが、(恐らく来春のことになると思うのだが)山陽放送ラジオ岡山エフエム中継局が開局した時には本企画で取り上げることにしている。どういうことを書くかはまだ考えていないのだが、しばしお待ち頂きたい。

(注釈コーナー)

注1:その背景として考えられるのが宇根山山頂に自動車で行こうと思った場合、三原市久井地区を通らないと行けないことである(世羅郡世羅町だけを通る山頂への道路は存在しない)。
※宇根山は山頂付近に家族旅行村や天文台、寺院も存在するため自動車で山頂近くまで行くことは可能なのだが、道路状況が良いのは三原市久井地区からの道だけである(尾道市御調〔みつぎ〕地区からも宇根山へは行けることは行けるのだが宇根山の近くを通る県道156号御調・久井線や県道375号吉田・丸門田線には狭隘箇所があり、時間がかかる)。よって、尾道・福山・府中方面から宇根山へ自動車で行く場合は遠回りにはなるのだが国道486号線や県道25号三原・東城線を経由したほうが良い(案内標識は充実している)。

注2:三原市中心部と宇根山の間に龍王山(標高:664.8m)や大峰山(別称:高羽山。標高:609.9m)といった高い山があることがその理由である。

宇根山至幸院(三原市久井町吉田)の駐車場から撮影した南方向の風景。三原市中心部は南方に見える高い山の陰に隠れて見ることはできない。

注3:中国放送の公式サイトでは福山エフエム中継局の受信可能区域は三原市中心部も含まれているように記されている。但し三原市中心部と福山エフエム中継局の間には山がいくつもあるため受信できるかどうかは疑問が残る。

注4:中国放送ラジオと広島エフエム放送は2011年(平成23年)7月20日からradikoでの再送信を、NHK広島放送局は2016年(平成28年)9月1日からNHKネットラジオらじる★らじるでの再送信をそれぞれ始めたことを指す。

注5:世羅郡世羅町はどちらかと言えば備南地域との関係が深いことからもし中波中継局を設置するとすれば周波数は福山・府中・三原各中波中継局と同じ1530kHzにした可能性が高い。ところが、世羅郡世羅町では栃木放送(CRT、宇都宮市昭和二丁目)の本局(鹿沼市深津。周波数:1530kHz)が受信できることがあり、混信する可能性があった。庄原・東城・三次各中波中継局と同じ1458kHzを使用することや広島本局(江田島市沖美町美能)と同じ1350kHzを使用すること、更に1350kHzでも1458kHzでも1530kHzでもない新たな周波数を使用することは備南地域に住む方が受け入れない可能性があり、それで中波中継局設置が棚上げになった可能性が考えられる。
※1530kHzは日本ではこの他新潟放送ラジオ(BSN、新潟市中央区川岸町三丁目)の糸魚川(いといがわ)・上越両中波中継局でも使用されているので新潟放送ラジオとの混信も起きている可能性が考えられる。

注6:月曜日と火曜日は広島エフエム放送のアナウンサーだった笹原綾乃が、水曜日と木曜日はエフエム山口のアナウンサーだった俊山真美がそれぞれ担当している。

注7:木曜日だけは午後6時〜午後8時に自社制作のワイド番組「Chunk!」を設定している。

注8:広島エフエム放送はかつては福山市に支社を置いていたこともあったが2007年(平成19年)頃廃止されている。
※更に2009年(平成21年)には大阪支社も廃止しており、現在は本社と東京支社しか持っていない。

注9:JFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局(現在38社ある)で終夜放送を実施していないのはエフエム愛媛だけである。

注10:エフエム補完中継局がないことを記しているのであり、エフエム補完放送が全く受信できないという意味ではない。

注11:山陽放送ラジオのエフエム補完放送開始が来春ではないかと記したのは山陰放送の場合から推定したものである。山陰放送は昨年5月10日に総務省中国総合通信局がエフエム補完中継局整備のための補助金を交付することが決定したのだが、初めてのエフエム中継局が開局したのはその約10ヶ月後の今年3月1日のことだったことを踏まえて山陽放送ラジオとして初めてのエフエム中継局が開局するのは来春になるだろうと考えたのである。ただ、現在のところ山陽放送公式サイトではエフエム補完放送に関する情報は全く記されておらず、準備状況が分からないのが残念なところである。

注12:ラジオ第二のエフエム中継局があるのは東京都と鹿児島県、沖縄県だけであり、いずれも離島にある。

注13:政令指定都市のある道府県を放送区域に含めている民間中波放送局で未だにエフエム補完放送開始への動きを見せていないのはRFラジオ日本(RF、横浜市中区長者町五丁目)とラジオ関西(CRK、神戸市中央区東川崎町一丁目)の二つだけである。どちらも都市化による受信困難でエフエム補完放送を推進する大義名分はあり、いずれは動くと見ているのだがどうであろうか。

注14:岡山市立岡山後楽館中学校・高等学校は2012年(平成24年)に岡山市北区南方一丁目に移転している。

注15:民間中波放送局で最も多くの中継局を持っているのはともに北海道を放送区域としているSTVラジオ(STV、札幌市中央区北一条西八丁目)と北海道放送ラジオ(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)で、どちらも18局(中波17局、エフエム1局)である。

注16:このうち奈良県と和歌山県については周波数割り当てはなされているが、現在のところ割り当てが破棄されたという話は聞いていない。

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