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<蝶の写真館>

湯の丸高原の蝶(長野県・群馬県)

2005年7月9日と2007年9月1日と2014年8月20日に湯の丸高原(長野県東御市・群馬県嬬恋村)で撮った写真です。

・あげはちょう科 キアゲハ
・しろちょう科 ヤマトスジグロシロチョウ モンキチョウ モンシロチョウ
・たてはちょう科 コヒョウモン ミドリヒョウモン ウラギンヒョウモン ギンボシヒョウモン
フタスジチョウ シータテハ エルタテハ クジャクチョウ
ヒメアカタテハ
・じゃのめちょう科 ヒメウラナミジャノメ ベニヒカゲ ヤマキマダラヒカゲ クロヒカゲ
ヒメキマダラヒカゲ
・てんぐちょう科 テングチョウ
・まだらちょう科  アサギマダラ     
・せせりちょう科 コチャバネセセリ イチモンジセセリ オオチャバネセセリ

 湯の丸高原は浅間連峰の西側に位置し、湯の丸山と篭ノ登山(かごのとやま)の鞍部、地蔵峠(標高1,732m)一帯に広がる高原で、長野県東御市と群馬県嬬恋村の境にあります。丸くなだらかな地形で、亜高山帯に位置し、各種の高山植物が見られることでも知られています。特に有名な、つつじ平の60万株ものレンゲツツジ大群落は、国の特別天然記念物にも指定され、6月中旬から咲き始めて、燃えるような紅色が山腹を彩ります。また、夏はキャンプやハイキング、冬はスキーといろいろなレジャーが楽しめる所でもあります。 ここには、すばらしい自然があって、多くの野草、野鳥、昆虫などが生息しているのです。私は、今までに何度か訪れて写真を撮ってきましたが、今回は蝶についてまとめてみました。


キアゲハ(あげはちょう科) 

キアゲハ(黄揚羽)
学 名Papilio machaon
科 名あげはちょう科 
時 期年1〜4回、3月〜11月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)36-70mm
(開張)90-120mm
生育地河川敷、畑地、草地など
<特徴>
 初春から晩秋まで、海岸から高山帯の河川敷、畑地、草地などで普通に見られるアゲハチョウの仲間です。翅の裏側も表側も黄色地に、黒い帯と線できれいな模様があり、後翅には、青または赤の紋も見られます。飛翔力が強く、元気に飛びまわるので、追いかけて撮影するのはたいへんです。幼虫は、セリ科植物(ニンジン、セリ、シシウドなど)を食べます。

<名前の由来>
 花にとまって、密をすう時、羽を揚(あ)げてとまるアゲハチョウの仲間で、黄色っぽいので名付けられました。

<備考>
 春型と夏型があり、夏型の方がかなり大きいのです。

キアゲハの夏型(あげはちょう科) 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原で撮影 

 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、オニユリの花で吸蜜していました。


ヤマトスジグロシロチョウ(しろちょう科)

ヤマトスジグロシロチョウ
(大和筋黒白蝶)
学 名Artogeia nesis
科 名しろちょう科 
時 期年2回、4月〜8月
分 布北海道南部〜九州
大きさ(前翅長)18-32mm
(開張)40-50mm
生育地山地の林周辺、露岩地、海岸の崖地など
<特徴>
 春から夏まで、山地の林周辺、露岩地、海岸の崖地などで、一般的に見られる白色っぽいチョウですが、一見 モンシロチョウスジグロシロチョウ と見間違えることもあります。翅の裏側は、白色で、黒い筋が目立ちます。翅の表側は、白色地に黒斑と黒い筋があります。幼虫は、アブラナ科のハクサンハタザオ、ヤマハタザオ、コンロンソウなどを食べます。

<名前の由来>
 シロチョウの仲間で、以前はエゾスジグロチョウと同じ種でしたが、本州産と北海道産を別種として扱う際に本州産を大和(ヤマト)とし、羽に黒い筋(スジグロ)があるチョウという意味で命名されています。

<備考>
 春型と夏型があり、夏型の方がやや大きいのです。近年、エゾスジグロシロチョウの本州産(北海道南部を含む)を別種として扱うようになったものです。

ヤマトスジグロシロチョウの夏型♂(しろちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影しましたが、花々の間をヒラヒラと飛んでいました。

ヤマトスジグロシロチョウの夏型♂(しろちょう科) 2007年9月1日午後、湯の丸高原駐車場近くで撮影

 2007年9月1日午後、湯の丸高原駐車場近くで撮影しましたが、花で吸蜜していました。


モンキチョウ(しろちょう科)

モンキチョウ(紋黄蝶)
学 名Eurema hecabe
科 名しろちょう科 
時 期年4〜5回、3月〜11月
分 布日本全土
大きさ(前翅長)22-33mm
(開張)40-50mm
生育地公園、畑地、河原など
<特徴>
 早春から晩秋まで、畑地、草原、河原、公園などで、一般的に見られる黄色っぽいチョウですが、メスには白っぽいのがいて、一見 モンシロチョウ と見間違えることもあります。各種の花で蜜を吸っていますが、動きが活発で、なかなか撮れない時があります。幼虫は アカツメクサシロツメクサ 、クサフジなどを食べます。

<名前の由来>
 羽に紋のある黄色いチョウという意味で命名されています。

<備考>
 春型と夏型があり、夏型の方がやや大きいのです。

モンキチョウの夏型♂(しろちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2005年7月9日午前、湯の丸高原の日窪湿原(長野県東御市)で撮影しましたが、アヤメやヒメジョオンの花々を飛びまわっていました。

モンキチョウの夏型♂(しろちょう科) 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、地表に止まっているところを接写しました。


モンシロチョウ(しろちょう科)

モンシロチョウ(紋白蝶)
学 名Pieris rapae
科 名しろちょう科 
時 期年6〜7回、3月〜11月
分 布日本全土
大きさ(前翅長)20-30mm
(開張)44-46mm
生育地キャベツ畑など
<特徴>
 春から秋まで、日本中で普通に見られるチョウで、最もなじみの深いものの一つです。野原や畑などを白っぽいチョウがフワフワと飛んでいて、いろいろな花にとまって蜜を吸ったりしています。幼虫は、キャベツや大根の葉を食するので、害虫にされています。 モンキチョウ のメスや スジグロシロチョウ と見間違えることがあります。

<名前の由来>
 羽に紋のある白いチョウという意味で命名されています。

<備考>
 春型と夏型があり、春型は小型で黒っぽい感じがします。

モンシロチョウの夏型(しろちょう科) 2007年9月1日午後、、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2007年9月1日午後、、湯の丸高原のつつじ平で撮影しましたが、花から花へ飛んでいました。


コヒョウモン(たてはちょう科)

コヒョウモン(小彪紋)
学 名Brenthis daphne
科 名たてはちょう科
時 期年1回、6月〜7月
分 布北海道、本州(中部以北)
大きさ(前翅長)23-33mm
(開張)55mm前後
生育地山地、沢沿い、草原など
<特徴>
 年1回、夏に本州では山地などで、北海道や東北地方北部では平地でも見られるタテハチョウの一種です。翅の裏側は、黄褐色の地に黒の斑模様があります。翅の表側は、褐色の地に黒斑(彪紋)が見られます。幼虫は、バラ科植物(オニシモツケなど)を食べます。

<名前の由来>
 小(コ)型の彪紋(ヒョウモン)蝶という意味で名付けられましたが、同種のヒョウモンチョウよりも必ずしも小さいというわけではなく、識別が難しいのです。

<備考>
 オスよりメスの方がやや大きいのです。北海道亜種と本州亜種があります。

コヒョウモン(たてはちょう科)本州亜種 2007年9月1日午後、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、湿原の中を花から花へと飛んでいました。

コヒョウモン(たてはちょう科)本州亜種 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しましたが、吸蜜しているところを接写しました。


ミドリヒョウモン(たてはちょう科)

ミドリヒョウモン(緑彪紋)
学 名Argynnis paphia
科 名たてはちょう科
時 期年1回、6月〜7月、9月〜10月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)31-40mm
(開張)65-75mm
生育地平地から亜高山帯の雑木林周辺など
<特徴>
 年1回の発生で、6月〜7月頃あらわれますが、低山地では真夏には一時夏眠し、9月頃再び活動するタテハチョウの一種です。翅の裏側は、薄緑色の地に銀白色の帯が3本見られます。翅の表側は、褐色の地に黒斑(彪紋)が見られます。幼虫は、スミレ科植物(スミレ、タチツボスミレなど)を食べます。

<名前の由来>
 翅の裏側が緑(ミドリ)色ぽくなっている、彪紋(ヒョウモン)蝶という意味で名付けられました。

<備考>
 オスには前翅の表側に性標が3本みられます。

ミドリヒョウモン♀(たてはちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2005年7月9日午前、2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影しました。


ウラギンヒョウモン(たてはちょう科)

ウラギンヒョウモン(裏銀彪紋)
学 名Fabriciana adippe
科 名たてはちょう科
時 期年1回、6月〜7月、9月〜10月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)27-36mm
(開張)55mm前後
生育地本州では山地など
北海道では平地など
<特徴>
 6月〜7月頃あらわれますが、低地では真夏には一時夏眠し、9月頃再び活動します。本州以西では主に山地、北海道では平地でも見られるタテハチョウの一種です。翅の裏側は、緑がかった褐色の地に白銀の斑模様が見られますが、後翅亜外縁には褐色の紋が並んでいます。翅の表側は、褐色の地に黒斑(彪紋)が見られます。幼虫は、スミレ科植物(スミレ、タチツボスミレなど)を食べます。

<名前の由来>
 羽の裏(ウラ)側に、銀(ギン)色に見える斑模様を持つ、彪紋(ヒョウモン)蝶という意味で名付けられました。

<備考>
 オスよりメスの方がやや大きいのです。

ウラギンヒョウモン♂(たてはちょう科) 2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原(長野県東御市)で撮影しましたが、アカツメクサにとまっていました。

ウラギンヒョウモン(たてはちょう科) 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しましたが、吸蜜しているところを接写しました。


ギンボシヒョウモン(たてはちょう科)

ギンボシヒョウモン(銀星彪紋)
学 名Speyeria aglaja
科 名たてはちょう科
時 期年1回、5月〜8月
分 布北海道、本州(中部以北)
大きさ(前翅長)28-34mm
(開張)55mm前後
生育地本州では山地など
北海道では平地など
<特徴>
 年1回、晩春から夏に、本州では山地などで、北海道では平地でも見られるタテハチョウの一種です。翅の裏側は、黄褐色の地に白銀の斑模様があります。翅の表側は、褐色の地に黒斑(彪紋)が見られます。幼虫は、スミレ科植物(スミレ、タチツボスミレなど)を食べます。

<名前の由来>
 羽の裏側に、銀(ギン)色に見える星(ホシ)のような模様を持つ、彪紋(ヒョウモン)蝶という意味で名付けられました。

<備考>
 オスよりメスの方が大きいのです。北海道亜種と本州亜種があります。

ギンボシヒョウモン(たてはちょう科)本州亜種 2014年8月20日午前、池の平湿原

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しましたが、ノアザミの花で吸蜜していました。


フタスジチョウ(たてはちょう科)

フタスジチョウ(二筋蝶)
学 名Neptis rivularis
科 名たてはちょう科
時 期年1回、6月〜7月
分 布北海道、本州(中部以北)
大きさ(前翅長)25-30mm
(開張)50mm前後
生育地渓谷、林縁、草地など
<特徴>
 年1回発生し、初夏に北海道や本州(中部以北)の渓谷、林縁などで見られるタテハチョウの仲間です。翅の裏側は茶色地に白線が入り、表側は濃茶色地に二本の白い帯が見られます。ちょっと鈍感なのか、近づいても動かないことがあるので、結構カメラに収まってくれますが、なかなか裏側は見せてくれないのです。幼虫は、バラ科植物(シモツケ、マルバシモツケ、ユキヤナギなど)を食べます。

<名前の由来>
 羽を開いた時の模様が、白い2本の横筋線が目立つので「フタスジ」の名が付きました。

<備考>
 オスとメスが似ています。

フタスジチョウ(たてはちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影しました。


シータテハ(たてはちょう科)

シータテハ(C立翅)
学 名Polygonia c-album
科 名たてはちょう科
時 期年2回、7月〜10月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)24-30mm
(開張)60-70mm
生育地山地の渓谷沿いの林道など
<特徴>
 夏から秋にかけて、山地の渓谷沿いの林道などで見られるタテハチョウの仲間です。翅の裏側は目立たない地味な色をしていますが、白くCの字が浮かび上がって見えるのが特徴です。表側は、褐色の地に黒い紋がありますが、夏型は地色が黄色っぽくなります。かなり敏捷に飛びまわるのですが、たまに、地上に静止することもあるので、結構カメラにも収まってくれます。幼虫は、ニレ科植物(ハルニレ、オヒョウなど)を食べます。

<名前の由来>
 翅を立ててとまる蝶という意味で命名されたタテハチョウの一種で、羽の裏側にC(シー)の字の文様が、見られるので名付けられました。

<備考>
 夏型と秋型があり、秋型は成虫で越冬し、春に見られることがあります。

シータテハの夏型(たてはちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2005年7月9日午前、2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影しました。今回は、羽の裏側も撮影でき、後ろばね裏面中央に白銀色の C 字状の紋があるのを確認しました。

シータテハ(たてはちょう科) 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しました。


エルタテハ(たてはちょう科)

エルタテハ(L立翅)
学 名Nymphalis vaualbum
科 名たてはちょう科
時 期年1回、7月〜9月
分 布北海道、本州(中部以北)
大きさ(前翅長)30-36mm
(開張)60-70mm
生育地本州では山地など
北海道では山地、平地
<特徴>
  年1回夏に、本州では中部地方以北の山地の樹林周辺や沢沿いなどで、北海道では平地でも見られるタテハチョウの一種です。翅の裏側は目立たない地味な色をしていますが、白くLの字が見えるのが特徴です。表側は、褐色の地に黒斑と白斑が目立ちます。元気に飛びまわっていますが、たまに、地上に静止することがあり、その時には羽を開閉させています。幼虫は、ニレ科植物(ハルニレなど)、カバノキ科植物(ダケカンバ、シラカンバなど)を食べます。

<名前の由来>
 翅を立ててとまる蝶という意味で命名されたタテハチョウの一種で、羽の裏側にL(エル)の字の文様が、見られるので名付けられました。

<備考>
 季節型はなく、オスとメスがよく似ています。成虫で越冬しますので、春先に見られる場合もあります。

エルタテハ(たてはちょう科) 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原(長野県東御市)で撮影しましたが、林道上にとまっていました。


クジャクチョウ(たてはちょう科)

クジャクチョウ(孔雀蝶)
学 名Inachis io
科 名たてはちょう科
時 期通常年2回、6月〜10月
分 布北海道、本州(中部以北)
大きさ(前翅長)26-32mm
(開張)55-65mm
生育地本州では山地など
北海道では平地など
<特徴>
 初夏から秋まで、本州の中部地方以北では山地などで、北海道では平地でも見ることができるタテハチョウの一種です。翅の裏側は木肌模様で、目立ちませんが、表側は真紅の地にカラフルな孔雀(クジャク)紋が4つ見られます。素早く飛んでいくので、カメラで追いかけるのはたいへんです。幼虫は、イラクサ科植物(ホソバイラクサなど)、クワ科植物(カラハナソウなど)を食べます。

<名前の由来>
 翅の表側に、孔雀(クジャク)の羽にあるようなカラフルな孔雀紋が見られるので命名されました。

<備考>
 成虫で越冬します。

クジャクチョウ(たてはちょう科) 2007年9月1日午前、池の平湿原で撮影

 2007年9月1日午前、池の平湿原で撮影しましたが、地表で吸水していました。

クジャクチョウ(たてはちょう科) 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しました。


ヒメアカタテハ(たてはちょう科)

ヒメアカタテハ(姫赤立翅)
学 名Cynthia cardui
科 名たてはちょう科
時 期多化性、5月〜11月
分 布日本全土
大きさ(前翅長)25-33mm
(開張)55mm前後
生育地平地から山地の草地、畑地、市街地など
<特徴>
 春から晩秋にかけて、日本各地の平地から山地の草地、畑地、市街地などで普通に見られるタテハチョウの仲間です。翅の裏側は目立たない地味な色をしていますが、表側は、褐色地に黒い斑紋があり、前翅には白斑紋も見られます。活発に飛び回っていますが、時々、花や地上に静止することがあるので、結構シャッターも切らせてくれます。幼虫は、キク科植物( ヨモギ、ハハコグサ、ゴボウなど)を食べます。

<名前の由来>
 翅を立ててとまる蝶という意味で命名されたタテハチョウの一種で、その中でも赤(アカ)色っぽく、アカタテハに比べて、やや小さく愛らしいので姫(ヒメ)が付きました。

<備考>
 暖地では、成虫で越冬するので早春に見られることもあります。オスとメスはよく似ていて、識別が難しいのです。

ヒメアカタテハ(たてはちょう科) 2007年9月1日午後、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2007年9月1日午後、湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、アザミの花にとまっていました。


ヒメウラナミジャノメ(じゃのめちょう科)

ヒメウラナミジャノメ
(姫裏波蛇目)
学 名Ypthima argus
科 名じゃのめちょう科
時 期年3〜5回、3月〜9月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)18-24mm
(開張)33-40mm
生育地草地、林縁など
<特徴>
 早春から秋まで、草地や林縁などで普通に見られるジャノメチョウの仲間です。翅の裏側は薄茶色の地色に、さざ波のような模様が出ていて、蛇の目模様が前翅に1個、後翅に5個以上見られます。表側は茶色の地色に大きな蛇の目模様が前翅左右に1個ずつ、後翅左右に2個ずつが目立ちます。草の上を低空で、リズミカルに飛んで、各種の花で吸蜜します。幼虫はカヤツリグサ科・イネ科植物(チジミザサ、ススキなど)を食べます。

<名前の由来>
 翅にヘビの目玉に似た丸い紋(蛇の目)があることで命名されたジャノメチョウの仲間で、小さく愛らしいのでヒメ(姫)、翅の裏側がさざ波のような模様になっているので(裏波)が付きました。

<備考>
 

ヒメウラナミジャノメ(じゃのめちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影しましたが、ツツジの間を飛びまわっていました。


ベニヒカゲ(じゃのめちょう科)

ベニヒカゲ(紅日影)
学 名Erebia niphonica
科 名じゃのめちょう科
時 期年1回、8月
分 布北海道、本州(中部以北)
大きさ(前翅長)19-27mm
(開張)45-50mm
生育地

亜高山帯の草地や崖地

<特徴>
 年1回発生し、夏に、本州では標高1,500m以上の亜高山帯で、北海道では平地でも見られるジャノメチョウの仲間です。翅の裏側は茶褐色の地に橙色の斑があり、、前翅にはその中に黒斑が見られます。表側は同じく黒褐色の地に橙色の斑があり、その中に普通3個の黒斑があります。ヒカゲという名前が付いていますが、陽の出ているときに飛んでいます。幼虫は、イネ科植物(オニノガリヤスなど)や亜高山帯に多く見られるスゲ属を食べます。

<名前の由来>
 陽光を避けて曇天や夕刻によく飛びまわるヒカゲチョウの中で、紅色の斑があるので命名されました。

<備考>
 長野県では県指定天然記念物です。北海道亜種と本州亜種があり、本州亜種は環境省レッドデータブック準絶滅危惧

ベニヒカゲ(じゃのめちょう科)本州亜種 2007年9月1日午後、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2007年9月1日午後、湯の丸高原のつつじ平で撮影しましたが、本州亜種です。

ベニヒカゲ(じゃのめちょう科)本州亜種 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しましたが、数百頭が飛び交っていました。


ヤマキマダラヒカゲ(じゃのめちょう科)

ヤマキマダラヒカゲ
(山黄斑日陰)
学 名Neope niphonica
科 名じゃのめちょう科
時 期年1〜2回、5月〜8月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)30-38mm
(開張)55-65mm
生育地

低山地から亜高山帯の雑木林の周辺など

<特徴>
 春から夏まで、低山地から亜高山帯の雑木林の周辺などで普通に見られるジャノメチョウの仲間です。翅の裏側は白と黄と黒の入り交じった文様で、蛇の目模様が並んでいます。表側は、茶褐色の地色に橙黄色の斑と線が見られます。樹木や地面に時々とまりますが、羽を閉じているので、飛翔時以外に表側を撮影するのは難しいのです。幼虫は、イネ科植物(チシマザサ、シナノザサ、ススキなど)を食べます。

<名前の由来>
 陽光を避けて曇天や夕刻によく飛びまわるヒカゲチョウの中で、山(ヤマ)で多く見られ、黄色の斑(キマダラ)模様があるので命名されました。

<備考>
  サトキマダラヒカゲ とよく似ていて、識別はなかなか難しいのです。

ヤマキマダラヒカゲ(じゃのめちょう科) 2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、林道上にとまっていました。


クロヒカゲ(じゃのめちょう科)

クロヒカゲ(黒日陰)
学 名Lethe diana
科 名じゃのめちょう科
時 期年3回、5月〜10月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)23-33mm
(開張)50-60mm
生育地平地から亜高山帯
<特徴>
 春から初秋まで、平地から亜高山帯などで広く見られるジャノメチョウの仲間です。翅の裏側は黒褐色の地色に白線と大小の蛇の目模様が見られます。表側は黒褐色の地色に小さな蛇の目模様があります。俊敏に飛ぶので、なかなかカメラには収まってくれません。幼虫は、イネ科植物(チシマザサ、ネザサ、クマザサなど)を食べます。

<名前の由来>
 陽光を避けて曇天や夕刻によく飛びまわるヒカゲチョウの中で、黒っぽい色をしているので命名されました。

<備考>
 メスはオスに比べて翅の表側の色がやや淡いのです。

クロヒカゲ(じゃのめちょう科) 2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、今回は、林道上にとまって羽を開いたので、表側も撮影出来ました。


ヒメキマダラヒカゲ(じゃのめちょう科)

ヒメキマダラヒカゲ
(姫黄斑日陰)
学 名Zophoessa callipteris
科 名じゃのめちょう科
時 期ふつう年1回、6月〜9月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)25-34mm
(開張)50-60mm
生育地山地の樹林帯樹など
<特徴>
 ふつう年1回発生し、初夏から秋にかけて、山地の樹林帯樹などで見られるジャノメチョウの仲間です。翅の裏側は黄色の地に黄褐色の線と後翅には蛇の目模様が見られます。表側は茶褐色の地に黒褐色の線と後翅には黒の斑模様が見られます。幼虫は、イネ科植物(チヂミザサ、クマザサ,チシマザサ、ヤマカモジグサなど)を食べます。

<名前の由来>
 翅にヘビの目玉に似た丸い紋(蛇の目)があることで命名されたジャノメチョウの仲間で、小さく愛らしいので姫(ヒメ)、また黄色の斑(キマダラ)模様があるのにちなんで命名されました。

<備考>
 メスはオスに比べて大きめです。

ヒメキマダラヒカゲ♂(じゃのめちょう科) 2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2005年7月9日午前、2005年7月9日昼頃、湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、木の上にとまったので、望遠で撮影しました。

ヒメキマダラヒカゲ(じゃのめちょう科) 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しましたが、葉上に止まっていました。


テングチョウ(てんぐちょう科)

テングチョウ
(天狗蝶)
学 名Libythea celtis
科 名てんぐちょう科
時 期通常年1回、5月〜11月
分 布日本各地
大きさ(前翅長)19-29mm
(開張)40〜50mm  
生育地広葉樹林の周辺など
<特徴>
 春から秋まで、広葉樹林の周辺などで見られますが、成虫で越冬するので、暖かい冬の日に出てくる場合があります。系統的に古い蝶といわれており、日本で生息しているのは、1属1種のみです。翅の裏側は枯葉模様で、木の枝にとまっているとわからなくなります。表側は、茶褐色の地色に大きなオレンジ斑が見られます。また、頭部に鼻のように見える下唇ひげ(パルピ)があるのが特徴となっています。幼虫は、ニレ科植物(エノキ、エゾエノキ、クワノハエノキ)を食べます。

<名前の由来>
 頭部が天狗の鼻のように見えることからテングチョウと名付けられました。

<備考>
 成虫で越冬します。

テングチョウ(てんぐちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影しました。


アサギマダラ(まだらちょう科)

アサギマダラ(浅葱斑)
学 名Parantica sita
科 名まだらちょう科 
時 期年2〜3回、4月〜10月
分 布本州(関東以西)〜沖縄
大きさ(前翅長)43-65mm
(開張)100mm前後
生育地市街地から高山帯まで
<特徴>
 春から秋まで、市街地から高山帯までいろいろなところで見られるマダラチョウの仲間です。翅の裏側と表側は黒褐色の地に浅葱(アサギ)色の斑模様が見られますが、後翅の外縁は赤褐色になります。ほとんどはばたかず、ふわふわと舞っていますが、移動性が強く、長距離の渡りをすることが知られています。幼虫は、ガガイモ科植物(キジョラン、イケマなど)を食べます。

<名前の由来>
 葱(ねぎ)の若芽に因んだ青み勝ちの浅い緑青色(アサギ)をした斑(マダラ)模様のある蝶という意味で命名されました。

<備考>
 季節型はありません。


アサギマダラ♂(まだらちょう科) 2007年9月1日午後、湯の丸高原駐車場近くで撮影

 2007年9月1日午後、駐車場近くで撮影しました。

アサギマダラ♂(まだらちょう科) 2014年8月20日昼、湯の丸高原駐車場近くで撮影

 2014年8月20日昼、湯の丸高原駐車場近くで撮影しましたが、吸蜜していました。


コチャバネセセリ(せせりちょう科)

コチャバネセセリ
(小茶羽せせり)
学 名Thoressa varia
科 名せせりちょう科
時 期年2回、5月〜9月
分 布北海道〜九州
大きさ(前翅長)14-19mm
(開張)30-36mm  
生育地平地、山地など
<特徴>
 春から初秋まで、平地や山地などで見られるセセリチョウの仲間です。翅の裏側は麦わら色で白斑があり、黒い脈が目立つのが特徴です。表側は、黒褐色の地色ですが、前翅には白斑が見られます。幼虫は、イネ科植物(メダケ、ミヤコザサなど)を食べます。

<名前の由来>
 ひっかいてほじくるという意味の「セセリ」から命名されたセセリチョウの一種で、その中では小型で茶色っぽい羽に見えることから名付けられました。

<備考>
 春型と夏型がありますが、夏型は羽を縁取る縁毛が白黒交互になります。

コチャバネセセリ(せせりちょう科) 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2005年7月9日午前、湯の丸高原のつつじ平で撮影しましたが、ツツジの木の間を敏捷に飛んでいました。


イチモンジセセリ(せせりちょう科)

イチモンジセセリ
(一文字せせり)
学 名Parnara guttata
科 名せせりちょう科
時 期年2〜3回、6月〜11月
分 布本州〜沖縄
大きさ(前翅長)15-21mm
(開張)35mm前後
生育地市街地、山地
<特徴>
 初夏から秋まで、市街地や草原、山地などいたる所で普通に見られるセセリチョウの仲間です。翅の裏側は薄茶色の地色に白銀の斑点が見られますが、特に後翅の白銀模様が一列になった、一文字模様を見せるのが特徴です。表側は裏側より濃い茶色の地色に白銀模様が見られます。一見ガの仲間と見間違えやすく、集団で移動することが知られています。幼虫は、イネ科、カヤツリグサ科の各種を食べますが、特にイネに有害で、駆除の対象とされています。

<名前の由来>
 ひっかいてほじくるという意味の「セセリ」から命名されたセセリチョウの一種で、後羽の白色の斑紋が一列(一文字)に並んでいるところから名付けられました。

<備考>
 幼虫は、別名:イネツトムシとも呼ばれています。

イチモンジセセリ(せせりちょう科) 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影

 2014年8月20日午前、池の平湿原で撮影しましたが、吸蜜していました。


オオチャバネセセリ(せせりちょう科)

オオチャバネセセリ
(大茶羽せせり)
学 名Polytremis pellucida
科 名せせりちょう科
時 期年2回、6月〜10月
分 布本州〜九州
大きさ(前翅長)16-21mm
(開張)33-40mm  
生育地草原、樹林など
<特徴>
 初夏から秋まで、草原や樹林などで見られるセセリチョウの仲間です。翅の裏側は薄茶色の地色に白銀の斑点が見られますが、 イチモンジセセリ では、後翅の白銀模様が一列に並ぶのに対して、本種ではジグザクになります。表側は、茶褐色の地色に白斑が見られますが、前翅ではやや大きめです。幼虫は、イネ科植物(アズマネザサ、メダケ、ヤダケカンチク、ススキ、チガヤなど)を食べます。

<名前の由来>
 ひっかいてほじくるという意味の「セセリ」から命名されたセセリチョウの一種で、その中では大型で茶色っぽい羽に見えることから名付けられました。

<備考>
 

オオチャバネセセリ(せせりちょう科) 2007年9月1日午後、湯の丸高原のつつじ平で撮影

 2007年9月1日午後、湯の丸高原のつつじ平で撮影しました。

オオチャバネセセリ(せせりちょう科) 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原で撮影

 2014年8月20日昼、湯の丸高原の日窪湿原で撮影しましたが、葉上に止まっているところを接写しました。


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