このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

芸鉄のいる風景;クモハ123-5編

芸鉄特有の時間波動、季節波動には、繁閑によって運行調整の可能な短編成が重宝されます。

その代表であるクモハ123-5を題材にした物語。


 

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今日は久しぶりの休み。それも平日。

日ごろの疲れで昼まで寝てしまっていた。

もったいないな。

あと半日になった休みをどうすごすか。ぼんやり考えると、久しぶりに海がみたくなった。

芸北からだと広島に出てユル系の瀬戸内のたそがれをみる選択もあるけど、やっぱり日本海でしょ、と昼下りの芸鉄に乗っていくことにした。

駅で待ってくれていたのは各駅停車の鈍行だ。快速を待っても良いけど、なぜだかチグハグな3両編成が気になって最後尾の食パンのような電車に乗り込む。

クモハ123-5。青いラインに白文字でそう書かれている。

123-4だと数字がつながるのに、と少し可笑しくなった。

さすがに朝や土日と比べるとのどかだ。車窓に高原のすがすがしい空が流れていく。

ベンチシートで、おばあちゃんが数人おしゃべりしている。曰く、芸北の総合病院通いが便利になった。曰く、広島にも気軽に出れるようになった。曰く、息子夫婦と孫が毎週電車に乗ってきてくれる…

良かったね、おばあちゃん達。

しばらく行った駅で、電車は一休み。快速の追い越しを待つようだ。

隣には上り電車も入ってきた。同じ食パン型の1両編成だ。

結構な人数が乗った快速が、待ちあうこの電車を揺らすほどの風圧のある速度で通過すると、ドアがプシューとしまって出発だ。

この路線の電車は、冬場ドアが手動で開閉できる。寒い冬場の室内暖気を逃がさないする工夫のようだけど、最初乗ったときは戸惑ったものだ。

更に言うと、車両毎にドアの位置や枚数が違ったりする。

結構慣れるのに苦労するけど、さっきのおばあちゃん達も当たり前のようになじんで、文句を言う人は一人もいない。

123-5bright.JPG

例に漏れず、105系とトリオを組んで。

ひとつひとつ駅にとまる。

十数人が入れ替わる。

こんなことを繰り返しつつ、少しウツラウツラしていると、最後の難所にさしかかったようだ。

電車は右に左にカーブしているが、下り坂をそんなにスピードを落とさず駆け抜ける。

フランジ音がキンキン鳴いている。

普段使うバイクも良いけど、電車でぼんやりカーブをクリアするのも面白いもんだ。

ここに来て電車旅が好きになったようだ。

123U02right.JPG

 石見路を、右に左にカントしながら。

深い渓谷が、ゆるやかな流れにかわり、少し開けた平地に出る。

右手を見ると、青い海がチラチラ見える。白い砂浜も美しい。

石見海岸だ。終点までは行かずここでおりよう。

『また、ご乗車ください』。

愛嬌のある食パン電車に言われたのかと思って、少しびっくりしたけど、

車掌さんだったようだ。

今年の夏は泳ぎに来たいね。また、この電車に乗って。

123rt01.jpg

夕方が近づく空気の中国山地を、帰りは単行一人旅。 さあ、芸北高原へ。


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