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『インドネシアは親日国ですか?』と聞かれれば、私は「ええ、そうだと思います」と答えます。彼の国に暮らしていたのは90年代前半とはるか昔だけど、住んでいたときの雰囲気や帰国後もたびたび渡航したときの感じからそう思う。そして彼の国のニュースをウォッチしている限り、インドネシアと日本の間に深刻な外交問題はないと思う。
とは言え、何か統計的な数字が欲しい。外務省の資料を引用します。
外務省:ASEAN諸国における対日世論調査(平成14年11月)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asean/yoron.html
上のページから一部を引用;{ }内は筆者の補足
「第二次世界大戦中の日本について、全対象国において「悪い面を忘れることはできない」との回答が減少し、「悪い面はあったが、今となっては気にしない」との回答が増加し、全体の約5割を占めた。」
●日本は「信頼できる」/「どちらかというと信頼できる」(合計)
インドネシア:86%{で調査対象国中トップ。}●あなたの国と日本は「友好関係にある」/「どちらかというと友好関係にある」(合計)
インドネシア:92%{で調査対象国中4位。90%を超えますが、マレーシア・シンガポール・ベトナムの方が高率。}
もっと新しい調査結果(平成20年)もあるのですが、こっちは国別のデータが公開されていません。
外務省:ASEAN主要6か国における対日世論調査(結果概要)(平成20年)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/5/1179515_907.html
詳細結果:pdf
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asean/pdfs/yoron08_01.pdf
おそらく、平成14年の調査と大きくは変わっていないと推測します。
もちろん、アンケートによる統計である以上、「質問の仕方(どんな文章だったのか?」「アンケート対象者の社会階層」などによるブレは存在するでしょう。とは言え、彼の国の人々の日本に対するイメージは良好です。
英国BBC放送による調査
世界の主要な国々対して、「その国が世界へ肯定的な(positive)影響を与えているか、否定的な(negative)影響を与えているか」調査した結果が公開されています。
BBC World Service poll
http://news.bbc.co.uk/2/hi/8626041.stm
詳細な報告(PDFファイル)
http://news.bbc.co.uk/1/shared/bsp/hi/pdfs/170610_bbcpoll.pdf
日本は「肯定的な影響を与えている」と評価される国として英国に次いで二位。そしてそれを国別に見ると、インドネシアでは「日本が世界に肯定的な影響を与えている」と評価している投票率は70%に達し、フィリピン(同77%)に次いで二位でした。上のリンクにあるPDFファイルの8ページ目が日本についの詳報です。見てみると、随分意外な結果もあり少々驚きます。
▲▲▲ 2011年8月23日追加 ▲▲▲
さて、ここで疑問です。このサイトでは、インドネシアで使われている歴史教科書(の一部)を和訳し紹介していますが、日本軍統治下の時代(1942~1945)の評価は最低と言ってよいです。
ここまで徹底的に日本の過去の行いを学校教育で批判しておきながら、なぜインドネシアは親日国なのか?
理由を見つけるのは簡単ではないでしょう。
私の思いつく仮説(というか推測のレベル)を上げておきます。
彼らは「過去は過去、現在は現在」と分けて考えている。なぜそんなことが出来るのか? 日本軍統治下を直接知る人が少ないせいもあると思う。今でもインドネシア人の平気寿命は日本人より10年以上短い。60年以上も昔の体験を直接伝える人は極めて少ないでしょう。子供の頃、親から聞かされる戦争の話は強烈な記憶となると思います。(*1) 今や、そういった話を出来る人は少ない。
そして、日本を仮想敵国にして国民の団結を図る必要もなさそうです。距離がありすぎる。
ところで、「今のインドネシア」が親日的である理由として「日本統治下の肯定的な影響」や「対オランダ独立戦争へ元日本兵が参加したこと」をあげる意見があります。決して無関係ではないと思いますが、今となっては大きな影響はないと推測しています。(*2)
さて、こんなにも親日的なインドネシアの人々。最近は日本国内でも見かけることが多くなったと思います。もし出会ったら親切にしてあげてくださいね。イスラム教徒が多数派ですけど、怖がらないでください。とっても気さくで陽気な人たちが多いと思います。私は見かけたら出来るだけ声をかけるようにしています。
*1:親が語る昔話
私は戦後生まれなので、第二次世界大戦・太平洋戦争・大東亜戦争を直接は知りません。それでも、子供の頃、父や母(昭和初期生まれ)が話していた「空襲」「機銃掃射」は強烈な記憶として残ってます。あと、インドネシアのことではありませんが、親たちが話していたことで、どうしても忘れられないことがあり、ここに書いておきたいと思います。いずれも親たちが小学校・中学校の頃の話です。( )内は私のコメント。
・父の話
「朝鮮人労働者が住んでいる小屋があったけど、汚くて、臭くて酷いところだった。」(たぶん、タコ部屋みたいなもんだったんでしょうね。父はどれくらいまで小屋へ近づいたんでしょう。もう他界してるんで確認できません。なお、父は離島出身です。この朝鮮人労働者たちはどこへも逃げることは出来なかったでしょうね。)
・母の話
「近所に朝鮮人が住んでいた。その朝鮮人が歩いていると、近所の男の子たちは『朝鮮人、朝鮮人』とはやしたて、石を投げつけていた。」
・義父の話(旧制中学在学中に学徒動員で相模湖ダム建設へかり出されたときの思い出)
「日本人ではない一団(朝鮮人なのか、中国人なのか不明)が作業現場にいた。ボロボロの汚らしい格好で、靴を履いていない人が多かった。近づかないように注意された。体格から見て食事を満足に与えられていないようだった。」(義父の話は、当たり前ですが、成人後というか家内と結婚後に聞いた話です)
植民地を持って、人を支配するってのはこういうことなんでしょうね。私は親の世代を批判したくありませんけど、植民地出身者をこのように扱っていた当時の大日本帝国が、占領地インドネシアでどんなことをしていたのか? 彼の国の教科書の記述は概ね正しいのでは?
*2:日本統治下を知るジャワの古老
3年ほど前からジャワ島在住のご老人と文通しています。ことし(2011年)で85歳だと思います。日本統治下を経験し、当時を直接語ることが出来る貴重な存在です。「日本のインドネシア占領がその後の独立戦争に大きく寄与した」と評価しています。この方の現地紙への投書を和訳していますので、ご一読いただければと思います。
インドネシア人の投書:日本の幸運な到来
http://indonesia.travel.coocan.jp/indo_ka/2008/08/post_15.html(ブログ休止中です)
一度直接お会いして当時のお話をうかがいたいと思ってます。
インドネシア人の4割が「日本の謝罪は不十分」と回答
歴史教科書(翻訳)の他に次のページも是非ご覧ください。
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