沖縄電気鐵道 浦添線 -ATC研究室-        
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ATC研究室 〜自動往復運転回路の研究/その2〜

 

タイマーIC555を利用した自動往復運転

沖縄電気鐵道-浦添線-支線(ブログ) で最近タイマーIC555を利用した自動往復運転の話が出ました。

 仕様:
   1.単に一定の間隔で折り返し運転をさせる。
   2.車両の位置認識(センサーを使用しない)はしない。
   3.終端は強制停止(ダイオード利用)させ、停止時の時間調整はなし。
     ※1)の折り返し時間で電流の極性を反転させる。

 …仕様と言っても、単純にリレーのオンとオフを同じ時間で切り替える。それだけです。

 そこで、私なりに回路設計の勉強(言う程大げさなものではありませんが)を兼ねて、回路図を書いてみました。

   
          IC555往復運転回路        

 この回路図はIC555( LMC555データシート )データシートの50%デューティ・サイクル・オシレータ回路を基に組んでみました。
 50%デューティ・サイクル・オシレータは一定周期で矩形波を発振するマルチバイブレータ回路(オシレータ)のうち、周期の半分をオン、残り半分をオフとする(50%デューティ)様に発振周期を固定した回路で、同じ時間で振幅(今回は車両を往復させる)させるために使います。

 Vccを12Vとして、作ってみましたが、Vcc=5Vの場合、RB1=1kΩ、RB2=1kΩで良いかもしれません。

 今回の回路では、周期は最大で約76秒(片道38秒)まで可能と思われます。
 また、出力3ピンと半固定抵抗の間に47kΩの抵抗を入れる事で、最小抵抗時のリレー作動時間を約6秒周期としました。
 なお、この抵抗を入れないと可変抵抗を最小とした場合、リレーが激しくオンオフしますので、必ず入れて下さい。大体10kΩ(約1.5秒周期…約0.7秒毎にオンオフを繰り返す)程度入れておけば良いでしょう。

   
          回路配線図        

 回路図を基に作成した回路の実体配線図です。
 (手書きですが、どうもコッチの方がしっくりと来るみたいです。(笑))
 ※リレーの配線を間違えていました。(なにぶん初心者なので…)

   
          実体配線        

 実際に作成してみた回路です。最小のユニバーサル基板の半分のサイズに収めてみました。
 なお、半固定抵抗の向きが、図と回路では違っています。回路では、抵抗値の変更が逆(右に回すと少なくなる)だったため、実体配線図を後で変更しました。


 実際に試験をした結果です。
 最初にマルチテスターでDuty比を測定したところ、約56%でした。
 50%の予定で回路を作ってますが、コレだとONが56%、OFFが44%となり同じ時間で往復する事ができない様です。短時間の周期なら良いのでしょうが、長時間の周期の場合のその差はかなりになる様です。

 この結果を踏まえて、オーバル状の線路で試験をしたところ、ONが約38秒、OFFが約33秒、周期約71秒となって、周期はほぼ計算通り(47kの抵抗を10kに変更)で、ON約54%、OFF約46%となり、Duty比は実測値に近い値となりました。
 しかし、Duty比50%での往復運転はできない様です。
 予定では、もう少し誤差が少ないのではと思っていましたが、やはり、両端でダイオードを入れ、強制停止区間を作り、時間調整する必要がありますね。(笑)

 まだまだ、勉強が足りませんね。と、反省しつつ、次回に進みたいと思います。

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続)タイマーIC555を利用した自動往復運転

・・・と、一段落つけようと思ったところ、後日、 「怪盗列車」 管理人さんより以下のアドバイスを頂きました。(本人の了解を頂きましたので、そのまま載せておきます)

 >
 >まず、発振回路の部分は、考え方として合っています。しかし、3番ピン(出力ピン)を発振回路に使用していますので、
 >ここから駆動回路用の電気を取り出すと、デューティ比が狂ってしまいます。
 >
 >エレキジャックNo.6の107ページに、555の内部構造の絵があります。
 >(107ページの絵はLMC555のものですが、NE555などは7番ピンのMOS-FETが一般的なトランジスタになって
 >いると考えて頂ければ良いと思います)
 >
 >ここで、発振回路と関係ないところで出力に使えそうなのは7番ピンです。
 >この発振回路の場合は、3番ピンがLになると7番ピンもLになり、逆に3番ピンHになると7番ピンはZ(ハイ・イン
 >ピーダンス=何もしない)になります。7番ピンをHにするには、回路図の通り抵抗でプルアップします。
 >
 >
 >7番ピンを使用した例として、回路図を起こしてみました。

   
    怪盗列車さんからの回路図   

 >びっくりされたかと思いますが、トランジスタのベースを引っ張り下げる抵抗がありません。また、ベース抵抗も見あたり
 >ません。これは、R2がベース抵抗になっていて、引っ張り下げはICで行っています。
 >先の通り、7番ピンがZになると、R2からTr1に電気が流れてONになりますし、7番ピンがLになると、R2の電気を
 >7番ピンから捨ててしまいますのでTr1はOFFになります。
 >
 >--------
 >
 >ただし、この回路でも、立ち上がり時に限っては少し時定数がずれます。
 >エレキジャックの私の記事、69ページに違う発振回路の図面が載っていますが、図1-8のINPUT側のようにVss(0V)
 >〜Vn(555ですと電源電圧の1/3)が立ち上がり時に悪さをして、この分だけ時間が長くなります。
 >
 >これをクリアするには、例えばロジックICの4017のような順送り出力のICを発振回路の後段に繋いで、「止まる」→
 >「正転」→「止まる」→「逆転」のような動作になるように回路を組むという方法もあります。
 >そして、もっと小さくするには、マイコンの力を借りることになってしまいます。
 >
 >鉄道模型の世界もそうですが、電子工作も奥が深いです。是非、いろいろ工夫されてみてください。
 >
 >--------

 以上ですが、部品が不足したため発注後、作成してから、テストして載せようかとも思ったのですが、この回路についての問い合わせがあったので、まずは公開しておきます。

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続々)タイマーIC555を利用した自動往復運転

 前回の更新から、暫くぶりです。
 この間に、部品も揃えて、前回予告していた 「怪盗列車」 管理人さんの回路をブレッドボード上で試作しました。
 結果として、最初の試作品よりDuty比を小さくは出来ましたが、目標の50%までは近づけませんでした。

 この回路の件は暫く放っておいたのですが、先日ネットを何気なく見ていると、カナダの Model Railroad & Misc. Electronics 内に 自動往復運転回路(Automatic Reversing Circuits) の解説があり、IC555を利用した回路の説明がありました。
 この回路を見ていて、最初にこの回路のアイデアを交換した トレイン・トレイン「凸庵さん」 の回路を思い出しました。
 そこで、「凸庵」さんの回路上のR1=1kΩ、VR=1MΩ、R2=10kΩ、C=100μFを定数に、

 充電時間(output H)=0.693×(R1+(VR+R2))×C
 放電時間(output L)=0.693×(VR+R2)×C
 Duty比=(R1+(VR+R2))/(R1+2×(VR+R2)) を計算してみました。

 

         
VR+R210kΩ100kΩ500kΩ1MΩ
H0.76s7.00s34.71s69.37s
L0.69s6.93s34.65s69.30s
Duty比52.38%50.25%50.05%50.02%


 上記の表から判るとおり、ナンダカンダ回り道をしましたが、「凸庵」さんの回路が、Duty比を50%に限りなく近づけるのに適した回路でした。
 一つの回路で、多くの方の意見や参考資料を捜すなどをしながら、勉強させてもらいました。本回路については、これで一段落したいと思いますが、以前から残していた自動運転についての宿題で新たなアイデアが浮かんでいるので、近いウチに公開できるか?(他に気が移らなければ・・・)と思います。

 因みに、鉄道模型に使えそうな各種センサーを現在勉強中です。

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