このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

三八式縦舵機
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九八式縦舵機
  航空魚雷
の安定器
魚雷を、真っ直ぐに進めるための、ジャイロスコープです
三八式と言う型名から明治38年に制式された物ということが解ります
日本海軍が国産化に成功した最初の魚雷、三八式魚雷の縦舵機かなと思います、

明治38年と言えば、日露戦争の、日本海海戦で、日本海軍がロシア海軍に勝利した年であり
今から100年以上前の相当古い物です。

日清戦争、日露戦争、当時、日本には魚雷を作る技術は未だ無く、イギリスからの輸入に頼っていたのですが
国産化の努力により、三八式魚雷の製造が可能になりました、

この三八式縦舵機は、イギリスから輸入した、ホワイトヘッド社製魚雷の
縦舵機とまったく同じで、コピーしたもののようです、 
日本には、まだ、魚雷を独自に設計する技術は無かったのでしよう。

ジャイロの回転は、バネの力で回しています、  又、舵は圧搾空気の力で制御しています。
100年前の物としてはかなり良い
保存状態で、部品の欠品もなく
滑らかに動作します。
回転力は、起動時に一度与えられるだけで、
後は、命中するまで、惰性で回転を続けます
当時の魚雷は、航続距離が少なかったので、
これでもよかったのでしよう。


添付された試験成績表には、 
佐世保海軍工廠造兵部

コマの回転時間17分とあります。
起動の仕組み
あらかじめ、傘歯車のコイルばねが
かなり強い力で、巻かれています
発動と同時に、ストッパーが外れ
傘歯車が約3/4回転します、この時
回転力が与えられ、傘歯車の切り欠き部
で歯車は停止、ここで、縁が切れるので
互いに干渉することなく、ジャイロは自由運動
を続けます。
舵制御用の圧搾空気を切り替える
複動弁、 回転体の保持枠上部
から突き出た、針が、Y字型の弁体
のアームを動かす。
弁体
鉛筆の芯、位の細さの弁です
これに、精密なスリットが入っています。
収納状態。
本来、右奥に調製用工具が
収納されているのですが、
本機では、欠品です。
圧搾空気配管の様子。
皿を伏せたような、傘型歯車
(発動用鐘と呼ばれる) により
回転体(転輪)を回します、
動力源は、コイルバネです。


この方式を機械発動式縦舵機と言います
本体の刻印、呉海軍工廠製
とあります


分解してみると、かなりな精密加工で
明治時代に、これだけの工作が日本でも
出来たのかと、感心しました。
収納用の箱
箱には、敷島と書かれています
敷島は、明治33年にイギリスの造船所で竣工した
敷島型戦艦の一番艦で、当時、世界最大の戦艦でした
このシリーズの四番艦は連合艦隊旗艦、戦艦三笠で、
日本海海戦での活躍はご存じのとおり、

敷島は、日露戦争後、練習艦となり、太平洋戦争も
無事生き延びるも、昭和22年解体されました

この旧式縦舵機は、練習艦敷島で、
初期の魚雷技術を伝えるための、
教材として保管されていた物と想像します。
敷島が解体されスクラップとして払い下げ
られた時、検収のため貼られたと思われる
紙片、昭和22年とあります

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