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その1
:金属の本格キットを入手、無謀な挑戦の始まりは、動力に苦労。。。
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その2
:車体をハンダ付けで再工作。正面デッキは「ハイブリッド」で
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その1:
金属の本格キットを入手、無謀な挑戦の始まりは、動力に苦労。。。
*購入のいきさつ
それは、2年ほど前のことだったでしょうか。
いつもの中古模型ショップに、見慣れない小さな銀色の紙箱が置いてあったのです。
見れば・・・「ED14形直流電気機関車 GINGA MODEL」と書いてあります。
私の好きな旧型電機のキット、しかも・・・銀河モデル製!?
その存在を知らなかった私は、驚愕しました。
しかも未開封なのに、お値段は新品時の半額未満だと思う低価格だし、
自分に作れるかどうかという問題はさておき、とりあえず購入したのでした。
そのとき・・・同じ店に後から来たOKIに見せたら、大いに羨ましがられたのです。
もしかして、とってもいいものを手に入れたのでしょうか。
この小さな銀の箱を見つけて・・・全てが始まりました
*ハンダ工作は苦手です
ところが、中身は本格的な金属キットです。
車体、動力、台車など、金属を(基本的にはハンダ付けで)組み上げなければなりません。
ベテラン諸氏には「そんなこと当たり前じゃん!」と言われてしまうかもしれませんが、
プラキット製作や完成品加工しか経験のない私には、とてつもなく凄いものに思えたのです。
何しろ・・・当時の私は、ハンダ付けでのボディ工作など、したことがありません。
屋根と側板は一体で折り曲げ済みだったものの、
窓枠、ドア、ランボード、妻板などを、
正確な位置にハンダ付けできる自信など、まるでないのです。
しばらくキットを見ながら・・・数日間悩んだ私は、
思い切って「瞬間接着剤」で組むことにしたのでした。
そして、「無謀な挑戦」を始めたのです。
*瞬間接着剤でのボディ組立・・・しかし
ご存知のとおり、瞬間接着剤と金属は、相性がよくありません。
ちょっとした衝撃で、すぐにはがれてしまうのです。
でも、ハンダ付けが無理である限り、やってみるしかない・・・
結果から先に言うと、窓枠、ランボードは、瞬間接着剤でもどうにかなりました。
窓枠の場合は、位置決めをした状態で、裏から瞬間接着剤を隙間に流し、
ランボードの場合は、所定の位置に差し込んだ後、瞬間接着剤を流しました。
これらは力が加わる部分ではないので、これでもどうにかなるのです。
ところが、妻板と側板の接着は・・・さすがに無理。
「糊しろ」の全くないイモ付けをしなくてはならないのです。
床板の固定と補強を兼ねた真鍮角材を妻板と側面の角に貼ることになっていますが、
それが、瞬間接着剤ではすぐに剥がれてしまうのです。
このときはごまかしごまかし組み上げましたが、どうにも不安が残ってしまいました。
完成までには、何らかの対処をしないわけにはいかないでしょう。
しかし、とりあえず早く動くところを見たい!
・・・そんな思いにかられてしまったので、当時の私は先を急いでしまったのでした。
ランボード、窓枠、ルーバーなどは、全て瞬間接着剤で固定しています。
但し、重量がある屋根上のホワイトメタル製パーツには、ゴム系接着剤を使いました。
*動力に苦労
続いては動力です。
まずはキットで指定されたモーター、キドマイティを入手しました。
昔は有名な小型モーターでしたが、最近は在庫している模型店がなかなかなくて・・・
ネットで調べて、在庫ありとなっている模型店を見つけ、買いに行きました。
モーターさえ手に入ればこちらのもの・・・すぐにできると思った動力の工作は、
ところがところが、思わぬ苦労の連続になってしまったのでした。
細かく書いていくと、それだけで物凄い分量になってしまうので、
できるだけ簡単に書きましょう。
本格的な金属キット工作初心者にとって、
如何に大変だったかはわかってもらえると思います。
①.動輪の集電側と絶縁側が見た目で識別できない
ぱっと見、全く同じなのです。いや、よく見てもわかりません。
いちいち導通を調べて向きを決めないといけないのは、実に面倒でした。
②.車軸を通す極細パイプが1本欠品
キットは未開封だったので、製品梱包時の不良でしょう。
4本あるべきものが3本しか同梱されていませんでした。
・・・これが大きな「トラブル」を引き起こします。
③.床板が真鍮製なので、車輪フランジに当ってショートしやすい
台車取り付け部(ボルスター)の高さが低いため、
水平状態でもフランジと床板の間、クリアランスに余裕がないのです。
そのため、線路の継ぎ目にちょっと段差があったりすると、
フランジが床板に触れてショートしてしまいます。
・・・なんでこのような設計なのでしょう???
④.ウォームギアの位置決めが難しい
ややきつめですが、ウォームギアはモーター軸に手で挿入できました。
しかし説明書には、「最適な位置が決まったら、瞬間接着剤で固定せよ」などと書いてある。
最適な位置は、どこなんでしょう?
モーターの取り付け位置、角度、ギアの位置を決めるのは、試行錯誤の連続でした。。。
キドマイティを別途購入し、組んだ動力
*結局どうなったかというと・・・
①は、とにかくひとつずつ導通をチェックしました。
そして、向きがわからなくならないよう、車輪裏に軽く目印を付けておきました。
見た目ですぐにわかるようになっていればいいのですがねぇ・・・
②は、パイプの役割を理解しておらず、欠品しているなら「ナシでもいいジャン」と・・・
1軸はパイプナシとして台車を組んでしまったのです。
ところが・・・パイプナシで直接車軸が台車の内枠に接すると・・・
どうしても引っかかってしまって、うまく回転しなかったのです!
しかも!この走行不良は「ギアの噛み合わせが悪いせい」だと決め付けた私は、
ギア位置、モーター位置と角度の調整ばかりをする始末です。
そして、どう調整しても走行してくれないことに嫌気がさし、
組立途中で1年以上もこのキットを放棄してしまったのです。
これが治ったのが2008年秋。
放置されていたキットを改めて見て、
これはもしや、パイプがないせいでは?・・・と気づきました。
早速、パイプのない1軸のギアを抜き、フリーにしてみたところ・・・
あららら、実にあっけなく、スイスイと走行するようになるじゃありませんか!!!
ギア位置やモーターを細かく調整しまくった、あの苦労は何だったのか・・・・
そしてそれ以降、放置してしまった1年以上の時間も何だったのか・・・
悔やんでも仕方ありませんね。
そういうスキルが当時の私にはなかったということです。
ED14なら、短編成の列車しか牽引しないので、3軸駆動でも充分でしょう。
本来ならメーカーに連絡して、欠品分のパーツを送ってもらうべきでしょうが、
これで納得することにしました。
それにしても、やはりパーツには、それぞれしっかりとした役割があるのですね。
フランジと床板が接してショートしやすいので、床板に仮にセロテープを貼っています
一番右側の軸はフリーになりました
台車外枠が既に付いていますが・・・これについての顛末はまた後で。。。
③は、有効な対処方法がわかっていません。
とりあえず暫定処置として、床板にセロテープを貼って絶縁し、しのいでありますが・・・
セロテープは劣化が早いので、1年以上の放置で、もう剥がれ始めています。
このキットを組んだみなさんは、どうしているのでしょうか?
④は、(当たり前のことですが)②の大問題が解決した後、2008年に調整しました。
ウォームを差し込み、「このあたりかな」という位置にして、
(このときはまだウォームは固定しない)、前後の走行を繰り返します。
どちらの方向とも走行に支障がないようになるまで、
位置を微調整しながら走行を繰り返しました。
そしてだいたいOKと判断したところで、瞬間接着剤を流して固定しました。
結果は・・・方向によって若干走行性が異なる、という状態になっています。
しかしこれは②のパイプ欠品のせいもあるだろうし、、
大きな問題とはならないでしょう。
なのでこのままにしておくことにいします。
*先が思いやられる・・・
今回はここまでを紹介します。
金属キット初心者の私が・・・無謀な挑戦を始め、
七転八倒しながら組んでいく姿を、どうぞご笑覧ください。
単に出来の悪い作品を見せるだけじゃ能がないので、
工作を進めながら、私なりのアイデアも盛り込んでいけたら、
それを紹介できれば、と思っています。
もちろん、金属工作ベテラン諸氏からの、
有力なアドバイスにも、大いに期待しています(笑)
次回は・・・ボディ工作のその後です。
その2:
車体をハンダ付けで再工作。正面デッキは「ハイブリッド」で。
*妻板をハンダで付ける
さて・・・前回、強度不足だと気づいた前面ですが・・・
やはり、ちょっと力を加えたら、ばりっと取れてしまいました。
なので、思い切ってハンダ付けに挑戦することにしました。
なにしろ、
アルモデルの電機
や
サイコロデワ
くらいしか、車体のハンダ付けをしたことのない私です。
しかもアルモデルのキットの場合はしっかりと位置決めできるのに対し、
この銀河製ED14は・・・まったくのイモ付け。
位置がばしっと決まるとは思えませんでした。。。
どうしたらうまくできるか・・・しばらく考えた私は、
かつてOKIに聞いた方法を試してみることにしたのです。
その方法とは・・・・「ぐしょぐしょに湿らせたティッシュで押さえる」ということ。
マスキングテープやクリップなどで位置を決めるだけでは、加熱した際にどうしてもズレてしまうし、
「あっ!」と思ったときに、とっさに微妙な調整をすることができません。
やっぱり自分の指で押さえるのが一番です。
・・・しかし問題は熱さ。
なので、湿ったティッシュで押さえて熱を逃がしながら、ハンダ付けをするというものです。
これが・・・思いのほかうまくいきました。
一部前面にハンダが回ってしまったものの、ほぼ思った位置に、
ツライチにイモ付けすることができたのです!
尚、前面扉も瞬間接着剤で留めていましたが、いったん取り外し、
あらためてハンダで付け直しました。
妻板と側板はハンダのイモ付け、なんとかできました。前面扉もハンダで。
はみ出したハンダは後で修正します。
いやー・・・やればどうにかなるもんですね。
はみ出したハンダの修正がうまくいくかどうかはまだわかりませんが、
とりあえず強度的には問題のない車体が組めたのです。
あ・・・妻板と側板の接合された角(内側)には、
補強と床板取り付けを兼ねた角材が付くのですが・・・これはどうしましょう。
ハンダ付けすると、せっかく付いた妻板が取れてしまいかねないし、
瞬間接着剤ではすぐに取れてしまうし・・・
エポキシ接着剤で取り付けるのが無難なところでしょうか。。。
また後で考えることにしましょう。
*台車枠を付ける
妻板のハンダ付けができて調子に乗ってしまった私は、
台車の外枠もハンダ付けすることにしました。
この台車の構成は、ギアと車軸を支え、集電もしている台車内枠を、
金属製の蓋で、下から蓋をしています。
この蓋に台車外枠を取り付けなくてはなりません。
台車外枠はロストワックス製なので、ハンダ付けが可能なのです。
これも、「ぐしょぐしょにしたティッシュで押さえながらハンダ付けする」方法で、どうにか付けました。
多少ズレがあっても、蓋の部分が柔らかいので、取り付けた後に修正することができます。
その点、妻板のイモ付けよりはラクでした。
白状すれば、せっかくの台車のディテールにまでハンダが流れてしまった部分があるんですが・・・
これも後でどうにかすることを考えます。
とりあえず、問題は全て先送りしています。
なんとか取り付けられた台車外枠。ハンダが結構はみ出しちゃった部分もあります。。。
*乗降用デッキとステップを作る
乗降用デッキとステップも、パーツは言うまでもなく金属製・・・ハンダで組むのが原則です。
しかし私の技術では、このような細かいものになればなるほど、
きちんと組む自信が持てません。。。
そこでまず、デッキの手すりは、4本の足のうち内側の2本は瞬間接着剤でデッキに固定し、
外側の2本はハンダ付けしました。
このようにすれば、ハンダ付けする際の位置決めがラクだし、
瞬間接着剤だけで組むのに比べて、強度もしっかりと保つことができます。
我ながらよいアイデアだったと思います。
続いてステップは、キットに付属していたパーツは金属板を打ち抜いただけのもので、
厚みがない単なる梯子のようになっていて、とても実感的とは言いがたいものでした。
踏み板部分は、ちゃんと水平な板になっていてほしいよなー・・・
そう思った私は、ステップを自作してみることにしました。
とは言っても、金属工作は無理です。
材料は、いつものStripStyrene。
1mm×0.25mmで梯子を組み、1mm×3mmに貼り付けてみました。
出来上がったステップを、さきほどのデッキに固定します。
1mm×3mmの上面と、真鍮製のデッキ下面を瞬間接着剤で接着しました。
接着面積が結構あるので、充分に強固に接着することができました。
また、非常に薄いプラ材料で作ったステップは、強度的に不安もあります。
でも、真鍮製デッキに固定してみると、意外としっかりしているので、
手荒に厚かったりしない限り、大丈夫そうです。
・・・衝突や脱線転覆は要注意かも(苦笑)
左写真:手すりの足は、内側2本を瞬間接着剤で固定した後、外側2本をハンダ付けしました。
右写真:ステップはプラ工作。StripStyreneでの自作です。
組みあがったデッキ&ステップ
*形になってきました!
いやいやいや・・・ここまでも結構大変でした。
動力がまともにうごかなかったり、ショートばかりしたり、
妻板のハンダ付けに途方にくれたり・・・
それでも諦めずに、自分の実力にあった工作法をいろいろ考え、なんとかここまで来た感じです。
まだまだ完成には程遠いとは言え、
ボディを被せ、デッキを載せ(置いただけ)、KATOのPS14パンタを装着してみると・・・
うぉー!どう見てもED14じゃないですか!
こりゃータマラン!!
・・・ってなわけで、何時間も眺めてしまいました。
まだこれから、ハンダはみ出しをしっかりと修正し、
妻板にあるステップやヘッドライトなどの細かなパーツ取り付けがあり、
苦手な塗装も控えているというのに・・・既に有頂天です。
気を引き締めて、次に向かいましょう。
でも・・・カッコイイ〜
(つづく)
仮組みした姿。なかなかいいんでないかい?