このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

モニター窓Hゴムを簡単表現



  1. お手軽工作のつもりが・・・思わぬ展開になりました
  2. 正しい寸法の車体に。動力も改造で製作
  3. デハの屋根工作に集中・・・そして疲労(笑)

*KATOのホビーセンターに保存されている実車は こちら

1:お手軽工作のつもりが・・・思わぬ展開になりました
*次なる工作素材は・・・
キット製作に凝ってしまった私、とにかく何かを作りたいってことで、
次に目をつけたのがリトルジャパンの京急デハ230系でした。
GMと似たような板キットではありますが、価格はGMの倍くらいします!
・・・そのぶん出来もいいのでは?なんて期待も持っていたし、
また、関東私鉄の旧型電車、しかもマイナー車種であることも、私の好みでした。
ってことで、デハ+クハの2両セットを2箱買い求め、大師線の4連を再現しようとしたのでした。

ところがこれが、思わぬ「泥沼化」していったのです。。。

そうなんです。
まず最初にご覧戴くのは、泥沼化してしまったために、後にボツになった車両です。
そのあたりをご了解の上、ご覧ください。
(その後、 ボツになった車両をフリー電車に改造 しています)



*まずは1両を素組み・・・でも配管はやり直し
キットの出来は、なかなかでした。
各パーツの「合い」がよく、ほとんど修正する必要もなく、組み合わさるのです。
キットによっては多大な修正を余儀なくされるGMとは、えらい違いだなー、なんて思いました。
窓サッシの細さや側板の薄さにも、大袈裟に感動してみせたりもしました。
で・・・まずはデハ230の1両を組んでみたのです。

すると、屋根が若干大きいかなという以外、ボディはきっちりと組めました。

屋根には・・・配管がモールド表現されています。
キットにしてはなかなか繊細にモールドされているのですが、
最近の私は、これを金属線化しないと気が済まなくなっています。
金属線化するというのは、かなりの苦労を強いられてしまうということはわかっていても、
一方で、その工作自体を楽しんでいる自分がいるのです。
そこで、極細の平刀とデザインナイフで配管を削り取ってしまい、耐水ペーパーで磨きました。
モールドのうち、残したのはパンタ台4個と、避雷器らしきものだけです。

そして次に・・・モールドを金属線で再現していきます。

まず、正面から向かって右側の太い線、これはたまたま手元にあった、0.3mmの燐青銅線です。
もちろん、普通に真鍮線でもかまわないのですが。。。
固定はレボリューションファクトリー製の0.3mmの割りピンを使いました。
相変わらず、割りピンの使いにくさには閉口させられましたが。。。

続いて、パンタの中央からヘッドライト方向に向かい、そこから90度曲がっている線。
ここには0.2mmの真鍮線を使いました。
また、パンタから2本平行して出て、前面下まで降りている線も、0.2mmの真鍮線です。
これらの固定には、被膜付きのリード線(より線)の中身をほぐしたものを使ってみました。
0.1mmくらいの細さでしょうか。

これを固定用の穴に通し、輪っかにしてから真鍮線を通して、
屋根の裏から引っ張れば、「きゅっ」と締まります。
そこに瞬間接着剤流して固定するのです。
この方法は、割りピン使用に比べると、扱いが遥かにラクであることと、
割りピンよりも細くて実感的なところが優れています。
なので・・・東急3700系の時にはかなり苦労したこれらの配管も、
今回はあっさりと、しかも綺麗にすることができました。

配管モールドと同時に削り取ってしまった他のディテールも、なるべく再現しました。
その材料は主に、StripStyreneです。

パンタ台は・・・実物写真を良く見ると、車幅方向に渡った板の上にパンタが載っていたので、
これもStripStyrereで「らしく」再現しました。
さらに・・・運転席側の屋根の端にある2つの手すり、これはBONAのパーツで再現してみました。
言われなければ気づかないほど目立たないものですが、
よく見ればにやりとしてしまう、そんなパーツですね。
手すり高さを揃えるには、固定する際に0.25mm×0.5mmのStripStyreneを挟んでいます。
これで0.25mmだけ浮いた形にしました。

ここまでは、工作に全く破綻はなく、うまくいっていたのです。。。
この後、とんでもない泥沼に陥ることなど、全く想像できませんでした。。。


配管は、とってもきれいにできたんです。でも・・・

*下周りを作ってみると・・・
デハ230って、床下機器が4列並ぶんですね、凄いです。
さほど精密なパーツではないのですが、これだけぎっしりだと壮観です。

ジャンパー栓や連結器が点いている車端の部分は、
キット説明書には、運転席側の「ボディ車端部に」貼り付けるよう、書いてありました。
しかしこれをボディに貼り付けると、この後のボディ工作の邪魔になります。
東急3700のときにはそれで苦労したので、私は床板側に固定することにしました。
床板と妻面の位置関係と高さに注意しながら、接着しました。
台車は仮に、東急3700では使用しなかった日車D型(黒)を履かせています。

ちなみにこのとき車高は・・・高いと感じたので、
側板裏の床板固定用リブを削りとって、1mmのプラ角材で新たに作りました。
元の位置よりも0.5mm上げてみましたが・・・もうちょっと車高を下げたほうがよいでしょう。

そして、ここで気づいたことがあります。
床板の幅が、車体内側よりも0.5mmくらい狭いんです。
このままでは床板がユルユルになってしまうので、
0.25mm×1mmのStripStyreneを、床板側面に貼り付けました。
こうすることで、適度な摩擦で床板がボディにはまるようになりました。


連結器を床板側に接着。4列ぎっしりの床下機器が壮観です。

*しかし!・・・寸法がおかしくないかな?これ・・・
配管ではじっくりと時間をかけたものの、結果は綺麗にできたし、
ここまでの工作は比較的順調に進んできました。

まさか・・・キットにいろいろなエラー・・・つまり、ユーザを陥れる罠があるとは、露知らず。
最初に気づいたのは、運転席と反対側の車端部でした。
ボディを組むときにも、既にちょっと気にはなっていたんですが・・・
車端部の角の柱、これって・・・太くないですか?京急230ってこんなに太かったっけ?
窓が大きく、柱が細くて、ずっと窓が連続しているイメージだったんです。
ところがこのキットでは、車端部に太い柱が存在します。。。

うーん・・・違わない?

組み立てる前に確認しておきゃいいものを、ここで私は、初めて資料をひっくり返しました。
交友社の「私鉄電車のアルバム」と、機芸出版社の「私鉄電車プロファイル」です。

結果は・・・はい、想像したとおりです。
この部分、スケールの倍以上の太さがあったのでした。。。がっくし

車端部の「柱」が太い!

また、寸法が「あれれ?」という点には、こんなものもありました。。
せっかく、モールドされていたパンタ台に、車幅方向に板を渡して実物の雰囲気を出したのに、
TOMIX製PT42Fの碍子と位置が合っていないんですよ。。。
つまり、キットそのままでは、TOMIXパンタには合わないということです。

うー・・・モールドされたパンタ台ピッタシに配管をしてしまったので、
もうパンタ台を作り直す気力は持てません。。。

ここで私は・・・この1両は捨ててしまっても構わないので、
しっかり実車のことを調べた上で、対策を考えることにしました。

*寸法をちゃんと調べてみる
①デハ230の真実
手持ちの資料によると、デハ230の車体長は15440mm。
1/150だと、約103mmになります。
ところがキットをそのまま組むと、105mm近くになってしまいました。
2mmの差は実物換算だと30cmにもなり、無視できません。
その差がどこで生じているのかをよく調べてみると、
上記車端部の柱が約1mm太いことと、妻面パーツの厚みが0.5mmずつ厚いようです。
なのでこのあたりを改善すれば、スケールに近づけることが可能です。

実物の車幅は2540mmなので、1/150にすると、17mm弱です。
ところが、そのまま組んだ車体では、17.5mmくらいになっていました。
ここも実物換算で75mmほど太くなってしまっています。
つまり、床板が0.5mmほど細かったのではなく、車体が0.5mm太かったのです。

デハ230型は、車高・・・特に腰が低く、オーバーハングが長いのも特徴です。
しかしキットでは、どうも腰高な印象がぬぐえません。
0.5mmほど車高を下げても、まだ印象が異なっていました。
線路と車体裾との間を実測すると、車高を下げてもまだ6.2mmほどあります。
1/150イラストでは5.65mmくらいだったので、やっぱりまだ0.5mm以上違いました。

そして、オーバーハングも違っていました。
実物は2970mmなので、1/150だと約20mmになります。
ところが、連結面側はほぼスケールになっているのに対して、
運転席側は18.5mmくらいしかありません。
パンタ中心位置と台車中心位置は揃っているはずなのに、キットはそうなっていないのです。
パンタ中心と台車中心が合わないと、格好悪いよぉ・・・

②クハ280の真実
一方のクハ280はどうなのでしょうか。

キットの解説書には、デハ230用制御車として製造、のようなことが書いてありました。
・・・しかし事実は違います。
デハ230は元湘南デ1/京浜デ71でしたが、
クハ280は元湘南デ26/京浜デ101で、どちらも電動車なのです。
しかし後者は全車戦災に遭い、クハとして再生しました。
なので、デハとクハでは形態も寸法も異なるのです。

クハの車体長は15733mmで・・・1/150だと105mm弱となります。
おや?これってキットの寸法どおりですね。
そして車幅は2610mmだから、1/150だと17.4mm・・・ってことは、これもキットの寸法だ!

なるほど・・・クハ280の寸法で、デハ230も同じように作っちゃったってことでしたか。
両者の寸法が異なることに気づかなかったのか?
それとも・・・設計共通化のために長いほうに合わせたのか?
理由はわかりませんけど。。。

*構想を練り直す
ここまでわかってしまったからには、もう、キットそのままのお気楽工作とはいきません。
できるだけ実物寸法に拘り、修正していくしかないでしょう。

しかもここで、追い討ちをかけるように・・・
このキットを、「琴電仕様で素晴らしく完成させている記事」を発見してしまいました。
もちろん、ちゃんと長さを加工しているし、実物資料も豊富でした。
(→こむめさんのブログ・・・「リトルジャパン琴電30型(京急230型)を制作してみる」
 http://blog.goo.ne.jp/komume1973/e/fc152c25bd0ddcc7cf0837ba302628fe 〜・・・)

これで私の決心はつきました。
ボディをガチガチに固めてしまった最初のデハ230は、残念ながらボツにすることにしました。
改めてデハ+デハのセットを買い求め、
あくまで「正確な寸法の4両編成」にすることにしたのです。

はい・・・これが、泥沼化の真相です。
楽しい泥沼・・・「泥んこ遊び」なのが、救いではありますが。。。


このように、新たなデハ230は、側板車端部を窓枠ギリギリまで・・・約1mm切り詰めます。
その他にもいろいろ・・・

2:正しい寸法の車体に。動力も改造で製作
*現物の取材
前回、正しい寸法を知ったので、最初に組んだデハ230はボツになり・・・
結果として1両足らなくなってしまったので、新たにデハ230の2両セットを買い求めました。
・・・1両余ってしまうんですけどね、まぁ、仕方ないでしょう。
(→その後、 フリー電車に改造 しました)

そして、より詳しいディテールを確認するため、ホビーセンターKATOへ行き、
保存されている実車の写真をたくさん撮ってきました。
やはり実物を見ないとわからないことはたくさんあるものですね。
このとき撮った写真は、 こちらでまとめて公開 しています。

*デハ230のボディを組みなおす
新たにデハ230を組むにあたり、行った加工は以下の通りです。
・前回最後の写真のとおり、側板の貫通路側を1mm短縮。
・妻板の裏を削って、0.5mmずつ薄くする。
これで、合計で全長を2mm短くすることができたのです。

続いては、 東急3700系製作 でやった方法で、車幅も狭めます。
側板と妻板を張り合わせる際に少しだけ妻板をはみ出させ、
固着した後にはみ出した部分をデザインナイフで削るという方法です。
この際車幅を正確に測ったわけではありませんが、
両端合わせてちょうど0.5mmほど狭くなり、ほぼスケールどおりにすることができたのです。

全長が短くなるのに合わせ、屋根板も加工が必要になります。
真ん中で一旦二つに切り、2mm短い長さに合わせます。
車幅が狭くなったのに合わせて、屋根の幅も狭く削りました。
そして、加工が終わった屋根を接着します。
同じ加工をもう1両にも施し、デハ230の2両のボディは完成しました。

やっぱり、デハ230はこうでなくちゃ。
下の写真で明らかなように、車端部の印象がまるで異なるのですからね。
・・・そのぶん、車体を組むだけで、随分と手間がかかりましたけど。

ボディが組みあがった後、後の配管工事の準備として、屋根上のモールドは削り取りました。
パンタ台の形状も実物取材で異なることがわかったので、今回はパンタ台も削り取ってしまいました。


左写真:上が前回組んだボディ、下が車体長を短くした今回のボディ
右写真:短く継いだ屋根を裏から見る

*クハ280は普通に組む
さて、クハ280はキットの寸法のままでよいので、そのまま組みました。
車体長はデハよりも2mm、車幅はデハよりも0.5mm、それぞれ大きくなります。
但し、キットの屋根板はもともとやや大きめなので、ボディの雨樋がしっかりと見えるよう、
現物合わせで前後左右をやや削る必要がありましたが。
それでもデハに比べれば、ボディの組み立てははるかに気楽。
本来、全部をこのように「お気楽」でつくるはずたったんですが、思うとおりにはいかないもんですね。


左写真:上がクハ、下がデハ
右写真:デハの1両は屋根を短くしすぎてしまい・・・0.5mmプラ板を挟んで延長しました(苦笑)

*床板の加工は大胆に!
続いては、床板を加工します。
前回の加工では、側板裏のリブを削り、0.5mm上に新たなリブを作りました。
しかしそれでもまだ、車高が0.5mmほど高かったのです。
デハは車体長も変わったし、床板の台車位置も合っていないので、
ここではかなり、思い切った加工をすることにしました。

キットの床板は平らではありません。

その方法は・・・
・床板を3分割する(切る位置は、床下機器をはめ込む「窪み」のすぐ両端)
・台車のボルスターが、車端から20mmとなるよう、床板をつなぎなおす
・その際、床板の窪みをなくし、まっ平ら(一直線)になるように張り合わせる
・長さが不足する運転席側にはプラ板を接着した後、ジャンパー栓部分を接着する
・車幅に合わせて幅を削る
・床板上面(車内側)の車端寄りを削り、高さを中央部に合わせ、
 床の厚みを約1mmに仕上げる
  →ここが車体側板のリブに当って車高が決まる部分なので、慎重に

この方法なら、車体の床板固定用リブを活かしたまま、
床板の厚みを減らすことで、車高を1mm下げることが可能です。

但し・・・床下機器取り付け位置にあった窪みはなくなっているので、
床下機器が並ぶ取り付けベースの部分を、なるべく薄く削らなくてはなりません。
さもないと、床下機器が下がりすぎてしまうんです。
ベースの部分をペラペラになるまでヤスり、所定位置に貼り付けました。

・・・実は最初、床下機器のベースを薄くしないで貼ってしまい、
慌ててそれを剥がして作り直したんです。
ちゃんと考えているようで、やっぱり試行錯誤になってしまう、私なのでした。


左写真:一直線に薄くなった床板
右写真:リブ加工なしでも、これだけ床板が引っ込みます。床下機器のベースが薄いのにも注意。
ジャンパー栓の付く運転台側の車端部

*前回と今回のデハ230を比較すると・・・
ここで、今回の工作の効果を、比較写真でお見せしましょう。
今回の作例の方が車高が低く、台車と側板裾の関係がよくなっています。
もちろん、今回の作例の方が、車端部が短くなっていることもおわかりでしょう。
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、今回の作例の方が、妻板を薄くした効果も出ています。


左写真は左が今回、右が前回の作例、右写真は逆に、左が前回、右が今回の作例。
なぜか連結面側の方が、車高の違いが大きくなってる(笑)

*動力は鉄コレ動力を延長して作る
車体は16m級ですから、2008年に発売された鉄コレの16m動力を使えば・・・と思いきや、
やっぱり台車位置が合わないんですよ。。。
京急230系は台車が中央寄りに付いていて、オーバーハングが大きいため、
この動力では、全く印象が異なってしまうのです。

そこで、ここでもまた面倒な加工をします。
・・・とは言っても、16m級動力を短縮化するのではありません。15m級動力を延長したのです。
理由は単純、片側駆動の15m級動力なら、台車位置の変更が簡単だからに他なりません。

尚、以下の加工方法は、前回もご紹介したこむめさんのブログを参考にさせていただきました。

鉄コレの15m級動力は、バラバラに分解します。
とても簡単な構造なので、特に悩むことはないでしょう。
でも・・・台車は外しにくかったので、私は台車を外さずに加工しました。

床板は真っ二つに切断。
切断位置はどこでもよいと思って、真ん中付近で切りましたが、
強度のことを考えると、もっと・・・駆動しない台車に近いほうがよかったかもしれません。

動力をばらばらにして、床板をまっぷたつ!

実物の台車間は9500mmで、1/150だと63.3mmほど・・・
鉄コレ15m級動力より、3mmほど長い計算です。
そこで、まっぷたつになった床板を延長しなくてはなりません。
ここには、動力化したため不要となった、鉄コレの床板を用いました。
そこから3mmぶんだけ切り出し、2つに分かれた床板の間に挟んで接着しました。

接着剤は、タミヤセメントです。
この床板はタミヤセメントに溶けにくいですが、決して溶けなくはないので、接着が可能です。
但し、接着面積が小さく、強度的に不安があるため、瞬間接着剤も併用するとともに、
裏面には0.25mm厚のStripStyreneも貼っておきました。

次は集電用の燐青銅板を延長しました。
真ん中あたりで二つに切り、間に0.5mm真鍮線をハンダ付けしてつなぎます。
燐青銅板を固定するリブがあるため、延長する長さはいい加減にはいかず・・・
きっちりと床板の延長分に合わせる必要があります。

燐青銅板の切断位置も・・・モーターの下は避けるべきでしょう。
盛り上がったハンダと真鍮線で、モーター取り付けがしづらくなってしまいますから。
はい、私はモーターの真下で切ってしまったんです。。。


左写真:床板を鉄コレ床を使って、約3mm延長しました
右写真:集電板は真鍮線をハンダ付けして延長。

モーターの真下に集電板の延長部分が来た結果、
モーター下で集電板に接し、モーターの端子を繋いでいるL字字のパーツ(これも燐青銅製)が、
接触不良になってしまいました。
そこでこのパーツ、本来はモーターの下に向かっているところを、
反対側の非動力台車側にしてみました。
これでしっかりと集電板に接するようになります。
接触状態も目で確認できるし、位置の微調整もしやすいので、
無加工のときでも、こちら側の方がいいんじゃないでしょうか。

モーターの加工は以上です。
単に集電部分を延長しただけで、動力機構には何ら手を加えていないので、
電気的な接触さえちゃんとしていれば、元通りスイスイと走るはずです。

但し今回は4両編成・・・片台車駆動では、力不足になることも予想されます。
もともとこの動力は軽すぎて走行不良を起こしやすい傾向もあるため、
なるべく動力台車側に、ウェイトを積んでおきたいもの・・・
今回は適当に鉛板を小さく切って、いくつか載せてみました。
この程度でも効果があり、平坦路なら、4連でも走行できました。
でも、集電を安定させるためには、もうちょっと載せておきたいところです。


左写真:集電パーツは、モーター下ではなく、非動力台車側に延ばしています
右写真:なるべく重いほうがいいので、鉛板を細かく切って載せました

*動力の高さ合わせ・・・そして台車
さて、動力ができたら、デハの1両に組み込みます。
ボディ内側にある床板固定用リブを、デザインナイフで切り取ってしまいました。
ここで注意しなくてはいけないのは・・・
ボディ裏を見るとドアの両側に、ポッチがあって、
実はこれ・・・鉄コレ動力を使う場合の高さ決め用の突起なので、切り落としてはいけないのです。

但し・・・このままだと車高がモーターナシ車より0.5mmほど高くなってしまうので、
鉄コレ動力の床板がポッチに接するあたりを、0.5mmだけ削りました。
これで、他の車両との車高も合ってくれます。

まぁ、旧型電車は、車高差があってデコボコした編成になることも多いので、
多少の差はあってもいいと思っているんですけどね。

尚、この動力に使用した台車は、鉄コレのアフターパーツとして売られている台車枠です。
たまたま・・・中に日車D型そっくりのものがあったので、それを使用しました。
GM製の日車D型とは、ブレーキシュー証言の有無くらいで、ほとんど差がありません。
いざとなったらGMの台車枠を切り出して貼り付けようかと思っていたところ、
たまたまこのパーツを発見できたので、ラッキーでした。


左写真:ドア窓横の突起が、鉄コレ動力の高さを決めます
右写真:台車は鉄コレアフターパーツの台車枠から、日車D型そっくりのものを使用。
 また、床板上辺を0.5mm削っています(仕上げ前なので粗いですが・・・)

*やっと走るようになりました
さぁ、これでとりあえず、「正確な寸法で組みあがった4両」が、走行できるところまで来ました。
まだパンタも載ってなくて、無塗装だけど、走行させればもう、いつもの有頂天です。
ついつい時間を忘れて眺めてしまうんですよ。
ここまで苦労が多かったのですが、こうして眺めると、その疲れも癒されるのです。

次は・・・ボディの仕上げ、デハ2両のパンタ周りの工作、そして下地塗装と進んでいきます。
だんだん私の苦手分野になっていくのが辛いところですが・・・
ここまでやってきたのですから、もう少し頑張っていきましょう

出来上がった4両ぶんのボディ。右2両がちょっと長いクハ。


3:デハの屋根工作に集中・・・そして疲労(笑)


ボディを組むだけでかなりの手間をかけたせいか、その後の工作はやや中だるみしてしまいました。
しかし少し気合を入れなおして、デハの屋根上を中心とした工作をしました。
配管、パンタ台、そして屋根昇降用ステップ・・・などです。
既にかなり泥沼化していたこの工作も、これですっかり底なし沼の様相を呈してきたのです。。。

*なるべく実物に近いパンタ台を再現する


まずは上の実物写真を見てください。

屋根上のパンタ台は、薄い板をΩ型に曲げたもので、
パンタ台の上に車幅方向に厚手の板を渡し、さらにその上にパンタが載っています。
屋根高さが低い電車なので、このような櫓構造になっているのでしょうか。
しかも・・・よく見れば、パンタの碍子と、パンタ台の位置は合っていません。
なので、車幅方向に渡してある板は、パンタ台の内側に半分はみ出しています。
なぜこうなっているのでしょう?
もしかしたら、当初のパンタはもっと大きく、このパンタ台に合っていたのかもしれませんね。

さて・・・Nゲージのプラ工作でこの構造を再現できるのかが問題です。
どう考えても、薄い板をΩ型に曲げたパンタ台を作ることは無理です。
これは、0.4mm×0.5mmのStripStyreneを切り出したものにしましょう。
車幅方向に渡った板もStripStyrene、こちらは0.5mm×0.7mmで。
特徴ある「内側へのはみ出し」も表現しますが、強度を考えて、はみ出し量は控えめにします。
そしてこれらは、正確な寸法で作るというより、「雰囲気を出すように」つとめました。
簡易な表現にはなりましたが、結構実物の雰囲気は出せたと思います。

尚、位置は、気をつけなければいけません。
キット屋根のパンタ台モールドは、TOMIXのPT42Fには碍子の位置が合わないのです。
しかも車体長を短くしているし、台車位置も変更しているので、
台車中心とパンタ中心が同じ位置になるようにして、
かつTOMIXパンタに合うよう、パンタ台を構築しました。

・・・と言ってしまえばそれまでですが、なかなかきちんと思った位置にできず、
2,3回作り直すハメになりました。

そしてさらに気をつけなければいけないのは、パンタの固定方法です。

新たに作った小さなパンタ台と細い板では、非常に「軟(やわ)」な構造になっているので、
ここにパンタを固定すると、どう考えても強度が不足してしまいます。
パンタの碍子部分は接着剤が効きにくい素材で、接着面積も小さいので、
固定そのものが難しいのです。
さらに、TOMIXのPT42Fは板状の大きな爪で屋根に角穴を開けて固定するようになっていますが、
パンタの取り付け位置を高くしたため、爪が屋根まで届かなくなっています。

そこで、0.5mm真鍮線を2本使い、パンタの台枠部分と屋根に刺し、
それで固定するという方法にしました。
これはパンタ下部の樹脂でできた台枠部分に穴を開けてしまうことになりますが、
後で塗装をすれば目立たなくなるでしょう。
これで、軟なパンタ台に負担をかけずに、パンタをしっかりと屋根に固定することができました。


左写真:パンタ台は簡易表現ですが、実物の雰囲気を出しました。
 にょっきり生えた真鍮線は、パンタを固定するためのものです。
右写真:パンタは、碍子より下(パンタ台)の部分をカットします。

*屋根上配管を行う
没にしてしまった最初の1両でも、配管はやっていました。
その後ホビーセンターの実物観察、実車写真調査、そして16番模型を観察して、
より正確にすることを目標に、このデハ2両にも施工しました。
パンタ台から配管が出ているので、パンタ台の完成後に行いました。

配管の固定には割りピンは使用せず、全て「より線をほどいて得られる細い銅線」を用いました。
こちらの方が割りピンよりも柔らかいし、長くて扱いやすいのです。

配管形状の変更点もあります。
運転席側にある太い線(0.3mm径真鍮線)は、
キットのモールドでは、直角に折れるように屋根に入っています。
しかし・・・実物は一旦上を向いて浮き上がり、円弧をを描いて屋根に入っていく・・・
それを知ってしまったので、これもしっかり再現することにしました。
円弧状の部分は、細い丸ヤスリに巻いて形を整えました。

助手席側に並行する2本の細い配管(0.2mm径真鍮線)は、
今までの作例では、2本の端を固定し、曲げながらさらに固定していきました。
しかしこのやり方では、2本がなかなか揃わず、苦労していたのです。
そこで今回は、あらかじめ正確な形に曲げておき、
それを端から固定していくように、工作法を変更してみたのです。
その結果は、こちらの方が断然やりやすいということがわかりました。
・・・まぁ、慣れもあるのでしょうが、2両ともうまくいったようです。
シル・ヘッダーを避けて湾曲している部分は、さすがに再現できませんでしたけどね。。。

それから、運転席側屋根の端にある2つの取っ手、
これもモールドを削った後、適当なパーツを付けました。
これらの加工で、屋根上はほぼ完璧になったと言えるでしょう。


屋根上はこんな感じになりました。

*昇降用ステップの工作


これも上の写真の通り・・・実物観察の結果、やりたくなってしまったことです。
前面両端にある、屋根昇降用の小さなステップです。
ちょうど・・・配管を留めるバンドが、ステップを固定する台座部分に溶接されていました。
このあたりの雰囲気を出したいなと思ってしまったのです。

キットを観察すると・・・台座の表現はありますが、ステップは単なる突起になっていて、
実物のような「輪っか」にはなっていません。
そこで・・・使えそうなパーツがないか、模型屋で物色してみると、
TAVASAの「73系手すりセット」に、形状の近いものが含まれていました。
スケールどおりだともうちょっと小さいのですが。

これを植え込んでしまおうなんて・・・我ながらよくやりますわ。

まず、ステップは台座部分を残し、削り取ってしまいました。
しかしこの台座が実に細いもので・・・この上に穴を開けるのは、至難の技。。。
私のウデではどうしてもうまくできなかったので、台座も削り取ってしまうことにしました。
それでも、ステップの装着位置や角度を合わせることにまた苦労し、
装着してみれば、あまりにも小さいため、肉眼ではその苦労の成果が良く見えない!

・・・これは「やらなければよかった」と、かなり後悔しました。

なんとかデハ2両、合わせて16個のステップを植え込みましたが、
それでなんだか疲れてしまい、クハの方は未施工です。
「どうせクハは編成の中間に入れるからこのままでもいいか」、という思いが出てきた一方、
「ここまでこだわったのだから、最後までやろうよ」、という気もして、葛藤しています。
どうしますかねぇ。。。


屋根から車体下まで降りる配管と、昇降用ステップの関係はこんな感じ。

*おまけ・・・乗降扉のステップ


この車両は車幅が狭く、後年の幅広車両と一緒に活躍した晩年は、
そのままではホームと車体との間隔が開いて危険です。
なので乗降扉に、かなり目立つステップが設けられていました。

キットはごく普通に靴ずりが表現されているだけなので、これも再現しなくては・・・
ということで、やってみました。
実物のように「薄く、出っ張っている」ような表現は難しいので、
モールドされた靴ずりを削り取った後、
0.4mm×0.5mmのStripStyreneの0.4mmの面を接着してみたのです。
実物の雰囲気が出たかどうかは怪しいのですが、
キットそのままよりも目立つようになったので、これでいいでしょう。


乗降口のステップは、実物のように薄くはできませんでしたが、目立たせることには成功。

*ちょっと疲れた・・・
今回の報告はここまでです。

凝りすぎて「疲労」(・・・いや「疲弊」か?)したので、進捗は一気に下がってしまいました。
もうひと頑張りすれば、塗装までできそうなんですが、ちょっと気乗りしなくて。。。
そんなときには、無理に工作をするべきではないのです。
絶対に失敗しますからね・・・

ということで、どうやって以前の勢いを取り戻すか、まずはそれを考えなきゃいけません(笑)
(つづく)


ここから先も大変だぁ・・・






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