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ローカル駅セクション

フリー電機は如何?  OKI編



1980年代の初頭だったか、フリーランスのブームが訪れた時、
専門誌にも「フリーランスはいかが?」という題でいろいろなフリー車体のイラストが掲載されました。
そのイラストのほとんどの車輌が、実際に存在してもおかしくないような物で、
フリーランスという世界にかなりの魅力を感じたものです。

この思いは、当時のしなのマイクロ改めマイクロエースが゛が出した3軸フリー機関車に注がれ、
LM328iと一緒にED14タイプを購入し、小加工しました。
(このときの顛末は「徒然なるままに」参照)
しかし・・・この加工では、実在する車両には見えませんでした。。。

そこで思い付いたのが、車体が気に入らなくて転がっていた、学研のEF60の動力。
これにKATOのEH10の車体を1両に切り継いで載せてやろう・・・・
でも、ただ2つを1つに切り継ぐには芸が無いので、

 ①屋上高圧配線のモールドを背中合わせにして車体中央に移植。
 ②連接面寄り側面にあるラジエータを前方に移植。
 ③前面は貫通ドア付き。
 ④貫通ドアがはまる分、短くなる窓ガラスのHゴムの表現を生かす為、
  前面ガラスの真ん中の柱を縦二つに切断。両端に移植。
 ⑤大きく斜めに引っ込んだ窓ガラスと貫通扉の間に蓋をして、
  そこに丸く小さな窓ガラスを設け、アクセントにする。

こんな構想だったように思います。



しかし構想に対し、絶対に作ってやろうとした強い執念が逆回りしてか、
いきなり側面ラジエータの移植に失敗。
自分の工作力の無さに空しさを感じ、加工を中断してしまいました。

後日、LM328iがEH10の動力を使ってショーティを制作したいと言い出し、
うまいタイミングでEH10のボディと非動力側を安く譲り受ける事になります。
安くといっても・・・モーターとウォームギアをホビーセンターで購入したところ、
片側動力が無いのに定価近い価格になりショックを受けましたが・・・・

非動力側を動力化し、加工に失敗した前述のボディを一つにしてショーティをつくる。

しかし今回は、動力も車体もEH10。
これでは芸が無いので間に何かを挟む事にしました。
それと小さい頃からのモットーである、実物同様に手すりは真鍮線に作り変え、
全て浮かせ実物同様に精密モデルを作る・・・という固執した考えを捨て、
下記の様に気楽に方針を打ち出しました。

 ①EF57・・・旧大型電機とのマッチング。
 ②KATOが発売したような作品にして、手すり等、別パーツに作り変えはしない。
 ③とにかくフリーランス。まがりなりにも完成させる。
 ④今までの失敗を反省し、極力同じ事をしない。

種車が決まった後は、初回の失敗の反省から、自由に切り継ぐ事にしました。
中心は屋根上のモールドと雨樋の部分です。
EF57の屋上にある5つの出っ張りのうち、中心3つを残し、
両端はEH10のランボードの足に合わせてあります。
パンタグラフからの高圧引込線を少しでも残すようにした事で、
EH10の屋根がEF57のランボード間にはまり込む形で切り継ぎました。
パンタグラフからの高圧引込線はパンタとは反対の方向に走ってしまいましたが・・・・

(過去の失敗1)「切りすぎ削りすぎ」

切断面は面と面でなく、初めに線と線になるように、
0.2mmくらいの余白を残し斜めに削り、面を出していく。
断面を斜めに削る事で薄くなった切断面は少しの力で修正ができます。
凸形の切り継ぎ面がぴったりと合い、組み合わさるように、これを繰り返し慎重に進めました。
こうして私にとっては精巧に削られた3つの部品は、プラモデルのようにピタリと組み合わさり、
雨樋を切り継ぎの中心とした事で仮組み時容易に「芯」が出ていた事に、我ながら驚いた次第です。

・・・がしかし、EH10のボディはEF57に対して若干幅が広く、
乗務員ドア後方付近から前方にかけて太くなっていく。。。。」。
仮組した車体を上から見て
「おおっ流面形じゃ」
と当時はやった車のキャッチコピーを口ずさみながら・・・・泣きました。




(過去の失敗2)「接着剤のはみ出し」

瞬間接着剤。これはプラスチックに対するハンダか、魔法の液体か!
プラ加工にもしこの液体が無ければどんな事をしていたか・・・
考えると恐ろしくなる、今は当たり前の瞬間接着剤。
しかしこの液体、浸透性が良いのが玉に傷。
(今ではゼリータイプがあるので問題はないのかもしれませんが)
それまではカッターの刃先に微量の瞬間接着剤を取り、流し込んでました。
しかし刃に取る量を間違えると、複雑なディテールに毛細管現象のように流れ込みます。。。
今回はこの事態を免れる為に、仮組した車体の継ぎ目の裏から、
次の方法で魔法の液体を芋付けすることにしました。

 ①カッターの刃に瞬間接着剤を垂らしておく
 ②芯を長く出したシャープペンの芯先に、カッターの刃に垂らした瞬間接着剤を叩くように付け、
  接合面の4、5箇所を点付け。
  (5回も繰り返せば、芯先に付く量も増え、微量の接着剤が接合面に付いていきます。)
 ③歪みのない事を確認してから、②のやり方で端から端まで、
  表側ににじみ出ていないことを確認しながら瞬間接着剤を盛っていく。

慣れてくると、表面張力よろしく適量の接着剤を裏から盛る事ができました。
その間、芯の先の接着剤が玉のように大きくなったら芯を引っ込め、削り落とし、
付着する量を調整しました。

車体裾の短い57の裾の延長には、経年変化が少ないであろうと考え、
動力の押さえを兼ねた1.2mmのプラ板を使用しました。

車体の接合が完了はしましたが、Vの字になって接合されている部分には、
接合部分補強のために、プラの雑片を混ぜながら大量の瞬間接着剤を流してあります。
経年変化で割れや剥がれ等を予想しましたが、20年近くたった今、全く問題はありません。
やはり魔法の液体です。

接合面の仕上げは、プラ板に貼った耐水ペーパーで仕上げました。
屋根上は切継ぎ面を合わせた為、殆ど仕上げはしていません。
問題は・・・・段が出来た側面です。
元々「平面を平らにするだけ」と軽く考えていた為、切断面もまっすぐにしておらず、
この予想外の段差には絶句。。。
どう仕上げるか大変悩みましたが、結局瞬間接着剤を盛り、
最初に感じた「流面形」とするべく、なだらかに流れるように仕上げました。
特に屋根のカーブは、乱さない様慎重に進めました。
が、しかし・・・写真と反対側の側面は、完全に平面になっていないのに塗装したので、
打痕のような跡を残してしまう結果となりました。

塗装は製品の塗色に合わせて調合。
ボンベ式スプレーガンで直流電気の標準色を吹き付けました。
警戒色のクリームはEH10の帯部分をあてる予定でしたが、マスキングの失敗なども予想されます。
元々軽い気持ちで進めた加工故に・・・諦めました。

帯の処置はどうするか?

当時の模型専門誌等で紹介されていたレトララインテープ。
もう頭の半分に構想は決まっており、
半導体とかと一緒に売られているいろいろな色と幅の薄い皮膜のテープの中の、
(プリント基板作りの時のマスキングテープと聞いていましたが・・・)
シルバーを警戒色の変わりに一周させました。
正面の髭の部分は斜めにカットした物を張りましたが、時が経つと剥がれてしまいます。
今も両面とも写真のように片側が取れてます。
貼り方を変えるか、KATOの室内灯セットに入っている反射板を細くカットして使用しようと思います。



仕上げはHゴムの色入れ。
ここまで製作が完了すると、我ながら想像以上の出来に鼻息も荒く、
Hゴムの色入れに焦りが生じます。

(過去の失敗3)「色いれ」

しかしEF65P型のモニター色入れに何度失敗したことか。。。。。
細い筆
平たい筆
烏口
どれを選んでも、製品のような乱れのない仕上げには程遠く、
今回の加工では一考する事にしました。

①筆
 いろいろな筆を使いましたが、感触としては「細くて平たい筆」が何故無いのか?
 こんな疑問を持つ中、今回の加工では、半田ごてのこて先を自分で作るように、
 自分に合った筆を作ることにしました。
  ・細筆に薄めた塗料を染み込ませる。
  ・筆に書かれている文字側を常に上に持つ取り決めをし、
  筆の裏半分が平らになるように、丸い根元の5分の2くらいをカッターナイフで削ぎ落とす。
  ・塗る物に対して常に筆先が平行になるように、筆先を斜めにカットし平面を出す。
①塗料の濃さ
 これは缶スプレーの中身のものが非常に良い感じです。
 ・・・が失敗すると一度で色が乗ってしまう為、その倍くらいの薄さとし、
 何度か塗り重ねる事で発色させるように調整しました。
③肘の固定と色いれ 
 必ず、スタンドの下で震える両肘を固定する。
 ②で用意した任意の色を自作筆に含ませ、1、2回新聞紙などに塗り、
 筆先に付いた塗料の量を調整した上で、対象に平行に当てるのでなく、
 車体側に余計な色が付かぬよう、斜めに筆先を当てて、1片ずつを塗りました。

3、4回も塗り返せば、まっすぐな線が現れました。
慣れてくると、はみ出しも無く、一度に綺麗に塗れるようになったと記憶しています。
このときは調子が良く、窓枠の付く側面のHゴムや屋上高圧配線にも綺麗な線が引けました。
前面Hゴムは、車体側に非常に細い表現がしてあり、
Hゴム上面だけに塗ろうとはせず車体の厚みからHゴム上面に塗るようにしました。
はみ出た厚みの部分は、エナメル塗料の黒を塗り、
エナメルの専用シンナーを染み込ませた後ティッシュに押さえつけた綿棒で、
Hゴム上面を拭き取り、綺麗な線を表現しています。
細くて分かりにくいのが玉に傷ですが・・・・

この方法は車体側にHゴムの表現がしてある製品には、効果的です。
・TOMIX、DF50正面窓
・KATO  DD51キャブ正面窓(Hゴム印刷済み)
・103系の戸袋窓等・・
少し離れて見るとプラの厚みが消せます。
色も黒一色でなく、少し茶かグレーを混ぜたほうが、
「塗ってある」という感じにならず良かったかと記憶しているのですが。。。。。




こうして出来上がったフリーランス電機。
軽い気持ちで作り始めた事もあり、大変満足のいく出来となりましたが、
人とは欲深い物で・・・下のように記気に入らぬ点が現れました。

・寸法を動力装置に合わせたわけでなく、思いのまま製品のモールドを切継いだ為、
 車体が長く真ん中に台車が寄ってしまい、オーバーハングがかなり大きくなっていること。
・パンタの位置がかなり高いこと。



寸法はもう変更するわけにいかず、動力装置の改造などしてしまえば、
自分の腕では全ての努力を水の泡にしてしまいます。
そこで、一番大きなEF66のスカートをおごる事にしました。
車体奥から斜めに延びるその形態は、前面に於いてかなりの空間を作り、
さぞジャンパー配線などの作業が楽なのでは?と想像させられます。

パンタの位置に関してはどうしても許す事が出来ず、結局、両端の山を削り落とす事にしました。
大きく開いた四角い穴は1.2mmのプラ板で塞ぎましたが、もう平らに仕上げる気力もありません。
結局#1000の耐水ペーパーを任意の寸法に切り、つや消しクリアを吹き付け、貼り付ける事にしました。
残した山の脇にある砂箱(電池BOX?)がほんの少しだけはまるよう、
耐水ペーパーを切り取り、つや消し塗装。
素材の色が生きてます。
取り付けは悩みましたが、ピンバイスで無数の穴を開け、
裏から瞬間接着剤を流し込みました。
数年後にワールド工芸のキットを買ったとき半田の付け方が同じ方法を採られており、
この時の事を思い出させられましたが・・・・

完成後このような作り直しが重なり、お陰で車体は手垢でテカテカです。



機種ナンバーはどうするか?
EH10の10を取って・・・うまくまとまりません。
LM328iに見せてその話をすると、
ゴクローサン=5963
ってのはどうかと言われ即決しました。
ED75、EF65PF、等の余ったナンバーを削ぎ取り、平らにやすったプレートの上に
          
           ED59 63

と並べて瞬間接着剤で固定しましたが、ナンバーは削ぎとるときに反りが生じ、高さも均一でなく
御覧のようなつぶれた状態です。今ではインレタと言う素晴らしい物があり、
今後作り変える予定です。

実際に存在しない電気機関車。
とりあえず完成したものと思いましたが、
今後もスカートの固定の仕方など、改善のための案が色々と頭を過ぎり、
実車に近づける加工が完成した時のような達成感は全くありません。

それにしても・・・子供の頃からいろいろ作った自作車輌のうち、唯一生き残っている機関車で、
それまで数多く自作や改造した作品の失敗が、この一輌で思い出されます。
その失敗作品をどんな愚作であろうとも何故残していなかったのか。。。。
本当に惜しまれます。
自分で加工した、自作した、改造した・・・・車輌はこの世に一つ。
たとえ満足しなくても大切に残して於きたかった・・・・
と感じる40過ぎの親父の溜息を付かせる作品なのです。


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