このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
DMH17系機関を搭載した気動車は、台車内の動輪に逆転機を備えている。エンジン、コンバータ からの動力は推進軸により、逆転機のカサ歯車(左図の青色で示している:歯数=29)を回す。 このカサ歯車に歯数40のカサ歯車2個(左図薄紫)が向かい合わせて噛み合っている。この 2個のカサ歯車の間の軸(左図薄緑)は歯車を支えているだけで、回転しない。軸とカサ歯車 の間にベアリングがあって、2個のカサ歯車は相互にまったく関係なく回転することができる。 2個のカサ歯車の間には歯数19の小歯車(左図水色)があって、動輪の大歯車(左図黄色)と 噛み合っている。2個のカサ歯車の中には、小歯車と同じ歯数の内歯歯車が切ってある。
小歯車には上からフォーク(フタマタの金具)が嵌まり込んでいる。このフォークは圧縮空気で 動くピストン・シリンダ機構で左右に動くようになっていて、小歯車を2個のカサ歯車の 内歯歯車のどちらかに嵌めるようになっている。(図では左のカサ歯車に嵌っている。 フォークは省略してある)
向かい合った2個のカサ歯車(歯数40)はお互いに逆回転するので、小歯車がどちらのカサ 歯車の内歯と噛み合うか、によって、動輪の回る方向が変わる。
動輪の大歯車の歯数はキハ17、20、55すべて41であったが、特急型のキハ80では36にした。
エンジンクランク軸が1500rpmで回転し、変速機が直結のとき、青色のカサ歯車も1500rpmで回る。
これと噛み合う薄紫のカサ歯車、水色の小歯車は、
1500×(29/40)=1087.5(rpm)で回る。
特急型以前の車両では、大歯車(=動輪)は、
1087.5×(19/41)=504(rpm)で回ることになる。
動輪径を公称径の860mm(0.86m)とすると、車体の速度は
504×(0.86×π) ×(60/1000)=82(km/h)となる。
特急型キハ80では、大歯車(=動輪)の回転速度は、
1087.5×(19/36)=574(rpm)となり、車体の速度は
574×(0.86×π) ×(60/1000)=93(km/h)となる。
大歯車の軸はそのまま動輪なので、台車枠との間には軸バネがあって、乗客の多少によって 台車枠との間の寸法が変わる。線路の継ぎ目や分岐器を通過するときにも、相互の間隔が変わ るので、逆転機を台車枠に固定することができない。逆転機は台車枠から腕を出して吊ってあり、 重量の一部は動輪で支えられている。(このために、逆転機は車軸からの振動、衝撃を受ける)
(注)図は歯車の構成を概念的に示したもので、ケースや軸受などは省略しています。
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