このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

鉄道原風景
─ 急行/桜島・高千穂 ─



1975年3月のダイヤ改正まで、東京〜西鹿児島(現:鹿児島中央)には急行列車が走っていました。 列車名を「桜島」と「高千穂」といい、「桜島」は小倉から鹿児島本線、博多、 熊本を経由、「高千穂」は日豊本線、大分、宮崎を経由していました。
当時の運行時刻は下記の通り(1974年10月の時刻表より)
下り
東京10:00発→名古屋15:14着19発→(門司で分割)→西鹿児島(熊本経由)11:43着/(宮崎経由)14:20着
上り
西鹿児島(宮崎経由)11:52発/(熊本経由)14:33発→(門司で併結)→名古屋10:48着53発→東京16:06着

熊本経由「桜島」の所要時間は下り25時間43分、上り25時間33分。
宮崎経由「高千穂」にいたっては下り28時間20分、上り28時間14分もかかっています。
当然のことながら、この列車、毎日、欠かさず運転されていました。
このことは、下り列車でいえば、10時から14時20分の間には、東京を出発したばかりの「高千穂」と 宮崎から終点、西鹿児島へ着く直前の「高千穂」の2本が走っている、ということになります。
上り列車もあわせると、11時52分から14時20分の間は、上下合わせて4本の「高千穂」が走って いることになります。
上下列車は13時頃、静岡県焼津付近と13時13分鹿児島県大隅大川原駅ですれ違うことになります。
車両は「電車(各車両にモータが付いている)」ではなく、「客車」でした。動力を持たない 車両を機関車が牽引するのです。
グリーン車は床下にディーゼルエンジンの発電機を備えていて、冷房付ですが、普通車は冷房なし。 暖房は機関車から蒸気をもらってスチーム暖房になっていました。
一昼夜走るのですが、寝台車はなく、グリーン車以外は全席自由席。乗車券と急行券だけで乗れました。
時刻表の日豊本線「高千穂」のページには、
「この列車で日豊本線内を途中下車しないで鹿児島、西鹿児島へ行く場合は鹿児島本線経由の乗車券 でそのまま乗車できます」
と書いてあります。
上り列車のページには、
「この列車で鹿児島、西鹿児島から日豊本線内を途中下車しないで小倉以遠へ行く場合は鹿児島本線 経由の乗車券でそのまま乗車できます」
と書いてあります。
誰が好んで、宮崎回りで乗るもんか!と突っ込みたくなりますが、今、もし走っていたら、TV番組のネタ になったかもしれません。
1974年の時刻表から料金を計算すると、東京-西鹿児島1493.6kmの乗車券が\5310、急行券が\400 (201km以上は一律\400)。ついでながら、グリーン料金は\2000(401km以上は一律\2000)でした。
(実距離は熊本経由1513.7km・宮崎経由1595.2km)

ここにご紹介する写真は東海道本線熱田駅付近で撮影した下り列車。先頭電気機関車と中間のグリーン車 です。
機関車は旅客用として製作されたEF58型60号機。この型の61号機は「お召し列車専用」として 業界では有名ですが、この60号機は「予備機」。
他のEF58型が青塗装なのに対し、あずき色(茶色)でした。

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