このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

─ 総排気量 ─


機関の出力はシリンダ内の燃焼ガスの圧力(平均有効圧という)とクランク回転速度、総排気量に比例する。
このうち、総排気量はシリンダ径、ピストン行程、シリンダ数というごく幾何学的数値だけから求める ことができる。計算式は円柱の体積を求めるのと同じで、
1シリンダ排気量(Lit)=(π/4)×シリンダ直径(mm)2×行程(mm)÷106
総排気量(Lit)=1シリンダ排気量(Lit)×シリンダ数
注)π=円周率(ExcelではPI( )と打つ)
下表は鉄道車両の機関の排気量を計算した結果。
直列6シリンダのDMF31がV型12シリンダになってDML62にならない理由がわかる。

機関型式シリンダ径行程1シリンダ排気量(Lit)シリンダ数総排気量(Lit)
DMH17130160
2.124
8
16.990
DMF15140160
2.463
6
14.778
DML30140160
2.463
12
29.556
DMF31180200
5.089
6
30.536
DML61180200
5.089
12
61.073
DMP81180200
5.089
16
81.430
12V396165185
3.956
12
47.469
SA12V170170170
3.859
12
46.304
DMP86185200
5.376
16
86.017


(注)機関形式の排気量を示す数字のあとに付く、H,S,Zなどの記号は略している。これらの記号については「機関型式」「給気冷却器」で解説している。
12V396はmtu社製DF200(初期型)のエンジン。
※mtu社:ドイツフリードリッヒシャーフェンに工場がある。motoren und turbinen unionの略(モトーレン・ウント・ツルビーネン・ウニオンと読む。 モータウンドタービンユニオンと読まない)
SA12V170は国内K社製DF200(二次型)のエンジン。

参考に二輪車のエンジンについても少し記載する。
車体シリンダ径行程シリンダ数総排気量(c.c.)
CB72
54
54
2
247
CB750
61
63
4
736
750RS
64
58
4
746

ディーゼル機関では通常、「シリンダ径<行程」とする。
ガソリン機関ではCB72のエンジンのように「シリンダ径=行程」というのも多く、これを「スクェア」という。 SA12V170もこれにあたる。ディーゼル機関ではちょっと珍しい。
ガソリン機関では、750RSのように、「シリンダ径>行程」というのもあって、「オーバースクェア」という。
興味があるようなら、ご自宅の自家用車のシリンダ径を調べてみてはいかがでしょう。 シリンダ径が小さくて意外に思うかもしれません。

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