このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

─ シリンダヘッドボルト ─


シリンダヘッドは頑丈なボルトでクランクケースに締め付けられている。燃焼室の燃焼ガスが ピストンを押すから動力になるのだが、シリンダヘッドがガッチリ燃焼ガスを押さえているから 動力になるのだとも言える。いうなれば、シリンダヘッドボルトの反力が動力になっているのだと いってもいい。
4ストローク機関ではクランク軸2回転に1回燃焼するから毎分1500回転する機関は1秒間に12回半、 大きな荷重を繰り返し受ける。61Zの場合で、燃焼ガスの最高圧力を仮に80kg/cm2とすると、 シリンダヘッドにかかる力は、シリンダ径が18cmなので、
(π/4)×182×80=20358(kg)(約20トン)
となる。

この圧力に耐えるために、61Zのヘッドボルトは軸部の直径17.5mmのボルトが1シリンダ毎に10本使われている。
このボルトはごく一般に見かける六角の頭のついたボルトではない。植え込みボルト(スタッド ボルト)といって、両端におねじを切った丸棒である。これの一端をクランクケースにネジ込んで ある。ちょうど地面に丸棒を植え込んだようになる。ここへシリンダヘッドを入れ、最後にナットで 締め上げる。
なぜごく一般的な六角頭のボルトを使わないのか。六角ボルトは六角の頭の部分と丸い軸の部分との 境に直角の角ができてしまう。大きな荷重を受けたとき、この角の部分から破断することがある。 だから、このような直角の角のない植え込みボルトを使っている。
材料はクロム、モリブデンといった微量元素を含む合金鋼で、焼入れ、焼戻し処理を施して、 所定の強度が出るようにし、錆び防止のため、メッキを施している。
そして、ボルト(ナット)の締付けの方法も細かく指定される。締付け力はトルクレンチといって、 所定の締付け力が出るようにした工具を使い、対角に交互に締めていき、一方だけを締め過ぎない ようにしている。
中には、変形してしまうほど強く締め付け、一旦緩めたボルトは再使用しないよう指定される 機関もある。

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