このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

─ディーゼル機関概説─

鉄道車両に普及しているエンジンがディーゼル機関であることは広く知られている。 バスやトラックに使われているのと同種である。かつて、鉄道車両にガソリン機関が 使われたことがある。その昔、この、ガソリン機関による気動車が脱線し、漏れた ガソリンに引火し、車両が全焼して多数の乗客がお亡くなりになるという 事故があった。引火しやすいガソリンを大量に積む、ということは危険きわまりない。 ディーゼル機関に使う燃料は気化しにくく、引火しにくい。ガソリンに比べれば、 火災を起こしにくい燃料である、といえる。
(参考文献:事故の鉄道史・佐々木冨泰/網谷りょういち著)

鉄道車両に使われているエンジンと自動車に使われているエンジンとは大きさに差異が あるものの、その仕掛けと動きに大差はない。円筒形のシリンダの中にピストンが嵌まり 込んで連接棒とクランク軸の機構によって、往復運動を回転運動に変えている。

一般に乗用車などの小型の自動車に使われているガソリン機関と、鉄道車両やバス、 トラックに使われているディーゼル機関はどこが違うのか・・・・・

大きな違いは、ガソリンエンジンは燃焼室(ピストンとシリンダ)の前に燃料と空気を あらかじめ混ぜて燃焼室に送り込むのに対し、ディーゼルエンジンは最初に空気だけを 燃焼室に入れ、後から、噴射ポンプで燃料を送り込むことにある。
これは、使用される燃料の性質に違いがあることによる。(というより、燃料の性質に 適合した機構にしてある、という方が適切であろう)
ガソリンは気化しやすく、火種(火花とか裸火)があると引火する。一方、軽油(灯油、 重油も)はガソリンに比べ、気化しにくく、引火しにくい。
逆に、ガソリンは加熱するとさかんに蒸発し、そのときに気化熱を奪うので、熱源の温 度を下げてしまう。一方、ディーゼル燃料は加熱してやるとある温度で自己着火する。
このように、ガソリンとディーゼル燃料は相反する性質を持っている。
そこで、この両者の性質に適合するように、
ガソリン機関では、スパークプラグ(火種)で点火し、
ディーゼル機関では、圧縮して高温となった空気中に燃料を霧状に噴射して自己着火させる。

このように、機構、構造と動作は似ているが、ガソリン機関とディーゼル機関は燃料の燃やし方が 根本的に異なっている。

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