このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
─ ニューマチックコントロール(ガスエンジン) ─
(ガスエンジン解説のつづき)
エンジンは空気と燃料を供給し、点火プラグで火をつけてやれば動く。
錆にまみれた中古の二輪車や自動車のエンジンを再起動するときには、 このあたりから順に点検していく。
大型のエンジンでも同じ、といえば、それまでなのだが、安全に起動するためには、 各部を秩序よく動かしていかなければならない。
通常、発電用のエンジンでは、リレーやマグネットスイッチ、タイマなどを使って 電気的にコントロールして燃料ガス電磁弁や点火装置を順に作動させていく。
Superior社のガスエンジンはこのコントロールをニューマチック(pneumatic) コントロールといって、圧力空気を使ってやっていた。
電気信号(バッテリ電源)による起動指令で電磁弁が開いて、コントロールパネルに空気が供給される。 この操作は手動弁でも良い。続いて、スタータの電磁弁が開いて、空気がセルモータに流れていき、 セルモータがクランク軸を動かす。最初に「パージ」といって、燃料ガスを供給せず、 燃焼室のガス交換を行ない、燃焼室を新鮮な空気で満たす。同時に空気圧で接点がONになるリレーがあって、 点火装置が動作し、点火プラグが火花を飛ばす。コントロールパネルにはアキュムレータといって、 直径5cmぐらいの小さな空気タンクが装備してあって、このタンクが満たされるまで約5秒間、 「パージ」動作が行われる。
この動作が終わると燃料弁が開く。燃料弁は一気に全開になるのではなく、 少しずつ開くようになっている。これもアキュムレータがついていて、 制御空気圧が少しずつ上がっていき、この圧力に応じて、燃料弁が徐々に開いていくようになっていた。
燃料弁が少しずつ開いていくので、始動してもすぐには規定の回転速度には達せず、 低回転からゆっくり加速していく。その加速につれて、排気管のベローズが大きく揺れ、ズドドン、 ズドドンと大きな音をたてた。その音は重い貨物を牽いて、 ゆっくり動きだす蒸気機関車の機械音、排気音のようであった。
空圧機器の取扱いに慣れている方なら何でもない機構なのだと思うのだが、 それまで、電気シーケンスしか見たことのない者には新鮮で、 「空気でこんなことができるのか」と感心することが多かった。
上の写真はニューマチックコントロールの外観。
丸い空気タンクが見えている。正面は透明アクリル板で覆っている。
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