このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

─ りっぽうめーとる(ガスエンジン) ─




(ガスエンジン解説のつづき)

都市ガスなど気体の体積は、Nm3(ノルマル立方メートル)という単位を用いる。
気体は温度と圧力によって体積が変わるので、条件を揃えないと甚だしく数値が変わってしまう。 そこで、0℃、1気圧(大気圧)に換算して表記する。(注1)換算した体積であることを示すため、「N(ノルマル)」を付ける。
m3は1m四方の正方形6枚で囲われた立方体の体積を示す。
俗称として、m3を立米(りゅうべい)と読むこともある。これはメートルという単位が輸入された当初、 漢字で「米突」と書いたことに由来する。
1m四方の正方形の面積は1m2(平方メートル)であるが、これを1平米(へいべい)と称するのと同じである。 面積は土地の面積などで、30坪100平米と言ったりする。
m3はガスや水道の使用量に使われるのだが、一般にはこれらの使用量は支払う料金で換算されてしまうので、 m3で比較することは少ない。水道使用量10m3と言われても概念がつかめない。
そのためなのか、m3を立方メートルと読まず、最近では「リューベ」と書いている書籍も見かける。 途中の「立米」はどこへやら、何やら特殊な単位であるかのようである。
あくまでも「りゅうべい」や「へいべい」は俗称で、「りっぽうメートル」「へいほうメートル」と読むか、 英語で「キュービックメートル」「スクエアメートル」と言うのが正しい。
自動車や二輪車の機関排気量を表すのに「cc」という単位を用いることがある。 これは、Cubic Centimeter(キュービックセンチ)の略である。
1m3は1キロリットルに等しいから、「リューベ」などと、タロベーかジロベーの兄弟か、 と言われそうな意味不明の単位を使うぐらいなら、「キロリットル」と読み替えた方がつまらないことを言われないで済む。 水ならば、1m3が1000kg、1トンにあたるので、ポンプの吐出量は、1m3/hと書いてあれば、 そのまま「毎時1トン」と言うこともある。
最近、TVなどに出てくると、名古屋弁で話す某市長がおられるが、
科学誌などで、「リューベ」などという俗称、で記述する、というのは、名古屋弁で記事を書いているのに等しい。
某市長は「わかっとって、しゃべってござるのでまぁええがね」(理解した上で話してみえるので良いでしょう)、 であるが、科学誌に俗称を書く、というのはこれが俗称であることさえご存知ないであろう。(注2)

このような例はいくつかあって、
蝶番:扉やフタの開閉部分の支点に使われる部品。「ちょうつがい」と読む。番号の番の字ひとつで「つがい」と読む。 これを「ちょうばん」と読む人がときどきおられる。名古屋弁で言うと「ちょうつぎゃあ」である。 「ちょうばん」では、その人の教養が疑われるが、「ちょうつぎゃあ」なら笑いを誘う。
カンチレバー:これは英語のcantileverをそのまま和文表記したもの。「片持ち梁(かたもちばり)」のこと。 「感知レバー」ではない。
kVA:「キロボルトアンペア」と読む。そのまま「ケーブイエー」と読むのは俗称である。 「きろぼるとあんぺあ」では言い難い、舌を噛みそうなので、電気屋がお互いに話をするときに 「けーぶいえー」と言い替えたのであろう。公式の場では、言い替えるべきではない。
某社の紹介DVDで「ケーブイエー」と読んでいたので、「間違ってますよ」と指摘したら、 「これで通用するから良い」と回答があった。恥の上塗りであろう。
管用ねじ:都市ガスの配管などに使われる。鋼管の端面に豪快にネジ加工して継ぎ手にネジ込んで接続する。 「かんようねじ」と読むのは誤りで、「くだようねじ」と読む。 JISの規格B0202,0203には小学生にもわかるようにかなで「“くだよう”と読む」と書かれている。

(注1)換算式:気体は温度が上がると体積が増え、圧力が上がると体積が減る。
Vo=(273/(273+T))×((1013+P)/1013)×V
T:温度(℃) P:圧力(hPa) V:換算前体積(m3
の式で換算する。
(注2)推測するに…、記者が技術者を取材した際に、技術屋が「りゅうべぇ」と言ったのを「m3」と翻訳せず、 そのまま、文面にしてしまったのであろう。 技術屋も「自分達が日頃使っている用語が世間一般にも広く通用する」と思っている人がいて、いちいち説明しない人は多い。
製品の取扱説明書が販売地域の方言で書かれていたら、かなり斬新であろう。



添付写真は小型のガスエンジンによる自家発電装置の一部。
(小型といっても総排気量は約20リットル)
防音の箱に入っていて、都市ガスの導入部にガスメータが装備されている。
画面右下のアイボリの部品がガスメータで、表示部は黒いカバーがかけられている。
「管理用」と称する品で、省エネ度を計算するなど、機械の性能確認を目的とする。
温度と圧力のセンサを内蔵していて、温度、圧力の換算までやってくれるスグレモノ。
手動ガス遮断弁や圧力計が左に続いている。

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