このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

─ レイアウト ─


ドイツの高級乗用車の製造社にBMW(ベーエムヴェー)社というのがある。
二輪の好きな方なら、BMW社が二輪車も生産していることはよく知っていることだろう。BMWの二輪車といえば、 水平対向ツイン(2気筒)というレイアウトを特徴としている。

この水平対向機関の左右のピストンは、相互に「対向」運動しているかというと実はそうではない。
1つのクランクピンに左右の連接棒が嵌まっているから、右のピストンが右へ動いているとき、 左のピストンも右へ動く。左右のピストンは振動を打ち消すのではなく、相互に増長するように動いている。
拳闘家が左右にパンチを繰り出すようだ、というところからBMWの水平対向ツインを「ボクサー」と称する(のだそうだ)。

鉄道車両用のDML30HS系のクランクも同じ機構である。ただし、こちらは片側6気筒、両側で12気筒あるから、 どれか1組(左右)のピストンが右へ動いているとき、必ず、他のどれかのピストンが左へ動いていて、 全体としてバランスするようになっている。
DMF15HS系、DMH17Hもそれぞれ6気筒、8気筒なので全体としてバランスする。が、各クランクスロー (左右1組のピストン、コンロッド)毎には大きな力が発生する(別途、後日解説の予定)。 そこで、実際の機関では、各クランクスロー毎にツリアイオモリを付けて、 発生する力を低減するようにしている。

機関車用のDML61Z系はV型で、左右バンクの角度は60°にしている。これはボンネット内に納めるためなのだそうだ。
一般的にV型機関の左右のバンク角度は90°が多い。各クランクスロー(左右1組のピストン)毎に バランスするからなのだが、12気筒機関にすると、クランクの位相角が120°だから、等間隔で燃焼してくれない。 クランク角で90°→30°→90°・・・の間隔となる。
一方、61Zの場合はVの角度が60°なので60°毎の等間隔燃焼となる。
機械的なバランスをとるか、等間隔燃焼をとるか、機関屋を悩ませる問題の一つであろう。
(添付写真は「旧車のつどい」にて撮影)

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