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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 春待ち月 吉野の里にふれる白雪 〜


〜 前編 〜


「朝ぼらけ 有明の月と みるまでに 吉野の里に ふれる白雪」

「小倉百人一首 三十一番」、及び、「古今集」より

作者:坂上是則(さかのうえのこれのり)



ある冬の日の事。

沖田総司と子供達が一緒に遊んでいる。

沖田総司が子供達に笑顔で話し掛ける。

「みんな〜! 休憩しよう〜!」

子供達は沖田総司のもとに集まってきた。



子供達の中の一人が笑顔で沖田総司に話し掛ける。

「総司お兄ちゃん。雪が降った日の翌日の朝に、朝日に光っている雪を見たんだ。寒かったけど綺麗だったよ。」

沖田総司は子供に微笑んで話し掛ける。

「そうだよね。朝日に光る雪は綺麗だよね。」

別な子供が笑顔で沖田総司に話し掛ける。

「総司お兄ちゃん! お姉ちゃんと一緒に二人で見ると、もっと綺麗に見えると思うよ!」

沖田総司の顔が急に赤くなった。

子供は不思議そうに沖田総司を見ている。

他の子供が、不思議そうに沖田総司を見ている子供に、苦笑しながら話し掛ける。

「お兄ちゃんにお姉ちゃんの話しをすると、顔が赤くなったり動きが止まったりする事が多いんだ。だから、気にしない方が良いよ。」

子供は不思議そうに沖田総司を見ている。

沖田総司は顔を赤くしたまま子供に話し掛ける。

「そうだね。鈴ちゃんが見たら喜ぶよね。」

子供は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

他の子供が沖田総司に話し掛ける。

「今日もお姉ちゃんと会うんでしょ。」

沖田総司は顔を赤くしたまま子供を見て頷いた。



山南敬助が沖田総司と子供達の近くにやってきた。

沖田総司と子供達の様子を微笑んだ表情で見始めた。



子供達が山南敬助に気が付いた。

数人も子供達が山南敬助のもとに走っていった。



数人の子供達が山南敬助のもとにやってくると、楽しそうに話し出す。

「さんなんのお兄ちゃん! こんにちは!」

山南敬助は微笑んで子供達に話し掛ける。

「みんな。こんにちは。」

子供達は山南敬助に微笑んで話し掛ける。

「あっちに総司お兄ちゃんが居ます。早く行きましょう。」

山南敬助は子供達を見ながら頷いた。

山南敬助と子供達は、沖田総司と残っている子供達のもとに歩き出した。



山南敬助は微笑んで沖田総司と子供達に話し掛ける。

「こんにちは。」

沖田総司は微笑んで山南敬助に話し掛ける。

「こんにちは。」

子供達は山南敬助に微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。」

山南敬助は微笑んで沖田総司と子供達を見ている。

子供達は山南敬助に笑顔で話し掛ける。

「総司お兄ちゃんがこれからお姉ちゃんと会うそうです。山南のお兄ちゃんが、続きを一緒に遊んでくれると嬉しいです。」

沖田総司は子供に顔を赤くしながら話し掛ける。

「まだ、鈴ちゃんには・・・」

子供は沖田総司の話しを遮ると、山南敬助に笑顔で話し掛ける。

「あまり待たせるとお姉ちゃんが寂しがります。山南のお兄ちゃん。よろしくお願いします。」

山南敬助は微笑んで子供達に話し掛ける。

「総司の代わりにはならないかもしれませんが、私で良ければ一緒に遊びましょう。」

子供達は山南敬助に笑顔で話し掛ける。

「よろしくお願いします。」

山南敬助は子供達を見ながら笑顔で頷いた。

子供達は笑顔で沖田総司に話し掛ける。


「総司お兄ちゃん。そういう事だから、もう行って良いよ。」

沖田総司は顔を赤くしたまま山南敬助を見た。

山南敬助は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「総司。私が一緒に遊びます。気にしなくても大丈夫ですよ。」

沖田総司は顔を赤くしたまま山南敬助に話し掛ける。

「では、後の事はよろしくお願いします。」

山南敬助は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司は顔を赤くしたまま歩き出した。

子供達は笑顔で沖田総司の背中に向かって次々に話し掛ける。

「早く行った方が良いよ〜!」

「お姉ちゃんが寂しがってるよ〜!」

「お姉ちゃんを泣かしちゃ駄目だよ〜!」

沖田総司はもっと顔を赤くして立ち止まってしまった。

山南敬助と子供達は沖田総司の後姿を不思議そうに見ている。

沖田総司は顔を真っ赤にしたまま急いで走り出した。

あっという間に沖田総司の姿は見えなくなった。

山南敬助と子供達は驚いた様子で沖田総司を見ている。



沖田総司は顔を赤くしたまま少女の家に到着した。

少女は沖田総司を心配そうに見ながら話し掛ける。

「総司さん。お顔が赤いです。大丈夫ですか?」

沖田総司は顔を赤くしたまま少女に話し掛ける。

「さっきまで子供達と遊んでいたんだ。そうしたら、予定より早く来られる事になったんだ。走ってきた。」

少女は、沖田総司の話しがいつもより要領を得ないため、心配そうに見ている。

沖田総司は顔を赤くしたまま少女に話し掛ける。

「とにかく早く出掛けよう。」

少女は沖田総司を見ながら小さく頷いた。

二人は一緒に出掛けて行った。



沖田総司と少女は一緒に歩いている。

沖田総司の顔色は先程よりは赤くない。

少女は少し安心した様子で沖田総司を見ている。

沖田総司は少しだけ顔を赤くしながら少女に話し掛ける。

「子供達が、鈴ちゃんが寂しがるから早く行けって騒いでいたんだ。だから、鈴ちゃんの家に走って向かったんだ。」

少女は沖田総司を心配そうに見ながら話し掛ける。

「子供達はもう帰ったのですか?」

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「山南さんが一緒に遊んでいるんだ。」

少女は安心した様子で沖田総司を見ている。



沖田総司と少女は寺の中で話しをしている。

沖田総司は少女に笑顔で話し掛ける。

「鈴ちゃん。子供達と、雪が降った日の翌日の朝日に光る雪が綺麗だった、という話しをしたんだ。」

少女は沖田総司を微笑んで見ながら頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんも同じなんだ。嬉しいな。」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女に苦笑しながら話し掛ける。

「子供達がね、鈴ちゃんと一緒に早朝の雪を見たら、もっと綺麗に見えるという話しをしたんだ。」

少女は沖田総司を寂しそうに見た。

沖田総司は心配そうに少女を見ながら話し掛ける。

「鈴ちゃん。大丈夫?」

少女は寂しそうに微笑みながら沖田総司に話し出す。

「私も総司さんと一緒に早朝の雪を見たら、もっと綺麗に見えると思います。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。私は何か変な事を言ったのかな?」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「早朝の雪を総司さんと一緒に見る機会があったら、総司さんに朝食を作って差し上げたいです。」

沖田総司は少女に笑顔で話し掛ける。

「鈴ちゃんが食事を作ってくれるんだ。楽しみだな。」

少女は沖田総司に恥ずかしそうに話し掛ける。

「でも、私は食事と言ってもたいした物は作れません。期待しないでください。」

沖田総司は少女に笑顔で話し掛ける。

「鈴ちゃんが作ってくれる物はいつもおいしいよ。だから、大丈夫だよ。」

少女は沖田総司に笑顔で返事をする。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見ている。



沖田総司が屯所に戻ってきた。

山南敬助は沖田総司の姿を微笑んで見た。

沖田総司は山南敬助に微笑んで話し掛ける。

「山南さん。子供達と一緒に遊んでくれて、ありがとうございました。」

山南敬助は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「礼を言われる程の事はしていません。私も子供達と一緒に遊ぶ事が出来て楽しかったです。」

斉藤一が二人の近くを通り掛った。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見ながら話し掛ける。

「斉藤さん。こんにちは。」

斉藤一は沖田総司を普通に見た。

沖田総司は、山南敬助と斉藤一の二人に、心配そうに話し掛ける。

「今日、子供達が、鈴ちゃんと一緒に早朝の雪を見たら、もっと綺麗に見えると話しをしていたと言いました。」

山南敬助と斉藤一は黙って沖田総司の話しを聞いている。

沖田総司は二人に心配そうに話し掛ける。

「そうしたら、鈴ちゃんが寂しそうな表情になりました。でも、直ぐに楽しそうに話しを始めました。私に朝食を作りたいと言っていました。」

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司は彼女の寂しそうな理由はわかりましたか?」

沖田総司は山南敬助に心配そうに話し掛ける。

「わかりません。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情のまま見ていたが、居なくなろうとする。

沖田総司は不思議そうに斉藤一に話し掛ける。

「斉藤さん。どうしたのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「山南さんに話しをすれば良いだろ。俺がいる必要はないよな。」

沖田総司は心配そうに斉藤一に話し掛ける。

「斉藤さん。私は何か変な事を言ったのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司が変な事を言っているのはいつもの事だろ。」

沖田総司は斉藤一の様子を心配そうに見ている。

斉藤一はそのまま去っていった。

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司。大丈夫ですか?」

沖田総司は山南敬助に心配そうに話し掛ける。

「斉藤さんは怒ったかもしれません。鈴ちゃんは私の居ない所で一人だけで泣いているかもしれません。二人共大切な友達なのに。私は迷惑ばかり掛けています。」

山南敬助は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「斉藤君は総司の事を怒ったりしていないと思います。美鈴さんは泣いたりしていないと思います。心配しなくても大丈夫ですよ。」

沖田総司は山南敬助を安心した様子で見ている。



それから少し後の事。

山南敬助は土方歳三のもとを訪れた。

山南敬助と土方歳三の二人はいろいろと話しをしている。

土方歳三は山南敬助の話しを了承したらしい。

土方歳三は楽しそうに何かを考えている。

山南敬助は土方歳三の様子を微笑んで見ている。



そんなある日の事。

今日は雪が降りそうな空模様。

沖田総司は仕事をしながら、空の様子を時折心配そうに見ている。



一方、こちらは少女の家。

少女のもとに文が届いた。

少女は不思議そうに宛名を見ている。

不思議そうな表情のまま文を読み始めた。



沖田総司が土方歳三のもとを訪れた。

土方歳三は微笑んで沖田総司に紙を手渡した。

沖田総司は不思議そうに紙を見ている。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「今度雪が降った時に、その歌を仲の良い相手に詠んでみろ。相手が総司の事を見直すと思うぞ。」

沖田総司は土方歳三を不思議そうに見ながら返事をする。

「ありがとうございます。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「今日あたり雪が降りそうだから早速使えるな。良かったな。総司。」

沖田総司は不思議そうに土方歳三を見ている。

土方歳三は沖田総司の様子を微笑んで見ている。

沖田総司は、不思議そうに紙に書いてある歌を見ながら、去っていった。



その日の遅い時間になってから、京の町に雪が降り始めた。

沖田総司は屯所で雪が降ってくる様子を黙って見ている。

少女は自分の家で雪の降る様子を微笑んで見ている。



夜になった。

雪は静かに降っている。

沖田総司は雪の降っている様子の確認をすると床についた。

少女は既に床について寝ている。

雪は少女の家にも屯所にも同じ様に静かに降っている。





はじめに       後編       後書き

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