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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜梅初月 花ぞ昔の香ににほいける 〜


〜 前編 〜


「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほいける」

「小倉百人一首 三十五番」、及び、「古今集」より

作者:紀貫之(きのつらゆき)



ある冬の日の事。

山南敬助が屯所のなかを歩いている。

沖田総司の歩いている姿が見えた。

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司。土方君を探しています。どこに居るか知りませんか?」

沖田総司は微笑んで山南敬助に話し掛ける。

「土方さんは近藤さんの部屋に居ると思います。」

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「ありがとう。」

沖田総司は微笑んで山南敬助を見た。

山南敬助は近藤勇の部屋へと向かって歩き出した。



山南敬助は近藤勇の部屋を訪れた。

近藤勇と土方歳三が真剣な表情で話し合っていた。

山南敬助は二人の様子を黙って見た。

近藤勇と土方歳三は、話しを途中で止めると、普段と同じ表情で山南敬助を見た。

山南敬助は近藤勇と土方歳三を見ながら微笑んで話し出す。

「土方君に用があったのでこちらに来ました。でも、仕事の最中のようですね。後にします。」

土方歳三は微笑んで山南敬助に話し掛ける。

「近藤さんとの話しが終わったら、直ぐに山南さんの部屋に行きます。少しだけ待っていてください。」

山南敬助は土方歳三を微笑んで見ながら頷いた。

近藤勇は山南敬助と土方歳三の様子を黙って見ている。

山南敬助は近藤勇と土方歳三に軽く礼をすると部屋から出て行った。



山南敬助は部屋を出る何事も無かったかのように歩き出した。



山南敬助は屯所のなかを普通に歩いている。

目の前を沖田総司と斉藤一が歩いていた。

沖田総司と斉藤一は山南敬助のもとにやってきた。

沖田総司は山南敬助に不思議そうに話し掛ける。

「土方さんは近藤さんの部屋に居ませんでしたか?」

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「土方君は近藤さんの部屋に居ました。でも、二人は話しをしていました。邪魔をしてしまったようなので、直ぐに部屋を出ました。土方君は近藤さんとの話しが終わったら、私の所に来るそうです。」

沖田総司は山南敬助に微笑んで話し掛ける。

「二人は仕事の話しをしていたんですね。でも、山南さんも仕事の話しですよね? そうしたら、一緒に話しをすれば良かったのではないですか?」

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「近藤さんと私の話しの内容は違います。土方君は先に近藤さんと話しをしていました。私が話しを始める訳にはいきません。近藤さんに悪いですよね。だから、私の話しは後で良いと二人に言いました。」

沖田総司は山南敬助を微笑んで見ている。

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司。近藤さんや土方君と一緒に仕事の話しをしなくても良いのかな?」

沖田総司は苦笑しながら山南敬助に話し掛ける。

「私は難しい話しはわかりません。難しい話しが苦手なんです。話しを聞いているうちになぜか眠くなってきます。」

山南敬助は微笑んで沖田総司を見ている。

沖田総司は苦笑しながら山南敬助に話し掛ける。

「私が一緒に居ても邪魔になるだけですよね。」

山南敬助は微笑んで沖田総司を見ている。

斉藤一は肘で沖田総司の肘をついた。

沖田総司は不思議そうに斉藤一を見た。

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司を邪魔だと思う人は居ないと思います。安心して良いと思います。」

沖田総司は山南敬助に嬉しそうな表情で話し出す。

「山南さんにそう言ってもらえると嬉しいです!」

山南敬助は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司と斉藤一は、山南敬助に軽く礼をすると、その場から去っていった。

山南敬助は二人の様子を微笑んで見ている。



そんなある日の事。

沖田総司と少女は水仙を見ている。

少女は水仙を微笑んで見ている。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は沖田総司を見ると微笑んで話し掛ける。

「総司さん。水仙が綺麗ですね。」

沖田総司は少女を見ながら微笑んで頷いた。

少女は別な方向を指すと沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「あそこに寒椿が咲いています。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「見に行こうか。」

少女は沖田総司を微笑んで見ながら頷いた。

沖田総司は少女の手を取ると元気良く歩き出した。

少女は沖田総司の勢いに耐えられずに倒れそうになった。

沖田総司は後ろを振り向くと慌てて少女を受け止めた。

少女は沖田総司にしがみ付いた。

沖田総司は少女を支えながら心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん! 大丈夫?!」

少女は沖田総司にしがみ付いたまま小さい声で返事をする。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女をゆっくりと立たせると、心配そうに様子を見ている。

少女は沖田総司を見ながら微笑んで話し掛ける。

「総司さん。そんなお顔をしないでください。私は大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。力が入りすぎた。怪我はない?」

少女は沖田総司を微笑んで見ながら頷いた。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「念のために医者に行こう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「本当に大丈夫です。そんなに心配しないでください。」

沖田総司は少女を心配そうに見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。あちらに咲いている寒椿を見たいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見ながら頷いた。

少女は微笑んで沖田総司を見ている。

沖田総司は少女に微笑んで手を差し出した。

少女は微笑んで沖田総司の手を取った。

二人は一緒に歩き出した。

しかし、少女が直ぐに立ち止まった。

沖田総司は少女を心配そうに見ながら話し出す。

「鈴ちゃん。もしかして、怪我をしていない? 大丈夫?」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで話し出す。

「水仙が綺麗だったので、もう少し見ていたくなりました。それで、つい止まってしまいました。すいません。」

沖田総司は水仙を一瞥すると、少女を微笑んで見ながら話し出す。

「水仙は綺麗だよね。寒椿を見たら、またここに戻ってこよう。」

少女は沖田総司を見ると微笑んで頷いた。

沖田総司と少女は寒椿を見に歩き出した。



その翌日の事。

少女は一人で歩いている。

しかし、いつもよりゆっくりと歩いている。



少女は沖田総司と一緒に水仙を見た場所にやってきた。

水仙は今日も綺麗に咲いている。

少女は辛そうに息をはくと水仙の前でしゃがみ込んだ。

そこに、沖田総司と良く遊んでいる子供達が通り掛かった。

子供達は少女を見掛けると笑顔でやってきた。

少女はしゃがみ込んだまま子供達に微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。」

子供達は少女に微笑んで返事をする。

「こんにちは。」

少女はしゃがみ込んだまま子供達に微笑んで話し掛ける。

「今日はここで遊ぶの?」

子供達は少女を微笑んで見ながら頷いた。

少女はしゃがみ込んだまま子供達を微笑んで話し掛ける。

「早く遊ばなくてもいいの?」

子供達は少女を微笑んで見ながら話し出す。

「そうだよね。早く遊ばないと時間が無くなるよね。お姉ちゃんまたね。」

少女はしゃがみ込んだまま、子供達を微笑んで見ながら頷いた。



子供達は少女から少し離れた場所で遊び始めた。

少女はしゃがみ込んだまま、子供達の様子を一瞥すると、再び息をはいた。

子供達は少女の様子を気にする事もなく遊んでいる。

少女はゆっくりと立ち上がった。

子供達は楽しそうに遊んでいる。

少女は子供達の様子を見ることも無く、いつもよりゆっくりと歩き出した。



子供達のなかの一人が少女の歩いている姿を偶然見た。

子供が別な子供に確認するように話し掛ける。

「今日のお姉ちゃん。いつもと様子が違うよね。」

相手の子供が少女を見ながら返事をする。

「そうだね。いつもよりゆっくりと歩いているね。」

子供は少女を見ながら心配そうに話し掛ける。

「調子が悪いのかな?」

相手の子供が少女を見ながら話し掛ける。

「お姉ちゃんの様子を見に行こうよ。」

話しをしている二人の子供は、少女を見ながら頷いた。

二人は少女を走って追い掛けた。



子供達は直ぐに少女に追いついた。

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「どうかしたの?」

子供は少女に心配そうに話し掛ける。

「お姉ちゃん、大丈夫? どこか調子が悪いの?」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫。」

もう一人の子供が少女に心配そうに話し掛ける。

「でも、お姉ちゃん。辛そうな顔をしているよ。」

少女は子供達を少し驚いた様子で見ている。

子供は少女に心配そうに話し掛ける。

「もし辛かったら誰か呼んでくるよ。総司お兄ちゃんを探しに行くよ。」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「心配してくれてありがとう。でも、総司さんには言わないで。今日はお仕事をしているの。迷惑が掛かるから黙っていて。直ぐに家に帰るから大丈夫。」

子供は少女に心配そうに話し掛ける。

「お姉ちゃん。やっぱり辛そうだよ。もしもの事があったら心配だから一緒に帰ろう。もし、一人で帰っている間に何かあったら総司お兄ちゃんに悪いもん。」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「心配してくれてありがとう。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「一緒に帰える?」

少女は子供達を見ると微笑んで話し掛ける。

「でも、みんなで遊び始めたばかりよね。直ぐに家に帰る事にする。だから、心配しなくて大丈夫よ。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「本当に大丈夫? 調子が悪いお姉ちゃんを一人にしている時に何かがあったら、僕達、総司お兄ちゃんにもはじめお兄ちゃんにも、申し訳なくて会う事が出来なくなるよ。」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「ありがとう。実は、足を少し挫いたみたいなの。でも、酷くないから大丈夫。一人で帰れるから、みんなと一緒に遊んでいても大丈夫よ。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「やっぱり誰か呼んでくる。でも、総司お兄ちゃんは呼ばないよ。だから、安心してね。」

少女は少し驚いて子供達に話し掛けようとした。

子供達は、少女の話しを聞く事もなく、他の子供達が居る場所に戻って行った。



子供達はいろいろと話しをしている。

少女は不安そうに子供達を見ている。

子供達は話し合いが終わると、直ぐに走っていなくなった。



少女は子供達の様子を心配そうに見ている。

残った子供達が少女のもとに走ってやってきた。

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「気を遣ってもらってありがとう。でも、足を少し挫いただけだから、心配しないで。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「お姉ちゃん。立ったままだと足が痛くなるよ。向こうへ行って座ろう。」

少女は子供達を微笑んで見ると頷いた。

少女と子供達はその場から居なくなった。


子供達は少女を助けてくれそうな人を探している。

しかし、沖田総司も斉藤一も仕事をしているため、二人以外の人を見つけないといけない。

子供達はいろいろと考えながら探している。



山南敬助は伊東甲子太郎と一緒に歩いている。

伊東甲子太郎は普通に山南敬助に話し掛ける。

「最近の山南さんは、近藤さんや土方さんと話しをする機会が、減ってきていますね。」

山南敬助は不思議そうに伊東甲子太郎に話し掛ける。

「そうでしょうか?」

伊東甲子太郎は山南敬助に普通に話し掛ける。

「私の見る限りでは減っているように感じます。」

山南敬助は考え込みながら伊東甲子太郎に話し出す。

「そうかもしれませんね。」

伊東甲子太郎は普通に山南敬助に話し掛ける。

「時が過ぎると、考え方の違いが出てくる事が、ありますよね。」

山南敬助は不思議な笑みを浮かべて、伊東甲子太郎を黙って見ている。

伊東甲子太郎は普通に山南敬助に話し掛ける。

「でも、沖田君の事になると、近藤さんや土方さんと楽しそうに話しをしていますね。」

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで話し掛ける。

「総司の話しをしている時は、楽しくなります。」

伊東甲子太郎は山南敬助に微笑んで話し掛ける。

「私は沖田君より斉藤君の話しをしてくれる人を探しています。しかし、相手が見つかりません。」

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで話し掛ける。

「私で良ければ、斉藤君の話しでも、総司の話しでも、お相手します。」

伊東甲子太郎は微笑んで山南敬助に話し掛ける。

「その時はよろしくお願いします。」

山南敬助は微笑んで伊東甲子太郎を見ながら頷いた。



子供達はそんなに時間を掛ける事もなく、山南敬助と伊東甲子太郎を見つけた。

山南敬助と伊東甲子太郎は話しをしながら歩いている。

子供達は顔を見合わせながら話し出す。

「話し掛けても大丈夫かな?」

「でも、山南のお兄ちゃんは一人じゃないよ。」

「仕事中かもしれないよ。」

「でも、他に頼めそうな人はいないよ。」

「少し様子を見てみる?」

子供達は顔を見合わせて頷いた。



山南敬家と伊東甲子太郎は話しをしながら歩いている。

山南敬助は後ろを一瞥すると、伊東甲子太郎に微笑んで話し掛ける。

「すいません。少し待っていてください。」

伊東甲子太郎は不思議そうに山南敬助を見ると頷いた。

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで軽く礼をすると、子供達がいる方向に歩き出した。



山南敬助が子供達のもとにやってきた。

子供達は心配そうに山南敬助に話し掛ける。

「山南のお兄ちゃん。お姉ちゃんが怪我をしたんだ。辛そうなんだ。総司お兄ちゃんには言わないで欲しいんだって。」

山南敬助は困った様子で子供達に話し掛ける。

「もう少ししたらその場所にいけますが、直ぐは無理です。それまで待っていてください。」

子供達は困った様子で山南敬助を見ている。

伊東甲子太郎が山南敬助と子供達のもとにやってきた。

山南敬助は伊東甲子太郎を一瞥すると子供達を見た。

伊東甲子太郎は山南敬助に普通に話し掛ける。

「その子は怪我をしているのですよね。だったら、様子を見に行った方が良いのではないでしょうか? 私が適当に話しをしておきます。後の事は心配しないでください。」

山南敬助は伊東甲子太郎を見ると配そうに話し掛ける。

「それでは、伊東さんに迷惑が掛かります。」

伊東甲子太郎は山南敬助に微笑んで話し掛ける。

「子供達が助けてくれそうな人を探しているという事は、その子の怪我が酷いのかもしれません。放っておいて何かあったら、沖田君との関係が悪くなるかもしれません。仕事に支障が出るのは困ります。様子を見に行ってあげてください。」

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで話し掛ける。

「総司は余程の事がない限り怒る事はありません。あの子の所に直ぐに行かなくても怒らないと思います。」

伊東甲子太郎は山南敬助に微笑んで話し掛ける。

「今が余程の時だと困りますよね。」

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで話し掛ける。

「では、後の事は頼みます。」

伊東甲子太郎は山南敬助の耳元で小さい声で話し出す。

「沖田君に彼女が怪我をしている事を伝えたいと思います。もし、黙っていた方が良いのなら言いません。」

山南敬助は微笑んで伊東甲子太郎に話し掛ける。

「お任せします。」

伊東甲子太郎は山南敬助に普通に話し掛ける。

「では、先を急ぐので、ここで失礼します。」

山南敬助は伊藤甲子太郎に軽く頭を下げた。

伊東甲子太郎は普通に歩き出した。

山南敬助と子供達は少女のもとへ急いで向かった。





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