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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜梅初月 花ぞ昔の香ににほいける 〜
〜 後編 〜
少女と子供達の近くには水仙が咲いている。
少女は水仙を見ることも無く黙って座っている。
子供達は少女の様子を心配しながら見ている。
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「みんな。そんなに心配しないで。」
子供達は少女に心配そうに話し掛ける。
「誰か来ると思う。待っていてね。」
少女は子供達を微笑んで見ながら頷いた。
山南敬助と子供達が少女のもとにやってきた。
少女は山南敬助に申し訳なさそうに話し掛ける。
「ご迷惑をお掛けしてしまいました。すいません。」
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「気にしないでください。」
少女は山南敬助を申し訳なさそうに見ている。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「怪我と言うのは足で良いのかな?」
少女は山南敬助を心配そうに見ながら頷いた。
山南敬助は少女の足の様子を確認している。
子供達は心配そうに少女の様子を見ている。
山南敬助は微笑んで少女に話し掛ける。
「放っておくのは良くないと思います。医者に診てもらいましょう。」
少女は山南敬助を心配そうに見ながら頷いた。
山南敬助は子供達に微笑んで話し掛ける。
「みんな。いろいろと気を遣ってくれてありがとう。総司の代わりに礼を言います。これから、私と美鈴さんは医者に行きます。みんなは遊びに戻っても良いですよ。」
少女は子供達を微笑んで見ながら話し出す。
「みんな。いろいろと気を遣ってくれてありがとう。」
子供達は少女を心配そうに見ながら頷いた。
少女は山南敬助に支えられて立ち上がった。
子供達は少女の様子を心配そうに見ている。
少女は山南敬助に寄り掛かりながら歩き出した。
山南敬助と少女はゆっくりと歩いている。
山南敬助が後ろを振り向くと、子供達の姿は見えなくなっている。
山南敬助は少女を微笑んで見ながら話し掛ける。
「子供達の姿は見えません。無理はしない方が良いですよ。」
少女は山南敬助を見ると小さく頷いた。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「医者まで行くのは辛いですよね。どこか近くで休ませてもらいましょう。そこに医者を呼んで診てもらうように話しをします。」
少女は山南敬助を見ながら小さく頷いた。
山南敬助と少女は近くの寺にやってきた。
暫くすると医者がやってきた。
医者は少女の診察を始めた。
医者は少女に普通に話し掛ける。
「いつ足を挫いた?」
少女は下を向いて医者に小さい声で返事をする。
「今さっきです。」
医者は少女の足の様子を確認しながら普通に話し掛ける。
「もう少し詳しく話しをしてくれ。治療が出来ない。」
少女は下を向きながら医者に小さい声で返事をする。
「昨日です。躓いてしまいました。」
医者は少女を一瞥だけすると治療を続けた。
少女の足の治療は終わった。
医者が山南敬助と少女に普通に話し掛ける。
「やはり足を捻挫しているな。」
少女は医者の話しを複雑な表情のまま黙って聞いている。
山南敬助は、少女の様子を心配そうに見ながら、医者の話しを聞いている。
医者は山南敬助と少女に今後の説明をすると帰っていった。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「やはり足を捻挫していましたね。でも、思っていたより酷くなくて安心しました。」
少女は山南敬助を不安そうに見たまま黙っている。
山南敬助が少女に微笑んで話し掛ける。
「美鈴さん。実は、総司に美鈴さんが怪我をしている事を伝えました。仕事が落ち着いたらここに来ると思います。もう少しだけ待っていてください。」
少女は不安そうに山南敬助を見ている。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「美鈴さんが足の捻挫の事を、総司に黙っていたい気持ちは良くわかります。でも、捻挫は治るのまでに時間が掛かります。そうすると、総司は美鈴さんが足を捻挫した事を必ず知りますよね。総司がこの事を後で知ったら、美鈴さんが自分に黙っていた理由を考えて悩むと思います。辛い思いをするかもしれません。だから、美鈴さんのためにも、総司のためにも、先に話しをした方が良いと思いました。勝手な事をしてしまってすいませんでした。」
少女は山南敬助に心配そうに話し掛ける。
「総司さんと出掛けるお約束をしています。梅の花が咲き始めたという話しを聞きました。いつもより早く咲き始めているので、本当に咲いているのかを確認しに行くお約束もしました。でも、直ぐに治らないですよね。お出掛けしたいです。総司さんに迷惑が掛かります。」
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「美鈴さん。無理をしては駄目ですよ。無理をしたら総司が心配します。出掛けられない間は、美鈴さんの家で総司と話しをするというのはどうですか?」
少女は山南敬助を心配そうに見ながら話し出す。
「総司さんは大変なお仕事をたくさんしています。お出掛けして楽しんだりしたいと思います。お休みしたいと思います。私の家でお話しをしていても落ち着かないと思います。」
山南敬助は微笑んで少女に話し掛ける。
「総司は、美鈴さんと話しをしている時は、とても楽しそうに見えます。美鈴さんの家で話しをしていても、総司は楽しいと思うはずです。」
少女は下を向いて黙っている。
山南敬助は少女に心配そうに話し掛ける。
「足が痛いですか?」
少女は顔を上げて小さく首を横に振ると、申し訳なさそうに話し出す。
「また総司さんに迷惑を掛けてしまいました。」
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「美鈴さんが総司に迷惑を掛けている事はないと思います。総司が辛い思いをしないように気を遣っている事はわかります。安心してください。」
少女は山南敬助に心配そうに話し掛ける。
「総司さんは、もう少ししたらここに来るんですよね。」
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「そろそろ来る頃だと思います。もし総司が美鈴さんを怒ったりしたら、私が総司に話しをします。安心してください。」
少女は心配そうに山南敬助を見ている。
沖田総司はまだ来ない。
少女は山南敬助を見ながら言いにくそうに話し出す。
「山南さん。最近、疲れていたりしていますか?」
山南敬助は不思議そうに少女を見ている。
少女は山南敬助に心配そうに話し掛ける。
「山南さん。寂しそうに見えます。」
山南敬助は微笑んで少女に話し掛ける。
「美鈴さんは、自分の怪我や総司や斉藤君の心配をしてください。」
少女は山南敬助に申し訳なさそうに話し出す。
「私が山南さんのお仕事の相談にのれる訳がないですよね。明里さんも居ますよね。なのに、変な事を言ってしまいました。すいません。」
山南敬助は微笑んで少女に話し掛ける。
「美鈴さん。私の言い方が悪くて、怪我をして辛い時に、余計に気を滅入らせてしまいました。すいません。」
少女は山南敬助を心配そうに見ている。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「総司は、がさつで粗忽者です。しかも怒ると怖いですよね。」
少女は山南敬助を不思議そうに見ている。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「総司の周りにはいろいろな人達が居ます。」
少女は不思議そうに山南敬助を見ている。
山南敬助は微笑んで少女に話し掛ける。
「美鈴さんは総司の傍にいつも笑顔で居てくれますね。」
少女は不思議そうに山南敬助を見ている。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「私も総司も立場や状況が良くなると、周りにいろいろな人達が集まってきます。逆に、去っていく人もたくさんいます。」
少女は山南敬助を真剣な表情で見ている。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「美鈴さん。この歌を知っていますか? 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほいける。」
少女は山南敬助を真剣な表情で見ながら頷いた。
山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。
「総司にとっては、美鈴さんと斉藤君が、変わらなくて安心出来る場所なのだと思います。」
少女は山南敬助を見ながら微笑んで話し掛ける。
「総司さんの傍には、山南さんも居ます。」
山南敬助は微笑んで少女を見ながら返事をする。
「私もそのなかに入れてくれるのですか? 嬉しいです。美鈴さん。ありがとう。」
少女は微笑んで山南敬助を見ている。
山南敬助と少女はいろいろと話しをしている。
すると、部屋の外で大きな足音が聞こえてきた。
山南敬助と少女は方向を驚く様子もなく足音のする方向を見た。
沖田総司が勢い良く部屋に入ってきた。
少女は沖田総司の様子を見て驚いている。
沖田総司は少女の傍に心配そうに近寄ってきた。
少女は不安そうに沖田総司を見ている。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。大丈夫? 怪我の具合は?」
少女は不安そうな表情のまま沖田総司を見ている。
山南敬助が沖田総司に微笑んで話し掛ける。
「総司。落ち着いてください。美鈴さんは足を捻挫したそうです。」
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「足を捻挫? 一体何があったんだ?」
少女は言いにくそうに沖田総司に話し出す。
「躓いて足を挫いてしまいました。」
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「もしかして昨日の事が原因なんじゃないのか?」
少女は沖田総司に恥ずかしそうに話し掛ける。
「違います。私はそそっかしいから躓いてしまいました。転ばない代わりに足を挫いてしまいました。」
沖田総司は悲しそうな表情で少女を優しく抱き寄せた。
少女は沖田総司の腕の中で心配そうな表情をしている。
沖田総司は少女を優しく抱きながら悲しそうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。ごめんね。痛いよね。」
少女は沖田総司の腕の中で心配そうに話し掛ける。
「総司さんは悪くありません。謝る必要はないです。」
沖田総司は少女を抱きながら悲しそうに話し掛ける。
「私がもう少し気を配っていれば良かったね。そうすれば、鈴ちゃんが怪我をしなくても済んだんだよね。」
少女は沖田総司の腕の中で微笑んで話し掛ける。
「怪我と総司さんは関係ないです。私がきちんと歩いていれば怪我をしないで済んだんです。」
沖田総司は少女を抱きながら悲しそうな表情で話し掛ける。
「鈴ちゃん。我慢していて辛かったよね。痛いよね。」
少女は沖田総司の腕の中で小さく首を横に振った。
沖田総司は少女の様子を心配そうに見ている。
山南敬助は二人の様子を確認すると部屋から出て行った。
少女は沖田総司の腕の中で申し訳なさそうに話し掛ける。
「総司さん。足を捻挫してしまいました。当分の間お出掛けする事が出来ません。ごめんなさい。」
沖田総司は少女を抱きながら微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃんは謝らなくてもいいよ。鈴ちゃんの怪我が治るまで、私が鈴ちゃんの家に行くよ。鈴ちゃんの家で話しをしよう。寒くないしゆっくりと出来るしその方がいいよね。」
少女は沖田総司の腕の中で微笑んでいる。
沖田総司は少女を抱きながら微笑んで話し掛ける。
「無理をしちゃ駄目だよ。治ったら花をたくさん見に行こうね。」
少女は沖田総司の腕の中で微笑んで頷いた。
その日の夜の事。
山南敬助は明里のもとを訪れた。
明里は山南敬助に微笑んで話し掛ける。
「先生。こんばんは。」
山南敬助は明里を微笑んで見ながら頷いた。
明里は山南敬助に微笑んで話し掛ける。
「先生。何かあったのですか?」
山南敬助は明里に微笑んで話し掛ける。
「実は・・・」
ちょうど同じ頃。
沖田総司は斉藤一のもとを訪れた。
二人は静かに話しを始めた。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し掛ける。
「鈴ちゃんが足を捻挫しました。」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に悲しそうな表情で話し掛ける。
「昨日の事なのですが、鈴ちゃんと会っている時に、楽しくて鈴ちゃんを思い切り引っ張ってしまいました。その時に足を捻挫したようです。でも、私の前では普通にしていました。家の人にも、直ぐに話しをすると私に迷惑がかかると思ったらしく、黙っていたようです。鈴ちゃんは今日か明日に医者に行くつもりだったようです。おそらく、同じ怪我でも私が原因だとわかりにくくするために、無理をしてしまったと思います。」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し掛ける。
「私の時間が空いている時は、鈴ちゃんと会いたいと思います。鈴ちゃんが寂しがっている時には、斉藤さんに頼むかもしれません。その時はお願いします。」
斉藤一は沖田総司を見ながら頷いた。
明里は山南敬助に抱きつくと微笑んで話し掛ける。
「美鈴さんはいじらしい方ですね。」
山南敬助は明里を抱き寄せると微笑んで頷いた。
明里は山南敬助に抱きつきながら微笑んで話し掛ける。
「先生。私だって美鈴さんと同じです。」
山南敬助は明里を抱いたまま微笑んで頷いた。
明里は山南敬助に抱きつきながら微笑んで話し掛ける。
「先生。嬉しいです。」
山南敬助は明里を抱きながら微笑んで頷いた。
その翌日の事。
沖田総司は少女の家を訪れた。
少女は部屋に居るとの話しを聞いて、そのまま部屋を訪れた。
沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。
「鈴ちゃん。こんにちは。」
少女は沖田総司の予定外の訪問を少し驚いた様子で見ている。
沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。
「鈴ちゃんが出掛けられなくて、寂しい想いをしていないか心配になったんだ。怪我の様子も気になったから、お見舞いも兼ねて話をしに来たんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。
「ご心配頂いてありがとうございます。」
沖田総司は少女に水仙の花束を手渡した。
少女は花束を受取ると沖田総司に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。綺麗な水仙ですね。」
沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。
少女は水仙の花束を嬉しそうに見ている。
二人は楽しそうに話しを始めた。
沖田総司は時間が空くと少女のもとを訪れている。
沖田総司は、少女が外に出掛けられないため、いろいろな物を持ってくる。
少女は沖田総司からの見舞いの品をいつも嬉しそうに受取っている。
沖田総司と少女は短い時間でも、楽しそうに話しをしながら一緒の時を過ごしている。
少女の足の捻挫は少しずつ良くなってきている。
そんなある日の事。
少女の足の捻挫もかなり良くなってきた。
沖田総司は少女のために水仙の花束を持って尋ねてきた。
少女は沖田総司を心配そうに見ている。
沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。
「どうかしたの? 足が痛くなったの?」
少女は沖田総司を見ながら小さく首を横に振ると、心配そうに話し掛ける。
「総司さん。いつもよりたくさん会っています。私は大丈夫です。無理しないでください。」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「実は、最近なぜか仕事が落ち着いているんだ。無理はしていないから大丈夫だよ。」
少女は沖田総司を心配そうに見ている。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「もしかして、怪我をしているのに私が騒がしいから疲れる? 私が話しにくるからゆっくりと出来なくて疲れる?」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで話し掛ける。
「総司さんとたくさんお話し出来て嬉しいです。」
沖田総司は笑顔で少女に話し掛ける。
「良かった〜!」
少女は微笑んで沖田総司を見ている。
沖田総司は少女に微笑んで水仙の花束を手渡しながら話し出す。
「今日も水仙を持ってきた。」
少女は微笑んで水仙の花束を受取ると話し掛ける。
「ありがとうございます。」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。梅の花がほんの少しだけど咲いている場所を見つけたよ。鈴ちゃんの怪我が治ったら、斉藤さんと一緒に三人で見に行こうね。」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。
それから少しの日付が過ぎた頃。
少女の足の捻挫も良くなった。
医者からは、出掛けても良いとの話しがあった。
沖田総司と斉藤一と少女の三人は梅の花を見に行く事になった。
沖田総司が少し送れてくるために斉藤一が少女を迎えに来た。
少女は斉藤一を見る途微笑んで礼をした。
二人は一緒に出掛けて行った。
少しずつ梅が咲き始めている。
二人は座れそうな場所を探しながら歩いている。
良い場所が見つかった。
そのため、斉藤一と少女は座って沖田総司を待つ事にした。
少女は沖田総司が来る方向を時折見ている。
斉藤一は少女の様子を普通に見ている。
少女は斉藤一を見ると申し訳なさそうに話し掛ける。
「私が怪我をしてしまった事で、斉藤さんにも迷惑を掛けたと思います。すいません。」
斉藤一は少女に普通に話し掛ける。
「美鈴さんが俺に迷惑を掛けた事はない。今回も迷惑を掛けていない。安心しろ。」
少女は安心した表情で斉藤一を見ている。
斉藤一は少女に普通に話し掛ける。
「怪我が治って良かったな。」
少女は斉藤一を見ると微笑んで頷いた。
斉藤一は少女を黙って見ている。
少女は心配そうに斉藤一に話し掛ける。
「山南さんがこんなお歌を詠っていました。人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の
香ににほいける。」
斉藤一は少女を黙って見ている。
少女は斉藤一に心配そうに話し掛ける。
「山南さんにとっての変わらない場所は、明里さんですよね。」
斉藤一は少女を黙って見ている。
少女は斉藤一に心配そうに話し掛ける。
「総司さんにお話しを聞く事が出来なくて、斉藤さんにお話しをしてしまいしまた。私の気のせいだったのですね。」
斉藤一は少女に普通に話し掛ける。
「組も少しずつ大きくなってきている。いろいろと変わる事もある。山南さんは近藤さんの次に偉いから、いろいろと考える事があると思う。」
少女は微笑んで斉藤一に話し掛ける。
「そうですよね。」
斉藤一は少女を黙って見ている。
少女は斉藤一に心配そうに話し掛ける。
「斉藤さん。総司さんが居ない時に、お仕事の話しを教えてください。」
斉藤一は少女を不思議そうに見た。
少女は心配そうに斉藤一に話し掛ける。
「山南さんは、偉くなるといろいろな人が集まって来ると言いました。そして、去って行くとも言いました。山南さんのお話しの感じからすると、総司さんもきっと同じなんですよね。総司さんのお仕事を少しでも理解したいです。そうしたら、少しだけでも総司さんのお役に立つ事が出来ますよね。総司さんも少しだけでも楽になる事が出来ますよね。」
斉藤一は少女に普通に話し掛ける。
「美鈴さんは、知らない方が良いと思う。総司にとっての変わらない場所は、美鈴さんの所だ。美鈴さんはそのままで良い。」
少女は斉藤一を不思議そうに見ながら話し掛ける。
「山南さんは、総司さんにとって変わらない場所は、私と斉藤さんの所だと言いました。」
斉藤一は少女を黙って見ている。
少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「山南さんも斉藤さんも同じ事をお話ししています。それって、ほんの僅かでも私が総司さんのお役に立っているという事ですよね。」
斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。
少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「総司さんのお役に立てて嬉しいです。」
斉藤一は少女を黙って見ている。
沖田総司は少女のもとへ走っている。
斉藤一と少女が楽しそうに話をしている姿が見えた。
沖田総司は急に立ち止まると、寂しそうな表情で二人の姿を見た。
少女が沖田総司の来る方向を見ると、沖田総司が立っている姿が目に留まった。
斉藤一も少女と同じ方向を見た。
少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「総司さんが来ました。」
斉藤一は少女を見ると黙って頷いた。
少女は立ち上がると、沖田総司のもとへ歩き出した。
沖田総司が寂しそうな表情で立ち止まって二人の様子を見ていた。
すると、少女が立ち上がって自分の方にやってくる姿が見えた。
沖田総司は慌てて少女の方に歩き出した。
沖田総司と少女は向かい合う形になった。
少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。
「総司さん。早く梅の花を見ましょう。」
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。無理して歩かなくてもいいよ。」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで話し掛ける。
「お医者さんは、治ったとお話ししていました。いつもと同じようにお出掛けしても大丈夫です。」
沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。
「そうだよね。鈴ちゃんの足の捻挫は治ったんだよね。」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑みながら手を差し出した。
少女は微笑んで沖田総司の手を取った。
沖田総司と少女は手を繋ぎながら斉藤一のもとに歩き出した。
今と昔で変わるものは何でしょうか?
今も昔も変わらないものは何でしょうか?
それは、どんな花の香りが知っているのでしょうか?
〜 完 〜
はじめに
前編
後書き
目次
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